第5話
ある日の事だった。
「…え、本当にいいのか?」
「あ、はい…」
ここは飛鳥のトレーナー室。飛鳥の元にトレーナー仲間である風見天智とその担当ウマ娘であるハルウララがやってきたのだが、天智が『三輪そうめん』の木箱、ウララが野菜の詰め合わせを持ってきた。おすそわけである。
天智「商店街の方々のお手伝いをしていて、頂いたものなのですが量が多いのでおすそ分けさせて頂けるとありがたいのですが…」
飛鳥「…三輪そうめんって結構高いだろ」
三輪そうめんとは奈良で作られている特産品である。麺が細くコシが強いのが特徴である。
天智「ええ…日本三大そうめんの一つと言われてますからね」
ハルウララ「そんなにおいしいおそうめんなんだ」
天智「そうですよ。では、僕たちはこれで失礼します…」
飛鳥「ありがとな」
「あれ? トレーナーさん!」
スペシャルウィークがやってきた。
天智「あ、スペシャルウィークさん…」
ハルウララ「スペちゃん!」
スペシャルウィーク「あ、ウララさんに風見トレーナー! こんにちは!」
天智「こ、こんにちは…」
スペシャルウィークが元気よく挨拶すると、天智は苦笑いしながら挨拶する。オレンジ色のセミロングで筋肉質な体型だが、とっても大人しく謙虚な好青年であり、担当ウマ娘であるハルウララと仲良しの商店街の面々の手伝いも良くしている。ちなみに凄く可愛がられている。
スペシャルウィーク「どうしたんですか?」
飛鳥「スペ。天智とウララからおすそ分けして貰ったぞ。三輪そうめんと野菜」
スペシャルウィーク「ホントですか!? ありがとうございます!」
天智「い、いえ…」
ハルウララ「美味しいからたくさん食べてね!!」
その時だった。
「ここにいたのね。トレーナー」
天智「キ、キングさん!」
ハルウララ「キングちゃん!」
スペシャルウィークの同期であるキングヘイローが現れた。
スペシャルウィーク「キングちゃん!」
キングヘイロー「ごきげんよう。所で何をしていたのかしら?」
天智「そうめんと野菜を貰いすぎてしまったので、一丈字さんとスペシャルウィークさんにおすそ分けしていた所です…」
キングの問いに天智が苦笑いすると、
キングヘイロー「どうしてキングも呼んでくれなかったのよ!」
天智「いえ、キングさんの手を煩わせるまでもなかったので…」
飛鳥「キング。あまり困らせるな」
キングの言葉に天智は遠慮がちに釈明したが、飛鳥はきっぱりと諫める。真逆な2人である。
キングヘイロー「ま、まあいいわ。で、この後皆で食事会をするのよね?」
飛鳥「ううん。もうこれで終わりだよ」
天智「そ、そうですね…」
キングがちょっと図々しいので飛鳥と天智は切り上げようとしていたが、スぺも食べないのか…? と、言わんばかりに飛鳥を見てきた。
飛鳥「え? キングが図々しいから」
キングヘイロー「ハッキリ言うんじゃないわよ!!」
天智「キングさん。ここはいったん引きましょう。焦っても良い結果は出ませんよ」
キングヘイロー「ぐ…!」
飛鳥の性格はキングも分かっていたので、確かに天智の言う通りごねると余計に状況が悪くなるどころか、当てつけとしてエル達にチャンスを与える可能性があった。それは何としても避けないと考えたキングは天智の言う通りにした。
キングヘイロー「わ、分かったわよ…」
ハルウララ「あ、そうだスペちゃん!」
スペシャルウィーク「何ですか?」
ハルウララ「今度また『れんしゅうじあい』しようね!」
ウララがそう言うと天智がぎょっとした。
キングヘイロー「いいアイデアね! いつが空いてるかしら?」
飛鳥「まあ、今はレースの予定もないしな…。スぺはどうする?」
スペシャルウィーク「私はいつでもいいですけど…」
そうめんを食べたそうにしているスペに飛鳥はちょっと呆れた。
飛鳥「…天智、いつ頃が空いてる?」
天智「え、僕たちもいつでも構いませんが」
飛鳥「じゃあ今から練習試合するか。で、終わったらそうめんを食べよう」
スペシャルウィーク「そうしましょう!!」
ハルウララ「おそうめん食べるの!?」
飛鳥「練習試合が終わってからな」
ハルウララ「わーい!!」
こうして練習試合と食事会を取り付けた飛鳥達。
そしてすぐさま練習試合が始まった訳だが、試合はスぺの勝利で終わった。
天智「御見それ致しました…」
飛鳥「いやあ、ライスのスタミナと粘り強さにはやられそうになったよ」
キングヘイロー「キングはどうかしら?」
飛鳥「普通」
キングヘイロー「普通って何よ!!」
「まあまあ…」
と、キングの取り巻きがキングを諫めていた。天智の担当ウマ娘はハルウララ、ライスシャワー、キングヘイロー、カワカミプリンセス、キングの取り巻き2人の合計6人だった。
飛鳥「さて、練習試合が終わった後はお楽しみの食事会って所だな」
「イエーイ!!」
こうして食事会が行われることとなった。料理に関しては飛鳥と天智、天智の彼女である隅田川琴美がメインで行う事になり、そうめんだけではなく、天ぷらや柿の葉寿司なども作られた。
取り巻きA「柿の葉寿司も作ったの!?」
飛鳥「まあ、折角だから奈良で統一しようかなって」
取り巻きB「…噂には聞いてたけど、一丈字トレーナーすごっ…!」
飛鳥の技術力に取り巻き2人は絶句していて、キングは悔しがっていた。
そして全ての料理が出そろって、飛鳥のトレーナー室で食事会が行われる。ちなみにスペの隣はキングだった。
飛鳥「それじゃ、この世の全ての食材に感謝して…頂きます」
「頂きまーす」
と、食事が始まった。スぺは早速そうめんを食べた…。
スペシャルウィーク「おいし~~~~~~~~~~!!!!!」
そうめんをつゆに浸して食べたのだが、そうめんののど越しはとても心地よく、つゆとの相性もバッチリだった。
取り巻きA「ホントだ! とっても美味しい!」
取り巻きB「いくらでも行ける~!!」
と、ウマ娘達はご満悦だった。
飛鳥「天ぷらも美味いぜ」
天智「あ、良かったです…」
琴美「柿の葉寿司も美味しいですよ」
飛鳥「ああ、そいつは良かった」
とまあ、和気藹々としたまま食事会は幕を閉じたのだが、この後寮でキングが自慢しまくったのが原因でまたトラブルになったのは言うまでもない…。
つづく