アヤメとナグサの青春崩壊   作:あばなたらたやた

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三話:勘解由小路ユカリ護衛②

 

 勘解由小路邸の東棟は炎に包まれ、コンクリートの壁が熱でひび割れている。

 黒煙が夜空に立ち上り、爆発の残響が地面を震わせる。魑魅一座――反政府テロリスト集団、総勢10〜18名。

 自動小銃、ショットガン、戦闘用ドローン2機、軽量ロボット3体を確認。

 

 統率された動きで邸内を制圧中。ユカリは西棟の避難室に退避済みだが、敵の索敵が迫る。

 

 アヤメは邸の正面ゲートを突破、百蓮を両手に構える。プラチナブロンドの髪が炎の光に映え、紫瞳が敵の動きを捉える。完璧な笑顔は揺らがないが、睡眠不足の頭痛が脳を締め付ける。

 

 ナグサは隣の屋敷の屋上に登り、スナイパーライフルを構える。白髪が夜風に揺れ、白い肌が炎の光を反射。彼女の瞳は無感情だが、内心では「アヤメの指示」を繰り返す。

 

 インカムにアヤメの声。

 

「ナグサ、敵の配置は?」

 

 ナグサのスコープが庭園を捉える。

 

「1階ロビーに8名、ショットガンと自動小銃。ドローン2機は中庭を巡回。ロボット3体は東棟2階、ユカリの避難室へ向かう。リーダーはロビー中央、ヘッドセット装備。指示を」

「了解。ロボットは私が止める。ナグサ、リーダーとドローンを優先。部下は来るまで5分、援軍なしでいくよ」

 

 アヤメの声は軽いが、指が百蓮を握りしめる。

 

「了解」

 

 ナグサの返答は短い。彼女のスコープがリーダーを捉える。迷彩服、AK-47、無線機。心拍数は90、呼吸は安定。戦闘開始ナグサが先制。

 

 スナイパーライフルの銃口が火を噴き、7.62mm弾がリーダーの右肩を貫く。骨が砕け、血が噴き出す。リーダーが膝をつくが、無線で叫ぶ。

 

「敵襲!  屋上!」

 

 ナグサは即座に2発目、額を撃ち抜く。リーダーが倒れ、統率が乱れる。ドローン2機が屋上へ旋回するが、ナグサはスコープを切り替え、1機のセンサーを1発で破壊。

 

 ドローンが墜落、爆発。残る1機は中庭の木々に衝突、機能停止。彼女の動きは機械的、4秒で3ターゲット無力化。

 同時刻、アヤメは正面玄関を突破。ガラスドアが粉々に砕け、破片が床に散る。ロビーの8名が反応、ショットガンと自動小銃が火を噴く。

 

 弾丸が大理石の柱を削り、火花が散る。

 アヤメは左に滑り、柱の陰に身を隠す。百蓮を構え、敵の射撃リズムを0.2秒で把握。隙を突き、2名を連続射撃。膝と肩に9mm弾が命中、戦闘不能。

 

 彼女の笑顔は揺らがない。

 

「ねえ、降参しない?  楽だよ?」

 

 声は甘く、挑発的。

 敵の1人がショットガンを構え、突進。アヤメは一瞬で距離を詰め、百蓮の銃床で顎を叩く。

 

 骨の砕ける音。敵が昏倒。

 

 残る5名が円形に展開、バリケード代わりのソファを盾に射撃。

 アヤメは床を転がり、カウンターの陰へ。弾丸が大理石を削る中、彼女は2発発射。1名の腕と、もう1名の脚を撃ち抜く。

 

 敵の叫び声がロビーに響く。2階、ロボットとの交戦アヤメは階段を駆け上がる。

 

 東棟2階、廊下は狭く、炎の熱が肌を焼く。ロボット3体――2m級の四脚歩行型、装甲厚さ5cm、腕部に20mm機関砲を装備。ユカリの避難室まで30m。アヤメは百蓮を構え、笑顔のまま突進。

 

「ロボット相手は柄じゃないけど、ユカリちゃんのためにやるよー!」

 

 声は弾むが、瞳は冷たい。ロボット1体が機関砲を撃つ。20mm弾が廊下の壁を貫通、コンクリが粉々に砕ける。アヤメは横に飛び、壁の陰に着地。

 

 百蓮の弾倉をチェック、残り12発。

 彼女はロボットのセンサー位置を記憶、0.4秒の射撃隙に照準。百蓮が火を噴き、9mm弾がロボットの光学センサーを破壊。

 

 ロボットが停止、誤射で壁を撃つ。アヤメは2体目に突進、百蓮を連射。関節部のケーブルを撃ち抜き、2体目が膝をつく。

 

 3体目が接近、腕のブレードを振り上げる。

 アヤメは床を滑り、ブレードの下をくぐる。百蓮を至近距離で発射、3体目の動力部を破壊。火花が散り、ロボットが倒れる。

 

 所要時間、18秒。

 

 ナグサの援護ナグサは屋上から1階ロビーを監視。残る敵3名がアヤメを追うべく階段へ移動。ナグサのスコープが1名を捉え、背中に1発。脊椎が砕け、即死。2名が屋上へ反撃、自動小銃の弾がコンクリを削る。

 

 ナグサは屋上の縁に伏せ、位置を変更。2秒後、スコープが2名目を捉え、首に1発。血が噴き、倒れる。最後の1名がパニックで逃走。

 

 ナグサは冷静に追跡、膝を撃ち抜く。敵が転倒、叫び声が夜に響く。

 

 

「アヤメ、ロビークリア。ユカリの避難室へ急げ」

 

 ナグサの声は無機質。彼女の神経質傾向が、完璧な集中力を生む。

 避難室、防衛目標であるアヤメは避難室の扉に到達した。

 鋼鉄製、厚さ10cm。内部でユカリの呼吸音が聞こえる。敵の増援――4名、自動小銃とグレネード装備――が廊下の反対側から接近。

 ナグサはインカムで報告。

 

「アヤメ、増援4名。グレネード持ち。扉を死守して」

 

 アヤメは扉前に立ち、百蓮を構える。

 

「了解、ナグサ。援護よろしくね」

 

 笑顔は張り付く。敵がグレネードを投擲。アヤメは百蓮でピンを撃ち抜き、空中爆発。衝撃波が髪を揺らし、耳鳴りが響く。

 

 彼女は動じず、百蓮を連射。2名の肩と腕を撃ち抜き、戦闘不能。残る2名が自動小銃を乱射。弾丸が扉を削るが、アヤメは横に滑り、カウンターから2発。

 

 両名とも膝を撃たれ、倒れる。ナグサは屋上から増援の動きを監視。敵の無線を傍受、増援の到着がないことを確認。

 

「アヤメ、敵全滅。ユカリは無事?」

 

 アヤメは扉を叩き、ユカリに応答を求める。

 

「ユカリちゃん、大丈夫? 助けに来たよ!」

 

 声は明るいが、頭痛が限界に近い。ユカリの声が扉越しに聞こえる。

 

「アヤメ先輩、ありがとうございますわ!」

 

 震える声だが、無事。戦後戦場は静寂に包まれる。炎は収まり、煙が薄れる。アヤメは扉に凭れ、百蓮を下ろす。笑顔は保つが、身体が重い。

 

「ナグサ、完璧だったよ。さすが私の相棒」

 

 声は軽いが、瞳が揺れる。ナグサが屋上から降り、ライフルを背負う。白髪が月光に光るが、表情は無。

 

「アヤメの指示通りだね。アヤメに従っていれば間違いはない」

 

 依存の声。ナグサの依存が重かった。

 キヴォトス、勘解由小路邸東棟、23:27炎の残り香が漂う勘解由小路邸の庭園。

 

 黒煙が月光を遮り、夜空に不穏な影を落とす。ユカリは避難室で息を潜め、アヤメとナグサは戦闘の余韻に立つ。

 

「なんか来るね」

「え?」

 

 突如、空が裂けたような音が響く。

 雲が割れ、月光の下に人型の化物が降り立つ。2メートルの細長いシルエット、黒い外套に包まれた体は人間の骨格を模し、顔は仮面のような平滑な表面。

 

 目はなく、ただ赤い光点が二つ、揺らめく。怪異ではない。何か別の、冷たく計算された存在。化物の声は低く、金属を擦るような響きで夜を裂く。

 

「勘解由小路ユカリは消さなければならない。この世界のために。あの娘は生きていてはいけないのだ」

 

 アヤメは百蓮を握り、笑顔を張り付ける。紫瞳が化物を捉え、鋭く光る。

 

「へえ、急に何? ユカリちゃんがそんな悪い子に見える?」

 

 声は軽いが、指が銃を握りしめる。彼女の信念が軋む――人を守るため、笑顔を広げるため。それが彼女の全てだ。ナグサは屋上の縁に立ち、スナイパーライフルを構える。

 

 白髪が風に揺れ、瞳は無感情。だが、アヤメの指示を待つ。

 

 戦闘開始。

 化物が動く。右腕が鞭のように伸び、庭園の石畳を砕く。アヤメは一瞬で横に飛び、地面を転がる。百蓮が火を噴き、9mm弾が化物の胸を撃つ。だが、弾は黒い外套に吸い込まれ、痕跡も残さない。化物が振り返り、赤い光点がアヤメを捉える。

 

「百鬼夜行自治区は改革の途上だ。過去の巫女、生贄の復活はそれを阻む。故に消す」

 

 その声は感情を欠き、事実を並べる。アヤメは笑顔のまま、化物の言葉に答える。

 

「改革?  だからって人を殺して良いわけないでしょ!」

 

 彼女は化物の動きを観察、右腕の鞭が再び振られる瞬間を0.3秒で予測。身を屈め、鞭が空を切る。彼女は一気に距離を詰め、百蓮を化物の仮面に撃つ。弾は跳ね返り、火花が散る。

 

 化物は動じず、左腕が刃に変化、地面を裂きながら突進。アヤメは後ろに飛び、刃の軌跡をかわす。彼女の笑顔は揺らがないが、内心で苛立ちが膨らむ。

 

「改革に邪魔だから殺すって、あり得ないでしょ」

 

 ナグサが屋上からスコープを覗く。化物の構造を解析、仮面の赤い光点がエネルギーの中枢と推測。彼女はアヤメにインカムで伝える。

 

「アヤメ、仮面の赤い点。そこを狙う」

 

 ナグサの指がトリガーを引き、7.62mm弾が化物の仮面を直撃。赤い光点が一瞬揺らぐが、化物は倒れない。代わりに、仮面から黒い霧が噴き出し、庭園を覆う。視界が閉ざされる。

 

 混沌の戦場霧の中で、化物の声が響く。

 

「百鬼夜行はオカルトに囚われている。科学的なアプローチを拒み、非効率な均衡に縛られる。過去の巫女はそれを象徴する。消さねば、現実が見えない」

 

 言葉は冷たく、まるでプログラムされた定理。化物の右腕が霧を裂き、アヤメの胸を狙う。アヤメは音で位置を察知、横に滑り、百蓮を連射。弾は霧に吸収されるが、化物の動きを一瞬止める。アヤメは叫ぶ。

 

「現実? ユカリちゃんを殺すのが現実なの? ふざけないで!」

 

 彼女は霧の中を突進、百蓮を捨て、腰のナイフを抜く。刃は短いが、彼女の動きは鋭い。化物の刃が振り下ろされるが、アヤメは体を捻り、刃をかわす。

 

 彼女のナイフが化物の右腕を切り裂く。黒い液体が飛び散り、地面を焦がす。化物が後退、赤い光点が激しく明滅。ナグサは霧の中、音と熱源で化物を追う。彼女のスナイパーライフルが再び火を噴き、赤い光点に2発。仮面にひびが入り、化物が膝をつく。ナグサの声がインカムに響く。

 

「アヤメ、今。仮面を壊して」

 

 完璧な援護を生む。決着アヤメは化物の仮面に飛びかかる。ナイフを両手で握り、仮面のひびに突き刺す。化物が抵抗、左腕の刃がアヤメの肩をかすめる。血が滲むが、彼女の笑顔は崩れない。

 

「ユカリちゃんは生きるよ。キヴォトスの未来のためにさ!」

 

 ナイフが仮面を貫き、赤い光点が消滅。化物が絶叫、黒い霧が晴れる。体が崩れ、灰となって地面に散る。庭園は静寂に包まれる。アヤメは肩の傷を押さえ、笑顔を保つ。

 

「ナグサ、完璧だったよ。ユカリちゃん、守れた」

 

 声は明るいが、瞳が揺れる。化物の言葉が脳に残る――改革、科学、オカルト。彼女の信念が軋む。ナグサが屋上から降り、ライフルを下ろす。

 

「アヤメに任せれば問題ない」

 

 彼女の声は無感情だが、依存の色が濃い。

 

 

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