ージュラの大森林シス湖ー
リムルは、蜥蜴人族と対豚頭帝の為の共闘関係を結ぶためにソウエイを使者に送った。
ソウエイがどんな交渉を行ったかは不明だが、蜥蜴人族との同盟を締結する事に成功した。そして、蜥蜴人族は豚頭族との戦いの為に自分達の領域で豚頭族食い止める為、リムル達が出向く事になった。
そこで、新たな武器と防具を作成する事になった。リムルは打刀とサイズの伸縮が可能な地獄蛾の糸で作られた服。
ベニマルは太刀と真っ赤な着物に獅子の様な飾りがある服。
ソウエイは長刀二刀と正に忍者と言っても過言ではない青い服装。
シオンはとても巨大な太刀と紫色のスーツだ。
ハクロウは白装束の動きやすい服に打刀だ。
因みに、はみはみの装備であるマナタイトが込められた魔法の杖と紅魔族の衣装は共に伝説級である。
装備を整えたリムル達は豚頭帝討伐に出向く事になった。勿論、はみはみも立候補…しなかった。理由としては、『この世界と私の世界の豚頭族は違うとは言え生理的に無理』との事。リムルも『万が一負けた時の為に、はみはみはシュナ達を守ってやって欲しい』と言う考えの元、兎に角言うつもりもなかった。
実を言うと、はみはみがユニークスキル『厨二病』の『精神操作』の結果なのだが、ユニークスキルを持つリムルとシュナはこれに抵抗出来たが、それ以外の面々は抵抗出来ず、はみはみの主張は多数決であっさり通った。
こうして、リムル達は豚頭帝討伐に向かった。その後の顛末は原作通りなので割愛する。因みに、その間にはみはみは住民達のお願いや子供達の面倒を見ていた。
約一週間後、リムルは『影移動』で一時的に戻って来た。無事豚頭帝は討伐された事を知らせた。その事を知った皆は宴会だと沸き立った。しかし、その後の戦後処理のためにすぐ戻る事になっており、宴会は保留となった。
戦後処理が終わって戻った後、はみはみ達はその後についてベニマルから聞かされた。
何でも、豚頭帝による豚頭族の暴走は、飢饉による食料不足によるものだった。それに呼応して、生殖本能によって個体数が増加、更に食料不足になると言う悪循環でどうしようもなくなり、ジュラの大森林に活路を見出したという。これをリムルは許すと豚頭帝と約束した。結果として、多種族が共存していく"ジュラの森大同盟"と呼ばれるリムルを盟主とする勢力圏を作ったという。
これを聞いたはみはみは、思った。
(これで、空白地帯だったジュラの大森林に新たな勢力が誕生した。各国は警戒するだろうし、魔王が介入して来ても可笑しくない。更に『私』と言う勇者がジュラの森大同盟のお膝元にいる。それだけで、各国の警戒心を煽っても十分だ。下手したら、私も人類の裏切り者のレッテルを貼られるかもだけど…別にいっか。人類を裏切りし闇の勇者とか…カッコいい!)
これが元日本人なんて信じられない程に紅魔族に染まってしまった。紅魔族の教育は恐るべし…
因みに、ベニマル達はリムルに仕えることを選んだらしい。大幅な戦力増強にはみはみは苦笑いした。Aランクオーバーの鬼人が4人とか洒落にならない。リムルは、これを無自覚にしているのだから恐ろしい。
ベニマル達は、豚頭族が飢えない為にトレイニーさんの案内の元樹人族の集落にある乾魔実を受け取り、ジュラの森各地に分かれて集落を作ることになった豚頭族の元に運ぶのだという。本来なら、時間が足りないのだが、戦場で嵐牙狼族だったランガはその上位種、黒嵐星狼に進化したという。また、星狼将と言う中間種も生まれたという。彼等全員が『影移動』出来るのだ。騎乗する者を乗せては出来ないが、最短2か月掛かる所を1日で往復できるという。
Aランクオーバーがまた一体増えちゃったよ。しかも、今回の豚頭族の騒動は"ゲルミュッド"と言う魔族が糸を引いていたらしい。しかも、件の魔族は裏の存在まで示唆していたという。これで、魔王の謀略の可能性が一段と高まった。まあ、魔王に対抗するという意味では戦力増強も必要なのだろう…
そして、リムルが帰ってきてから3日ほどでベニマル達が帰ってきた。そして、その約一ヶ月後には出撃した軍団と猪人族達を連れてハクロウが帰ってきた。
◆
沢山の住民がやってきて一ヶ月もする頃には町は落ち着きを取り戻していた。沢山の猪人族達はドワーフのカイジンを筆頭とした技術者とドワーフに師事した人鬼族達に指導された猪人族達はあっという間に土木技術を覚えていった。これを見たカイジンは、「ドワーフの工作兵に並ぶ技術を身に着けるやも知れない」
と言う程だった。新たにやって来た小鬼族達や猪人族達の家を作るために建設ラッシュが続いていたのもあって彼等の存在は渡りに船だった。
そして、忘れてはならないのが豚頭帝と戦うために偉そうに「配下になれ」と言ってきたガビルの存在だった。
彼は、何と蜥蜴人族の現首領に謀反を起こしたらしい。謀反自体は成功したが、リムル達の援軍が無ければ豚頭帝に負けていたと言う事だった。その後、無事に首領は救出されたと言う。そして、謀反を起こした罪としてガビルは蜥蜴人族の領域から勘当、つまりは追放されたのだと言う。
彼は、事情を説明する前に抜け抜けとこう言ってきた。
「吾輩、リムル殿の役に立つ為に馳せ参じました!」
と笑いながら言うものだからシオンを始めとした過激派が物騒な事を言ってきた。
「とうします?処しますか?」
そんな事を真面目な顔で言うから困ったものだ。まあ、私も馬鹿にされたのでガビルに一発入れてなかったたら同じ事を言ったかも知れない。
そんなガビル達蜥蜴人族だが、その中に、リムルが知る者がいたらしい。その者は、首領の親衛隊長らしくガビルの妹だと言う。
とても冷静な人物(蜥蜴?)ではみはみとしても好感が持てる。彼等も猪人族同様に世間一般では亜人と呼ばれるドワーフはまだしも、人間である私がいることに不思議に思ったようだが口には出していない。
そんな親衛隊長を始めとする親衛隊所属の蜥蜴人族5人はリムルに名前を貰うことになった。
…もう何も言うまい。
そんな私の呆れを置いてリムルは親衛隊長に蒼華と言う名を、残りの4人に東華、西華、南槍、北槍と名付けた。彼等は、ソウエイの部下として諜報部隊として従事することになった。
ガビルはリムルに名付けの上書きをされて進化していた。まあ、名付け親が居ないと操られる可能性もあるから上書きは出来るのだろうが…実際に上書きした者を見るのは始めてだ…とはみはみは思った。
他の蜥蜴人族の戦士達も名前を貰った。そして、彼等全員が進化した。種族は龍人族と言う。
龍人族は強固な龍鱗と多重結果が常時発動していると言う。龍人族のランクはBランクだ。ガビルはA-ランクになっている。
親衛隊以外の龍人族は封印の洞窟でヒポクテ草を育てることになった。
その後、小鬼族の集団もやって来て、リムルの庇護下に入ることになった。各種族が役割を分担しながら、私も素人ながら色々と手伝いや魔法の教義をしながら過ごしていた。
こえして、文化的な生活を送れるようになった。しかし、各国に波紋を与えている事を、はみはみ以外は知らない。
◆
ー武装国家ドワルゴンー
ドワルゴンは、英雄王ガゼル・ドワルゴが治めるドワーフの専制国家だ。高い技術力を持ち、その技術力で軍備を増強。『ドワーフ兵に弱兵なし』と謳われる程になった。その圧倒的な軍事力を背景に中立交易国家として栄えている。
そんな国を治める英雄王ガゼル・ドワルゴは、暗部の長であるアンリエッタから齎された情報を閲覧して、驚愕した。
ジュラの大森林で魔物が街を作っていると言うのだ。暗部に、カイジンの様な技術者を求めてやって来たと言うスライムは、完全回復薬や性能が段違いのロングソードを有していた。そして、カイジン達が出奔する事になった裁判で対面した時、ガゼル王はスライムに薄ら寒いのを感じた。
かの暴風竜と相見えた様な…
故に、その様な化け物を放置する選択肢など取れる筈もなく、暗部に気取られぬ様に監視を申し付けていたのだ。その結果が上記の内容だった。余りの荒唐無稽さに言葉を漏らしてしまったが無理も無い。魔物が街を作る例はガゼルが知る限り無い。というより、今後も無いと思いたい。
だが、まだ情報は続いていた。
豚頭族が暴走を開始、蜥蜴人族と戦闘状態に移行、謎の魔物集団の参戦により蜥蜴人族側が勝利。尚、魔物集団は例の魔物と思われる。その後、豚頭族は各地に散らばった模様。
ガゼルは一瞬信じ難い感情に囚われたが、それを取り払った。
暗部がいい加減な情報を寄越す筈もない。豚頭族側が負けても暴走せずに各地に散らばったのも説明がつく。現在、武装国家ドワルゴンは豚頭帝の出現を受けて、警戒態勢に移行している。そして、豚頭帝が消え去ったのなら、長を失った豚頭族は食糧目掛けて各地に押し寄せるだろう。
今回は、20万と言う大群だ。如何にドワルゴンが防御に適した国とは言え、その様な大群で来られては侵入を許しかねない。だが、実際はそんなことも無く現在も平和そのものだ。
だが、ジュラの大森林に魔物の勢力が台頭したことは大きな問題だった。
王は、一連の報告書を見て灯火にくべて燃やした。
「して王や、どうする気だい?」
ドワルゴンの宮廷魔術師長であるジェーンが問う。
「ふむ…あのスライムが人類の益となるか否か…見極めるべきだろう」
「そうかい…王が決めるのなら私に否はないよ」
「俺も興味があるぞ、そのスライムには」
「私は王の影、何処までもお供します」
「ふむ…では私は準備をするとしましょう」
宮廷魔術師長ジェーン、軍部最高司令官バーン、暗部の長アンリエッタ、天翅騎士団の長ドルフが答える。
ジェーンはぶっきらぼうに、バーンは豪快に、アンリエッタは忠実に、ドルフは尻拭いを、それぞれの思惑はジュラの森に収束する。