スぺちゃんと一丈字トレーナー   作:ダシマ

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第2話「兵庫:豚まん」

 

 トレセン学園の1年生。シュヴァルグランはスペシャルウィークに憧れていた(学年はダシマ劇場独自である)。

 

 陽キャかつとてつもない才能を持つ姉と妹に挟まれ、劣等感を抱いているシュヴァルグラン。しかし、彼女もまた大きな舞台で輝きたいという願望を持っていた。

 

 そんな中、北海道から来て最初こそ結果が出せなかったものの、数多くの戦いを繰り広げて、日本総大将と呼ばれるまでに上り詰めた彼女の姿に心打たれた。

 

 彼女もスぺのようになりたいと考えていたのだが、本人に近づこうとするとライバルが多すぎてどうにもならなかった上に、なんと姉と妹も彼女に対して好意を抱いていた。

 

シュヴァルグラン(何とかして近づけないかな…)

 

 

 

 そんなある日の事。

 

「ちょっとトレーナーさーん!!!!」

 

 シュヴァルが飛鳥のトレーナー室の前を通ると、スぺが何やら騒いでいた。何事かと思い、のぞき込んでみると、スぺと飛鳥が揉めていた。というか、スぺが一方的に飛鳥に怒っていたが…。

 

飛鳥「今日グラス達と出かけるんじゃなかったのか?」

スペシャルウィーク「それが今日中止になっちゃって…」

飛鳥「じゃあオレ悪くないじゃん」

スペシャルウィーク「いや、そうなんですけどぉ!!」

 

 飛鳥は悪びれた様子もなく、ピザまんらしき饅頭をほおばりながらスペに話しかけていたが、飛鳥の後ろには調理されたであろうせいろがあり、シュヴァルは飛鳥が作ったのだと気づいた。

 

シュヴァルグラン(い、一丈字トレーナー…料理するって聞いたけど、に、匂いからして絶対に美味しいんだろうな…)

 

 自身の好物である肉まんも間違いなく作っていたんだろうなと思い、シュヴァルはよだれを垂らした。

 

スペシャルウィーク「それで…余っていないんですか?」

飛鳥「丁度これで最後だ」

スペシャルウィーク「ンナアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーッ!!!」

 

 飛鳥の言葉にスぺは涙目で叫んだ。シュヴァルはそんなスペも可愛いと思っていたが、飛鳥の中華まんは冗談抜きで食べてみたいと思った。

 

飛鳥「コンビニでもあるだろう」

スペシャルウィーク「どうしてレースしたりしないと食べられないんですか~!!」

飛鳥「いやあ…普通に食べさせたら面白くないし、食べ過ぎて激太りするだろう」

 

 飛鳥が冷静にそう言うも、スぺはまだ納得できなさそうにしていた。

 

飛鳥「それはそうと…。何か用か? シュヴァルグラン」

スペシャルウィーク「え!?」

 

 飛鳥がシュヴァルの存在に気づくと、スぺが驚いたがシュヴァルも気づかれると思っていなかったのか、その場から逃げ出そうとしたが、上手く行けば何とかなるかもしれないと思い、その場に思いとどまり、姿を現すことにした。

 

シュヴァルグラン「す、すみません…。肉まんのいい匂いがして…」

スペシャルウィーク「ほら! シュヴァルさんも食べたいって言ってるじゃないですか!」

 

 いや、言ってはないんだけど…と、思いながらもシュヴァルはスぺの意見に乗る事にした。すると飛鳥は…。

 

飛鳥「…そうだな。そういやスぺ、今度テストがあったそうだな」

スペシャルウィーク「ま、まさか…」

飛鳥「そのまさかだ。そのテストで60点以上取れたら、作ってやろう」

スペシャルウィーク「ま、また…」

飛鳥「本当は80取れって言う所だ。これでもサービスしてやってんだぜ」

 

 飛鳥がそう言うと、確かにスぺは思った。80点に比べたら60点は滅茶苦茶優しい方だと…。困惑するシュヴァルをよそにスぺは意を決した。

 

スペシャルウィーク「絶対ですからね!!」

飛鳥「オレが約束を破ったことは殆どないだろう」

 

 いや、あるんかい。シュヴァルグランはそう思った。

 

スペシャルウィーク「絶対ですからね!!? 絶対ですからね!!? 破ったら襲われたーって皆に言いますからね!?」

飛鳥「その時はオレがお母ちゃんに通報だ」

スペシャルウィーク「トレーナーさんのイジワルー!!!!」

 

 とまあ、そんなこんなでスぺはテスト勉強をする事になった訳だが、急にテスト勉強しだしたので同室のサイレンススズカが何事かと思い、理由を聞いた。

 

*****************

 

 そんなこんなで数日後、

 

飛鳥「…63点か」

スペシャルウィーク「ト、トレーナーさん…。や、約束ですよ…」

飛鳥「何でそんなに死にかけてんだ」

 

 トレーナー室にて結果を確認していたが、スぺがもうクタクタになっていた。シュヴァルだけではなく、スズカもいた。

 

サイレンススズカ「…その、スぺちゃんがどうしても肉まんが食べたいとかで」

飛鳥「マジかよ…」

スペシャルウィーク「ト、トレーナーさん…約束ですからね…」

飛鳥「いいだろう。まあ、本当はもうちょっと行くと思ってたんだがね…何かリクエストはある?」

スペシャルウィーク「と、とにかくたくさん…」

飛鳥「シュヴァルは?」

シュヴァルグラン「ぼ、僕は肉まん…」

飛鳥「豚まん?」

シュヴァルグラン「あ、はい。豚まんです…」

飛鳥「…で、折角だからスズカ。お前もなんか食べてくか?」

サイレンススズカ「特にリクエストはないわ」

飛鳥「OK。じゃあちょっと時間かかるから、その間宿題でもしててくれ」

 

 そう言って飛鳥が調理し始めると、シュヴァルやスズカは不思議そうに飛鳥を見つめていたが、飛鳥は手際よく調理し始めた。

 

飛鳥「…そんなに珍しいか?」

サイレンススズカ「ほ、本当に手作りなのね…」

飛鳥「まあな。でも慣れればもうすぐだ」

 

 飛鳥が会話しながら饅頭を作っていくと、シュヴァルがある事に気づいた。

 

シュヴァルグラン「あのう…」

飛鳥「ん?」

シュヴァルグラン「…そういえばさっき、豚まんって言ってましたけど…トレーナーさんって…」

飛鳥「ああ。関西の人間だよ。大阪」

 

 飛鳥がそう言うと、シュヴァルが驚いた。

 

スペシャルウィーク「豚まんと肉まんってどう違うんですか?」

飛鳥「呼び方が違うだけさ。関西で肉つったら牛肉をイメージするから、豚まんつってんの」

 

 飛鳥の言葉にスズカはためになったと言わんばかりに、感嘆していた。

 

飛鳥「あ、そういやシュヴァル。お前豚まん好きなんだっけ」

シュヴァルグラン「は、はい…。551美味しいですよね…」

飛鳥「551も美味いけど、老祥記って店知ってるか?」

シュヴァルグラン「知ってます!」

 

 飛鳥の言葉にシュヴァルが目を輝かせると、スぺとスズカが不思議そうにしていた。

 

スペシャルウィーク「老祥記?」

飛鳥「兵庫県にあって、豚まん発祥の店って言われてるんだ」

シュヴァルグラン「中華街にあるんですよ」

スペシャルウィーク「そうなんですか…」

飛鳥「小籠包なみのサイズなんだけど、肉がぎっしり入ってんの」

スペシャルウィーク「…それは是非食べてみたいですね」

 

 飛鳥の言葉にスぺは思わずよだれがでていて、スズカが苦笑いしていた。

 

飛鳥「あとは肉まんの生地がめっちゃ柔らかい四興楼や、玉ねぎの甘さが特徴の三宮一貫楼があるんだけど、知ってる?」

シュヴァルグラン「知ってます!!」

 

 とまあ、思った他意気投合し始める飛鳥とシュヴァルだったが、喋ってるうちに完成した。

 

サイレンススズカ「ウソでしょ!!?」

飛鳥「ウソじゃないんだなこれが。豚まんとピザまん、カレーまん、ショコラまんを2個ずつ作ったから食べてみてくれ!」

 

 なんと言う事だろう。この短時間で32個も作ったのだ…。

 

飛鳥「ちなみにあんまんはこしあんと粒あんで揉めるし、リクエストになかったので取りやめました」

サイレンススズカ「お、お疲れ様…」

スペシャルウィーク「それじゃ食べましょう!!」

「いただきまーす!!!」

 

 とまあ、そんなこんなでちょっと遅めのティータイムとなりましたとさ。

 

スペシャルウィーク「おいし~~~~~~~~~~~~!!!!」

 

 スぺが目をシイタケにして肉まんをほおばると、スズカとシュヴァルがときめいていた。

 

シュヴァルグラン(ああ、やっぱりこの笑顔だよ…)

サイレンススズカ(同室で良かった…)

 

 2人の心情を察した飛鳥は何とも言えない感じで紅茶を飲んでいた。

 

 で、シュヴァル達も肉まんを食べた。

 

シュヴァルグラン(め、滅茶苦茶美味しい…!!!)

サイレンススズカ(道理でテスト勉強頑張る筈だわ…!!)

 

 飛鳥の腕の高さにシュヴァルとスズカは衝撃を隠せなかったと同時に、最大のライバルは間違いなくこいつだと思っていた。

 

飛鳥「どうした? 美味すぎて言葉が出ねェか?」

サイレンススズカ「そ、そうね…!」

飛鳥「そうなのかよ」

スペシャルウィーク「もうすぐになくなっちゃいました!!」

飛鳥「…そうか」

 

 飛鳥はもうこれ以上は何もいうめぇ…と思った。

 

 で、この後バレました。

 

ヴィブロス「聞いたよ! シュヴァちとセレブみたいな事してたって!!」

飛鳥「セレブみたいなことはしてないね」

ヴィルシーナ「その…妹がお世話になったので、今度スペシャルウィークさんとご一緒に…」

 

 

つづく

 

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