申し訳ありません思ったよりボリュームでちゃってあと一話続きます(滝汗)
クリスマスの絶望から希望へと変えられるのか―――
それではもふキッチン開店です☆
しばしの無言が続いた。闇の書の管理プログラム(後にリィンフォースと名付けられる彼女)が自ら死を望むということに。
「闇の書にはナハトヴァールと呼ばれる自動防御機構が備わっている。それがあるために破壊と殺戮、再生と復活を繰り返し何度でも蘇り負の連鎖を未だ続けている。それを阻止するため、ナハトヴァールを一度完全に消滅させねばならぬ。その後再生を果たす前に闇の書自体を葬れば、負の連鎖は断ち切られよう」
その前にお前さんたちは闇の書から独立させられるので消滅は免れるが…。ともふキチは言葉を続ける。
「闇の書は多くの惨劇を作り出しすぎた。時空管理局も闇の書の完全消滅を望んでおるから協力は出来よう。だがはやてちゃんはその為に二度の絶望を味わうことにはなるがの」
「そんな―――」
「まあ、まだ残された道はあるんじゃがな?」
もふキチが湯呑に残ったお茶を飲み干し、絶望の底に落ちる寸前の四人に淡い希望を持たせる言葉を紡ぐ。
「ナハトヴァールを一度完全消滅させ、かの管理プログラムが自己の消滅を望んだその時に儂の元へ来れれば何とかしてやれる可能性はある」
可能性はある。あの世界に通じるポータルは現在時の庭園にのみある。スピードが勝負のそんなときにいちいち時の庭園を経由していては間に合わないだろう。
だが、彼女らの思いが強ければ、今日のように扉を出現させられるかもしれない。そうすれば―――
儂が何とかして見せよう。
―――
四人がアームスヴァルトニル湖から戻ってきたのは扉を潜って三分しかたってなかった。結構な時間を向こうで過ごしたはずなのに、部屋の壁掛け時計の時間はたったの三分しか進んでいなかった。
「あの世界は時間の進みが早いのかもしれんな」
「えぇ、そうね。それより重大なのは……」
「あぁ、クリスマスとやらまであと―――」
「三日しかねぇ。それまでにできる限りの準備はしておかねぇとな」
扉から出てきた四人には入る前までの絶望感は消えていた。目には輝きが戻り生気にあふれている。
シャマルはさっそくカートリッジの魔力補給をはじめ、ヴィータはある人物とコンタクトをとるため外出した。
そしてシグナムとザフィーラは―――
「本当にいたな」
「ああ、やはりあのお方は未来を見れるのやもしれん」
「はーなーせー!!」
庭先にいた一匹の猫を捕獲していた。それははやての家を監視していた時空管理局のグレアム提督の使い魔のロッテだった。
「我らはもう全てを知っている。お前の主人であるグレアムとやらに伝えろ。闇の書の悲しみの連鎖は我々が切り捨てると」
シグナムはそういうとロッテを綺麗な投球フォームで遠くまで飛ぶように投げた。
※※※
アタシは今、高町 なのはとやらとフェイト=テスタロッサという以前やり合ったことのある二人にコンタクトをとるために公園で結界を張って一人待っていた。
もふキチの爺ちゃん(あの人が爺ちゃんって呼べっていうから…)の話によればそれで二人が感づいてやってくるってことだったけど……。
「なんか余計なもんまでついてきちまったな」
「余計なものっていうのは僕の事かな?」
目の前にはなのはとやらとフェイトとやら…そして時空管理局員のまだ幼い少年がいた。
「一応自己紹介をしておこう。僕は時空管理局局員クロノ=ハラオウンだ」
「アタシはヴィータ。一応言っておくが今日はやりあうために来たんじゃないぜ?」
そう言ってアタシは自分の愛機であるグラーフアイゼンを待機状態のまま高町 なのはに投げて渡す。
「和平の使者は槍を持たない……。攻撃する意思がないという証明であたしのデバイスをあんたに預ける。まあこれはベルカに伝わる小噺の落ちだけどよ」
半分臨戦態勢だった三人からピりついた雰囲気が少し和らいだ。
「今日は話があって…いやお願いがあってあんたたちを呼び出すために結界をはっただけだ。あんまり邪魔者に横やり淹れられたくもないんでな」
「―――それで話って何かな?」
高町 なのは(…もうなのはでいいか。)は自分もデバイスを待機状態に戻して話しかけてきた。そういえばこいつはいつも話し合いを望んでたんだっけな。今までは必死だったから無視してたけど。
だが他二人は未だ臨戦態勢って感じだな。フェイトとかいう奴も管理局のクロノってやつもデバイスを解除していない。何かあればすぐに攻撃してきそうだ。
「アタシは今まである人を助けるためにリンカーコアの収集をしていた。前はあんたたちにも苦しい思いをさせて悪かった」
あたしはまず最初に謝罪をした。もふキチ爺ちゃんにも一言謝った方がいいって言われてたし。
「けどそれは結局その人を苦しめるだけだったんだ。だから本当の意味でその人を救いたい。アタシたちの大事な家族なんだ…だからあんたたちと管理局の力を借りたい」
あたしはそう言って三人に頭を下げる。しばしの間その状態が続いたけど―――
「ヴィータちゃん、頭を上げて?私ちゃんとお話聞くから…だからちゃんと説明してくれないかな?」
頭を上げて最初に見たのはなのはの優しい表情だった。爺ちゃんの言ってた通りだな。こいつは話せばちゃんとわかってくれる奴だって。
だからあたしは爺ちゃんとの話し合いで分かったことやこれから起こることを全部話した。
「たはは…やっぱりこの事件にももふキチさん関わってたんだねぇ」
「そうだね、なのは…。私もなんかそんな感じしてたんだ」
「僕はあったことないが…何者なんだ、そのもふキチという男は」
アタシの説明になのはとフェイトは全然疑いもせずに受け入れてくれた。クロノとかいう奴はそうでもないみたいだが……。
「もしかしてあんたらも爺ちゃんと関係なんかあんのか?」
「うん、私もフェイトちゃんももふキチさんにはお世話になってるんだ」
「それに、私もなのはもはやての事は知ってるんだ。私たちの共通の友達がはやてちゃんと知り合いでその伝手でね…」
「うん、だからお見舞いがてらにクリスマスに行こうかって話してたところだったんだよ」
もふキチ爺ちゃん、まじであんた未来でも見てるのかっていうぐらいに状況は進んでいた。だがこれなら……。
「君の説明からすると闇の書の意思が覚醒後、なんとか切り抜けつつはやてとかいう少女の意識を呼び覚まさせ、自己防衛プログラムのナハトヴァールとやらを全員で弱らせる。後にそのナハトヴァールとやらのコアを衛星軌道上にあげ、管理局のアルカンシェルにて消滅させる。その後管制プログラムの消失を防ぐためそのもふキチの所に行く―――であってるか?」
「ああ、そうすればはやての心も傷を負わないで済むらしい。なにょ…なのはとフェイトもらしいが」
ちょっと名前で噛んでしまって恥ずかしが、噛みそうな名前なのが悪いということにしてアタシは肯定した。その裏で『ヴィータちゃん私の名前で嚙んじゃって可愛いね』『そうだね、なのは』などというやり取りがあったことをアタシはしらなかった。
傷を負わない…というのは語弊があるかもしれない。一度アタシたちは闇の書に収集されるんだから…。でも、きっと上手くいくって何故かアタシは感じていた。
※※※
その後。クリスマス当日…。結局ヴォルケンリッターの三人は吸収され闇の書の意思が覚醒した。しかしその時のヴォルケンたちは絶望した顔をしなかった。絶対にはやての元に戻ってこれっると信じていたからだ。
おおよそ原作通りに事が進み、なのはのHA☆NA☆SHI☆A☆Iではやてが覚醒し、原作通り闇の書の意思には【祝福の風】リィンフォースと名付けられた。融合機であるリィンフォースとユニゾンしたはやてやなのはたち、そして再度召喚されたヴォルケンに、闇の書から切り離された防衛プログラムナハトヴァールは予定通りシャマルにコアの位置を捕捉され衛星軌道上に飛ばされた。
そして最後はお約束のアルカンシェルによる砲撃で無事消滅させることができた。だがその後が大変だった。
はやてが初めての魔法行使で全力を出した結果倒れてしまったのだ。そしてはやての意識がない今が好機と思ったのか、なのはとフェイトをリィンフォースが外へと誘いだしたのだ。
「幼子たちよ、貴殿らのおかげで―――」
「リィンフォースさんストップ!!」
「何とかなったがまだ危険だから送ってくれっていう話なら聞きませんよ!」
なのはとフェイトはリィンフォースの話を遮ってそう言った。自分が言おうとしたことを先に言われて彼女は驚きの表情をした。
「でもなのは、この後どうすればいいんだろう…。母さんのいる時の庭園にしかあの扉ないんだよ?」
「大丈夫なの、ザフィーラさんが『もふキチ殿は神様だかた願えば応えてくれるだろう』って言ってたの!!」
「え?もふキチさんって神様なの?」
「よくわかんないけど、きっと神様ならお祈りすれば応えてくれるの!!」
そんな会話をリィンフォースは目を白黒させながら聞いていた。神?何を言っているのだろう…。だがもふキチという名はどこかで聞いたことがあるかもしれない。思いだすことは出来なさそうだが…。
それから二人は向かい合って膝を折り、手を組んで願い始める。
「「もふキチさん、お願いします。この祈りが届いているなら私たちをあの場所へ―――」」
その願いが届いたのか二人の間に急に眩い光が出現し、それが消えると扉が現れた。
「やったの!やっぱりザフィーラさんの言う通りもふキチさんは神様なの!!」
「半信半疑だったけど本当だったんだね…。でもこれでもふキチさんのところに行ける!」
そして二人が困惑するリィンフォースを連れてアームスヴァルトニル湖に行こうとしたとき―――
「まってぇな!うちも…うちも連れってッて!!」
目が覚めたらしいはやてが車いすをこれでもかとまわして突撃してきた。その後ろにはヴォルケンの四人もはやてを追ってきたのだろう走ってきているのが見える。
だが彼女らがいるのは数段階段を上ったところにある広間だ。はやてはそれ以上進めずもどかしい思いをした。
そこに、シグナムが「主よ、失礼します」と言って抱きかかえてくれた。
「さっきシグナムたちに聞いたんや!みんなしてもふキチはんと行くんやろ?うちも連れってってぇな…。リィンフォースもうちの家族や、それなのに置いてけぼりはイヤやで!!」
「やっぱりはやてちゃんももふキチさん知ってたんだねぇ」
「わかったよ、はやても行こう」
こうしてなのは含め八人はアームスヴァルトニル湖に続く扉を開け入って行った。そしてそこで目にしたのはいつものリンヴィの中央神殿前ではなく、水晶でできた洞窟の広間のような場所だった。
ここはどこ?と疑問を口にする前に、どこからかもふキチの声が響いた。
「驚かせてすまんの。いつもの所では少々都合が悪いので儂の方でこの場所に呼ばせてもらった…。どうやって扉を潜ってくるかと思ったらまさか御祈りとは思わんかったぞ」
声のする方を見ると、一段高くなった水晶の岩棚の上にもふキチは腰をかけていた。
もふキチもまさかそんなお祈りで扉が出現するとは思ってなかったのでどこかのガ〇ダムに出てくるOSを一瞬で書き換える少年のごとくGM権限をもって出口をこの場所に設定した。
「さて、時間も押しておることじゃしさくっと作業を始めるかの。闇の書を儂に」
そう言ってもふキチは岩棚を降りてこちらまで歩いてきた。リィンフォースが持っていたそれをもふキチが受け取ると、「少し離れてなさい」と言われ全員ある程度の距離を取って離れた。
「さて、始める……前に、ここで起きたことは内緒じゃよ?誰にも言ってはならん。そこは了承しておくれ?」
その言葉に全員が頷くのを見届けた後、もふキチは作業を開始した。
もふキチが手をさっと翳すと闇の書が浮き上がり、もふキチの周囲にいくつものホロウィンドウとキーボードが浮かび上がる。
「まずは上位道具鑑定…制作ログ表示……大幅に遡ってエラー箇所検知……」
ぶつぶつと何事かをつぶやきながら指が残像を残すほどの速さでキーボードを操作していく。
「お、みっけた。これじゃな……~♪」
何かを見つけたであろうもふキチは永遠の炎な曲を鼻歌で歌いつつ問題部分を消去修正していく。
一つ目の歌詞のCパートを歌い終える頃には、修正は完了し、いくつもあったホロウィンドウもキーボードも消えた。
「状況終了じゃよ。これで闇の書は【夜天の魔導書】に戻った。収集してあった魔法は全て残したが…大丈夫かの?」
今の状況をあまり理解しておらず置いてけぼりだったリィンフォースがはっとして自分の状態をチェックする。すると―――
「自己防衛プログラムが…自動修復含め消えてる?」
「うむ、うまくいったようで何よりじゃ」
にっこりと笑うもふキチに、よくわかってないがリィンフォースは涙を浮かべ、ありがとうございますと礼を述べるのだった。
何故こうなった…。本当ならここで終われる予定だったんですが、キャラたちが勝手に動きまくりやがりまして…。
グレアムおじさんの話もまだだし、ロッテリアがあの後どうなったのかとか、デュランダルとか…まだやらなければならないのでもう一話続きます。
それでは次回またお会いしましょう。See you next story,バイバイ☆