紅魔族の異世界生活   作:味八木

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謀略

 

 

ージュラ・テンペスト連邦国中央都市リムルー

 

リムルが執務をする館の会議室で2組の来客をもてなしていた。1組はブルムンド王国の自由組合から派遣された自由組合支部長のフューズと案内役としてエレン達一行、もう1組がファルムス王国ニドル伯爵の調査団ヨウム一行だった。

 

「失礼ですが、本当に森の真ん中に街があるとは思いませんでした」

「所で、リムルの旦那。知らない方がいるようでやんすが?」

 

フューズの後にギドが質問する。リムルは丁寧に返答した。

 

「ベニマル、ソウエイ、シュナ、シオン、そしてミリムだ」

「宜しくなのだ!」

 

フューズだけはミリムと聞いて疑問符を浮かべていたが、魔王ミリム本人がこんな所にいるわけ無いと思ったのかそれ以上の追求は無かった。

 

リムルはこれからの自分の考える展望を教えた。

 

「俺は、人間も魔物も暮らせる街を作りたいと思っている。ここにいるはみはみも俺の考えに乗ってくれた者の1人で、武装国家ドワルゴンとも国交を結んでいる」

「『紅魔の勇者』殿に、ドワルゴンがですか!?」

 

フューズが信じられないと立ち上がり声を出すが、それを裏付ける証拠が来た。

 

「リムル様の話。本当の事ですよ」

「ベスター大臣!」

「"元"大臣です。ガゼル王はリムル様と盟約を結んでおられます」

 

ドワルゴンの元重鎮がこの場にいる以上、それは本当のことだと判断するのが普通だろう。フューズは納得したように座った。因みに、話を聞いていたエレン達はポテチを食している。

 

「しかし…貴方が人類の敵か否か。確認したいのですが、よろしいですか?」

「ああ。構わない。滞在を許可しよう」

 

話が纏まりかけたその時、待ったをかけたのはヨウムだった。

 

「おいおい。スライムが主だって?オカシイだろ?!」

「リムル様に無礼ですよ」

 

シオンが睨みを利かせるが、ヨウムは反撃する。

 

「黙ってろ!このおっぱい女!」

 

ガツン!

 

シオンがリムルへの侮辱に我慢ならなくなり剛力丸の鞘で頭をガンっ!とした。ヨウムの頭には大きなたんこぶが出来上がっていた。

 

「スマンな。シオンは我慢が足りなくて…」

「違います!あの男がリムル様を侮辱するからです!」

 

完全回復薬(フルポーション)でたんこぶが消える中、リムルが謝罪した。ヨウムも地雷だと考えたのか口を噤んだ。

 

「わっーはっはっはっはっ!シオンよ!我慢が足らないな!ワタシの様に我慢強くなくては!」

五十歩百歩では…

 

ミリムの言葉に、はみはみは小声で呟いたがミリムの竜耳(ミリムイヤー)には聞こえていたようでスイカを食べながらこちらを凝視して来る。その圧力に耐えかねてはみはみは頭を下げた。

 

リムルはフューズに問うた。

 

「フューズさん。俺達が豚頭帝(オークロード)を倒した事は世間に知れ渡っているのかな?」

「いえ、知っているのは俺と、国王陛下、一部の貴族のみです」

「そうか…ヨウム君」

「何だよ?」

「君、英雄になってみないかい?」

「英雄だ〜?」

 

リムルは自身の思惑を話した。豚頭帝(オークロード)を倒したのは英雄ヨウムとその一行であり自分達はそれに協力した善なる魔物。そういった事実を世間に広めたいとの事だった。

 

リムルの計画を聞いてフューズは同意の意を示した。

 

「俺は、その計画に乗ろうと思います。あなた方と友好関係を築くには最善の策ともいえるでしょう」

 

フューズが乗り気なのを見て、はみはみは釘を差す。

 

「英雄を名乗るのは結構ですが、勇者を名乗るのは辞めておいた方がいいと思いますよ」

「はみはみの言う通りなのだ!勇者を名乗る者には因果が巡る。名乗るなら、はみはみが言ったように英雄を名乗るが良い」

 

はみはみとミリムがリムルに忠告する。ミリムとはみはみは生きた年月の違いこそあれど豊富な知識を持っている。だからこその助言だった。

 

「待てよ!俺は勇者?英雄?そんな物になると言った覚えはねーぜ!」

「…おい。親友(マブダチ)の考えに賛同出来ないのか?」

「黙ってろ!ガキ!」

 

ブンッ!

 

はみはみ以外、ミリムの行動を捉える事は出来なかっただろう。ミリムは勢いよく壁側に取り付けられたソファから立ち、ヨウムの額に正拳突きを放ったのだ。この一撃でヨウムの額に大きなコブが出来上がり、ヨウムは顔を上に向けて完全にのびていた。

 

ミリムの行動に、シオンに放った言動がブーメランしている事を無言の視線の圧力でミリムに加える。居心地の悪くなったミリムは口笛を吹いて誤魔化している。

 

また完全回復薬(フルポーション)で回復したヨウムは話を自分の中で纏めて、結論を出した。

 

「悪いが、少し考えさせてくれ」

 

結論は…保留だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

その日の夕方、リムルがヨウムを連れて戻ってきた。どうやら、ヨウムはリムルの案に乗っかる決意をしたそうだ。今日は宴会をして後日から英雄ヨウム擁立計画が始まる運びとなった。

 

次の日から、ヨウム達一行はカイジンやドワーフ三兄弟、クロベエ、そしてその弟子達が製作した武具を順次製作する間、ハクロウに徹底的に鍛えられる事になった。ハクロウは剣術の腕は勿論、技術(アーツ)にも優れた鬼人族(キジン)だ。

 

また、移動手段として一角魔獣(ユニコーン)を捕獲し、移動手段とする事にした。リムルはその余りの装備の充実さから『勿体ない気がする』と語っていた。

 

それもそのはず、騎獣として用いる一角魔獣(ユニコーン)はBランクの魔物であり星狼族(スターウルフ)と同等かそれ以下の魔物だ。しかし、ヨウム達が使用する武具は全て特質級(ユニーク)の装備であり、まだ十分に行き渡っていない装備を部外者に渡すのは勿体ない気がするのも当然だろう。

 

結果として、ヨウム達はハクロウのしごきと言う鞭と温泉や美食という飴で戦闘力はメキメキ上昇。ヨウムに至っては武具の力込みでAランクにまで達する実力となった。強い魔物との戦闘を経験していけば、その内仙人になれるかも知れないが、仙人は厳しい修行と素質ある者に目覚める。ヨウムに素質があるのかは分からないが、彼にはカリスマがあるので、少なくとも英雄としての活躍は十分にするだろう。と言うのが、はみはみの予測である。

 

そして、彼らは、はみはみ製のガラケーみたいな通信用の魔導具を持ち、ファルムス王国へと帰還していった。

 

尚、このガラケーは魔力を動力としており、テレビ電話みたいな事は可能だが、メールのやり取りは不可能である。

 

 

 

 

 

 

 

 

ー傀儡国ジスターヴー

 

魔王クレイマンはその外見から英国紳士の風貌を思わせる。しかし、彼が好んで飲むのは紅茶では無くワインだ。しかし、彼の腹心曰くワインは苦手らしいが飲んでいるらしい。

 

そんな彼は片手にワインを持ちながら窓の外を苦々しく眺めていた。理由はジュラの大森林の調査に派遣した5本指の1人である薬師のミュウランの報告だった。

 

彼女は卓越した魔導師(ウィザード)ではあるがクレイマンよりは弱い。彼女の報告する情報はどれも利用価値の無く、既知のものばかり。だが、彼女が報告した物の中に面白い物があった。それは魔王ミリムは、スライムを親友(マブダチ)とした事である。

 

スライムが街の主と云うのもおかしな話だが、魔王ミリムの意外な好物?が分かった事に満足した。しかし、ミュウラン曰く魔王カリオン配下のフォビオとか言う魔人はまだしも、魔王ミリムに遠方から監視する魔法や水晶越しからも視線が合った事が何度もあり、存在を認知されているだろう。と言う事だった。

 

そして、驚いた事にスライムの側には人間の姿もあり、そいつは『紅魔の勇者』はみはみだと言う。現状、人間勢力の中で最も危険な存在と言える奴がよりにもよってあの街にいる。その事にクレイマンは苛立ちを隠せないのだ。

 

気を紛らわせようとワインを飲むと、部屋の中に人が立っている事に気付いた。

 

「よく来てくれました。ティア」

「あ!わかっちゃった?調査の件終わったよ!」

 

そう言うと、クレイマンはワインを執務室の机に置き椅子に座って腕を組んだ。(ゲンドウポーズ)クレイマンは先ほどミュウランに見せた態度とは打って変わって非常に好意的な対応をしている。

 

そのはず、彼女はクレイマンが信用する仲間のうちの1人なのだから。

 

「御苦労さまですねティア。それで、報告を聞きたいのですが」

「うん!魔王フレイは魔人達に興味がないみたい。実際に潜入してみたけど、慌ただしくって、まるで戦争の準備でもしてるみたい!」

「戦争…ですか。その原因は分かるのですか?」

「うん!なんと!あの暴風大妖渦(カリュブディス)が復活するって慌ててたよ!」

暴風大妖渦(カリュブディス)…」

 

クレイマンの頭が素早く計画に組み込むために回転する。

 

「なるほど…とても興味深い。ありがとう御座います。ティア」

「ふふ!そうでしょう!」

 

クレイマンが考え事をしていると、ティアと呼ばれた涙の模様が描かれた仮面をつけた少女がクレイマンに問う。

 

「そう言えば、問題の魔人はどうだった?」

「そうですね。多少強いようですが、問題ないレベルです」

「でも、魔王ミリムが興味を持つくらいなんでしょ?だったら、興味をもった理由を知ってから判断しても良いんじゃない?」

「なるほど…それはいい案ですね」

 

そう言って、クレイマンはティアに依頼をする。

 

「それで、ティア。次の仕事を頼みたいのですが…」

「なあに?今回はフットマンの奴も呼んでるから多少の荒事も大丈夫!」

「頼もしいですねティア。ですが、荒事は出来る限りナシでお願いします」

「ちょっとはアタイを信用してよね!私も中庸道化連の一員なんだ!」

「すみませんティア。ですが、私としてはあなたが無茶をしないか心配なのです」

 

そして、クレイマンはティアに依頼を頼むとティアはその場から消えた。クレイマンは自身の計画を巡らせる…

 

 

 

 

 

 

 

 

ージュラ・テンペスト連邦国ー

 

リムルはスライム状態で温泉に入っていた。男湯にはフューズが一緒に入浴している。

 

「いや〜ここは快適ですな〜」

 

フューズはお盆を湯の上に乗せて酒を嗜んでいた。湯にはスライム状態故に浮いているリムルがタオルを頭に置いて温泉に身を任せていた。

 

「フューズ。いつまで此処にいるんだ?俺達をまだ信用していないのか?」

 

リムルがフューズに問う。それもそのばす、フューズはジュラ・テンペスト連邦国に入国してからずっと滞在しているのだ。疑問に思っても無理はない。

 

「いえ、リムル殿への疑いはとっくに晴れているんですが…」

「じゃあ、なんでまだいるんだ?」

「いえね…よく考えたらここ最近禄に休んでいた記憶が無くてですね…折角ならこの街で羽を伸ばして見るのも悪くないと思いまして…」

「おいおい。ヨウムを英雄にするのに協力するって言ってなかったか?」

「大丈夫です。その根回しなら既に終えてますよ」

「それなら良いけど…」

 

リムルが渋々納得するとフューズは独り言の様に呟く。

 

「この街は保養地として優れているんですが、如何せん森の奥にありますからな…帰る前に目一杯堪能しませんと…」

 

そういいながら、温泉から荷物を持って脱湯所に戻ろうとした時だった。

 

「それだよ!フューズ君!」

「はぁ?リムル殿にフューズ君などと呼ばれると寒気が…」

「そんな事はどうでも良いんだよ!フューズ君。この街とブルムンド王国の間に街道を整備すれば良いんだ!」

「良いのですか!?しかし、それ程の規模の工事は国を挙げた国家事業ですよ!」

「ああ。すでに武装国家ドワルゴンとの街道整備をしてるからな。街の建設が一段落したらブルムンド王国の街道整備に回そう。ドワルゴンの方面の街道整備が終わったら同じくブルムンド王国側に回そう」

「まあ、リムル殿がいいなら構いませんが…」

 

だが、リムルは条件として無害な魔物達というアピールの手伝いを申し出た。フューズとしても断る道理はなく、受理された。

 

そんな重要事項が男湯でポンポン決定していたのだが、女湯ではシオン、シュナ、ミリム、はみはみが先日決着のつかなかった潜りっこ対決をしてはしゃいでいた。

 






Qリムルさん、女湯でのはしゃぎ様を聞いての感想は?

A羨ましい

〜ステータス〜

名前:はみはみ
種族︰人間ー聖人ー
加護︰仮面の紋章、闇の大精霊の加護
魔法︰上級魔法、中級魔法、初級魔法、元素魔法、精霊魔法、神聖魔法、核撃魔法
技能︰ユニークスキル『厨二病』
耐性︰物理攻撃無効、状態異常無効、自然影響無効、精神攻撃耐性、聖魔攻撃耐性

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転スラ日記はいる?

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