多世界食事処もふキッチン   作:野神 汰月

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 はい、前回なのはちゃんが来たとうことはこの人も登場です。

 はたして狂気に堕ちたあの鬼ババァ(どこかのワンコ談)は別世界線の娘大好きママに戻れるのか…。


 多世界食堂もふキッチン開店です☆



 ※長くなったのでいつも通り前後編です(;^_^A


娘を失い狂気に堕ちた母がご来店しました (前編)

 大きなプロジェクトを任されていた女性は、危険性を訴えながらも勝手に上層部で実験を行った。

 

 その結果実験は失敗し、多大な被害を被ることとなる。しかもその責任を主任であった女性一人に上層部は被せて逃れてしまう。

 

 そのため彼女は一級犯罪者として追われるようになる。

 

 彼女は次元の狭間に【時の庭園】と呼ばれる隠れ家を用意しその場で狂気の実験を開始することとなる。

 

 まずは娘の蘇生。幾多の世界が連なるこの世界で彼女は様々な世界の文献を漁り―――挫折する。

 

 完全な死者蘇生の方法は古代ベルカの時代の文献でも発見することはできなかった。

 

 次に取り掛かったのは、クローン実験だった。娘のクローンを作り出し、そのクローンに娘の記憶を植え付ける。そうすれば…身体は違うが娘と同じだ。蘇生したともいえるだろう。

 

 彼女の狂気による努力は実を結ぶ。問題だったテロメアの問題も解決し、彼女は…プレシア・テスタロッサは娘のアリシアのクローン個体を作ることに成功したのだ。

 

 娘の記憶も完全に植えつけることに成功している。ああ…娘が還って来た。そう喜んだのは束の間だった。

 

 クローン体は確かにアリシアの記憶を持っていた。だが、魔法の素質も効き手も、話し方すら違った。

 

 最初こそ本当の娘として、アリシアとしてクローン体…後にフェイト(運命)と根付けられるその子を愛した。が、違いに気付けば気付くほどにプレシアは彼女をゴミを見るような眼をしていくこととなる。

 

 まだ何かに使えるかもしれないと思い破棄することはしなかったが、プレシアは彼女の使い魔であるリニスにフェイトの教育と世話を任せて自分は違う方法を模索しだした。

 

 

 ―――

 

 

 「ここは…いったい……?」

 

 

 ある日、プレシアが少しの用事を終え自室に戻りドアを開けた。

 

 彼女はここ最近実験や文献の洗い出しなおしで三徹しており気付かなかったのだ。自分の部屋の扉が湖と満月、そして狼のレリーフが彫り込まれた扉になっていたことに。

 

 扉を開けた先にあったのは彼女にとってはずいぶん文明の退化した街並みだった。自分はその街並みの中央にある神殿のような場所の前にある元は噴水だったと思しき場所に立っていた。

 

 急に摩訶不思議な現象に放り込まれた彼女は唖然としていたが、急に横から声を掛けられた。

 

 

 「来訪者よ、混乱はしておろうが暴れてくれるなよ?」

 

 

 その声に反応したプレシアはすぐさまその場を離れ戦闘態勢をとる。声の主と思しき人物を見やると―――

 

 

 「キメラ?!」

 

 「キメラだと?我をあのような出来損ないと一緒にされては困る」

 

 

 声の主は白い体毛に包まれライオンの頭を持つビキニアーマーの女性だった。その手にはその女性の身長をも超える大型の槍が握られている。

 

 

 「我が名はセクメト。誇り高き我らが父に生み出されし戦士だ」

 

 

 女性は自ら名乗り、大股にプレシアに近づいてくる。それにとっさにプレシアは反応し魔法を使おうとデバイスを召喚する……が。

 

 

 「ここでの戦闘行為は固く禁じられている。何やらしようとしていたようだが無意味だ。大人しく付いてきてもらおう」

 

 

 魔法を使おうとしたが魔法陣が発動しなかった。セクメトと名乗った獅子の頭の女性の言うように戦闘行為となるものはすべてディスペルされてしまうのだろう。

 

 プレシアは諦め、デバイスを待機状態に戻すとセクメトという女性に黙ってついていくことにした。

 

 

 ※※※

 

 

 しくじった……そう思った。いくら三徹していたと言ってもトラップ(?)に引っかかり見知らぬ世界へ飛ばされるだなんて……。

 

 早くアリシアの復活の方法を探さなければならないというのに。

 

 私は今セクメトと名乗った女性について歩いている。町並みは随分古めかしいが綺麗に整備されどこか懐かしさをも感じるものがある。人々も笑顔で活発的だ。だが電子的なものが一切ないというのは不憫ではないのだろうか?

 

 歩く先々で人々はセクメトに向かって笑顔でお辞儀をし、セクメトはそれに無表情で「ウム」と返す。

 

 自分を獣人(ライカンスロープ)だと名乗り(文献でそれらしき記述のあった書物があったなと後に思いだす)私を特に拘束もせずに前を歩く。

 

 正直に彼女について言っている自分もどうかとは思うけれど……きっと私が逃げ出そうとしても何の手間をかけることなく捕まえられるということだろう。

 

 先ほどの私の魔法をかき消した(?)方法もわからないが、彼女は確実に私より強いのだろう。

 

 そうこう考えてるうちに、セクメトは立ち止まり「ここで我らが父がお待ちだ」といった。

 

 そこに在ったのは―――。

 

 

 ※※※

 

 

 なのはちゃんが来たということはそっち系の世界にもつながってっるということで、フェイトちゃんとかはやてちゃんとかが来るんかと思うておったら…。とんでもないもんが来たのう?

 

 セクメトから伝言(メッセージ)を受けたときからそうじゃないかと思っていたら―――

 

 

 「まさかプレシア・テスタロッサが来るとは…」

 

 「…?!」

 

 

 儂のぽつりと呟いた声が聞こえたのじゃろう。彼女は身体を強張らせた。

 

 

 「あなた、時空管理局の所属のものなの?!」

 

 「うんにゃ、関係ないぞ。まあ、まずは自己紹介をしよう。儂の名はもf……いや、如月 凰翔(きさらぎ おうしょう)という。見ての通りそこのセクメトと一緒で獣人じゃ。そしてこの世界、アームスヴァルトニル湖とその中央に浮かぶこの島リングヴィを管理しておる。ここの住人にはもふキチで通っておるがの?」

 

 

 一瞬PC(プレイヤーキャラクター)ネームで名乗りそうになったが、彼女には本名で話した方がいいと考え直し自己紹介をする。とはいえここの住人にはもふキチで通っておるのでそこも伝えておく。

 

 しっかし、少し前になのはちゃんが来たということはまだジュエルシード事件より前か……考えようによっては阻止できそうじゃの。なのはちゃんとフェイトちゃんの心の傷を残す事件を。

 

 

 「まあ、なんかの事故でここに来たんじゃろうが…すまんの?ここに来たはじめての人間には儂の所に来さすよう命じてあったんじゃ。で―――」

 

 

 儂は一呼吸おいてその言葉を口にした。

 

 

 「探し物は死者蘇生の術かの?」

 

 「なっ…!?」

 

 

 ビンゴじゃ。これならいけるかもしれん。まあ、それやるにはアリシアちゃんが収められてるカプセルをここに持ってこさせにゃならんが……。

 

 

 「何故それを?かのう……。まあ、儂は知らん事は知らぬが知っていることは何でも知っておる。そして―――お前さんの悲願を叶える術も」

 

 「それなら―――!!」

 

 

 彼女の顔が歓喜に代わる。じゃが、話は最後まで聞いてほしいのう。

 

 

 「それには条件がある。まず一つ、アリシア・テスタロッサの入っているカプセルをここに持ってくること。二つ、儂のいう条件を全て飲むこと…この二つじゃよ」

 

 「あの子が生き返るなら私は悪魔にだって魂を差し出すわ!!そんなのでいいならいくらでも―――っ!!」

 

 「だから話は最後まで…まあええか。カプセルの方はお主が此処に来た時お主のいた場所の座標は把握しておる。時の庭園の位置さえ分かれば儂の方で召喚できよう」

 

 

 それなら今すぐと言いそうなプレシアを制しながら、儂は言葉を続ける。

 

 

 「それをやるにはここは狭い。じゃから場所を移動する。……が、その前に」

 

 

 儂は牙をむきながら彼女を説教することにした。

 

 

 「お主は何故フェイトにきつく当たる!あの子もクローンだが…お主が腹を痛めて産んだ子では無かろうが、おのれの持つすべてをかけて生み出した子じゃろ!?テロメアの問題も解決し、苦労の末やっと生み出したお主の子供じゃろ!!魔力性質や聞き手がアリシアと違かろうがお主の子であるには違いなかろう!そんな子供を、自分の子供を愛せない!?アリシアが言っていた言葉を思い出せ!!!」

 

 

 儂は怒気を孕ませながら彼女に言う。

 

 儂にはYGGDRASILL時代にイベントの壁として、守護者として一四体のNPC…ワールドエネミーをGM権限を用いて生み出した。生み出したからには彼ら彼女らは儂の子供じゃ。設定にもそう書き込んだ。まあ、リアルになったこの世界では一部例外があったが……。

 

 だが儂は彼ら彼女らを自分の子として愛しておる。だからこそ儂は彼女が許せなんだ。本編を知っておるからこその怒りだ。そして悲しみだ……。

 

 儂の怒気にプレシアは縮こまった。いくら能力を制限しているとはいえ生身の人間が儂の本気の怒気を喰らったら大変なことになる。そんなことも忘れて言い放ってしもうた。そこは反省せなば。だが、彼女はそれを耐えきった。わかっていたんじゃろう。アリシアの【願い】を……妹が欲しいと言っていた彼女の言葉を。

 

 そこまで母として強いになぜああなってしまったんじゃろうな。

 

 

 「……怒りに任せて怒鳴ってすまなんだの。じゃが、これが儂の言うことを聞いてもらうということの一つじゃ。さて、眠れるお姫様を起こすために移動しようかの」

 

 

 セクメトに店番をしばしまかせて儂はプレシアを連れて転移した。最近ではすっかりいかなくなった儂の塒へ。

 

 

 ※※※

 

 

 もふキチたちは最近は彼の取り巻きとしてこの場所にいた狼姫(スコル)と白夜(ハティ)が地上に上がっていなくなり主も不在となって久しいフェンリルの塒へと転移してきた。

 

 この場所なら広いし誰に見られることもなく蘇生ができるだろう。

 

 

 「ではアリシア・テスタロッサの遺体が収められてるカプセルの場所を読み解くでな、頭を触らせてもらうぞ?」

 

 

 もふキチはそう断りながらプレシアの頭に手を置く。幸い異世界への扉(ワールドドア)は彼女の住処である時の庭園の座標で固定されている。そこからプレシアの知っているアリシアを安置している場所の記憶をたどりに座標を割り出し「取り寄せ(アポーズ)」と魔法を唱えることで安置カプセルが彼らの目の前に出現した。

 

 

 「これから行うことは絶対に誰にも話してはならんぞ?」

 

 

 もふキチの言葉に彼女は深く頷き、もふキチはGM権限でホロウィンドウをいくつも出現させ色々設定を書き換えていく。

 

 まずこの世界の元となっているYGGDRASILLでの蘇生におけるレベルダウンを停止。生き返らせた瞬間灰になられても困る。その後自分の職業の変更。神職系の魔法詠唱者(マジックキャスター)へ変更を行う。それと魔力消費無し即効できるようにステータスも変えて行く。

 

 

 「よし、準備ができた。遺体をカプセルから出すぞ?」

 

 

 もふキチはそう言ってアリシアの遺体をカプセルから出す。このまま蘇生させてもいいが全裸のままだとなんなので適当にアイテムボックスからワンピースと下着を取り出す。言っておくがもふキチはドkぞの鳥と違って変態という名のロリコンではない。たまたまはるか昔にそういうのがドロップするイベントで手に入れていたのを放置していただけなのである。プレシアの視線が何となく痛いがこれも蘇生時素っ裸でとかいう間抜けな再会をしないようにというもふキチなりの配慮だ。(服などはマジックアイテムなのでサイズは自動で合うようになっている)

 

 それを着せ終えたところでもふキチは魔法を発動する。

 

 

 「蘇生(リザレクション)

 

 

 もふキチが魔法を唱えるとアリシアの身体が淡い緑の光に包まれ、それが消えると青白かった肌に赤みが差し、呼吸をしている証拠として胸が上下に動く。蘇生は無事に成功した。

 

 それを見届けたプレシアはほろほろと目から涙を流し、両手で口をふさぐ。ゆっくりアリシアのところまで行き、優しく揺すってお寝坊な子供を起こすように「アリシア…アリシア…」と名前を呼ぶ。

 

 「んぅ…」と小さなうめき声と共にゆっくりと瞼が開いていくアリシア。それを見たプレシアはさらに涙をこぼす。「…まま?」少し寝ぼけた幼い口調でアリシアは自分の母を見る。

 

 プレシアは我慢の限界だった。大きく声を出し泣き、力いっぱいアリシアを抱きしめた。「くるしいよ、まま」とアリシアが訴えるが止めることはできなかった。




 ということで、アリシア蘇生成功です!!でもこれだとフェイトそんに親友ができないし、ジュエルシード事件で戦わないとなのはちゃんが成長できないのでそこはちゃぁんと考えております。


 それではまた次回後編でお会いしましょう。See you next story,バイバイ☆
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