ここまでの話を読んでくださり、面白かったという皆さま、本当にありがとうございました
クソみてぇな文章だな!と思った皆さま、チャンスです。今すぐ文章を書き始めましょう
そして何より、LimbusCompany及びアークナイツ双方のゲームに興味を持つ人が増えてくれればうれしいです
いつでも星の海へ漕ぎ出せそうだったエーギルの発展が、海の厄災とともに沈んだあの日
危機に瀕した故郷を救うため、アビサルハンターに志願することを決めた時、周りの人々からはすごく驚かれたし、心配もされた
実際、研究者だった私に戦闘の知識なんてない。アビサルハンターになって訓練を受けた後も、成績はいつだって仲間の中で最下位だった
あの石碑に出会うまで、戦場に出るという選択肢は考えたことすらなかった。明らかにエーギルのものではないその石碑は、私に数々の恐ろしい映像を見せつけた
時計の被り物を被った人物と相対し、怪物と化した私
シーボーンに変貌し、恐魚たちを従えながら海面へと向かう私
生きるためにシーボーンの肉を喰らい、シーボーンと人間の狭間に立ち大地を巡った私
さらに、見知らぬ都市で、人々を次々にシーボーンへと変化させていく私の姿……
その石碑は…まるで鏡のように乱反射して、あらゆる「私」を映し出していた
それらの断片の主役がすべて私であることは一目瞭然だった。石碑が写すあらゆる世界で、私は様々な答えを得た
だから、あの石碑が一度も映し出さなかった可能性を知りたかった。そうして私は、アビサルハンターになった
状況は最悪だ
恐魚が、シーボーンが、陸へと這い上がっていく。数を数える行為に意味がなくなって久しい。もはや、彼らの侵攻は大きな波のようで、海が陸を飲み込もうとしているようだ
波が止まらないことは…作戦の失敗を意味する
ファーストボーンは未だ健在。アビサルハンターの部隊は私を除いて全滅した
ローレンティーナも、グレイディーアも、ウルピアヌス隊長もその死んでいく様を私は全て目にした。そして私は、私だけは、生き残ってしまった
これは確かにあの石碑が見せたどの可能性にも当てはまらない結果だった。それと同時に、可能性の世界の中で一番悲惨な境遇でもあったけど…
でも…まだ諦める時じゃない
私は漂着した海岸で、最後の希望を手に入れることができた
それはヌラヌラとしていてわずかに輝き、半ば溶け落ちている深い碧色の肉
ファーストボーンの肉片
どこかの可能性の世界で、私はシーボーンの肉を食べてシーボーンに変化しながら、人の心を残して生きていた
もし、ファーストボーンの肉を食べてシーボーンになることができれば…ファーストボーンと戦う力を、もう一度手に入れることができるかもしれない
それがどんな天文学的確率を超えた先にある奇跡なのか分かっている
今迷っている瞬間にも、陸の人々が傷ついている。彼らのために、私は戦わないといけない
アビサルハンターの仲間たちは私に命を託したから。私も命を懸けて未来を手に入れないといけない
だから、これ以外に選択肢なんてない
分かってる
鐘の音が聞こえる
私の決意に共鳴するように、体の内側から力が湧いてくる
何かが私の前で揺らめき、異質な形状になっていく
丸みを帯びたその形は、私には「道具」のように見えた
「え?今のはどういう意味…?」
温かい声が聞こえる
マイヤーズ。あなたは長い間、夢を見ながら理想の世界を描いてきたんだね
そして、その道へと進んでいく方法として、誰かとのつながりを慈しんだ
だからこそ…そんなにもあなたは悲しそうなの?
「シーボーンになるなんて、考えたこともなかった」
「大切なつながりを、自分の手で断ち切ってしまうんだ…」
「シーボーンはとても美しい存在だけど、私の望みを叶えるにはあまりにも足りないものが多すぎたんだ」
正直じゃないわね
私は知っているわ。あなたもまた、彼らに憧れを抱いていたことを。
仲間に対する優しさ、揺らぐことのない利他性をあなたは求めていた。
そうして、全ての人が隣人の優しさを理解してくれたら。
「…アビサルハンターにそんな考えが許されるはずがない」
「私は皆を裏切りたくない」
あなたは他のアビサルハンターたちの言う「生存のための戦い」に興味が無いんでしょ?
刹那でもいいから…ただ、温かな世界で全ての者が生きていけることを望んだだけ。
「そう。生き延びること自体に、価値を置くべきじゃない」
「大事なのは未来だけじゃない。今苦しんでいる人たちを救えないのなら、今の戦いから意味がなくなってしまうんだ」
「私も、隊長も、違いはほんの少ししか無いんだ。私たちは違う理想を持っていて、でも肩を並べて戦うことができた」
「…シーボーンになってしまったら、きっとこんな違いを喜ぶことはできなくなってしまうでしょう」
他人の意見をそんなに気にする必要はないよ、マイヤーズ
「…人々にもそれぞれの願いがあるんだ。多くの人にとって、シーボーンは答えになるかもしれないけど、私がそうするべきだからといって、他者を無視してはいけないんだ」
あなたにも分かっているでしょう?それがあなたの本当の心じゃないってこと
そうやって時間を浪費している間に、数多の人々が抗いようのない災厄に飲まれていくことになるでしょうね。
「…分かっている」
「…でも……それでも…」
あなたの心の姿と色を隠さなくてもいいんだよ。
テラに生きる人々を…あなたが救ってあげればいいの。
「…戦う力を…手に入れられる?」
やがて私たちは皆…愛へ向かって歩むだけなんだから…。
こうやって…あなたの心を壊しかねない道具はもう、手放そうよ。
茨の道を無理に歩かなくてもいいの。苛烈な道を巡礼する必要はないの。
「いや…でも…私は…」
どうせこれ以外に…あなたにできることはないって思ってるんでしょう
「…!」
あなたがただ理不尽に傷つく前に、もっと楽でもっと確実な道へ進むべきじゃないの?
「……」
「他に方法があるなら…シーボーンにならなくてもいい選択肢があるなら…」
あなたの望むままに、あなたの欲望のままに…。
さぁ。照らして、見せてあげよう。あなたが望む世界を。
温かい光が、私を包んだ
「…」
「……」
「ダーっと行って、ドンッと倒して、パパッと片付ける」
「だよね、隊長」
「ありがとう、カルメン」
「でも、私はこの道を選ぶよ」
「たとえこれが苦痛の巡礼になるとしても」
「誰かのために戦うことができる利他性。仲間との絆を信じて奇跡を掴み取る強さ」
「それこそが、人という存在の輝きだから」
いつの間にか、私の手の中には美しい珠があった
それは深い海の底のような色をしていた。でも、いくつかの光が瞬く姿は、むしろ私を包む夜空のようだった
私の自我が形となった道具
開花E.G.O. 巡礼の灯り
ファーストボーンの肉片を飲み込む
戦いの時が来た
人とシーボーン、どちらが存続するか
ここで、決めよう
スカジの立ち位置にいる、鏡の世界のマイヤーズ
巡礼は苦痛と苦難を呼ぶだろう。それでも彼女は進む
人たる存在の輝き、それを信じているから