アークナイツ・鏡の世界   作:チノープル

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この小説を読んでくださった皆様、ありがとうございます
リンバスの人格ストーリーを読んでいたんですが、語り部さんの口調が結構考えていたのと違いました。なので今回は修正してみました。

リンバスの鏡世界って難しいですよね。たまに見た目同じだけの別人とか出てきますし(船長イシュメールとか)公式レベルの尊厳破壊は色んな意味で一人の二次創作者にはできないですね…


サルゴン首長:タルラ

私は躊躇した。それは恥ずべきことだ

私は責任を背負うことを恐れたわけではない

現在の状況を解決する方法は既に分かっている。その手段を提供することができる者はこの場に私しかいない…

だが、長い放浪の旅の最中も、ゼルウェルツァの暮らしの中でも、私自身の罪と過去を忘れたことは一度もない

コシチェイの館を命からがら逃げ出した時

妹との再会を目前にして龍門に背を向け逃げ出した時

ヴィクトリアの悪意に敗れ傷つきながら逃げ出した時

私は間違いを重ねすぎた

だというのに、いつの間にか、選択の時がすぐ目の前まで迫っていることに気づいた。いつも通り、私の意思に関係なく

私の人生の中で、誇れるようなことが一体いくつあるだろうか。こんな私が、今更何を変えられるのだろうか

 

黒い蛇が背後に立っている。私を見て笑っている。或いは、失望しているのだろうか

 

………

…うるさい、黙れ

 

認めよう。私は躊躇した。もはや救いようがない臆病者だ。これまでの軌跡にただ失敗のみを残し続けた無能だ

だが、これが永遠に傷跡として残ったとしても、全ての過去はもう過ぎたこと…

もう…終わったことなんだ

私が積み重ねてきた醜さと恥辱は、全て私の燃料となる。その燃料で、私の友人たちの未来を照らす炎を燃やそう

過去は決して変わらない。あの日々はもはや取り返しがつかない。だが、目の前に広がるものは間に合う

私は未来を掴み取る。そのために、過去になど構ってはいられない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

子供が台の上に立っているわね。とても立派に見えるし、堂々としてる

今からゼルウェルツァの未来を決める会議が始まるところだけど…ドゥリンたちは、良くも悪くもいつも通り。彼らは原石鉱脈が突然隣人になって、彼らの都市を破壊しようとしている時でも、能天気なままでいるみたい

もしかしたら、子供がゼルウェルツァでも特に信頼されているリーダーであることも理由の一つなのかもしれないわね

 

「ゼルウェルツァの兄弟たち、タルラだ」

「今日、このゼルウェルツァの将来に関わる会議は、私が進行役を務めさせてもらう」

 

「まず、災害を避けるため、どのようにしてゼルウェルツァから避難するかについて、私たちはエッジ先生と協議を行った結果、最終的に三つの方法を導き出した」

「だが、具体的な案について話し合う前に、皆に話しておきたいことがある」

「私の、過去についてだ」

「皆が知っているタルラの過去ではなく、コシチェイ公爵家の跡取りタルラの過去を」

「この都市に来てからも、私は己の過去について頑なに隠し続けていた」

「今日は、それを皆に話そうと思う」

「…私は、炎国の龍門という都市で生まれた」

 

私は、私が何を言うべきか全て分かっていた。口を開けばスラスラと言葉が溢れ出してくる。話すことは有り余るほどに多い。記憶の迷宮の中に閉じ込められたような錯覚を覚えているのに、同時に私は迷宮の出口がどこにあるのかがわかっていた

ドゥリンの友人たちはこのスピーチがわたしにとって何を意味するのか分かっていないだろう。これは、私だけが理解できていれば良いものだ

私はコシチェイの子だ。育ちを抹消することなどできないし、過去から逃れることこともできない。私はずっと恐れていた。私がいつかコシチェイになってしまうことを。

だが、今はこう考えている……コシチェイの子になってしまったことは、考えていたほどの最悪ではないかもしれないと

コシチェイの教えも生き様も、全ては私の中にコシチェイの意志として存在している。だが、この教えを使って人を救えば、それはもう私だけの力だ。

炎に善悪はない。ただその担い手があるのみ

コシチェイに教えられた演説法が、ドゥリンたちの心を掴んでいる。私のつまらない過去を、彼らはとても楽しんでいるようだ

コシチェイに教えられた処世術が、今の私の地位を築いた。私はドゥリンの信頼を得た。だがそこに後ろ暗いことは何一つない

私はコシチェイを恐れていた。だが、奴は本当に今も私を見ているのだろうか?私は奴の亡霊を恐れているだけではないか?

恐れていたから、逃げ続けた。私の失敗は全て恐怖から始まっていた。だから、もうやめだ

逃げる時は終わった 戦いの時だ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが、私から伝えられる地上での暮らしだ。決して、美しいと言えるものではない」

「だが、決して酷くはない。私の考えを話すから、その上で考えてみてほしい」

「幾人かは既に、私が会議の前にこの話をした理由を察しているだろう」

「討議の結果、私たちが考えた三つの脱出計画…」

「一、トンネルを通って避難する」

「計算によると、どれだけ迅速に避難を始めても、爆発までに住民の七割程度しかトンネルの向こうの姉妹都市に避難できない」

「この案を採用した場合、今すぐに行動を始めなければならない。いかなる遅れも許されないんだ」

「二、トンネルの反対側にシェルターを構築して避難する。この案の場合、今すぐ全てのリソースを投入し、トンネルの反対側にある空洞を掘り進めてシェルターを作ることになる」

「現時点において、この案による生存率は先ほどの案より高くなる計算だ。シェルターが都市の全住民を収容できるかどうかに関わらず」

「だが、災害が去った後、都市のほとんどの設備が破壊されているだろう。他の都市との唯一の交通手段であるトンネルも崩壊していることが予想される。その後の状況が問題となるわけだ」

「三、地上へ向かう」

「工業代表の試算だと、工業昇降機を拡張すれば爆発前に都市の全住民を地上の洞窟に移動させることが可能だ。拡張は短時間の作業で済む」

「そこにはアカフラと呼ばれる密林が広がっている。我々にとって未知なる大地だ」

「あらゆる困難が我々を待つことになる。先ほど話した私の過去のような悲劇が我々を襲うだろう」

「だが現状、この三つ目の案が最もリスクが低く、なおかつ住民全員が生き延びられる可能性が高い方法だ」

「この案ではドゥリンにとって前代未聞の選択をすることとなる。地上へ向かうという決断を」

「私の過去は既に話した。これは皆の検討材料になっていることと思う」

「その上で、私の話をもう一つ聞いてほしい」

 

「皆が三つ目の案を選んだ場合、私は地上との交渉役を担おうと思う。既に話した通り、私はろくでもない貴族の下でこのような権謀術数について毎日寝る間も惜しんで教え込まれた専門家だ」

「皆に必ず安全な生活を保障する。地上に向かってもこれまでのような美しい日々が続くことを私が約束する」

「必要となるのであれば戦士にも、首長にも、黄金城の主にでもなろう」

「私を」

「………信じてほしい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サルゴンは、歴史の全てを記録する

ルガサルグスが時間をその手に収め、暦を定めた時から彼の国は時間を管理し続けている

故に、黄金城はこの時を確かに記録した

サルゴン初の、ドラコの首長

その誕生から最後までは、一冊の歴史書では書ききれない程に波乱万丈になったという




パゼオンカの立ち位置にいる、鏡の世界のタルラ
何度失敗したって大丈夫、君の炎は決して消えないから




夏イベに放り込んだら全てのキャラを救済できるのは私が今更指摘する必要もないですよね
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