本当に励みになります!
―朝。
カーテンのすき間から光が差しこみ、
部屋の中をゆっくり照らしていた。
保護施設の一室、静かな寝息。
ベッドの上でデンジは、顔を半分枕に埋めて寝ていた。
寝ぐせは爆発、毛布は床に落ちている。
「……肉……タダ、大量」
ドアが静かに開いた。
レゼが顔をのぞかせ、そっと近づく。
「デンジ君、起きて。」
静かで優しい声。
「今日は試験あるでしょ? 雄英高校の。」
「……んぁ……今日だったっけ……?」
「そう。今日だよ。」
レゼが毛布をめくる。
「ほら、起きて。朝ごはん冷めちゃうよ。」
「……五分……いや三分……。」
「ゼロ分。」
「地獄かよ……。」
――食堂。
デンジは寝ぼけたまま椅子に座り、
白飯と味噌汁と卵焼きを前にしていた。
レゼが手を合わせて言う。
「いただきます。」
「……いだだだだきま……す……。」
デンジは箸を持ち、勢いよくかきこむ。
「……うめぇ……。」
「早起きしてよかった、でしょ。」
レゼがくすっと笑いながら、
デンジの頬をじっと見つめる。
「……デンジ君。」
「ん?」
「ここ。」
レゼが身を乗り出して、
デンジの頬についたご飯粒を指で取る。
その仕草は、驚くほど自然で、優しかった。
デンジは箸を止め、固まったまま赤くなる。
「……お、おい……顔近ぇ……!」
「はい、取れた。」
レゼは微笑んで、そのままご飯粒をぱくりと食べた。
「無駄にできないもんね。」
「お、お前……そんなこと普通しねぇだろ……!」
「デンジ君だからいいの。」
「……それ一番照れるんだよな……。」
「顔、また赤いよ?」
「うるせぇな!」
デンジは勢いよくお茶を飲み干し、
茶碗の残りを一気にかきこんだ。
「ふぅ……限界まで食った……これで動けるぜ……。」
「食べすぎて走れなくならないでね。」
――洗面所。
デンジが歯ブラシをくわえながら鏡の前に立つ。
寝ぼけ顔のまま、ぐるぐる口を動かす。
レゼが後ろから近づき、鏡越しに笑う。
「ほら、じっとして。」
「ん? なんだ?」
レゼの指先がデンジの髪に触れた。
水をつけて、寝ぐせを手ぐしで直していく。
朝の光の中で、鏡越しに二人の視線がふっと合った。
デンジは思わず動きを止めた。
歯ブラシをくわえたまま、
少しだけ頬を赤くして――視線をそらす。
「……おい、そんな近づくと……磨けねぇじゃん。」
「動かなければ磨けるでしょ。」
「……いや、そういう問題じゃねぇ……。」
「じゃあどんな問題?」
「……なんか、近ぇ。」
「近くなきゃ髪、直せないよ。」
「……そりゃそうだな……。」
レゼがクスッと笑う。
「はい、これでよし。……ちょっと寝ぐせ残ってるけど、それもデンジ君っぽいね。」
「どのへんがだよ。」
「うまく整わないところ。」
「……悪口じゃねぇか。」
「褒め言葉。」
デンジは頬をかきながら、鏡越しにぼそっと言った。
「……ありがとな、レゼ。」
「どういたしまして。」
「……なんか、変な感じだな。」
「何が?」
「オレ、こうやって人に髪直されたの、たぶん初めてだからよ。」
「ふふ、じゃあ“初めて”記念日だね。」
「そういうの照れるからやめろ!」
「顔、赤いよ?」
「うるせぇな!」
――その瞬間。
バァーン!!!
「チェンソー様ァァァァァ!! レゼ様ァァァァァァ出発の時間!!!」
ビームがドアを全力でぶち開けて突入してきた。
「うおっ!? びっくりした!」
レゼは笑いをこらえながらタオルを差し出す。
「デンジ君歯磨き粉、口についてるよ。」
「サンキュ!」
ビームは跳ねるように叫ぶ。
「今日はチェンソー様の伝説の日!!伝説!」
「伝説とかいらねぇ! 試験できりゃ十分だ!」
「チェンソー様は無敵!!!」
「うるせーぞビーム!!!」
レゼは肩を震わせて笑った。
「ふたりとも、ほんと元気だね。」
「朝からビームがうるせーんだよ」
外では根津校長が待っていた。
「準備はできたかい?」
三人が並ぶ。
デンジ、レゼ、ビーム――それぞれ違う光を持っていた。
「チェンソー様、レゼ様、ビーム準備万端!!!」
「いい返事だね!」根津が微笑む。
「今日の試験は君たちの“始まり”だ。
結果ではなく、自分の力を知ることを恐れずに。」
デンジが拳を握る。
「……なんか知らねぇけど、行ける気がする。」
レゼが小さく笑って言う。
「うん、一緒に頑張ろうね!」
ビームがデンジの横で叫ぶ。
「チェンソー様、レゼ様ならいけます! 絶対! 絶対!」
「耳元で大声出すなビーム!」
三人の声が、朝の光に溶けていった。
試験まで突っ走る予定が、まさかの風邪でダウンしました…
回復したらすぐ続き書きますので、少しだけお待ちください!