今日のお客様は例の彼女です……救ってあげたい!
それではもふキッチン開店です☆
毎度のことながら長くなりそうなので前後編です
冬も近づいてきたころ、車いすに乗っていた少女が家の近くのバス停でバスから降りたところから始まる。
謎の足の麻痺が進行して歩けなくなったが車いす生活にもだいぶ慣れ、家のバリアフリー化も進んで過ごしやすくなっているが両親が他界しておらず、一人孤独に暮らすのに少女は心を痛めていた。
謎の足長おじさんからの援助で生活自体は安定していても、もうすぐクリスマスだというのに一緒に祝ってくれる友人も両親もいない一人孤独な感情に、彼女はくじけかけていた。
だからだろうか…。家の玄関の扉が違うものに代わってる鬼気付かずに開けてしまったのは。
「―――なんや、ここどこや?」
彼女の玄関の扉が異世界へ通じる満月と湖、そして立派な狼のレリーフが彫り込まれた扉を潜って出てきたのは見知らぬ光景だった。
大きな湖にある島の中央に位置しているシコから眺める景色はとてもきれいなのだが……。
そう、彼女は負の感情によって異世界への扉が引かれて出てきてしまいそれを彼女は通ったのだ。
「そこな童女よ、驚いているところ相済まないが少し話を聞いてもよいだろうか?」
急に自分の隣から声を掛けられびくっと身体を強張らせる少女。少しハスキーボイスな声のした方を見るとそこには寒色系の十二単を纏った白い長髪で黒い毛並みの猫顔を持つ人物が立っていた。なお顔には白で隈取されている。十二単を纏っているということは女性なのだろう。
「え?あ…はい」
「素直に話を聞いてくれる子は良い子だ。まずは自己紹介をしようか……。私の名はツクヨミと申す。童女よ、そなたの名を聞かせてはくれまいか?」
少し古めかしい言葉で自己紹介をする猫の人……ツクヨミそう言って車いすの少女に自己紹介を求めた。
「あ、うちの名前は八神 はやていいます。それであの…ここはどこ何でっしゃろか?」
車いすの少女、はやても名乗り終えここはどこなのかと問いただす。
「ここは私たちの父が管理する世界、アームスヴァルトニル湖。その湖に浮かぶリングヴィという島にある町だ。そして申し訳ないが初めてここを訪れたものは父に会っていただかなければならぬ」
表情が変わらず淡々と説明するツクヨミに、はやてはますます混乱する。
ただ自分の家の玄関の扉を額たら何故か見知らぬ場所に出た。何を言ってるのかわからないと思うが(以下略)などと心の中で奇妙な冒険の名台詞を言うはやて。
見た目古風な服装で漫画なんかに出てくる獣人さんのいるところに来たらお偉いさん?に会わなければならないという。一度家に…と一応聞いてみたが帰ってきた言葉は否だった。
ツクヨミの説明するところによると、初めてここを訪れるものは何かしら負の感情を持っているという。だからこそ一旦そのお偉いさんにあって話をしてほしいとのことだった。
カウンセリングみたいなん受けるんか?とはやては思ったがどうしようもなさそうなのでツクヨミの言うとおりにすることにした。
「(漫画とかに出てくる獣人さんみたいやなぁ…。それにツクヨミって……まさか、な?)」
「……ふむ、車いすに乗っておるということは其方歩けぬのか」
「え、あ…はい。足が麻痺しとって歩けへんのですわ」
今いるのは階段があって少し高い場所に位置する。スロープなんてものは無いからこのままでは降りられない。そこでツクヨミが出した結論は―――
「童女はやてよ、すまないが少し失礼するぞ」
そう言ってツクヨミははやての膝の後ろと背中に手を置き、抱き上げた。所謂お姫様抱っこな形だ。
「なっ…なぁ!?」
「童女はやて、そのように暴れられると落としてしまう可能性がある。しばしの間大人しくしてはもらえまいか?」
一瞬のことでパニくって暴れいてしまったはやてだが、すぐにツクヨミの言葉で大人しくする。それを確認してからツクヨミは歩き出した。
「あまり緊張することはない。落としはしないし無理強いをしてるのはこちらだ。安心してほしい」」
「あ…はい…」
人に支えてもらうときや抱き上げられる時、身体を強張らせてると重く感じることがあるのを知っていたはやては何とか身体のこわばりを少なくしようとした。だが逆に緊張して強張ってしまう。
しかし時間の経過とともに徐々に身体の力が抜けていく感覚がした。それはツクヨミから漂う匂いのおかげかもしれない。
「(香木の香りとにゃんこ特有のあの匂いがする…。なんか落ち着くわぁ……)」
気づけばはやてはツクヨミの懐に顔をうずめてスーハーしてしまっていた。
「……童女はやて、そのように吸われると少しこそばゆいのだが」
「―――はっ!えろうすんません、ちょっとええ匂いしてたもんで…」
「私の匂いがいい匂いと言ってくれるのは嬉しいが、吸うのは御免被りたい」
もう一度「すんません」と謝ってしばらく後、二人は目的地へとついた。その場所にはやては驚きの声を上げる。
「え?…食事処……もふキッチン?」
「左様、ここに我らが父であるもふキチ様がおられる。其方にはその方に会ってもらうために足労願った」
「(も…もふキチ?本名なんかそれ…なんか怪しゅうなり始めたで?)」
辿り着いたのは一軒の料理屋で、なんかお偉いさんに会うということで城や屋敷などといった立派な建物に行くのかと思いきやただの店…。
更にツクヨミの説明に不安が押し寄せるはやてだが、車いすは置いてきてるので逃げることもかなわない。なんせ未だにお姫様抱っこ状態なのだから。
「すまないが童女はやてよ、私は両手がふさがっておる。この店の戸を開けてはもらえぬか?」
「あ、はい…」
もうどうにでもなれ精神でツクヨミに抱っこされたまま店の引き戸を開ける。すると―――
「あら、おこしやす~」
と上品な京言葉が返ってきたのだった。もふキチという名前からして男性だと思っていたはやてだったが……。
「おや、姉上。本日はこちらにおいででしたか」
「あら、なんやお客さん……には違わんけど、今日の門回りはヨミちゃんやったんね」
どうやら目当ての人物とは違うようだ。そこには黒い長い髪に純白の毛並みを纏った犬?狼?のこれまた暖色系の十二単を纏っており顔には紅の隈取がされていた綺麗な女性がいた。姉上ということはツクヨミの姉なのだろう…が、ツクヨミは猫系の獣人なのに犬?の姉?
はやてはどんどん頭にはてなマークが増えていった。
「それで初めての来客なのでこちらに赴いたわけですが…父上はどちらに?」
「ああ、あの人な、いまちょぉ出かけてはるんよ。そろそろ戻ってきはると思うけど……」
ツクヨミの姉?がそう言った側から店の奥の方で「今戻ったぞ~」と若い男性の声が聞こえてきた。そして奥から出てきたのは青銀の長髪にこれまた純白の毛並みを纏ったやはり犬か狼かわからない和服割烹着の男性が出てきたのだった。
※※※
「旦那様、おかえりやす」
「ああ、今戻ったんじゃが……(今度は八神 はやてが来たか…まあ、なのはちゃん来たんだからそりゃそうじゃよなぁ)」
店の中の人物を見て儂は小声でぼやく。鑑定で人物の詳細を満たし間違いなく【闇の書】であり【夜天の書】の主、八神 はやてで間違いない。それも覚醒間近の…。
まぁた厄介ごとかと心の中でため息をしつつも、抱っこしたままのツクヨミに言ってテーブル席の椅子に彼女を座らせるように言う。
「さて…まずは自己紹介と行こうかの?儂の名前は如月 凰翔。ここではもふキチで通っておる。なので呼ぶときはもふキチと呼んでおくれ」
はやてちゃんいにささっとはちみつレモンのホットを出し自分もはやての前に座り自己紹介をする。どうも緊張と混乱で大分固まっとるようじゃから優しく。
「で、こっちの白いのがアマ……いやみゆきで、儂の連れ合いじゃ。そっちはもう知っとるな。ツクヨミじゃ。ここではこういう
一瞬アマテラスと紹介しようとしたときにみゆきからさっきが飛んできたのでさくっと修正して紹介する。儂の連れじゃし、やはり本当の名前で紹介してほしかったんじゃろ。
そんでもってこの世界…アームスヴァルトニル湖と儂のことをかるぅく説明する。元ははやてちゃんたちの時代から一〇〇年以上未来の世界の元はゲームだったこと。そこに儂が死んで転生したことなど。話の途中で「テンプレか!?」とツッコミが入ったが、まあ伝わったじゃろ。
まあ、そういう小説が流行っとった時代じゃからツッコミは入るわの。
「えっと?話をまとめますと荒廃した世界になったこの地球の未来のゲームで遊んどって、一〇八歳まで生きて大往生したかと思たらゲームの世界が現実化ゲームのキャラに転生して、さらに世界の狭間にここは存在しとると。でお隣のみゆきはんはもふキチはんの実の妻でそっちも転生しとった。さらにアマテラス神…。で、うちを連れ来てくれはったツクヨミさん……様もマジで神様やってことでおうてます?」
説明したことを自分なりにかみ砕いて確認してくるはやてちゃん。儂はそれに「うむ、そうじゃ。テンプレじゃ」と返しておく。
それに対してはやてちゃんは「はぁ…なんか頭痛ぅなってきたわ」と頭を抱えだす。夢だったらどれほどよかったのう?
「そういうことじゃの。まあテンプレといえばテンプレじゃよ」
「ラノベとかでよう見かけるけど…まさか自分が体験するとは思わんかったわ…」
「それと童女はやて、私に「様」付けはしなくてよい。私は確かに姉上と同じくして神ではあるがここではただの父上の家族だからな」
最後にツクヨミが「様」付けやめろと言って、いったん小休憩することにした。
まあ、まだまだ説明背にゃならんしの?―――とういうわけで次回に続くんじゃよ(メタ発言止めれ)
⇦To be continued(例のギターかき鳴らすBGMと共に)
というわけでおっぱい魔人()はやてちゃん回前編です。はやてちゃんお明日はどっちだ?!
というわけで続きは次回…それではまたお会いしましょう。
See you next story,バイバイ☆