エクシリア 転生者のいる世界   作:暁の魔

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第八話 新たな仲間

 

 

ガイアスたちと別れ、高台からニ・アケリアの入口付近にいる二人の所まで歩く。

アルヴィンはいないが、あんな所で何をしてるんだ? やっぱり俺を待ってるのか?

 

「ジュードにミラ嬢、んなとこで何やってんだ?」

 

「あ、ゼニス。よかった。丁度ゼニスを捜してたんだよ」

 

「俺を? 何で?」

 

「ジュードが私と一緒に来ると言っていてな。それで、君はどうするのかと聞いておきたかったのだ。私個人としては、君は戦力になるから共に来てほしい」

 

ああ、だから俺を待っていた、もとい捜していたわけか。

 

「そうなのか? だけど後悔するんじゃないのか、ジュード?」

 

「アルヴィンにもそう言われたけど、決めたんだ。ミラの手伝いをするって」

 

「なるほどな……わかった、俺も一緒に行く。旅は道連れ世は情け、だ」

 

「そうか。なら、よろしく頼む。ゼニス」

 

「ああ、こちらこそよろしく、ミラ嬢。それにジュードもな」

 

ガイアスに頼まれての監視という目的もあるから申し訳ないが、俺の本音としてもこの二人と旅をしてみたい。そんな気持ちがある。

 

まずは村を出ないと何も始まらないので、ニア・ケリアから出発。キジル海漠へ行く途中に、さりげなく大精霊はどうなったのかを聞いた。あの時何が起きたのか知ってはいるが、本来なら俺は知らないはずだからな。そして返ってきた答だが、『精霊の召喚は出来なかった』だ。

ミラとジュードがイル・ファンの研究所で見た、”クルスニクの槍”に捕らわれているのでは、というのがジュードの考えだそうだ。

 

「それで、これからどうする予定なんだ? イル・ファンへ船で行くのは流石に無理だ。山脈越えもたぶん無理だから、ア・ジュール陸路というのも無しだ」

 

そしてキジル海漠に着いたので、これからの事を聞いておく。イル・ファンの海停へと直接行くのは、あまりにも無謀なので釘を刺しておく。

 

「それなのだが、私もそのことを考えていた。ゼニス、他に道はないか?」

 

ミラがそう聞いてきて、俺は少し考える。そして言おうとしたところで、誰かが同じことを言った。

 

「それなら、サマンガン海停からカラハ・シャール方面に行けばいいんじゃないか?」

 

「アルヴィン!?」

 

そう、アルヴィンだ。見た所、キジル海漠まで一人で来たようだ。

 

「これはこれは。どうしたんだアルヴィン、次の依頼か?」

 

「その通りさ。あのイバルとかいう巫子殿に頼まれてね」

 

「そうか。ゼニスだけではなくアルヴィンもか。心強いよ」

 

「……いやあのさ、ミラ嬢。感動しているところに悪いんだけどさ、イバルって誰よ? それに巫子って?」

 

俺は知識として彼を知ってるが、面識はない。あの時いなかったわけだし。

だから不自然に思われないように、それとなく聞いてみる。案の定、ジュードがすぐに教えてくれた。ほんっとに良い奴だよな、お前。

 

「それじゃ、まずはハ・ミルでいいかな、ミラ嬢?」

 

「ああ、そうだな。そこでラ・シュガル軍の動向も探るとしよう」

 

ジュードもそれに異議は無いようなので、方針が決まった。ここに来た時と変わらない道を逆行し、大した苦労もなくハ・ミルに到着。

今回は俺もちゃんと戦闘に加わったので、着くのは前より早かったと思う。

 

「まったく。そんなに強いなら、もっと早くから戦ってくれればよかったのに」

 

「あんな雑魚だと、どうにも戦う気が起きないんだよ。それによっぽどの事がない限り、やる気も出なくてな……ん?」

 

話しながら歩いていると、何やらおかしな光景が見えた。何人もの村人が、石を何かに向かって投げている。

だがよく見てみると、それは『何か』ではなく、人だ。それもかなり幼い。

 

「出て行けよ、おら!」

 

「疫病神! あんたなんかいるからっ!」

 

小さな子供に対して言うには酷すぎる様々な罵倒を、石と共に投げつける村人たち。

それは、あまりにも酷い光景だ。

よく見ると石や罵倒を受けている少女は、以前ハ・ミルを出る際に、お世話になった子だった。空中には印象に残りやすいぬいぐるみもいたので、すぐに分かった。

そのぬいぐるみが止めてと叫ぶが、それでも止まることはない。

 

「はぁ」

 

俺は思わず溜息を吐く。それを見た途端、誰よりも早くジュードが駆け出し、石を投げていた一人の腕を掴んだからだ。あいつらしい。

 

「お前たちのせいで……こっちは散々な目じゃ!」

 

目線を直せば、ジュードたちのもとへ村長が詰め寄っていた。ミラとアルヴィンは俺が溜息をしている間に、前へ出ていた。

にしてもあの婆さん、対応が違い過ぎる。話を聞くと、ラ・シュガル兵に何かされたらしい。怪我をしている村人が数人、地面に座って手当をしている。ミラたちを追っていた兵士だろう。

 

「よそ者に関わるとロクなことにならん! すぐに出て行け!」

 

というのも村長の言葉。そう言い切ってから、こちらが何か言う前にどこかへ行ってしまった。まあ家だと思うが。

 

例の少女も、恐らく家があるだろう方向へ走り出した。

 

「取り敢えず、俺は怪我人の応急処置をしようと思うが……身体だけじゃなく、心を助けるのも医者の仕事だと思うよ、医学生?」

 

少しソワソワしているジュードに、俺はそう話しかける。

 

「では私たちは村の者から、ラ・シュガル軍の動向を聞くとしよう。長く留まるつもりはない。それを忘れるな」

 

「うん。わかってる。ありがとう、2人とも」

 

その言葉で、俺は地面で休んでるのか倒れてるのか分からない人たちの所へ。ジュードは少女が向かった方へ。ミラは村長の家へ行き、アルヴィンはミラについて行った。

 

手当をしながら話を聞くと、前々からこの村には何故かラ・シュガル兵いた。そしてそれは、先程まで攻撃されていた少女が村にいるせいらしい。だからよその者を追い出そうとするのだとか。

そしてここにいた兵士は、あのジャオが追っ払った。そしてあの少女はジャオが連れてきた子で、それ以来不幸なことが起きる。だから迫害された、と。

……こういうの格好悪いとは思うけど、辺境の小さな村としてはしょうがないのかね?

 

 

 

その数分後、俺は村の外にいた。つまりはイラート街道にいる。ミラたちには、道中の魔物を先に倒しておくと言ってある。実際にその通りだし、裏で何か考えている、なんてこともない。ただジュードがこれからあの少女をどうするのか、原作を思い出さずとも、性格からしてどうなるのかが分かりきっているからだ。

 

それにしても……

 

「魔物の数、多すぎだろ!」

 

昔一度だけ見た戦争ではもっと多くの人間の群れだったが、それはそれ、これはこれ。

どうせ皆が来ても戦わされる訳だから、見える分だけは倒しておく。

 

「――――――」

 

精霊術を詠唱しながら、地形が変化しないように威力と位置を定めるが、これが難しい。俺はマナのコントロールが良い訳じゃないから、慎重に調整して……放つ。

 

「―――!」

 

普段なら絶対に使わないが、誰も見ていないから容赦なく使う闇属性の上級精霊術。

ちょぉぉぉぉぉっとだけ調整に失敗して、魔物どころか樹木が何本か消えたが……これくらいなら誰かにばれる心配もないだろう。

 

「ゼニス! 巨大なマナを感じたが一体なんだ!?」

 

前言撤回。木ではなく術のせいでマクスウェル嬢にばれました。

 

「ゼニス、どうかしたの?」

 

「あー、んー、魔物が結構いたから、精霊術ぶっ放しただけだよ」

 

ジュードの言葉にそう返すと、驚きの表情になるミラ。

 

「あれだけのマナを、君が?」

 

「マナの量なら自信があるんでね。ま、今のですっからかんだけど」

 

そう言うと、ミラが何かを考えるような素振りを見せる。

 

「……ふむ。どうやら私は、想像以上に心強い護衛を得たようだ。改めて、これからもよろしくたのむ。エリーゼのことでジュードを煽ったことを前払いとして、これからは本気を出してほしい。いいな? 元傭兵」

 

「そうなると面倒だから実力隠してたのに、本末転倒だ……というかエリーゼって?」

 

予想は簡単だが、恒例の知らない振り。

そして俺の前に出てくる、ぬいぐるみを持った女の子。

 

「あ、エリーゼ、です」

 

「僕はティポだよー! よろしくねー!」

 

「ああ、聞いたかもしれないが、ゼニスだ。よろしく」

 

「えっと……よろしく、お願いします」

 

「わーい! また友達が増えたー!」

 

先程ジュードが追った女の子、エリーゼ。本名はエリーゼ・ルタス。ジュードが護るという条件で、ミラはエリーゼを連れて行く許可を出した。

やはりジュードが連れて行きたがったらしい。

 

「ティポのこと、驚かないんだね」

 

「いや驚いたけどさ、マクスウェルを見た後じゃ、そこまで驚きはしないな」

 

「ああ、成程……」

 

おっと、ジュードとの会話で思い出した。

 

「つーかミラ嬢、エリーゼのことでジュードを煽ったって、そっちも許可出す的なこと言ってなかった?」

 

「だが、最初に言ったのは君だ。違うか?」

 

「はい、そうです。すみません」

 

「論破されんの早いなオイ」

 

うるせぇぞアルヴィン。だって正論なんだもの。しかも責めるような言い方じゃなくて、事実を言っているだけ、という言い方だから反論しにくい。

 

「そんじゃ、行くとしますか。どっかの誰かさんが綺麗に掃除してくれたから、しばらくは楽でいいぜ」

 

「俺は心身共に疲れる羽目になったわけだが」

 

「それは自業自得でしょ」

 

いやまあその通りなんだけどね。ほらあれだよ、俺は一応さ、イル・ファンでは有名になってきた医者な訳よ、医者。命を敬う仕事をしている訳で、そうなると簡単に人の命を奪うというのは……ねぇ?

 

そう言った結果がコレ↓

 

「では人とは戦わなくていい。その代わりに魔物と戦ってくれ」

 

「畏まりました、お嬢」

 

「弱っ!」

 

マクスウェルのくそったれ。そしてアルヴィンうっせぇ。

だがそれなら俺にも考えがある。人間が相手ならマジで戦わないからな? フハハ。

 

「だけど俺だけが戦ってちゃ、お前らが強くならないからな……少しは残すぞ?」

 

「そうだな、そうしてくれ。少しでも力を付けたいのでな」

 

「だったら全部自分で戦うのが一番だと思うんだが……まあ速い方が何より、か」

 

「うむ、そういうことだ」

 

「りょーかい」

 

ちなみにこの会話、アルヴィンの、『そんじゃ、行くとしますか。』からずっと歩きながら続けている。魔物と会わないから、話が途中で止まらない。

戦うよりは話す方がずっと良いが、さっきから言い負けているので、さっさと止めたいのが心情です。

 

「……」

 

ふと気になって後ろを向くと、何かを考えているような仕草をしているジュード。

 

「どうかしたのか?」

 

「え? ううん、ちょっとした考え事」

 

「そんぐらいは見りゃ分かる。悩みなら相談しろよ?」

 

「あはは、ありがとう」

 

「気にすんな。ニ・アケリアで言ったろ? 子供は大人に少しは甘えろって」

 

「あ……うん。考えがまとまりそうだから、そうなったら、もしかしたら相談するかもしれない」

 

「オッケー」

 

う~ん。俺もジュードのこと、お人好しなんて言えないな、これは。

 

「ゼニス。君はジュードのことを、かなり気に掛けているのだな」

 

ふと、ミラに話し掛けられる。

 

「今言った通り、あいつが子供だからってのもあるが……ちょっとした理由があってね」

 

「ん? つまりどういう事だ?」

 

深く聞いてきているわけじゃないが、聞かれてもその理由は話せない。

 

「悪いがその先は秘密だ。依頼者に話すほどでもないし」

 

「ふむ……もしかして、君は同性が好きだという種類の人間か?」

 

「は? ちょっと待て。そんな知識どこから持ってきた。そしてそれの答は違う、だ」

 

「かつてイバルが持っていた本に、そういった内容の物があったのだが……もしそうならば応援するぞ?」

 

「………イィィィィバァァァァァルゥゥゥゥゥ!! それに違うって言っただろ!」

 

見たことはあるが会ったことのない奴の名を叫ぶ、なんて生まれて初めてのことだが、これが叫ばずにいられるか! あいつはそんなものにまで興味があるのか!?

 

「確か本の題名は……『性の趣向』、だったか」

 

「そんな本をマクスウェルが読むな!」

 

「だが人間の事を知るには、書物が一番だろう? 特に性の問題は分かりにくいし、何故か性の事に関しては誰も答えてくれないから本を見るしかない」

 

「ああくそっ! 間違ってるはずなのにその通り過ぎて言い返せない!」

 

 

 

 

 

とりあえず、俺の誤解を解くことには成功した。時間が掛かったが。

そして、一般的な性に関して知る正しい本があるという事を教えることにも成功した。かなり時間が掛かったが。

俺達の話を聞いてかなり引いていたアルヴィンとジュードの誤解を解くことにも、なんとか成功した。一番時間が掛かったが。

 

あとそのストレスで、いくつかの木がストレス発散という名目で伐採された事を、ここに記しておく。

 

 

 

 

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