多世界食事処もふキッチン   作:野神 汰月

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 今回もプレシアママンのお話です。

 無事アリシアも蘇生できてその後どうなるのか…。



 それでは多世界食事処開店です☆


娘を失い狂気に堕ちた母がご来店しました (後編)

 娘との再会に喜びの涙を流していたプレシアはようやく泣き止むと、もふキチに土下座する勢いでお礼を言いだした。

 

 もふキチは出来ることをしただけとは言うが、これからが問題だという。

 

 それは本来、未来に怒るであろう事柄を捻じ曲げてしまったからに他ならない。INNOCENT方向へ行ってくれればいいが、プレシアが魔法を使おうとしたこと、管理局などのことを言っておりさらにアリシアも失ってたところからすると本筋の方の話なのだろう。

 

 本当ならば最後に彼女らは時の庭園の崩壊とともに次元の狭間に堕ちていくはずだった。それをもふキチが変えてしまったのである。だからこその二つ目の自分が言うことを守る事が仕事をする。

 

 が、その前に―――

 

 

 「落ち着いたのなら店の方に戻ろうかの…。セクメトに任せておったがどうせ今日は客来ないじゃろうしな」

 

 

 いつもなら元NPCの住人幾人かがかわるがわる店に来ていたが、来訪者が現れると気を利かせて誰も来ないのだ。

 

 ささっともふキチは自分のステータスと職種を元に戻すと再度二人を連れて転移で店に戻る。

 

 

 「おかえりなさいませ、我らが父よ。本日はどうやら来客は来なさそうです」

 

 

 店に戻るとすぐさまセクメトがもふキチの前に跪き誰も来なかったと報告をする。いちいち跪かんでも家族なんじゃから…と何度ももふキチは言うがなかなか治らないようだ。

 

 

 「ん、店番ご苦労様じゃった。扉の警護は今誰が行っている?」

 

 「はい、現在は愚弟が行っているかと…」

 

 

 もふキチが労い、今扉の番をしているのは誰かと尋ねたら即返答した。彼女の言う愚弟というのはセトのことである。

 

 

 「そうか、ならもう扉の番はセトに任せてお主は休息するとよい。今日はもう下がっていいぞ」

 

 「はっ、承知いたしました。―――が、その前に」

 

 

 セクメトはそう言って増えている客人に膝をつき目線を合わせて挨拶をする。

 

 

 「初めましてだ、お嬢さん。我の名はセクメト。お嬢さんの名を訪ねても?」

 

 「あたしはアリシア。アリシア・テスタロッサです」

 

 

 まだ少したどたどしい喋り方でアリシアは挨拶を返した。

 

 

 「アリシアか。よい名だ…。これからしばらく我のような獣人と会うことになるだろうがどうか怖がらないでやってくれ」

 

 

 そう意味深なことを言ってからセクメトは店を後にした。

 

 

 「さて、それでは席に着いて今後の事でも話そうかの」

 

 

 もふキチは二人をまずテーブル席に着かせ、自分は奥で飲み物を用意する。用意が終わって二人のところに戻るとアリシアにはミルク(無論豊穣の雌牛(グラス・ガヴナン)のやつ)を、プレシアにはジャスミンティーを出す。自分のはコーヒーだ。

 

 

 「で、今後なんじゃが……」

 

 

 そこで一旦言葉を止めるともふキチは伝言(メッセージ)を使い脳内発声でプレシアのみに話をする。

 

 

 『お主の所のクローンの娘は今何歳くらいじゃ?』

 

 『―――っ?!そうよね、貴方も魔導士なら使えて当然だったわね。あの子は…フェイトは今六歳くらいよ』

 

 『ふむ……なら申し訳ないがこちらで一年暮らしてもらうことになるかの』

 

 『一年?!そんなに此処に居たら向こうに残してきた使い魔が―――』

 

 

 一年このリングヴィに暮らしてもらうというとプレシアは慌てた。だがもふキチの言うとおりにすると約束してしまってるのでそうしなければならない。だがそうすると自分の使い魔が…。そこまで思考してふと気づく。

 

 使い魔とのリンクは確かに未だ繋がっているが何かがおかしい。向こうからの波長が凄く遅く感じるのだ。

 

 

 『心配いらんよ。ここでの一年は元の世界では半刻(一時間)程度じゃ。今アリシアは五歳くらいの見た目と年齢じゃろ?ここで一年暮らせばフェイトと双子ということにできる』

 

 『―――そのようね。本当にここは不思議な場所。もしかしてここが約束の地(エルハザード)なのかしら』

 

 

 文献を漁り見つけたその約束の地にいければアリシアを蘇らせられるのではと考えていた。

 

 

 『約束の地なんぞありはせんよ…。あんなもんは人間の欲望や願望が詰まった伝承じゃて』

 

 『でも現にあなたはアリシアを蘇らせてくれたじゃない…。ここがそうなんじゃないの?』

 

 

 そのプレシアの疑問にもふキチは答える。この世界は今の地球から一〇〇年は未来の世界で作られたゲームの世界だということと、自分は死んでこの世界に転生した爺であること。そして転生したが為なのかこの世界が現実になったことなどを話した。

 

 

 『先ほどアリシアちゃんを蘇生させられたのはそのゲームの世界にあった魔法がリアルで使えたからなんじゃよ』

 

 『そんなバカげた話が―――いえ、でも現実にアリシアを蘇らせたあの魔法は私が知るどの形態でもなかった。じゃあ本当に?』

 

 『まあ、お伽噺もええとこな話が本当になってまってるんじゃよなぁ』

 

 

 こうして長時間話しているがアリシアは不思議に思っていない。この間約数秒の出来事であるが、もふキチが思考加速を自分とプレシアにかけていたおかげでもある。

 

 

 「お爺ちゃん、このミルクすごく美味しいね!!」

 

 

 丁度思考加速の効果が切れたところでアリシアが豊穣の雌牛のミルクを飲んで感想を伝えた。だが、少し違和感を感じた。今自分は獣人形態をとっている。獣人の姿でも若々しいはずだ。なのに今この子はなんと言っただろうか…。

 

 

 「アリシアちゃん、なんで儂のことをお爺ちゃんって呼ぶんじゃ?」

 

 「え?だってお爺ちゃんみたいな言葉遣いだし、魂の色がお爺ちゃんぽいなって」

 

 

 魂の色が見える?それに急に流暢に話し始めたのにも驚くが―――。

 

 魂の色を見る能力。それはもふキチにもあった。魂の色で親子関係や親族関係を知ることもできる。もしや蘇生したときにもふキチのその能力がコピーされた?

 

 もふキチは少し疑問に思い自分の魂の色を見分ける能力を発動させる。そしてアリシアとプレシアの魂の色を見比べる。

 

 

 「(よかった…儂の能力は奪われていない。じゃが……)」

 

 

 色を見比べ親子関係もはっきりわかる、だがそれ以上に驚いたことがあった。

 

 アリシアの魂の色が蘇生したときより成長していた。人間の子供にしてだいたい七~八歳ほどに魂が成長していた。

 

 

 「(豊穣の雌牛のミルクの効果かの?出すんじゃなかったわい)」

 

 

 能力のコピー?も疑問だがやっちまったなぁ!!と少し自分で反省しつつ再度思考加速をかけてプレシアに話しかける。

 

 

 『どうやら一年ここで過ごさんでもよくなったみたいじゃ。もうこの子はクローンの子とさほど変わらんくらいになっておる』

 

 『一体どういうことなの?アリシアが急に成長したみたいに見えたけど。それに魂の色がどうとか……』

 

 『儂が出したミルクな?実は伝説級の貴重なミルクだったんじゃよ…それを飲ませたせいじゃろうな』

 

 

 もふキチが詳細に説明をするとプレシアは頭を抱えて「あなたよくおっちょこちょいって言われない?」と言われてしまい「いやあ…ははは」と笑うしかなかった。

 

 

 ※※※

 

 

 ある程度話が終わった後、儂は本題を切り出した。

 

 

 『さて、それで最後の条件だった儂の言うことを聞いてもらう件についてじゃが…』

 

 

 儂は一口自分の為に淹れたコーヒーを飲んでそれを口にする。

 

 

 『恐らく三年後かの?その頃に地球の日本という国にジュエルシードというロストロギアが事故でばら撒かれる。それを集めてほしい』

 

 『何故あなたが…というのは聞かないことにするとして、何故ばら撒かれるのを阻止ではなくばら撒かれた後に収集なのか…』

 

 

 プレシアは当たり前のことを尋ねる。何故知っているのに阻止はしないのか…。それは―――

 

 

 『一言でいえばこれ以上の見たいの改変を防ぐためじゃ』

 

 『未来の改変?』

 

 『そう。儂はのお前さんたちの未来をある程度知っておる。が、儂は今回その未来に介入し改変させてしまった』

 

 

 儂はちらりと今度は普通のオレンジジュースをストローで飲むアリシアを見やった。

 

 

 『これ以上未来を変えるとどうなるかさっぱりわからん。下手をすると世界崩壊―――なんてこともありうる』

 

 

 そう言って儂は本来のプレシアたちのたどる末路を話して聞かせる。そして頼む。

 

 

 『じゃから、お主の所のクローンの子…フェイトちゃんになのはちゃんと競い合ってジュエルシードを集めてほしいんじゃ。そうすれば二人とも成長するでの…』

 

 『―――そうね、私ならそのロストロギアを使えば約束の地へ行けると思い込んであの子に収集させようとするでしょうね…。本当に―――』

 

 

 ―――私はどうしようもない親だわ。―――

 

 

 そう小さく、伝言でも拾えるかどうかの小さな念波が儂に届いた。

 

 

 『もうわかっておろうが、フェイトも間違いなくお前さんの子じゃ。じゃからもうちゃんと家族として接するんじゃよ?一度は愛情を注いだのじゃ。簡単であろう?』

 

 『えぇ、解っているわ。あの子も私の子…。きちんと愛情をもって育てるわ』

 

 

 ※※※

 

 

 その後、もう一度ここに来たいというアリシアの願いでこの世界に通じるポータル…異世界への扉(ワ-ルドドア)無限の背負い袋(インフィニティ・ハヴァサック)にお土産のお菓子と一緒に渡した。無限の背負い袋の能力を聞いたその時のプレシアの顔は少々引きつっていたが……。

 

 三人連れだって、もともと来た時に通った中央神殿の扉に行くとセトがあくびをしながら門番をしていたのを見てもふキチは一発拳骨をお見舞いしていた。

 

 

 「それじゃあ、帰るわ。かえってあの子に謝ってたくさん愛してあげなきゃいけないしね」

 

 「お爺ちゃん、今日は楽しかった!また来るね。今度は妹と一緒に!!」

 

 「うむ、待っておるぞ。今度はケーキでも用意しておくかの?」

 

 

 もふキチがそういうとアリシアはわーい!と喜びながら扉を潜って行った。

 

 

 

 

 

 その後、プレシアがどうなったかといえば―――INNOCENTになったといえばおわかりだろう。




 ということでその後無事に親バカになったプレシアさんでした。

 次来るときはなのはと一緒に来そうだな。フェイトそんもつれて。

 次は誰を召喚しようかな?それではまた次のお話でお会いしましょう。

 See you next story,バイバイ☆
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