紅魔族の異世界生活   作:味八木

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転スラ日記編
魔物の住人達


 

 

ーリムルの街ー

 

豚頭魔王(オークディザスター)を倒してしばらくたったある日、リムルの執務館の会議室で幹部達が激しい口論を交わしていた。

 

「納得しませんぞ!」

「これは秘書の管轄です!」

 

リグルドとシオンは意見を対立させ、他の幹部が宥める。この様子をリムルは仕方ないと達観していた。

 

なんせ、1万以上の魔物が住むのだ。意見が対立しないほうがおかしい。皆が困っていると、ベニマルが代表して意見を言った。

 

「やはりここは、リムル様に決めていただくべきかと!」

「皆の士気にも関わりますからな」

 

皆の賛同が得られた所で、ベニマルはシュナを呼んだ。扉からシュナが現れ、彼女は深刻な面持ちだった。

 

そして、彼女はこういった。

 

「ちょっとおしゃまなこちらのお洋服と…」

「元気で可愛いこちらのお洋服…」

「リムル様にはどちらがお似合いでしょう?」

 

シュナに視線を向けていた幹部達が一斉にリムルに視線を向ける。

 

リムルは紅茶を飲んで1言…

 

「なあ…それってそんなに重要?」

「「「はい!」」」

 

皆が異口同音で肯定する中、更に会議室にやって来る者がいた。

 

「話は聞かせてもらいました!ここは、間を取って紅魔族の伝統衣装と言うのは…」

「「「却下」」」

「何故ですか!?」

 

哀れ…はみはみ…

 

 

 

 

 

 

 

 

リムルは、執務館から出てくるベニマルを見て言った。

 

「なんだよ、総大将自ら見回りか?」

「ふっ。俺にはこれしかありませんから」

 

そう言ってベニマルは自らが持つ刀を持って言う。

 

「その代わり誰にも負けませんから」

 

そう言って、リムルの隣にいるはみはみに視線を向けて言う。

 

「はみはみ殿には、負けますが…しかし、この街を守ってみせます」

 

(コイツ…殺し文句をナチュラルに…)

「これだからイケメンは…」

「ホントにイケメンですね…」

 

リムルは羨み、はみはみはそのイケメンぶりに感嘆していた。だが、次の瞬間彼らの思考は塗り替えられる。

 

「すみません!今そこの女の子達に貰ったのですが、これはどうすればいいでしょうか!」

 

その手にはベニマルの小型のぬいぐるみやラブレターがあった。それらの扱いについて問われたリムルは…口元をニヤけさせ…

 

「そいつは難儀だな〜」

「すげ〜いい笑顔ですね」

 

はみはみは、こちらを恨めしげに見ている人鬼族(ホブゴブリン)のゴブリナを見て申し訳なさげに頬をかいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

リムルはクロベエの工房を訪れていた。クロベエの鍛冶技術はカイジンに勝ると言っても過言ではない程だ。リムルの武器や軍関係の装備もクロベエやその弟子達が作っている。

 

もちろん、はみはみも来ている。リムルはクロベエの目の前に置いてある制作途上の武器を見る。

 

「クロベエ、これは?」

「シュナ様に頼まれた包丁を鍛えてたんだべ」

 

リムルはスライムの手にもってじっくりと観察する。その様子をみていた、はみはみは言う。

 

「クロベエの鍛冶技術は凄いですね…我が紅魔族の鍛冶職人よりも上ですね」

「紅魔族も鍛冶するのか?魔法を得意とするんだろ?」

「ええ、魔法で火の加減や水の調整をするので、紅魔族の武具は結構評判良いんですよ」

「へぇ〜」

 

そんな話をしていると、クロベエが包丁を取っていう。

 

「これから仕上げだべ」

「悪い。邪魔したな。また来るよ」

 

リムルと、はみはみが帰るのを見てクロベエは改めて感謝した。

 

クロベエは大鬼族(オーガ)の里が豚頭族(オーク)によって滅ぼされた時、もう鉄は打てないと思った。彼には他の大鬼族(オーガ)と違い、力も頭も良くなかった。

 

だが、リムルのお蔭でまた鉄を打ち、リムル様と街のみんなに、そして、クロベエ自身の為に貢献出来るようになったのだ。

 

鉄にクロベエの思いを込めて包丁を鍛えたのだ。シュナは後日届いた包丁で早速試し切りをした。そしたら、食べ物どころか、まな板どころか、壁まで切断してしまった。

 

壁まで切断ってどう言うことよ…包丁の刃渡りが伸びたのか?

 

 

 

 

 

 

 

 

ソウエイは自分の配下である4人に訓練を施した後、近寄ってきた黒い子猫と戯れていた。

 

それを見ているのが、ソウエイ配下のソーカである。

 

ソーカは思う。ソウエイは冷酷で、鬼の様(と言うか鬼)に厳しい。だが、心優しい者だと知っている。小動物(黒い子猫)と戯れているのがその証拠だ。

 

黒猫は手を招き猫の様に差し出すと、ソウエイは人差し指を近づけ…

 

「お前は今死んだ。フンッ、バカめ」

 

離れた場所で見ていたソーカ、リムル、はみはみは…

 

「やだ…素敵…」

「君も大概だね」

「あれは…我が弟子の使い魔であるちょむすけ?」

 

と零した。その後、はみはみはちょむすけについて問われ、2人は紅魔族独特のネーミングセンスにちょっとひいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

リムル、ゴブタ、はみはみはハクロウの家を訪ねていた。

 

リムルはスライム状態で目の前にある植木鉢、日本では"盆栽"と呼ばれる物を見てうっとりした。

 

はみはみも文学少女のため盆栽自体目にするのは始めてだが、情緒溢れる…趣きを感じていた。しかし、この世界の住人からすれば知らないも同然である。故に、ゴブタは「何すか?これ?」と零すのも無理は無い。

 

「このちっさい木なんすか?」

「盆栽って言うんだ」

「リムル様より教えて貰ったものじゃ」

「盆栽は物によっては希少価値も高いですから」

 

ゴブタは盆栽を片手で持ったり足の裏で持ったりしている。

 

「落とすなよ」

「落としたら大惨事ですよ」

 

ハクロウは思う。

 

剣士として生まれ、剣と共に生きて数百年…剣を忘れることで新たな世界が見えてくることに驚いた。まさに目から鱗である。

 

そんな風に思い出に耽っているとゴブタは何の気なしに言う。

 

「こうして見ると、唯の枯れたジジイっすね。そろそろ引退した方が…」

 

その刹那、ハクロウがゴブタの髪を剣で僅かに切ったことを、はみはみだけが理解出来た。遅れてリムルとゴブタも把握出来た。特に、当事者であるゴブタは冷や汗を滝のように流している。

 

ハクロウは刀を片手に…

 

「剪定じゃ」

「全然剣忘れてないっす!」

「流石ハクロウ…凄い剣裁き」

 

緊迫する場面に、はみはみの声が響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リムルは、寺子屋の視察帰りにふと思ったことをリグルドに聞いた。

 

「なあ、この辺って俺以外のスライムっていないの?」

「最近はあまり見かけませんな」

 

執務館の前にいた、シュナ、ハクロウ、クロベエ、ゴブタ、はみはみにリムルは聞いてみた。

 

「この辺って俺以外のスライムっている?」

 

その反応は以外なものだった。

 

「ふむ。朝になると見かけますな」

「夏って感じがするべ」

「透き通った姿が涼しげでジュラの夏の風物詩ですね」

 

それだけなら良かったのだが…

 

「そうそう。冷やして食うとうまいんすよ。こうつるっと」

「あら〜良いですわね」

「いや〜珍味珍味」

 

悪い顔して言う彼らに身の危険を感じたリムルは咄嗟に逃げ出した。そんな彼らを見て、はみはみは…

 

「えっ?スライム食べるの?マジで?」

 

デッドリーポイズンスライムの件があるので、はみはみ的にはあまり食べたくない。と言うか物理、魔法耐性ガ高いスライムをどうやって捕獲して調理するというのだろうか?

 

※実は冗談だったので、リムルと、はみはみは安堵のため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

シュナはドワーフ三兄弟のガルムとドルトから色々と頼られていた。と言うか引っ張りだこである。なにせ、彼女はこの街の裁縫や衣服、食を一手に担っているのだ。

 

その様子を陰ながらから見ていたリムルは、隣にいた兄であるベニマルに言う。

 

「シュナはホントに頼りになるな」

「ええ。自慢の妹ですよ。役職を貰って嬉しいんでしょう」

「頼られてるのが実感出来るからかな?」

 

ベニマルの隣にいた、はみはみが的確な表現をしてくる。ベニマルは、「そうなんでしょうね」と返す。

 

「ホントに、妹が遠い存在になった気がします」

「何言ってるんだ。無敵の侍大将が」

 

そう言うリムルだったが、ベニマルから聞かされたシュナの話は凄いものであった。

 

曰く、シュナはベニマルが指導する訓練場にほうき片手にベニマルの私服ズボンをもってやって来て、「出しっぱなしにしないで下さい。いつも片付けるように言ってるでしょう」だとか、「夕方までには帰ってきてくださいね。ご夕食作ってお待ちしてますから」

 

と言って一方的に用件を告げて帰っていったのだ。それを聞いて、はみはみは言う。

 

「完全にお母さんじゃないか」

「無敵の侍大将も母にも敵わないか…」

「本当に…遠い所に行ってしまいました…」

 

そう感傷にふける3人だが、その雰囲気を破ったのは話題の人物だった。

 

「お兄様!お兄様にピッタリの服を見つけたんです!黒の服もありますよ!」

 

その言葉に、3人は苦笑いした。シュナ含めた4人はベニマル家に帰る途中に、リムルは、はみはみに聞く。

 

「そういや、猫の名前がちょむすけとか言ってたけど、はみはみの両親の名前ってどんなの?」

「両親ですか?父はきみっと、母はえすっちです」

「「「………」」」

「私の両親に文句があるなら聞こうじゃないか!」

 

そんな会話が夕焼けに響いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

スナック樹羅。

 

そこは、美人なマスターが営むスナック店だ。そんな店にリムルとはみはみは来ていた。

 

「まあ、皆さんそんなに頑張っているのなら街の完成も間近ですね」

 

リムルは、義理堅いゲルドの「リムル様のため」と言う言葉の愚痴を喋っていた。

 

「俺は皆に自由に生きて欲しいんだよ。俺自身そうだし。なのに二言目には『リムル様のため。リムル様のため』」

「私は自由に生きてますけどね」

 

はみはみが場を茶化す。トレイニーは小さく笑って言う。

 

「贅沢な悩みですわね。皆さんきっと恩返しがしたいんですよ。リムル様が道を示してくれるから。居場所を作ってくれるから。それは無邪気に、不器用に…」

「居場所…ねぇ…」

「私も客人としてこの街に滞在してますからね」

 

リムルとはみはみは、トレイニーが差し出したワイン(に見えたブドウジュース)を飲む。

 

「俺はこれからもアイツらの居場所で居続けられるのかな…って、トレイニーさんはここで何を?森の管理は?」

「ふふっ。さあ、ブドウジュースのおかわり入りましたよ」

 

リムルとトレイニーのやり取りを、微笑ましく見ていたはみはみだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

早朝、リムルは議事堂前に来ていた。議事堂は木造の小さな建物から、政府の建物としても見劣りしない大きさと威容を誇っていた。

 

リムルはランガから降りると、リグルドが話しかけて来た。

 

「リムル様。今度の宴の準備は如何いたしましょう?」

「宴?なんかあったけ?」

「お忘れですかな?我々小鬼族(ゴブリン)との出会い500日目記念ですよ」

(めんどい彼女か!)

 

これを皮切りに、我も我もと言ってきた。

 

「では、我らとの出会いの記念も!」

「旦那。竣工記念はやらねぇとな」

「宴ならなんでもありっす!」

「じゃあ私との出会い記念も!」

大鬼族(オーガ)の名付け記念もお忘れなく」

「吾輩達も是非お仲間に!」

「宴ですね」

 

「「「「「宴!宴!宴!」」」」」

 

ランガ、カイジン達、ゴブタ達、はみはみ、シオン達、ガビル達。

 

皆がはしゃぐリムルの街は今日も大賑わいだ。

 






お気に入り登録、高評価宜しくお願いします!なお、転スラ日記は数話に掛けてお送りします。いつ終わるかは作者にも分からない…

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