コンビの片方を闇堕ちさせないと生きていけない魔神系TS転生者   作:鐘楼

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当然の因果と、あと呼んでないのに二次会くるやつ

 茂った森の中を歩く。俺が設置した拠点に繋がるワープポイント的な場所だ。

 

 俺の拠点である城は誰も来ないような危険地帯にあり、当然そこは王国の領土でもなんでもない。徒歩で帰れるわけもなく、城へはワープの魔法で帰る。

 

 このワープ魔法は元々魔族の魔法で、一方的に人類の街を急襲するのに使われるものだ。これのおかげで魔族の領域とどれほど離れた国であろうと人類は魔族の脅威と無縁ではいられない極悪魔法だが、当然欠点はある。要求される技量とスペックが非常に高く念入りな準備が必要で消費も激しいのである。

 

 準備が必要なので敵地で急遽発動とかはできないし、戦闘で短距離ワープなんてもってのほか。特に消費は魔神の俺ですら一日に十人往復させたらその日の戦闘はちょっと怪しいレベルなので、魔族の急襲は使い手が安全地帯に籠もってごく少数の精鋭を送り込む形で行われる。カトルが命懸けで追い払ったのもそれだ。

 

 さて、だ。

 

「カトルちゃん、育ちは教会やろ? ほんまの親は憶えてはるん?」

「いえ、残念ながら……ですが、あまりそれを苦に思ったことはありません。私には家族が……っ……」

「……あら、ごめんなぁ。辛いこと思い出させてもうたわ」

 

 消費が激しいとかって言えば、コイツ帰ってくれないかなぁ。帰ってくれないよなぁ……。

 というか、何カトルのトラウマ穿ってんだおめぇ。思ってないだろごめんなぁとか。……そういう内心のツッコミどころはともかく、ヤキメは表面上素直に謝るし、カトルもそれを誠実に受け取るものだから、話を聞いているかんじだと二人は割と和やかに会話をしていた。後でちゃんとカトルにヤキメを信用するなって念押ししておく必要があるかもしれない。

 

「……うん?」

 

 不意に、ヤキメが立ち止まる。どことなく纏う雰囲気が変わり、その視線はカトルから外れて、明後日の方向、何もない森の奥を向いていた。

 

「ヤキメ様? どうかされましたか?」

「いやね、ただ……ええ匂いがするなぁ」

 

 ヤキメが邪悪な笑みを浮かべる。とりあえず、ロクでもない事態なのは分かった。ヤキメは表面上の俺(スティーア)とちょっとキャラ被ってるところがあるが、俺と違ってこいつは愉しいと感じればそれで良い魔神だ。つまり、こいつが殺しや悲劇を愉しんでいるのは冠や目的とは関係のないヤキメ自身の気質と嗜好の問題である。今からでも冠と目的を取り換えて欲しい。そしたら俺は毎日ギャンブルでもして楽しみながら無害に過ごすから……。

 

「匂い、ですか?」

「ヤキメ。何か分かったなら、具体的に言ってくれるかな」

「スティーアはん分からへんの? まだまだやなぁ」

 

 うっせぇなマジで……勘とかそういうのでウルトラBBAに敵うわけないだろ! なんていう苛立ちは、ヤキメの次の言葉で吹き飛んでしまった。

 

「ここから先。森を抜けて更に進んだ向こう。魔族に村が襲われとるわぁ」

「っ……!」

 

 瞬間的に視線をカトルの方へ向けると、その瞳が見開かれていた。その顔には、どうにも一言では言い表せない複雑な感情が渦巻いているのが見て取れる。当然だ。

 

 客観的に見て、これはカトルのせいだ。教会が聖騎士を施設の防衛に回したから、あるいは俺たちが聖騎士の戦う力を奪っているから、こうしてこの国は魔族に対抗する力を失い、今も罪のない人々が死んでいるかもしれないのだから。カトルが責任を感じるのは、無理もない話だ。

 

「スティーア様っ!」

 

 聖騎士の犠牲をなくす。その為に、こういうことが起きることは分かっていたはずだ。だが、その覚悟はできていても、それは今この場で事態を見過ごすことを意味しない。カトルなら、責任をとりたがる。

 

「いいよ、行こうか」

 

 カトルの望みは、叶えてあげたい。それが最低限の礼儀だと思っているから。ここで、以前のように人々のために戦うことを止める理由はない。のだが。

 

「……でも、キミまでついてくる必要はないと思うけど」

「嫌やわぁ。スティーアはんとうちの仲やのに? そないな水臭いこと言わはるなんて傷つくわぁ」

「ヤキメ様……! 心強いです……!」

 

 コイツ……! 全然心強くないぞカトル! 割と簡単に裏切るタイプだし! ほんとにまだついてくんのか!? 頼む! 帰ってくれぇ……!

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