※ネタバレ注意⚠️
チェンソーマン漫画版を読んだ上でこれをお勧めします。
小説の執筆は初心者ですので、幼稚な文章であることをお許し下さい。
「俺ァ、一体いつまでこんな日々過ごさなくちゃいけねぇんだ…?アキもパワーもナユタもみぃーんないなくなっちまった…ただ普通の生活をしてみたいって願ってただけなのにこんなんなっちまって…遂に俺ァ1人になっちまった…」
デンジの涙袋には溢れんばかりの涙が浮かんでいた。
暫く感傷に耽った後、少し落ち着いたデンジはふと思い出す、あの女の子の名前を。
「レ……ゼ…レゼ…レゼ…!そうだ、あれからメチャクチャな事ばかり起きて思い出せなかったけどよ、俺ァマキマさん以外にも好きな人がいたんだった…!レゼは俺が今会いに行って喜んでくれるのかな…」
レゼとの学校、レゼとのプール、レゼとの祭り、レゼの自分に見せてくれた笑顔。演技であったけど、何度も殺されそうになったけど、あの記憶はデンジには深く、深く記憶に刻まれていた。
デンジはレゼとした思い出を振り返り、服の胸部を強く握った。
「レゼに会いてぇ…けど、何処にいるか全くわかんねぇ…どうすりゃ良いんだ…」
デンジは小さい脳みそをフル回転させた後、
「そう言やぁ、レゼは『田舎のネズミが好き』ってぇ言ってたよな?だから、俺のなけなしの全財産を持って田舎の場所へ手当たり次第行けば見つかるかもしんねぇ…バカみてぇだけど、それしか方法がねぇもんな…」
そう言うと、デンジは重い体を何とか動かし、準備をして駅へと一歩一歩足を踏み出した。
「確かフタミチってとこでレゼが働いてたんだよな…まずはそこに行ってみるっきゃねぇーな…」
そう言うと微かな記憶を頼りに何とか二道へと辿り着いた。デンジは二道の店が見えた途端、足元をおぼつかせながらドアの前に向かった。
恐る恐るゆっくりとドアを開いた時、テーブルの方から
「まぁ〜た来たの?笑 ココ、毎日行きたくなるほど美味しい店でもないのに…本当、デンジ君はバカ舌ですね」
という声がした。すぐ横を見ても誰も座ってなどいなかった。
その後、扉の奥で休憩していた店主が戻ってきた。
「おや、デンジ君じゃないか!久し振りだねぇ、調子はどうだい?」
デンジは虚しい気持ちになったが、少しして正気に戻り、
「うっす、コーヒー一杯いいすか」 「はいよ」
テーブルに置かれたコーヒーを飲む。
「甘ぇ…店長、なんでコーヒー甘くしたんすか?」
「デンジ君の様子を見る限り、何か辛い事があったんじゃないかなと思ってね、だから、甘いものを飲めば、少しは心が安らぐと思って入れたんだよ。嫌だったら全然砂糖なしのコーヒーと変えるよ?」
「いや、甘いのでいいっす」
デンジはコーヒーをボーッと眺めていると、ふとコーヒーに波紋が現れた。
「デンジ君、大丈夫かい!?そんなに悲しい事があったのか…なら、僕に悩みをいってくれないかい?相談に乗るよ」
「実は──」
デンジは店主に今までの出来事を話し、店主は暖かい目でずっと聞いてくれていた。ずっと溜め込んでいた辛い事を沢山吐き、店主は色々励ましの言葉を掛けてくれていたと思う。気持ちが落ち着いた後のコーヒーは緩くて少ししょっぱかった。
少し前まで重かった足取りが今では少し軽くなった気がした。デンジは店主にお礼を言ってまたゆっくりと歩み始めた。
「少しスッキリした気がするけど、まだ心ん中がモヤモヤして気持ち悪りぃ」
駅にたどり着いたデンジは慣れない地図を見て一生懸命考えながら、レゼのいそうな場所を手当たり次第探して行った。
だが、探し始めて4時間、夕方に差し掛かる頃であるが、全く成果はなかった。空腹で悶え◯にそうだったが、お金はそう持っていないため、食事は我慢していた。
「腹減ったぁ…けど、金があんまりねぇから買いたくても買えねぇ…いつ見つかるかもわかんねぇから金は節約しねぇとな…」
夜になると捜索は困難であるため、あと一つの駅で打ち切りにし、何処かで野宿する事にした。
「もう、無理なんかなぁ。でも、一生会えないかもしれねぇって思うと何かすげぇ胸が苦しくなる…クソッ、会いてぇ…レゼの微笑んだ顔が見てぇ…」
顔を見たくて言葉にならない苛立ちが胸を焼いた。
その頃、電車は最後の駅へと着実に向かっていた。デンジは背中を照らしてきた夕日をボーッと眺めていた。その時、遠くで歩いている女子校生らしき人物が歩いているのが見えた。薄っすらと服が制服っぽく見えるぐらいで殆ど分かるはずが無いのだが、デンジは自分の直感が彼女をレゼだと言い張っていた。デンジは電車の扉が開いた瞬間勢い良く飛び出して改札口を出た。
「レゼ…レゼ…レゼ‼︎‼︎」デンジは無我夢中で、途中途中ふらつきながらも走り続けた。女子校生は遠くからデンジが走ってくるのを見て動きが止めた。
デンジはヘトヘトになりながらも女子校生の元に辿り着き、疲れ果てた体を起こして見上げると目の前に目を見開いて驚いているレゼがいた。
「デ、デンジ君…?何で…私がここにいる事分かったの…?」
レゼがそう言うとデンジは息を切らしながら、
「ハァハァ、そんなの気合いで、ハァハァ、見つけたに決まってんだろ?」
デンジはとても無邪気な笑顔でそう答えた。
「デンジ君って、ほんとバカだよね…」
額にツーっと涙が落ち、声は少し滲んでいた。
「でも、会いに来てくれてありがとう」
彼女が見せた笑顔は夕日でより一層眩しく見えた。
「ウルトラミラクル超くそカワイイ…」
「アッハハ、こう言う時にふざけないでよ〜」
「あ!そうだ、俺あれからテレビにも出てすげぇ活躍してんだけどよぉ、レゼは知ってるか?」
「ごめん、私テレビ最近見れてなかったの。勉強頑張っててさ」
「(そっか、レゼ高校生だったもんな…)俺もあれから高校行くようになったんだぜ!?すげぇだろ!」
彼女は少し驚いた様子を見せたが、直ぐにニヤついた顔になり、
「どうせ、授業中は寝てるでしょー?そんなんじゃ学校に行く意味無いですよ〜」
と嘲ると
「い、良いだろ別にィ…でも何かしら意味はあるッ‼︎」
と自信満々にデンジは答えた。それにお互い堪えきれずに笑ってしまった。
「俺さ、今最っ高に幸せかもしんねぇ‼︎」
「ふふっ、そうだね!」
グゥゥゥゥゥゥ‼︎
「あぁ〜、今日まともに飯食ってねぇから、安心した途端すげぇ腹減ったぁ…」
「私もお腹空いてきたし、あそこにあるレストランにでも行こうよ!」
「外食なんて滅多にしねぇから楽しみだなぁ〜」
と子供みたいに笑うその横顔にレゼは少しドキッとしていた。
「あのさ、デンジ君、前みたいに手…つ、繋がない…?」
レゼが少し恥ずかしそうに尋ねる仕草にデンジも心を奪われて「ひ、ひゃい…」と情けない返事をしてしまった。
-夕食後-
「ご飯奢ってくれて助かったぜ。今全然金持ってねぇからよ」
「それは…全然良いよ!」
「もう空も暗いし、そろそろ寝床探すか…今日はありがとな!」
明日でも明後日でもいつでも会えるようになった筈なのにどうしても今のこの上なく幸せな時間にもう少しだけ浸っていたいとレゼは感じていた。
「あ、あのさデンジ君。その…今日私の家に泊まってかない?もう暗いしさ、ホテルに泊まれる程の充分なお金は持ってないでしょ?」
「んぁ?えっ?い、良いんすか!?」
-レゼの家へ-
「(好きな人の家に入れるなんてこんな良いこたぁねぇだろ…やべぇ何かソワソワしてきた…)」
「デンジ君先にお風呂入って良いよ」
「お、おう」
あれから2人共お風呂に入った後、リビングに対面で座った。
「ごめんね〜、私アパートだからちょっと狭くてさ」
「いや、それは良いんだけどよ、レゼはさ、俺がフタミチの店で待ってた時、何で来てくれなかったんだ?俺完全にフラれたって思ってたけど、今のレゼ見てそうは思えなくなってよ」
レゼはその話を聞いた途端、とても言いにくそうな表情をしていた。
「あのね、本当はね。私、あの時デンジ君と一緒に逃げようって決めたの。だけど、マキマに捕まえられちゃって結局無理だったんだ…」
レゼはその記憶を思い返して目が潤んだ。故意ではないが裏切ってしまった事、結局マキマから解放されてもデンジの元へは行かずひっそりと田舎で暮らしていた事への罪悪感からただひたすらに「ごめん、ごめんね…」と言い続けるしかなかった。
「(女の子が泣いてる時ってどうすりゃ良いんだ…?あ!ナユタにした事と同じ事すりゃ良いじゃねぇか!ナユタは女だし、レゼも女だからな。ハグすりゃ良いんかな…でも、どうしても自分から手出せねぇ…いや、やるしかねぇ…!)」
そう心の中で呟くとデンジはゆっくりと慎重にレゼの背後にまわった。
「(心臓バクバクなるぅ……あぁぁぁぁ!もうやるぜ!?俺は!?)」
デンジは覚悟を決めてレゼの身体を優しく抱き込んだ。すると、レゼは何が起こってるのか理解ができず、涙も一瞬のうちに止んだ。
「な、何してるの?」
レゼの戸惑っている様子にデンジは、
「た、確か相手が辛れぇ思いしてる時はハグするのが良いって聞いた事があるんだよ、それにさっきからずっと謝ってるけど、俺は別になんも気にしてねぇぜ」
デンジのその行動と言動にさっきとは違う涙を見せた。
「ありがとう、もう少しこのままいさせてもいいかな?」
「あ、あぁいいぜ!」
-数分後-
「デンジ君ってほんっと面白いし、優しいよね。どうしてそこまでしてくれるの?」
この時のレゼの話し方はとても暖かくて柔らかくて心地良かった。
「そりゃ、レゼだから!」
「アッハハハハ、アハハ、何じゃそりゃ!アハハ」
あれから、デンジは緊張感や集中力が抜けたせいかレゼに抱き付いたままぐっすり眠っていたと翌朝にレゼに聞かされた。
「もう、あの状態で寝るんだから、ソファに乗せるの苦労したんだぞ〜?てか、あれだけ強引に引っ張ったのに起きないなん……うんん、やっぱ何でもない。てかそう言えば今日さ、日曜日だから何処か出掛けに行かない!?」
「行きまぁす‼︎」
デンジとレゼはショッピングモールにやって来て、レゼは良さそうな服を見つけては試着してデンジに見せてくれた。
「どう!?似合ってるかな?」 「クソ可愛い!」
「これは!?」 「超可愛い!」
「これも似合うかな?」 「超クソ可愛い!」
「も〜可愛いしか言わないじゃん‼︎」
「だって可愛いもんは可愛いじゃねぇか!」
デンジにそう言われるとレゼはとても照れ臭くなった。
長い買い物が終わると今度はデンジの提案で水族館へ行くことになった。
「俺ァまずはペンギンが見てぇな」
「え、ペンギン可愛いもんね!見に行こう!」
デートをしている内に段々2人の距離が縮まり、最終的にはレゼがデンジの腕に抱き付くようにして歩くようになった。
「サメでけぇなー…」
「やっぱり迫力あるよね。………ねぇ、デンジ君。」
「んぁ?」
「今度は…イルミネーションのある場所行こうよ。時間も丁度いいし。」
イルミネーションのある場所へ来て見栄えの良いベンチに2人は腰を掛けた。
「イルミネーションってこんな感じかぁ」
「綺麗でしょ?」
「あぁ」
暫く眺めながら沈黙が続いた後、
「ねぇ………こっち見て」
「ん?」
デンジがその言葉に反応して横を向いた瞬間、何かがデンジの顔の近くに迫って来た。何かが唇に触れた。何かが口の中に入って来た。デンジはあまりの気持ち良さに何も考えられなかった。
口付けをした後、ふと目を開けると目の前には死ぬ程可愛い上目遣いをするレゼが頬を赤らめながらこちらを見ていた。
恋愛について無頓着なデンジでも理解した。これは本気で惚れているのだと。
「何か、まるでこの世界で2人だけみたいだね…」
と妖艶な笑みをこぼしながらそう言い放った。デンジはその顔を見た瞬間、今まで感じたことが無いほどの背筋を這うような快感に襲われた。
この瞬間を彼が忘れる事は決してないだろう。
そして彼女も初めて演技ではなく本当の自分を引き出してくれた彼を決して離すことはないだろう。
おしまい
この小説の続きをいつかまた作ろうと思います。