スペシャルウィーク。彼女は北海道から来たウマ娘である。当初は結果こそ出せなかったが、ひたむきで一生懸命な姿は人々を魅了し、遂に大舞台で勝利する程になった。
様々な強敵との戦いから、日本総大将と呼ばれるまでに成長を遂げ、寧ろレースを愛する者であれば、彼女の事を知らない者はいない所まで来ていた。
だが、それ故に今、彼女が所属しているトレセン学園ではある問題が起きていた。
そう、彼女が魅力的すぎるが故にトレセン学園のウマ娘達が彼女に対する思いが強すぎるようになってしまったのだ。強すぎるが故に争いが絶えず、遂にスぺのトレーナーをしていた任座という男は疲労困憊し、代役を立てれないか考えた。
その結果、1人の少年が選ばれた。その男こそが…。
「へ?」
一丈字飛鳥。ダシマ劇場ではお馴染みの少年である。今回はスペシャルウィークが愛され過ぎている世界で奮闘する一丈字飛鳥が、スペシャルウィークとコンビを組むというもしものお話…。
飛鳥「えー…。全20話の予定だそうですので、もし宜しければ」
**************************************
「あーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」
「なんだうるせェな」
ここはトレセン学園にあるトレーナー室。トレーナーである一丈字飛鳥はチャーハンを食べていたが、いきなりやってきた担当ウマ娘であるスペシャルウィークがその姿を見るなり叫んでいた。
スペシャルウィーク「トレーナーさん! お料理されてたんですか!?」
飛鳥「ああ。だって腹減ったんだもん」
飛鳥のトレーナー室には何故かキッチンが完備されており、料理が出来る飛鳥は時折材料を持ってきては調理しているのだ。
スペシャルウィーク「ち、ちなみに私の分は…?」
飛鳥「レース前だろ」
スペシャルウィーク「私の分も残しといてくださいよぉ~~~~~~!!!」
スペシャルウィークは飛鳥の手料理が大好物なのだが、あまりにも美味すぎてたくさん食べてしまい、激太りしてしまう為、滅多に作らないのだ…。
飛鳥「レースに勝ったらな」
スペシャルウィーク「うう…またレースですかぁ…」
飛鳥の言葉にスぺは涙目で不満そうにしていた。というのも、今回が初めてではないからだ。
飛鳥「そりゃあお前。オレとお前の関係はレースで勝利させてこそだ。任座トレーナーから任されてる立場なんだぜ。こっちは」
スペシャルウィーク「うう…」
任座。スぺのトレーナーをしていた老人で、典型的な老人タイプの師匠のような男性だ。トレーナーとしての腕は本物でスペをトップウマ娘に仕立て上げた立役者なのだが、最近悪質なファン(通称:ヤラカシ)によって疲労困憊してしまい、休業する事となったのだ。そして知り合いの紹介で、飛鳥が派遣されてきたのだ。
飛鳥「それに約束はちゃんと守ってるだろ?」
スペシャルウィーク「はぁい…」
とまあ、そんなこんなでスぺはレース当日まで、必死の思いでトレーニングをしていた。
飛鳥(…そこまで必死にやるもんかね)
自分の手料理を褒めてくれるのは嬉しいが、そこまで手は込んでないのでどうしてスぺがそこまで自分の手料理を気に入ってくれてるのか正直分からない飛鳥であった。
そんなこんなでレース当日
「スペシャルウィーク! またしても勝利をつかみました~!!!」
『任座トレーナーが休業中だというのに、衰えを知りませんね』
スペシャルウィークは勝利した。2着と結構差をつけて勝利していて、観戦していた飛鳥は辟易していた。
飛鳥(なんなんだろうな…オレの料理って…)
そんなこんなでインタビューやウイニングライブが終わり、スぺはご満悦になりながら飛鳥と合流した。
スペシャルウィーク「トレーナーさん! 約束ですよ♪」
飛鳥「ああ。約束は約束だ。何が食べたい?」
スペシャルウィーク「チャーハンです♪」
飛鳥「やっぱりか…。いいだろう」
そう言って飛鳥はスぺと共に帰路に就く。本来なら高級レストランやらビュッフェなどがあるのだが、スぺは飛鳥の手料理を選んでいた。
飛鳥(…ホームシック。なんて事はないよな)
誰かの手料理を望んでいるという事は、寂しいのではないかと飛鳥は思ったが、もしそうなら普通に態度で示す筈なので、普通に料理する事にした。
トレセン学園に戻り、トレーナー室で飛鳥はチャーハンを作っていた。顔はいたって真剣で、中華鍋で豪快に炒めていた。そしてそんな飛鳥をスぺはじーっと見つめていた。
そして出来上がり、お玉でチャーハンをすくい、盛り付けた。
飛鳥「ほらよ」
スペシャルウィーク「ありがとうございますぅ~!!!」
飛鳥がスぺにチャーハンを盛り付けた皿を渡すと、自分のもよそった。そして一緒に作ったスープも持ってくると、そのまま2人で食事した。
スペシャルウィーク「いただきます!」
飛鳥「頂きます」
そして2人で食事を始めると、飛鳥はスぺを見つめた。
飛鳥「ちゃんと火ィ通ってるか?」
スペシャルウィーク「おいし~~~~~~!!!!!!」
スぺが目をしいたけにしてとっても美味しそうにすると、飛鳥は辟易していた。そんなに美味いか…と言わんばかりに。
飛鳥「…まあ、問題なさそうだな」
スペシャルウィーク「はい! やっぱりトレーナーさんの手料理は最高ですぅ~~!!」
飛鳥「そりゃあ良かったぜ」
飛鳥が不思議そうにスぺを見つめると、スぺは飛鳥を見返した。
スペシャルウィーク「…どうしたんですか?」
飛鳥「いや、そんなにオレの手料理がいいもんかね…」
スペシャルウィーク「はい! とっても美味しいです! それに…」
スぺがモジモジしていた。
スペシャルウィーク「…なんか、こうやって2人で食事をするの、お母ちゃんと暮らしてた時のようで、安心するんです」
飛鳥「……」
…やはりホームシックな所もあったのか。飛鳥はそう思った。
飛鳥「そうか…」
スペシャルウィーク「あ、でも! 寂しいとかじゃないですよ! トレーナーさんやみんなもいますから!」
飛鳥「まあ、無理はするなよ」
スペシャルウィーク「はい!」
飛鳥の気遣いにスぺが笑顔で返事したその時だった。
「…なんかすごくいい匂いがするデース!」
「もしかして…」
という声がして、飛鳥はまさかと眉間にしわをよせたその時、扉が開かれて、悲鳴を上げられる。
「あーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」
飛鳥「ノックくらいしろ」
スぺの同期であるエルコンドルパサー、グラスワンダー、セイウンスカイ、キングヘイロー、ツルマルツヨシの5人が現れ、エルコンドルパサー(通称:エル)が悲鳴を上げたが、飛鳥は冷静にツッコミを入れた。
エルコンドルパサー「一丈字トレーナー! またスペちゃんにご馳走を振る舞ったデース!?」
セイウンスカイ「完全に胃袋掴まれてるね…」
と、飛鳥に対して嫉妬しており、飛鳥は困り顔だった。
飛鳥「スペ本人のリクエストだ。文句は言わせねェぜ」
グラスワンダー「それでしたら一声かけてくださっても…」
飛鳥「…他の人達が来るのはお前も分かってるだろ」
スペシャルウィーク「他の皆も呼んであげたいけど…取り分が…」
そう、前にもこんな事があって、スぺとしては他の皆も呼んであげたかったのだが、飛鳥の負担が尋常じゃないし、何よりも自分の取り分が減ってしまうので、呼べなかったのだ…。
ツルマルツヨシ「私達も何か持ってきたのに!!」
スペシャルウィーク「それは嬉しいんだけど…」
キングヘイロー「全くもう…。とにかく邪魔するわよ!」
飛鳥「邪魔すんねやったから帰って」
キングヘイロー「はーい…って、何やらせるのよー!!!!」
飛鳥「…意外とノリいいね」
とまあ、そんなこんなで飛鳥とスぺの珍道ライフ、始まります…。
つづく