「ノリと勢いでやった。反省も後悔もしていない」
「いや、キリッとした顔で何言ってんの? 普通にやり過ぎ。反省と後悔両方しなさい」
「む、痛い……」
城門前の広場へと辿り着き、先程の爆発の原因を特定した俺はその犯人の頭に割と強めのチョップをお見舞いしていた。
「周り見てみろ。大惨事じゃねぇか」
「それはアイツらがちょこまか逃げるから」
「言い訳すんな! その動きを読んで魔法を当てるのが魔法使いだろ? クールで真面目系なのは見た目だけか!」
「痛い……」
言い訳をし始めた真面目系眼鏡女子の頭に再びチョップを落とす。
なんだよ、見た目的には常に冷静で氷魔法を操って的確に敵を貫いたり凍らせたりしてそうなのになんでノリノリで爆発魔法使ってんだよ。
「ルカくんルカくん。リンはこの前シンくんに『暴走魔法少女』って二つ名付けられてたよ!」
そんなことを考えていると、真面目系眼鏡女子とペアを組んでいた金髪ロリっ娘が真面目系眼鏡女子に付けられた二つ名を教えてくれた。
「暴走魔法少女……」
「そう! 私は暴走魔法少女!」
「ドヤるんじゃない!」
「あぅ……」
その二つ名を口にした瞬間、真面目系眼鏡女子改め暴走魔法少女が自信満々に反応したのにイラッとして三度頭にチョップする。
次やったら気を纏わせたチョップするからな?
そんなやり取りをしているうちに逃げてきた魔人の姿が見え始めたのでそろそろ戦闘態勢に移ろうか。
「うし。じゃあ暴走魔法少女と金髪ロ――じゃなくてえっと……」
金髪ロリっ娘の名前ってなんだっけ? この前ミランダに教えてもらったような気はするんだけど……
「アリス! アリス=コーナーだよっ!」
「あ、はい。暴走とコーナーさんはそろそろ構えて。近付いて来る奴は俺が斬るからあんまり大きな魔法は使わないように」
俺はもう十分キル数は稼いだからね。なのでこいつらに経験を積ませるためこの場は譲ろう。
「おっけ! あとあたしのことはアリスでいいよ!」
「りょ」
「私は暴走魔法少女であって暴走じゃない。略さないで」
「だって長いんだもの」
「だったらリンでいい!」
こうして俺はマジシャンズの問題児っぽい2人と共に王都から逃げようとしている魔人共を迎え撃った。
◇◆
『私はアールスハイド王国王太子、アウグスト=フォン=アールスハイドである! 皆安心するがいい。魔人は……魔人は我々アルティメット・マジシャンズとアルティメット・ナイツが撃退に成功した!』
逃げて来る魔人共を殲滅してしばらく、3人で次の魔人が逃げて来るのを待っていると、拡声魔法を通してオーグの声が聞こえてきた。
「あれ? もう終わりなの?」
「物足りない……」
「お前らなんなの? バーサーカーか何かなの?」
つい先程まで嬉々として魔法を放つ魔人共を屠っていた上でのこの発言、もしかしてこの2人は戦闘狂なのだろうか?
2人共人畜無害そうな容姿をしているのに戦闘狂って……ちょっと怖い。
しかしこれで戦闘は終了か。結局何体の魔人を倒して何体の魔人に逃げられたのだろうか?
「ルカくん、この後どうするの?」
「一応取りこぼしが無いか気配を探ってみてるけど、そっちも索敵してもらっていい?」
「分かった! 索敵魔法、展開!」
俺がそう頼むと、金髪ロリっ娘改めアリスは索敵魔法を展開して周囲に魔人が残っていないかを調べ始めた。
マジシャンズのメンバーは全員無詠唱で魔法を使えるのになんで魔法名を唱えたのだろうか? 気分?
「兄フォードくん、私は?」
「変な呼び方すんな! ルカでいい!」
「むぅ……」
「なんで不服そうなんだ……まぁいいか。暴走さんは怪我人の応急処置を頼む」
「私は暴走魔法少女!」
「ちゃんと読んで欲しかったら兄フォードは止めろ。呼び捨てでいいから」
「ルカっち――ごめんなさい!」
にっこり笑顔で右手を手刀の形にかまえた瞬間、真面目系眼鏡女子改め暴走さんは周囲に転がっていた兵士たちの治療をするために駆け出した。
◇◆
その後応急処置を終え、足を失っていた兵士数人を担いでアリスと暴走さんに周辺警戒をしてもらいながら避難所へと赴くと、そこでは何故かシンがユリウスとトールに羽交い締めにされている姿があった。
「シン、どったの?」
「ルカ兄……緊急事態だ」
「緊急事態? それよりこの兵士さんたちの治療をしてあげてよ」
「え? あ、うん。分かった」
シンが割と切羽詰まった顔をしているので何事かと思ったが、シンを羽交い締めにしているユリウスやトール、他マジシャンズやナイツのメンバーの顔を見ると苦笑を浮かべていたので魔人関連ではないと判断して治療を優先してもらう。
治療を終え、泣きながらお礼を言っていた兵士たちが去っていくのを見送ってから改めて何が緊急事態なのかを確認する。
「で? 緊急事態って?」
「俺が本になる」
「いいじゃん。情報提供は任せろよ。そうだなぁ、お前が初めて魔法を使った時の話からしようか?」
「ルカ兄!?」
本になるんでしょ? だったらストーリー性を持たせるために幼少期の話から載せるべきだよ。
シンとは物心がついた時(1歳)からずっと一緒に育ってきたんだから俺以上に詳しい人はいないと思う。
あ、その頃からの話をした方がいい感じ?
「それは興味深い。ルカ、その話は2巻に収録するから後で詳しく教えてくれ」
「いいけど2巻? なら1巻は完成してる感じ? シリーズ化するなら完結した後『エピソードゼロ』とか『第0巻』みたいな感じで出すのも良さそうだけど」
「ふむ、それも有りかもしれんな」
「無しだよ!」
オーグに情報提供を求められたので快く応じているとシンがかなりの勢いでツッコミを入れてきた。
お前……そんなこと言ってたら4歳の時におねしょしたのを水魔法で隠そうとした話暴露しちゃうぞ?
そんな事を話しつつ王城へと向かい、途中で別の場所で戦っていた仲間たちとも合流する。
「あ、ルカ!」
「ミランダお疲れ様。怪我は――無さそうだね」
なんだかミランダが血塗れになっていたのでどこか怪我をしたのかと思ったが、全身の動かし方や気の流れを見る限り怪我はしていないようで安心した。
あの血は魔人の返り血だろう。なんで道着に付与してある《清潔》を使わないんだろ?
「ええ。ルカの言っていた通りアタシたちでもなんとかなったわ」
「ミランダ頑張ってたからねぇ」
戦いが始まる前は不安そうにしていたが、今は堂々と立っている。
今回の戦いは突発的なものではあったけど参戦させて正解だった。
「ルカ、ありがとう」
「うん?」
何が?
「アタシが強くなれたのは……戦えるようになれたのは全部ルカが鍛えてくれたおかげ。だからありがとう」
「えっと……どういたしまして?」
改めて言われるとなんだか照れるな。
「うん。だから――」
「いつまで話しているつもりだ? そろそろ行くぞ。いつまでもスイード王を待たせる訳にはいかん」
ミランダが何かを言いかけていたのだが、オーグの言葉に遮られてしまった。
「はいはい、今行くよ――で、ミランダ何だって?」
「……なんでもない!」
そう言ってミランダは俺に背を向けて駆け出してしまった。
何だったんだろ?
「どうしたルカ、早く行くぞ」
「え? あ、了解」
オーグに促され俺も皆の後ろを遅れないようついて行く。
「ルカ! 俺は3体魔人を斬ったぞ!」
「俺は5体だ!」
「おー、クライスとノインもお疲れ。やるじゃん」
「ルカは何体斬ったんだ?」
「さぁ? 20くらいまでは数えてたけど、そこから先は数えてないな」
「「桁が違う……」」
「そりゃあね」
こうして俺たちは今回の戦いの報告をするためにスイード王国王都中央にある王城へと向けて歩き始めた。
マジで中々書く時間が取れません。ヤバヤバのヤバ。やばたにえんです。
なので暇つぶしになればと思い……別作品連載します。
こちら以前書いていたもので、とりあえず200話ちょっとはあるのでしばらくの間は持つかと思われます。
皆様の評価や感想、ここ好きなんかが作者の栄養となりますのでどうかたくさん栄養を与えてください。デブるくらいください。お願いします。
あ、ちなみにオバロです。