賢者の孫のお兄ちゃん(魔力無しVer.)   作:愛飢夫

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結果はっぴょぉぉぉおおお!!に行きました

 入学試験からしばらく経ったある日の朝、のんびりと我が家の料理長コレルさんが作ってくれた美味しい朝ごはんを食べているとディスおじさんが金髪碧眼の見知らぬウルトライケメンを連れてやって来た。

 

 どことなくディスおじさんに似てる気がする。こいつが入学試験の日にシンが会ったと言っていたディスおじさんの息子で間違いないだろう。

 

 名前は……あれ? 聞いたっけかな?

 

「おお、ルカくん、シンくん。おはよう」

「おはようディスおじさん。オーグもおはよう」

「ディスおじさんおはよ。そっちのイケメンくんが噂の?」

 

 名前を聞いたかすら定かでは無いのだが、とりあえず知ってますよ的な雰囲気を出しながらイケメンくんへと視線を向けるとイケメンくんが一歩前に出て自己紹介をしてくれた。

 

「アウグスト=フォン=アールスハイドだ。オーグと呼んでくれ。ルカ、お前のことは父上からよく聞いている。よろしく頼む」

 

 イケメンくん改めオーグが右手を差し出してきたので握り返しながらこちらも自己紹介を返す。

 

「ルカ=ウォルフォードだよ。ルカって呼んで……ってもう呼んでたね。よろしく」

 

 ディスおじさんの息子ってことは王子様って事だから敬語を使おうかとも考えたけど王様なディスおじさん相手に普通に喋ってるのにその息子に敬語を使うとか意味わかんないから普通に喋ることにする。

 

 まぁディスおじさんって俺やシンの中では親戚の叔父さんポジションだからその息子のオーグは従兄弟みたいなものだろう。

 怒られたら敬語使えばいいや。

 

「うむ。シンが言うには私たちは従兄弟みたいなものらしいからな。そうやって普通に接して貰えるとありがたい」

「あーそれ俺も思ってたよ。ずっとディスおじさんのこと親戚の叔父さんだと思ってたからさ」

「父上もお前たちにそう思われるように接していたと言っていた。護衛の者にも陛下とは呼ばせていなかったのだろう?」

「うん。だからディスおじさんが王様だって聞いた時は驚いたよ」

 

 ディスおじさんの正体を知ってから気が付いたんだけど、クリスねーちゃんはよく「へい……ディセウム様」って言い直してたんだよね。

 ジークは……知らね。アイツに興味無いし。

 

 それからしばらく話しているとじいちゃんとばあちゃんも降りてきてオーグとディスおじさんに挨拶をしていた。

 ディスおじさんはいつも通りだったけど、オーグはじいちゃんとは初めて会ったようで感激して涙目になっていた。

 普段はばあちゃんの陰に隠れがちだけどやっぱりじいちゃんは凄いらしい。

 

 それからどうやらオーグには妹も居るらしく、一緒に来たいと騒いでいたらしいのだが、今日は遊びに来た訳では無いので城に置いてきたそうだ。

 その時の妹の絶望する顔が面白かったと言っていたのだが、こいつ性格悪いな。

 弟や妹は愛でる存在であって虐める存在ではないのだよ。シンを可愛がってる俺を見習いたまえよ。

 

 ちなみにオーグの妹は10歳でばあちゃんに憧れているらしい。

 10歳か……俺とシンが初めて魔物を倒した歳だね。王族は10歳で魔物狩らないだろうけど。

 

 さて、オーグとディスおじさんが遊びに来た訳ではなくなぜこんな朝っぱらから我が家を訪れたのかというと――

 

「そろそろ行くか」

 

 入学試験から数日経過して今日が合格発表の日だからである。

 どうやら同じ魔法学院を受けたシンと一緒に合格発表を見に行く為にわざわざ朝早くに訪れたという訳だ。

 ちなみにお誘いのメッセンジャーはディスおじさんだったらしい。国王様、暇なの?

 

 そうして3人で立ち上がり、玄関へと向かう。

 合格発表を見に行くのは俺たち3人だけでじいちゃん、ばあちゃん、ディスおじさんはお留守番である。

 じいちゃんとばあちゃんがいきなり現れたら騒ぎになりそうだし、ディスおじさんなんて以ての外だから仕方ないね。

 

 ホントディスおじさん何しに来たの?

 

 それから俺たちは3人で学院を目指して歩き始めた。

 本来ならオーグには多くの護衛が付くのだが、俺とシンが居れば大丈夫だろうという判断の下送り出された。

 

 いや……まぁ英雄と呼ばれ世界最強の魔法使いだったじいちゃんを超える魔法使いであるシンと近接戦闘ではおそらく世界屈指の俺が居れば大抵の事は大丈夫だろうけど簡単に任せすぎじゃない?

 

 確かに俺は前世的に護衛業務は慣れているから問題は無いのだけど、シンはそういう経験は皆無なわけで……

 万が一複数人に襲われたら俺たちは無事でも周りが壊滅しちゃう恐れがあるよ? 主にシンの魔法で。その場合俺は責任取れないよ。

 

 しかし「護衛を任せる」と言われてしまえばやらない訳も無いわけで……俺は気を使って《気配察知》の感度を高めつつ範囲を広げて来るかもしれない襲撃者に備えた。

 

 

 

 ◇◆

 

 

 

 そうしてシンとオーグを魔法学院まで送り届けた後俺は1人で騎士学院へと向かい結果を確認する。

 

「えっと……315番315番……」

 

 張り出されている結果は成績順ではなく番順に並んでいるので300番台の合格者が書かれている掲示板の前に立つ。

 

「307番、312番、314番……からのー」

 

 315番。

 

「よしっ!」

 

 自分の番号を発見して思わず小さくガッツポーズをしてしまった。

 前世では大学まで卒業したのだか、中学受験も高校受験も大学受験すらマトモに経験して来なかったので思っていた以上に嬉しかった。なんせ小学校低学年で剣道大会初出場以来大学卒業まで練習試合含め常勝無敗だったもので。

 

 他の武道系の大会でも似たような結果になっていただろうが俺は《刀術》が一番得意だったからね。

 しかし本物の武器の所持が許されているこの世界に刀が無いことは不満だな……剣もいいんだけどやっぱり刀が欲しい。

 

「さて……と」

 

 自分の番号の確認も終えたので今度は合格者受付へと視線を向ける……前に俺の後ろの番号もチラ見する。

 

「……329番か。ってことはデーナイくんは落ちたっぽいな」

 

 実技試験はアレだったけど筆記試験が優秀なら指揮官候補として合格する場合があるって聞いたけど、番号が無いって事はそういう事なのだろう。

 

 デーナイくん、ドンマイ!

 

 他に実技試験トーナメントで俺と戦った人が受かっているかの確認もしようかとも思ったのだが、いちいち他の受験者の番号なんて覚えてないので諦めて合格者受付の列に並んだ。

 

「次の方」

 

 列は思ったよりもスムーズに進みあまり待つことなく俺の順番が回ってきた。

 

「受験票と市民証の提示をお願いします」

「はい」

 

 受付に座っていたお姉さんに促され、ポケットに入れていた受験票と市民証を取り出して提示する。

 

「はい、確認しま――あら? 貴方……貴方がルカ=ウォルフォードくんね」

「そうです」

「ふーん、キミがあの賢者様の……思ったより細身なのね」

「まぁ……デカイ筋肉は腕力には優れても持久力や瞬発力で劣るので。大切なのは筋肉の太さではなく密度とバランスかなと」

 

 クリスねーちゃんもミッシェルさんもそこまで太い筋肉はしてないからね。

 デカイだけのパワーファイターなんて型にハマれば強いけどハマらなければ対処するのは簡単だし。

 

「なるほど、確かにその通りね。私も筋肉が大きくなり過ぎないように気を付けてるし……ってそうじゃない。えっと……まずこれが教科書ね。中にリストも入っているから抜けが無いか確認してもし抜けがあったらすぐに言ってください」

「はい」

 

 教科書の入った袋を受けとり中に入っていたリストを取り出して書かれている内容を流し読む。

 それから袋の中の教科書の冊数を数えて重複が無いかも確認した。

 

「大丈夫そうです」

「わかりました。では次にこちらが制服です。市民証に記載されているデータを参照し多少ゆとりを持たせるようにしてあります。騎士なら体に服を合わせるのではなく服に体を合わせてください」

「了解です」

 

 今の俺は身長に合わせた最適な筋肉量を維持しているので早々体格が変わることも無いと思うのだが成長期はまだ終わっていないと信じているので素直に頷く。

 

 今の俺は178cm。200cmとまでは言わないからせめて185cmは欲しいところ。

 

「そしてこれは実習用皮鎧の引換券と模擬剣の引換券です。制服と一緒に入れておきますので入学式までに指定の武器防具店で引き換えをお願いします」

「わかりました」

 

 武器と防具は重いし嵩張るからここでは配ってないのだろう。

 こういう時《異空間収納》が使える魔法使いが羨ましく感じるな。

 シンに頼めば《異空間収納》を付与した魔道具とか作ってくれないかな? 帰ったら聞いてみよう。

 

「それと……ルカ=ウォルフォードくん。貴方のクラスは『Sクラス』、総合成績は3位です。入学式の日取りと集合場所、持ち物などはこちらのプリントに書いてあるので後ほど確認しておいてください」

「おお、Sクラスで3位……」

 

 Sクラスというのは成績上位10名しか所属できない特別クラスだと聞いている。

 つまりSクラスに入学する俺はスーパーエリートということになる。

 

 エリートか……エリート戦士。うん、とてもいい響きだな。

 

「はい。筆記試験は500点満点中199点で合格者100人中97位、実技試験はぶっちぎりの1位でした」

「筆記試験97位なのに総合3位なんですか?」

「ここは騎士養成士官学院ですからね。筆記試験よりも実技試験の方が配点が大きいんですよ。ウォルフォードくんももう少し筆記試験が良ければ……そうですね、80位以内に入っていればおそらく首席でしたね」

「そうですか」

 

 そもそも俺に学力を求めること自体が間違っているのでそこはまぁ仕方ないだろう。

 別に首席狙ってた訳じゃないし。まず合格出来るかどうかだったし。

 

「話は以上です。なにか質問はありますか?」

「特に無いです。ありがとうございました」

 

 受付のお姉さんにお礼を言ってその場を離れる。

 

 しかし入試順位3位か……これはドヤ顔で帰っても怒られないな!

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