紅魔族の異世界生活   作:味八木

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春の空気

 

 

「で、結局仕事場戻っちゃったんすか?」

「何もしないでいいって言われるとソワソワしちゃってさ」

「かぁ〜!せっかくの休み、楽しまないとダメっすよ」

「典型的な仕事中毒だね」

 

リムルはリクルドとシオンから仕事はないので休んでいたが、ジッとしているのが落ち着かず、仕事場に戻ってきた事を話した。それを聞いてリムルの仕事中毒をゴブタと、はみはみが注意する。その様子に、リムルは頷くことしか出来ない。

 

「最近面白い店も増えたんすよ」

「ほぉ〜」

「頼れる自分が案内するっす!」

「「おお〜!」」

 

リムルとはみはみが感嘆の念をこぼす。そして、案内されたのは串焼き屋さんを始め、果物屋等だった。

 

美味しく3人で食べていると、ゴブタは串焼きを頬張りながら土産物屋を案内する。

 

「ここだけの話、綺麗なお姉ちゃんの店とか欲しいっすね!」

「おぉ〜!」

 

ゴブタの言葉にリムルは賛成し、はみはみは少し汚物を見る目をしている。そんな時だった。

 

「アイツ何処行った?」

 

ゴブタが青ざめて振り返ると、周囲を探すリグルとハクロウの姿があった。

 

「やばい!リグル隊長と師匠っす!」

 

と言って目にも留まらぬ速さでリムルと、はみはみを連れて隠れてしまった。

 

「ハァハァハァ」

 

息を荒くして物陰から様子を伺うと…

 

「気のせいかのぉ?」

「うまくまかれましたね」

 

そんな彼らを見てゴブタは…

 

「いやぁ、休日を楽しむのも一苦労すっね」

「いや、お前さてはサボりだな?」

「サボりですね」

 

その後、何があったかは知らないが、ゴブタはハクロウとリグルにドナドナされていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

リムルは、街の建設現場に来ていた。そこでは、猪人族(ハイオーク)が建設に携わっており、ゲルドもそこで働く一人だった。

 

「俺も仕事人間だったみたいでさ。ゲルドの事言えないな」

「まったく。働きたいなんて酔狂なものですね」

 

リムルの言葉に、はみはみは呆れた。それを見ていたゲルドは言う。

 

「リムル様は日々を楽しんでおられますから。俺など無心に働くことのみで…休暇を頂いても戸惑うばかりで…何も手につかず、街のみんなから浮いてしまっている感じで…」

 

そう言うゲルドをよく見てみると、人鬼族(ホブゴブリン)の子供たちがゲルドの周りで服を掴んだり登ったりして遊んでいる。

 

「…子供…好きなのか?」

「いや…その…」

 

しどろもどろしていると、ゲルドのお腹を登っていたちょんまげちゃんが落下してしまうが、ゲルドは両手で受け止めた。騒がしくする子供達を見て、ゲルドは言う。

 

「好きというより…何故かこうなるのです」

「それは、ゲルドが街のみんなから浮いていない証拠ですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

リムルはリリナさんからの提案で、人口増加に伴う街の自給率向上の為に畑を沢山耕す事にした。

 

「古来より、飯のうまい土地はいい土地だと言う。ウチも是非そうありたい。まあ、ともかく今日は皆も力を貸してくれ」

 

皆が肯定的に捉え、畑仕事に前向きな声を上げ、「腹が減ってはなんとやら」「子供達を飢えさせたくない」などの声も上がる。

 

リムルが好感触で喜んでいると、場に緊張が走った。何故なら…

 

「わかります。美味しいもの食べたいですよね」

 

そう言って、シオンが鍋から紫色のオーラと叫び声が聞こえる食べ物(ダークマター)を手にしていたのだ。

 

「じゃあ!植え付け開始だ!」

「「「おー!」」」

 

逃げるように畑仕事の開始合図をしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴブタ達はリムルが主導する畑仕事に駆り出されていた。しかし、彼らは畑仕事を面倒に思っていた。

 

「だり〜な〜」

「だよな〜」

「サボりてぇ〜」

「オラは結構面白いダス」

「はぁ〜つまんねぇこと言ってら」

 

なんの反応も無いゴブタを呼び掛けると、一緒にクワを動かしている筈のゴブタの姿は無かった。よく見てみると、木の陰で休んでいるのが見えた。

 

「あー!アイツやってるフリしてサボってやがる!」

「ゴブタ!何サボってるんだよ!」

 

ゴブタはタオルを目から外すとドヤ顔で言った。

 

「違うっすよ!瞑想の修行をしてたんすよ!」

「瞑想…」

「そうか…瞑想…」

 

少年瞑想中…

 

 

 

そんなやり取りをしている頃、はみはみはゴブタと同じくサボっいた。

 

「おい、はみはみ。お前も手伝えよ」

「構いませんよ。しかし、私の畑仕事は周りに人がいると危険なんですよ」

「はっ?」

「手伝ってほしいのなら、畑から住人を避難させて下さい」

 

そう言われたので、リムルは言われるがままに住人を避難させた。その際、何か忘れている気もしたが、気の所為として、はみはみに許可を出した。

 

「我が魔力を糧に、この地に大いなる豊穣を与えよ!『アース・シェイカー』!」

 

「大気よ、風よ、荒れ狂え!我が意のままに!舞い上がれっ!『トルネード』!」

 

「我が全能なる力はこの世の摂理すらも曲げ、天候をもこの手に収める!『コントロール・オブ・ウェザー』!」

 

魔力によって耕された農業にピッタシの土壌が広大に広がった。そして、種が風に乗って広がり耕された土壌に均等に種がシュートする。トドメに雨雲が広がり雨が降る。これにて種蒔きと水やり完了だ。

 

後ろを振り返ってドヤ顔をすると、そこには宇宙猫の様な顔をするリムル達がいた。

 

「お前みたいなやつは農家じゃない。魔法使いだ」

「?それゃあアークウィザードだよ。それに紅魔の里じゃこれがデフォルトだよ」

「え?マジ?と言うか、はみはみ。お前これから手伝うの禁止」

「…なぜ?」

 

尚、木の陰で瞑想(寝ていた)ゴブタ達は雨に打たれたとさ…

 

 

 

 

 

 

 

 

「何ですか?この豆?随分沢山蒔きますね」

「それは、大豆」

「へぇ〜」

「大豆ですか…是非とも沢山収穫したいですね」

 

リムルの「大豆」と言う言葉に、はみはみは反応する。リムルは、シオンに大豆製品について説明を始めた。

 

「味噌や醤油の様な調味料。後…納豆も!」

「リムル!納豆は好みが分かれる…」

「はみはみ殿は知っているのですか?」

 

リムルは、はみはみの言葉を無視してシオンに言った。

 

「納豆は簡単に言うと腐った豆だ!シオン食えよ!上手いぞ!遠慮するなよ…何時ものご馳走のお礼だから」

「うわぁ…」

 

リムルの下種な考えを見抜いた、はみはみはひく。しかし、シオンに不味いを通り越した料理とも言えないナニカを食べさせられた事もあるので、黙認した。

 

「俺好きなんだ。ヌルヌルネバネバ糸を引く腐った豆がな…」

 

シオンは数秒呆けて一つの結論に至った。

 

リムルさまはくさったまめが好き♡

 

そして、すごいスピードで手持ちのメモ帳(板)にメモを取り始めた。

 

「リムル様は腐った物が好き。リムル様は腐った物が好き!」

「訂正する!発酵だ発酵!」

「ええ!発酵と言うのはですね!」

「今後のご食事にご期待下さい!腐った食材を食卓いっぱいに漁ってきますので!」

「辞めろ!シオン!メモを取って何を作る気だ!シオン!」

「腐った食材じゃなく、発酵です!両者は厳密には違いますから!」

 

農地の空にリムルと、はみはみの大声が響いたという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「リムル様〜?何処行くんです?」

「リリナさんに頼んだ春野菜を見に行くんだ」

「春野菜ですか?キャベツとか育てたりしてるのですか?」

 

ゴブタとリムルの会話に、はみはみも混ざってきた。リムルはゴブタの頭にのって春野菜の場所まで向かった。向かった先にあるのは、一面のキャベツだった。

 

「今日は賑やかで、なんだかうれしいですね」

「だろう?今年は畑を大きくするんだ。皆初めてのやつが多いけど、面倒見てやってくれ」

「任せてください。私はこの街の農業担当ですから任せてください」

 

すると、ゴブタが疑問を口にした。

 

「なんで畑の真ん中に人形があるんですか?」

「なんでって?カカシだろ?カラスよけの」

「でもあんまり効果がないんですよ」

 

そう言って、リリナさんは無惨に食い散らかされた春キャベツを取り出した。リムルは残念そうにする。それを見て、はみはみがため息をつく。

 

「当たり前です。頭がいい彼らからすれば、動いてないカカシは何の効果もありませんよ。それだったら、結界を張ったほうがいいレベルです」

「だけど、そんな結界使えないし…はみはみは使えるのか?」

「無理です」

「え?」

「無理です。鳥よけの結界なんて使えません。それだったら、防護ネット張ったほうが良いですよ」

 

だが、防護ネットを張る時間もなかったので、ゴブタがカカシを改良することにした。改良した結果、ゴブタ顔の筋肉マシマシカカシが完成した。効果を確かめるべく隠れて見ていると…カカシは無惨にも食い散らかされ、首が胴体と離れてしまった。

 

ゴブタは四つん這いになって落胆したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦力外通告を受けた、はみはみは雑用をこなして時間を潰し、昼時になった。

 

お昼を運んできたシュナ達による炊き出しでおにぎりにタクワン、味噌汁を食していた。

 

「ずっと中腰は応えるわい」

「何言ってるだ。誰よりも速かっただ」

「ホッホッホッ。年の功よ」

 

シュナは、炊き出しが一段落すると、ベニマルに問う。

 

「お兄様もお昼どうですか?」

「ベニマル様!どうしたら、ベニマル様みたいに強くなれるんですか?」

 

小さい子供達がベニマルに聞く。ベニマルは目線を合わせて言った。

 

「好き嫌いなんかせず、食べることだ。そして、強い体を作ることだ」

 

そう言って、ベニマルは小石を握り潰した。皆は目を輝かせて憧れの視線を向けていた。

 

「お兄様もどうぞ」

 

そう言ってシュナから渡された食事に目を向けてみると、味噌汁の中には沢山の人参が入っていた。

 

「だから…人参避けてくれって」

「あら。強くなれませんよ。はい」

 

そう、ベニマルは大の人参嫌いである。はみはみはその様子を食べながら見て、何故勇者である自分には憧れの視線を向けてくれないのか少し落胆したとか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ!植え付けが終わった事を記念して乾杯!」

 

夕方になって、植え付けを記念する宴会が行われていた。宴会では酒やロールキャベツなどの料理が提供されていた。

 

各々が稲の出来を願ったり、酒片手に会話をしたり、焼き肉を頬張ったりしていた。

 

因みに、はみはみは農作業で出禁を食らったので料理提供の手伝いをしている。

 

はみはみが手伝いをしている間に、リムルはトレイニーさんを誘うのを忘れて、彼女を泣かせてしまったのは別の話である。

 

 

 

 






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