その「しつけ」、ポケモン用です   作:マウスブン

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今まではマイルドでしたが、ここからはプレイが肉体的、(特に)精神的に少しハードになります。ご了承ください。調◯ものだから。


タウニー5 泥棒

タウニーはホテルZの自室のベッドの上で、無意識に自分のお腹を撫でていた。あの夜。キョウヤの部屋で契約として始まった、毎晩の「教育」。借金取りの怖さを教えるという名目で、彼の手が私のお腹を撫で回した、あの感触。最後にはお腹に名前を書かれ、それを消されるという屈辱的だが抗いがたい快感を刻み付けられた。

 

だがそれも借金を完済したあの日で終わりを迎えた。もう毎晩21時に彼の部屋を訪れる口実も、彼に「教育」される理由もない。

 

日常が戻ってきた。……戻ってきた、はずだった。

 

「……ん」

 

タウニーは自分の指先で、あの夜キョウヤがなぞった場所を辿ってみる。だが何も感じなかった。いや皮膚が擦れる感触はある。だがあの体の芯が痺れ思考が溶け出すような強烈な快感は一切訪れない。

 

「……ちがう」

 

ぽつりと、不満の声が漏れた。キョウヤの指が触れた時あんなに感じていた自分の体が自分の指にはまるで無反応だった。あの快感を知ってしまった体はもはや生半可な刺激では満足できなくなっていた。

 

タウニーは苛立ち紛れにベッドから起き上がるとシーツを乱暴に整えた。

「ああもう…こんな時は仕事、仕事!」

 

リーダーとしてホテルZの従業員として、やることは山積みだ。あんな男のことなど考えている暇はない。タウニーは自分にそう言い聞かせると、清掃用のカートを押して、廊下へと出た。

 

今日の割り当ては二階のフロア。その中には当然、キョウヤの部屋も含まれていた。

 

コン、コン。「清掃でーす」

返事はない。最近彼は日中、任務か何かでホテルZを空けていることが多いようだった。タウニーは合鍵でドアを開け、手際よく清掃を始める。

 

バスルームを片付けゴミをまとめ、そして最後にベッドメイキング。彼が使っていた古いシーツを剥がし持ち上げた、その瞬間だった。

 

ふわり、と。シーツからあの夜に嗅いだ匂いが、タウニーの鼻腔をくすぐった。

 

「……!」

 

キョウヤの匂い。あの「教育」の夜彼に組み敷かれ、耳元で囁かれた時に感じた彼の匂い。タウニーの心臓がドクン、と大きく跳ねた。

 

(……これ……)

 

タウニーは一瞬、周囲を見回した。もちろん部屋には誰もいない。廊下にも人影はない。彼女の頭の中で理性が「ダメだ、これはホテルの備品だ」と叫ぶ。だが彼女の本能がその匂いをもっと嗅ぎたいと絶叫していた。感情が暴走し止まらない。

 

(…掃除の取り換えだからバレないよね…)

 

タウニーは新しいシーツを素早くベッドに敷くと古いシーツを清掃カートの奥、他の洗濯物とは別の自分の私物が入ったバッグの中へと素早く押し込んだ。心臓がまるで悪いことをしている時のように、バクバクと音を立てている。

 

 

 

 

その夜。タウニーは自室のドアにしっかりと鍵をかけたことを確認すると、ベッドの上に持ち帰ったシーツを広げた。

 

「……はぁ……」

 

そのシーツに顔をうずめる。洗濯される前のキョウヤの匂い。濃くはない。だが確かに彼の存在を感じさせる残り香が、彼女の脳を麻痺させていく。

 

(……キョウヤの、匂い……)

 

この匂いに包まれて彼は毎晩眠っていた。この匂いの中で私は彼に「教育」された。

 

タウニーはシーツを抱きしめるようにしながら、おずおずともう片方の手を自分のお腹へと伸ばした。そしてあの夜の彼の手つきを思い出しながら、ゆっくりと自分の肌を撫で始めた。

 

「……ん……っ」

 

シーツ越しに吸い込むかすかなキョウヤの匂い。それが引き金になった。何もない時とは、違う。匂いが彼の存在をすぐそばに連想させる。目を閉じれば彼の手が今、自分に触れているかのような錯覚。

 

「……ぁ……ふ……」

 

タウニーはシーツに顔をうずめたまま小さく喘いだ。今までで一番あの夜に近い感覚。だが――。

 

「……足りない」

 

快感の波が引いていくと残ったのはどうしようもない虚無感だった。匂いだけだ。あの肌をなぞる指の熱も、時折意地悪く力を込める圧力も、そして何よりあの私を支配する冷たい声もここにはない。シーツの匂いはタウニーの渇望をわずかに潤したが、同時に本物への渇望をより一層強く掻き立てる結果となった。

 

 

 

 

それから数日が過ぎた。シーツの匂いは日を追うごとに薄れていく。タウニーのイライラは募る一方だった。

 

そんなある日。タウニーは、再びキョウヤの部屋の清掃に入っていた。彼は今日も不在らしかった。

 

(……最近、全然顔、合わせないし)

 

リーダーとして少し気にはなる。マチエールの所に通っているのも知っている。だがそれ以上に、タウニーの意識は別のものに奪われていた。

 

「……あ」

 

彼女の視線がベッドの横に置かれた椅子に釘付けになった。そこには彼が脱ぎ捨てたのであろう、一着のシャツが無造作にかけられていた。彼が昨日、団のミーティングで着ていたものだ。

 

シーツよりも遥かに強く濃く、彼の匂いが染み付いているに違いない。

 

ごくり、とタウニーの喉が鳴った。これは備品じゃない。彼の完全な私物だ。バレたらただのいたずらでは済まされない。窃盗だ。

 

だが。脳裏をよぎる、あの足りないという焦燥感。

 

(……誰も、見てない)

 

タウニーは弾かれたようにドアを開け、廊下を左右、素早く確認した。人影はない。

 

彼女は部屋に戻るとそのシャツを素早く掴み取った。そしてホテルの従業員用の上着の内側に、それを隠し込む。シャツに残るかすかな体温。

 

タウニーは他の清掃もそこそこに足早に彼の部屋を出た。

 

自室に戻り鍵をかける。タウニーは盗み出したシャツを、まるで宝物のように取り出した。そして恐る恐る、その顔に押し当てる。

 

「――――っ!!」

 

シーツとは比べ物にならない。濃密なキョウヤ本人の匂い。まるで今、彼に抱きしめられているかのような、強烈な錯覚。

 

「……はぁ……っ、キョウヤの、匂い……!」

 

タウニーはそのシャツを強く抱きしめたまま、ベッドに倒れ込んだ。もう我慢はできなかった。彼女はシャツの匂いを深く、深く吸い込みながら、自分のホットパンツの縁に震える指をかけていく。シーツの時よりも遥かに満たされた熱い吐息を漏らしながら。

 

 

 

 

数日後。ホテルZのラウンジは、復興作業員や街の住人たちでごった返していた。MZ団の拠点でもあるこのホテルは、今やミアレシティの復興の最前線基地となっていた。私はその喧騒の中、一人でコーヒーを飲んでいたタウニーの姿を見つけた。

 

「タウニー」

 

声をかけると彼女はビクッと肩を震わせ弾かれたように私を見た。あのシャツを盗み出して以来、彼女は私と顔を合わせるのをどこか避けていた節がある。

 

「きょ、キョウヤ……。な、なによ」

「MZ団としての仕事だ。少し付いてきてほしい」

 

リーダーである彼女へのAランクトレーナーからの業務連絡。

その口実にタウニーは「え……」と戸惑いながらも、断る理由はなかった。

「……わかった。どこ行くの?」

「こっちだ」

 

私はそれだけ告げるとラウンジを後にしエレベーターホールへと向かった。タウニーはまだ怪訝そうな顔をしながらも、慌てて私の後をついてくる。

 

だが私がエレベーターを降りて向かった先を見て、タウニーの足がわずかに止まった。Aランクトレーナー専用フロア。そして私室である「202号室」のドアの前。

 

「……キョウヤ? 仕事って……」「ここでやる」

 

私はカードキーでドアを開けると先に部屋へと入っていった。タウニーは一瞬ためらった。

(……キョウヤの、部屋)

 

あの「教育」が行われた場所。そして自分がシーツとシャツを盗み出した因縁の場所。久しぶりにこの部屋で私と二人っきり。その事実にタウニーの心臓が期待と恐怖でドキドキと早鐘を打ち始めた。

 

「……失礼します」

彼女はまるで初めて昇格試験を受けに来た時のような、緊張した面持ちで部屋へと足を踏み入れた。

 

部屋の中はいつも通り整然としている。だがタウニーには分かった。自分が盗み出したシャツが置かれていたはずの椅子が空になっていることに。

 

「……それで、どうしたの? 仕事って……」

 

タウニーが必死に平静を装って尋ねた、その時だった。彼女の背後でカチャリ、と。無機質な金属音が響いた。

 

「え……?」

振り返ると、私が部屋の鍵を、内側からロックしたところだった。

 

「キョ、キョウヤ? なんで鍵……」

「まあ、座ってくれ」

 

私は彼女の疑問には答えずデスクの椅子を指差した。タウニーはその有無を言わせぬ圧に何も言えずにこくりと頷くと、言われるがままに椅子へと腰掛けた。

 

私はその椅子に座る彼女の前に、ゆっくりと立った。逃げ場のない密室。支配者と被支配者。あの「教育」の夜と、まったく同じ構図。

 

「……さて」

 

私は彼女を見下ろしたまま切り出した。

 

「最近この部屋に泥棒が入っているみたいなんだ」

 

「―――っ!」

 

タウニーの体が凍り付いた。背筋を冷たい汗が流れ落ちる。(……なんで)バレた? いやそんなはずは。

 

「ど、泥棒……? そ、そんな……気のせいなんじゃないの? ちゃんと施錠してた?」

 

タウニーは必死に言葉を絞り出した。声が上ずっていないか、それだけを気にする。だが私は彼女のその弱々しい否定を静かに首を振って遮った。

 

「そんなことはない。施錠は完璧だ。……だが物が無くなっている」

 

「……」

タウニーは、もう何も言えなかった。顔が真っ青になっていく。

 

私はそんな彼女の様子を冷静に観察しながら続けた。

「しかも、その泥棒は、金品には一切手をつけない」

「……」

「ただ……男物の衣服だけを盗んでいく、変態だ」

 

変態。その一言がタウニーの胸に突き刺さった。

 

(バレてる……!)

 

動揺。混乱。恐怖。シーツとシャツに顔をうずめ自分の肌を撫でていた、あの倒錯した姿を見られた?いや、いつ?どうやって?

 

私はガタガタと震え始めた彼女に、ゆっくりと一歩、また一歩と迫った。椅子に座る彼女の目の前で立ち止まり、その顔を覗き込むように、深く身を屈める。

 

吐息がかかるほどの距離。あの「教育」の夜と同じ、冷徹な捕食者の目。

 

「……なあ、タウニー」

 

私は囁いた。

 

「その泥棒は、服は盗めるのにその本人には何も求められない…臆病な泥棒だ」

 

 

 

 

タウニーは椅子に座ったまま、ガタガタと震えていた。真っ青な顔。恐怖とすべてを見透かされた羞恥。そしてほんのわずかな……期待。私はそんな彼女の揺れ動く瞳から一切視線を逸らさなかった。

 

「……」

 

私の指がゆっくりと伸びていく。タウニーはその指が何をしようとしているのかを理解しビクッと身を固くした。

 

ピシッ。

 

指先が彼女のへそ出しのトップスの隙間から覗く柔らかいお腹を軽く、しかし鋭くはじいた。あの「教育」の夜を思い出させる、支配の合図。

 

「あっ……!」

 

タウニーが小さな悲鳴を上げる。

 

「言いなさい」

 

私は彼女に冷たく命令する。

「誰が、盗んだ?」

 

「……っ、……」

タウニーは唇をきつく結び最後の抵抗を試みる。だが私の射貫くような視線に、そのプライドも長くは持たなかった。

 

「……わたしが」

 

彼女は震える声で絞り出した。

 

「……私が盗みました……」

 

その言葉を聞き私はわざとらしく、深いため息をついてみせた。

「はぁ……そうか。やっぱり、タウニーだったか」

 

私はゆっくりと立ち上がり失望したかのように部屋を数歩、歩いてみせる。

 

「……信じられないな。MZ団の一員であるばかりか、そのリーダーであるタウニーが仲間の部屋に忍び込む泥棒で、しかも男物の服を盗む変態だったとは」

 

「ち、違う……! 変態じゃ……!」

 

「じゃあ、あれで何をしていたんだ?」

 

「う……」

タウニーは言葉に詰まる。シーツとシャツの匂いを嗅ぎながら自らのお腹を撫でていた姿。それを「変態」と言われれば、返す言葉などあるはずもなかった。

 

私は絶望に顔を歪める彼女に再び向き直った。そして二つの選択肢を与える。

 

「さて、泥棒リーダー。タウニーに二択をやろう」

 

私は人差し指を一本立てる。

「一つは、盗んだ服をすべて返却し、もう二度とこんな馬鹿な真似はしないと、私に誓う。それができたら、このまま静かに部屋に帰してやる」

 

タウニーがごくりと喉を鳴らす。それが彼女にとって「正しい」選択であることは分かっていた。

 

だが私は悪魔のように二本目の指を立てた。その口元には明確な笑みが浮かんでいる。

 

「もう一つは……」

「服はくれてやる。その代わりに私からの『教育』を、今から受けること」

 

「……!」

 

「さあ、どちらが良い?」

私は彼女に選択を迫った。

 

タウニーは顔を真っ赤にして俯き全身を小刻みに震わせている。

帰るか、あるいはあの屈辱的で甘美な「教育」を再び受けるか。

 

「……」

 

数秒の沈黙。やがてタウニーは、消え入りそうな小さな声で呟いた。

 

「……きょ、教育……が、良いです……」

 

私はわざと聞こえないふりをして耳に手を当てた。

「ん? なんだって? 声が小さくて、聞こえないな」

 

「う……っ!」

タウニーは屈辱に顔を歪ませた。だが彼女はもうあの快感と支配を再び求めていた。

 

彼女は顔を上げ潤んだ瞳で私を睨みつけ……いや懇願するように見つめると、先ほどよりも大きな震える声で叫んだ。

 

「……っ、教育、してください! お願いします!!」

 

その言葉を聞き私は心の底から満足し、ニンマリと笑った。

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