こういうのを書くのは初めてなのでどうかお手柔らかにお願いします……
好きなキャラは支配の悪魔ですよろしくお願いします
日本のとある県の山間部、そこに位置する住宅地に向かう道路を歩くチンピラ風の男が一人、オレンジ色の体毛と頭からチェンソーを生やした四足歩行をする生き物が一匹。
「木を切って月収6万だろ〜この間売った腎臓が……120万、右目が……30万」
「金玉片方売っていくらで売れたっけ?10万もしなかったんだっけ?」
少年、デンジは指折り金勘定をしながら通帳を開いた。
「残りの借金が3804万円」
父親が残した遺産はこの負の遺産である借金のみ。
彼は父親が借金をしていた相手であるヤクザに借金返済のため、できる限りの金稼ぎをしている。
臓器の売買もその一つであるが、もっと稼ぎのいい仕事があった。
今デンジが向かっているのはその仕事現場だ。
ふと、オレンジ色の生き物が威嚇するように唸り始めた。
「ポチタ〜分かってるって!さっさと殺しちまうか!」
「悪魔を1体殺せば大体30万、やっぱデビルハンターが一番儲かるな」
視線の先にはトマトに大量の目がついたバケモノ、それを目前にデンジはポチタと呼ばれた生き物、チェンソーの悪魔の尾についたスターターを勢い良く引いた。
トマトの悪魔を討伐したデンジはその後、家にしている小屋にて相棒のポチタと床についていた。
悪魔の死体の価格は40万であったが買取を行ったヤクザにより各種手数料を引かれ、その上借金の返済、水道代の支払いをした結果デンジの手元にはわずか1800円しか残らなかった。
食パン1枚を家族であり、大切な相棒であるポチタと分け合ったデンジはなかなか眠れずにいた。
「腹減って眠れねぇ……寝れねぇと借金のこと考えてもっと寝れねぇ」
デンジのつぶやきに反応したポチタが目を覚まし、デンジの腹の上に乗った。
ポチタとは父親が墓に埋まった日に出会った。
小学校に上がるよりも前の年齢からずっと一緒にいる家族だ。
借金を返済するために働き続けたが故、小学校には行けなかったが。
「決めた。今日寝たら見る夢」
デンジは小屋の天井を見上げながら、いい夢を見られるようにと思いながら言葉を続ける。
最近知った食パンの普通の食べ方を思い出す。
「食パンにジャム塗って、ポチタと食って、女とイチャイチャしたりして、一緒に部屋でゲームして抱かれながら眠るんだ……いいだろ」
「ワフッ」
一人と一匹しかいない小さな世界の中で二人は静かで、心の安らぐ時間を過ごしていた。
しかしその静寂は唐突に破られる。
デンジが激しくせき込み、血を吐いた。
吐いた血は手の平を赤く染め上げ、ポチタは驚きの声を上げた。
「ハァハァ……ハァ……俺の母ちゃんさ、心臓の病気で血吐いて死んだんだとよ」
デンジは人づてに聞いた自身の母の死因を思い出した。
臓器もすでにいくつか売り捌き、すでに体に限界は近づいていた。
小屋の扉をノックする音が聞こえた。
「デンジ、悪魔が出た。仕事だぞ」
ヤクザだ。
いつも通り、デンジのデビルハンターとしての仕事が待っている。
どうやら今日は夢見て眠ることも出来ないようだった。
車に乗せられてついたのはどこかの廃工場だった。
周囲には人のいる気配もなく、夜の暗闇の中ではどこか薄気味悪い雰囲気を放っていた。
「こんなとこに悪魔が出たんすか?」
ヤクザの返事はない。
静かだ。
悪魔が隠れ潜むにはうってつけであろうが、悪魔被害が出ている雰囲気もなく、肝心の悪魔はどこで目撃されたのか。
「どっか隠れたんすかね」
ヤクザの返事はない。
静かだ。
デンジの前を歩く男、ヤクザの老人は何も語らず、歩みを止めることなく、ただただ奥へと歩いていく。
「ん?」
ふと、ヤクザの男はその足を止めた。
そして背を向けたまま語りだす。
「デンジよ、俺たちはてめえに感謝してんだぜ」
「え?はい」
ヤクザからの言葉にデンジは戸惑いを隠せないまま、生返事を返した。
ヤクザの言葉は続く。
「犬みてえに従順だし犬みてえに安い報酬で働いてくれる」
「はぁ……」
ヤクザの男が何を言いたいのかが分からず、デンジはまたもや生返事を返した。
ヤクザは背を向けたまま言葉を続けた。
「でも俺は犬は臭くて嫌えだ」
背中からの衝撃。
デンジは何が起こったのか理解できず緩慢にも思える動きで後ろを振り返った。
そして理解した。
自分は背後から刺されたのだと。
遅れて襲い来る激痛、喉からせり上がってきた血が口からあふれ出す。
刃物は長く、デンジを貫通しポチタごと貫き、二人は苦痛に呻いた。
刃物が引き抜かれるもデンジは痛みに耐えられず膝から崩れ落ちた。
「俺たちヤクザもよ、もっと強くなって稼ぎてえからよ、てめえみてえに悪魔と契約することにしたんだ」
ヤクザの男はこちらに振り替える。
その背中に闇の中から伸びた血管のようにも見える肉の管が繋がる。
そうして宙に浮きあがった。いや、持ち上げられたのだ。
背後に広がる闇の中から巨大な影が現れる。
ヤクザの男は続けて言う。
「俺たちが望むのは悪魔の力」
「僕が望むのはデビルハンターの、死!」
ヤクザの男に続いて言葉を語ったのは巨大な影、悪魔であった
その姿は異形であり、三、四メートルはあるであろう腕と頭のない人間の上半身、下半身はなく漏れ出た内臓で自身を支えているようであり、顔は右胸に移植されているかのようについていた。
そして周囲には腐乱した肉体を持つ人間たちを従えていた。
「デビルハンター君、マジこいつらバカだよめっちゃバカ」
悪魔は嘲りを隠さずに語る。
「悪魔の力あげるっつったらさ、自分たちから僕の奴隷になってやがんのな、その力でゾンビになっちゃうんだけどね、僕ゾンビの悪魔だから」
ゾンビの悪魔が言葉を語る最中もゾンビとなった者たちがゆっくりとデンジに近づいていく。
大量に出血し、激痛に苛まれながらもデンジは必死に立ち上がる。
抱えたポチタはぐったりとして動かない。
「デビルハンターは僕ら悪魔殺すから嫌い、だから殺しちゃうんだ」
ゾンビの言葉は続く、近づいてくるゾンビ達の手には鈍い光を放つ刃物が握られていた。
デンジの脳みそが必死に警鐘を鳴らす。
あの刃物がどう使われるか、否が応でも想像させられる。
「みんな、そいつバラバラにして――ゴミ箱にでも捨てちゃって」
「くそっ」
自身の未来を言葉にされてデンジは恐怖と焦燥の中、悪態をつきながら走り出す。
激しくせき込みながらも足は止められない。
傷をかばいながらでは早くは走れなくとも必死に逃げ続ける。
進行方向に回り込まれれば細い通路へと逃げ込み、時には物を倒して少しでも逃げる時間を稼いだ。
(普通の生活を夢に見るだけでよかったのに――んなこともかなえられねえのかよ)
必死な、必死に、必死で哀れな逃走は長くは続かなかった。
背中にその凶刃が届き、地面に倒れたその時がデンジの最期であった。
次々と突き刺さる刃物。
死までの時間、少年の鳴りやまない絶叫は誰にも聞かれることはなかった。
バラバラにされたデンジとポチタの遺体を遺棄したゴミ箱の中、デンジの死体から滴る血が偶然にもポチタの口へと入り込んだ。
この血によって意識を取り戻したポチタは在りし日を思い出す。
いつもの仕事、木を切る仕事を二人でやっていたいつもの日常。
デンジは自身が死んだ後のポチタを心配してくれていた。
悪魔の中には人の死体を乗っ取る事が出来る存在がいる。
もしポチタにそれが出来るなら自身の体をあげたいとデンジは語った。
町を出て、普通の暮らしをして、普通の死に方をしてほしいと語った。
それが自身の夢であると語ったのだ。
だからポチタは選ぶ。
選んだのだ、この選択を。
ゴミ箱の中、デンジは目を覚ました。
目の前には家族であり、自身の大切な相棒でもある悪魔のポチタがいた。
バラバラにされたはずの体が繋がっていて、体のどこも痛くなかった。
つまりは、そういうことなんだろうとデンジは納得した。
「俺の体ちゃんと奪えたか?」
デンジの心残りはただそれだけであった。
たった一人の家族だけであった。
「私はデンジの夢の話を聞くのが好きだった」
ポチタの口から女性のような、子供のような不思議な声が聞こえてきたことにデンジは驚いた。
今までの生活の中でこのようなことなど、一度としてなかったのだ。
今までの人生で聞いたことのない、柔らかい声だった。
「これは契約だ、私の心臓をやる」
「代わりにデンジの夢を私に見せてくれ」
「ポチタ!」
瞬間、デンジの意識は目覚めた。
勢いよくゴミ箱から立ち上がり、そして気づく。
自身に傷がないことに、胸に見覚えのあるスターターロープが繋がっていることに。
「ポチタ……!」
ポチタが自身に命を分け与えたのだとデンジは理解した。
そしてもう二度と、その胸に抱きしめる事が出来ないのだということも。
「んん?バラバラにしても生きてんの!?何で?キモッ!」
デンジが生きていることに気づいたゾンビの悪魔は嫌悪感たっぷりに言う。
「やっぱ僕デビルハンター嫌い!みんなァ!!そいつ食べちゃって!!」
悪魔の命令に従いゾンビ達はデンジへと殺到する。
その様子を眺めながらデンジに疑問が浮かぶ。
何でこいつらは恵まれているのにもっといい生活を望むのか?
答えはすぐに出た。
(――そうか、みんな夢見ちまうんだなぁ)
同じなのだ。
ポチタさえいれば良かったのにもっと上を夢見た自分と同じなのだ。
(じゃあ悪いことじゃねえ、悪いことじゃねえけど……)
腕は自然と胸のスターターへと伸びる。
今までの最悪な思い出と、最高な思い出が浮かんで流れて最後にポチタが、思い浮かんだ。
胸のスターターを思い切り引っ張り、デンジは叫ぶ。
「俺達の邪魔ァすんなら――死ね!!」
ゾンビが殺到し、デンジを取り囲んだみ、咀嚼音が聞こえる
「さすがに食い殺しゃ死ぬだろ……」
ゾンビの悪魔も気持ちの悪い奴が消えたと、安心して胸をなでおろし――
ヴヴン
唸り声が鳴り響いた。
「うらあああああっっ!!」
異形の男がゾンビの山から飛び出した。
頭と両手からチェンソーを生やした怪人と化したデンジ。
唸るエンジン音、回転する鋸が空を削ぐ音。
空転するチェンソーからは暴力的で危険なニオイが漂ってきている。
「なんだお前!さっきの雑魚悪魔が体を乗っ取ったのか!?じゃあ仲間だな!?」
急転する展開に戸惑うゾンビの悪魔は目の前の存在に問うが、答えは言葉ではなく暴力で返された。
高く跳躍したデンジはチェンソーをゾンビの悪魔の右目へと叩き込む。
あまりの痛みに悪魔は耐え兼ね絶叫する。
悪魔は必死に抵抗し、少しでもデンジを近づけまいと周囲のゾンビを投げつけ、自身の臓物を鞭のようにしならせ叩きつける。
しかしデンジは何度吹き飛ばされようと、何度も立ち上がり悪魔へと向かっていく
「こっち来るな!!こっち来るなってぇ!!」
悪魔は恐怖していた。
訳の分からない目の前の存在に心底恐怖していた。
近づいてくるチェンソーの唸りを少しでも遠くへと遠ざけようとしていたが、その努力はむなしいものだった。
ついにゾンビの悪魔へとチェンソーが届いたのだ。
ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴギギギギギギギギギィィィィィイイイイイイイイ!!
低く唸っていたチェンソーの音が甲高く鳴り響く音に変わり始める。
ギアが上がり、回転数が上がっていく音だ。
「ぎゃああああああっっっ!!」
脳天へと突き刺さったチェンソーが、どんどん奥へと入ってくるのをゾンビの悪魔は例えようのない激痛と共に感じていた。
なすがままとなったゾンビの悪魔は、そのままチェンソーの刃によって体を両断されついに息絶えた。
残るは周囲を取り囲むゾンビ達だけ。
「あんたたちのほうは……心まで悪魔になっちまったみてえだな」
さてどうするか。
答えは出ている。
「デビルハンターとして雇われてるからにゃ悪魔は……ぶっ殺さねえとなあ!」
あとはエンジンをふかすだけ。
ヴヴン
B級映画よろしくゾンビをチェンソーで切り刻みまくり、ゴアでスプラッターな光景が繰り広げられた。
「そっか!てめえら全員殺せばよぉ!借金はパアだぜ!ギャアーハッハハァ!!」
そこからはもう滅茶苦茶だ。
4000万近くある借金がパアになると分かったデンジは、目につく動くものすべてを切り刻んでいく。
両腕のチェンソーを振り回せば簡単に人体は分断され、時には頭のチェンソーを顔面に突き刺す。
止まらない高笑いと共に夜は更けていった。
夜が明け、太陽が世界を照らし始める。
昨夜の血の饗宴も今では嘘であったかのようにあたりは静まり返っている。
昨夜との違いは廃工場近くに黒塗りのセダンが止まっていることだ。
「先を越されたね」
涼やかで落ち着いた知性を感じさせる女性の声。
惨劇の舞台となった廃工場の入り口に3人の黒服が並び立っている。
三人の視線の先には血の海と、そこに浮かぶバラバラにされた人体の木片が漂流しており、奥には佇みこちらを見ている怪人。
黒服のうちの一人、大男が呟く。
「生きているのがいますね」
三人のうちの一人、涼やかな声の持ち主である女性が、周囲の惨劇を気にも留めずにデンジへと歩み寄ってくる。
「ふうん……君変わったにおいがするね、人でも悪魔でもないにおい」
手を伸ばせば届く距離まで女性は近づいてきた。
「君がこれやったの?」
美しい女性だった。
黒服に身を包み、赤みのある髪を後ろで三つ編みにしたその女性は、昇る日が射す後光に照らされいっそ神秘的ですらあった。
一晩かけて借金を完済し、疲労でふらついていたデンジには目の前の人物が現実に存在しているのか、それともイかれた自分の脳みそが見せる夢なのかの判断がつかなかった。
「だ……抱かせ……て……」
ただ一言、口から意思とは関係なく言葉が飛び出し、体はふらついて今にも倒れかける。
誰にも聞かれるはずのなかったその言葉はしかし、女性には届いた。
気づけばデンジは女性に抱きしめられていた。
ゆっくりとチェンソーが溶けていき、デンジの素顔があらわになる。
「人だ……」
女性はデンジの顔を見て微笑みを浮かべた顔のまま呟いた。
「悪魔による乗っ取りの可能性は?」
背後の黒服が問う。
「ないね、乗っ取りは顔見れば分かるもん」
女性はそう答えた。
どうやら悪魔に体を乗っ取られると見てわかるレベルで顔が変わるようだ。
生まれてこの方誰かから抱きしめられた記憶を持たないデンジには、自身の現在の状態への理解が追い付いていなかった。
茫然自失のような状態のデンジだったが、何故だかその腕は自然と女性を抱き返していた。
普通なら血まみれの男に抱きしめられるなど、拒絶されてもおかしくないだろう。
しかし、抱きしめられ返された女性は驚いたのかその微笑みは一瞬崩されるも、抱きしめる力はむしろ少しだけ、強くなった気がした。
女性はデンジをゆっくりと地面へと横たわらせながらデンジに視線を合わせて言う。
「私はゾンビの悪魔を殺しに来た公安のデビルハンターなんだ、君の選択肢は2つ」
デンジは妙な浮遊感を感じながら話を静かに聞く。
「悪魔として私に殺されるか人として私に飼われるか」
デンジは改めて、近くで見る目の前の女性の瞳に釘付けとなった。
黄色い同心円状の不思議な、でも綺麗な瞳に目を奪われた。
「飼うならちゃんと餌はあげるよ」
餌、その言葉に意識が戻る。
今まで自分に仕事をさせていたヤクザは飯をくれず、いつもひもじい思いをしていた。
満腹になったことなんて一度もない。
「餌って……朝飯はどんなの……?」
だからだろうか、餌をくれるといったこの人の言葉が気になった。
すると女性は顎に手をやり、考えながら答えた。
「う~ん……食パンにバターとジャム塗って、サラダコーヒーあとデザート……かな?」
「え……」
まさしく。
まさしくそれは、ポチタに語って聞かせた自分の夢そのものだった。
しかも自分では思いつけなかった飯まで入っている。
そんなものを提案されたら、そんなの。
「最高じゃあないすか……」
死体の丘の上、死から復活した男が美しい女性の膝に抱かれながら、光に照らされ言葉に出来たたった一言であった。
めっちゃ大変ですね書くのって
毎日投稿してる方は小説の悪魔と契約してるんですか……???