紅魔族の異世界生活   作:味八木

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オークロード編
出会い


 

 

クロノアと分かれて約80年近くの年月が経過していた。私は、代わり映えのない日常を魔物退治と魔道具作りに割いていた。そんな時、私は思いもしない出来事を察知した。

 

そう、暴風竜ヴェルドラの反応の消失である。

 

これは、『困った』の一言で表せるものでは無い。ジュラの大森林は、暴風竜ヴェルドラの加護を受けているとされており、森内部の種族間同士の争いは少なかった。しかし、その抑止力の喪失は頭の痛い問題である。その上、魔物被害も活発になると考えられる。ジュラの大森林に面する国々は頭を抱えるだろう。また、暴風竜ヴェルドラを恐れて行動を控えていた東の帝国も心配だ。パッと列挙しただけで、これ程の懸念が生じるのだ。暴風竜ヴェルドラの存在が如何に大きいか窺える。

 

そして、私の一番の懸念はクロノアの置き手紙だった。置き手紙には、『暴風竜ヴェルドラが消失したらブルムンド王国に来て』だった。当時の私はあまり信用していなかった。私はクロノアの強さを知っている。私ですら敵わない様なクロノアが施した『無限牢獄』が破られて、しかもヴェルドラがいなくなるなど、思いもしなかったからだ。しかし、事実となってしまった以上、クロノアの置き手紙に従うのが賢明だろう。事実、クロノアの予感の様な物はよく当たるのだ。

 

そこで、私は冒険の荷物を持ってジュラの大森林近郊の自宅から、ブルムンド王国王都に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

―ブルムンド王国―

 

ブルムンド王国、それはジュラの大森林に面する小国である。都市として言えるのは王都のみであり、他の街は精々が村以上都市未満と言った規模である。そんな、ブルムンド王国の王都にいつもの、黒と紅のローブを着込み、前世界から愛用しているマナタイトを取り付けた杖を所持している。私の容姿は知られており、知らないのはよっぽどの情弱のみだ。無理もない。現在勇者として活動しているのは、『紅魔の勇者』はみはみのみだからだ!無力な一般人が頼りにするのは無理もない。

 

私は、自由組合ブルムンド支部を訪れた。私の顔は受付嬢なら知っているので、顔パスでブルムンド支部のギルドマスターであるフューズの元を訪れていた。

 

「フューズさん?今大丈夫?」

「ええ。大丈夫…とは言いませんがそれなりには」

「あはは…まあ、かの暴風竜が復活したとなれば、てんやわんやするものだからね」

「ええ。ところで、今回は何の用で?」

「ああ。実は、シズさんがここに来てるって聞いたから」

「シズさんですか…あの人ならウチの組合に所属しているBランクの3人組冒険者達と一緒にジュラの大森林内部に向かいましたよ。何でも、魔王の領域に行きたいとかで」

「魔王の領域かい?確かに、ジュラの大森林の向こうには4柱の魔王の領域があるけど…何処に行くとかは言ってたかい?」

「いえ、特には言ってないです」

「そうか…」

 

話を聞いた私はヨシっと言って立ち上がる。

 

「それなら、私もシズさんの後を追ってみるよ」

「そうですか…現在、自由組合が暴風竜ヴェルドラの消失による影響を調査中です。何か分かったらはみはみ殿も教えて下さい」

「いいとも。何か分かったら報告するよ」

 

そう言って、私は自由組合ブルムンド支部を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

―ジュラの大森林内部―

 

ジュラの大森林では、様々な種族による抗争が起き始めていた。その最たる例が牙狼族(がろうぞく)だろう。牙狼族(がろうぞく)は、ジュラの大森林の東に位置する東の帝国周辺に生息している魔物だ。彼等は、商人達を襲っていた。しかし、東の帝国に仕掛ける事はしなかった。東の帝国には豊かな穀倉地帯が広がっているが、そこに手出しをすれば、帝国軍による手痛い歓迎が待っているからだ。彼等は、ジュラの大森林へ侵攻する事を検討していたが、暴風竜ヴェルドラの邪悪な気配が彼等を押し留めていた。しかし、その暴風竜が消失した今、向かわない手はない。手始めに彼等は、近場の小鬼族(ゴブリン)の村を襲った。人間のランク付けで、個体でCランク。群れでDランクの魔物にEランク程度の小鬼族(ゴブリン)が敵うはずもなかった。

 

しかし、突如として現れた妖魔族(スライム)名持ち(ネームド)リムル=テンペストによって、小鬼族(ゴブリン)牙狼族(がろうぞく)を支配下に置いた。その後、武装国家ドワルゴンでなんやかんやあったが、技術者を確保できた。

 

その後、現れた冒険者4人組であるカバル、ギド、エレン、臨時パーティーのシズはリムルが主導して作っていた魔物の町に滞在していた。そんな平和な時に異変は現れた。

 

突如として、シズが付けていた仮面が割れてシズの意識は途絶え、上位精霊︰炎の巨人(イフリート)が顕現したのだ。

 

その炎の巨人(イフリート)もリムルによって捕食されたが、シズはかれこれ数日間寝込んでいる。

 

リムルは、シズをつきっきりで看病している時、支配下に置いた小鬼族(ゴブリン)の族長で現纏め役のリグルドから連絡が入ってきた…

 

「何?人間が1人やってきたって?」

「はい。どうやらシズ殿を探しているらしく、敵意は無いとの事でした」

「じゃあ会ってみるよ。案内してくれ」

「承知いたしました!」

 

リムルは、リグルドに案内され修復がいち早く終わった家(テント)に案内した。そこには、1人の女の子がいた。高校生位の身長に、紅い瞳が特徴的で紅と黒のローブを羽織っている。

 

「お待たせしました。ご客人。この方が我らが主、リムル様である!」

「えっへん!」

 

…静寂、場を静寂が支配した。少し後に客人が言った。

 

妖魔族(スライム)が主ですか?」

「スライムで悪いか?」

「いえ、悪くはないですよ。まあ、納得です。世界は違えど魔王軍幹部のスライムもいるくらいだからね。ただ、意外だっただけだよ」

「魔王軍!この世界には、魔王軍がいるのか?」

「いや、私が元いた世界にいたんだよ。デッドリーポイズンスライムのハンスって言うスライムの幹部が」

「でっどりーぽいずんすらいむ?」

「う〜ん。簡単に言うと即死級の毒を纏ったスライムの変異種だね。物理攻撃に強いし、魔法にも耐性がある。スライムの中でも厄介な部類だよ。更にタチが悪い事に人に化けるから判断しづらいって事かな?」

「そうなのか…」

「リムル様もお強いですぞ!」

「…ありがとな」

 

リムルは、前世のドラ〇エ等に出てくる雑魚モンスター=スライムと言う知識が崩れつつあった。

 

そんな事を思っていると、客人が言った。

 

「所で、スライム君。君は名持ち(ネームド)なのかい?」

「そうだね。オッホン!俺の名はスライムのリムル。リムル=テンペストだ。悪いスライムじゃないよ」

「?」

 

客人―はみはみ―の前世はゲーム等をしない文学少女である。故にゲームのネタを言われてもピンと来なかった。そんな事を知らず、リムルは問う。

 

「俺が名前を言ったんだ。君の名前は?」

「そうでした!では、私の自己紹介をしましょう!」

 

そう言って、はみはみは初級魔法『ウインドブレス』を使い、マントを動かしながら言った。

 

「我が名は、はみはみ!紅魔族随一の勇者にして、闇の大精霊と契約せしもの!」

 

再び、場を静寂が支配した。リムルは若干困った風に言った。

 

「…からかってる?」

「違います!これは、紅魔族の伝統的な挨拶です!」

「けど、紅魔族なんて聞いたことがないぞ。リグルド、紅魔族って聞いたことあるか?」

「いえ、寡聞にして聞いたことありません」

 

そう言うリグルドとリムルにはみはみは告げる。

 

「当たり前です。紅魔族とは別世界の種族。この世界にいるのは私ただ一人です」

「そうだったのか…」

 

リムルが1人で淋しくないのかな…と考えている所に、はみはみが言った。

 

「ところで、そちらの緑色の方はどなたです?どんな物を食べたらこんな格好になるんだい?」

 

はみはみは、リグルドに目線を向けて言う。リグルドは言った。

 

「私は…人鬼族(ホブゴブリン)ですが」

 

そう言うと、はみはみは目を丸くして言う。

 

人鬼族(ホブゴブリン)ですか?私が知る人鬼族(ホブゴブリン)はこんなに多く生息してませんよ」

「そうなのか?」

「ええ。そして読めました。貴方ですね。彼等を進化させたのは」

「何か悪いのか?」

「悪い…と言う訳ではないですが…前例が無いですね。まあ、進化してしまったのなら仕方ありませんね」

 

そう言って、はみはみは続ける

 

「ここにシズはいませんか?黒髪黒目の18歳位の仮面を付けた女の子なのですが」

「ああぁ…シズさんね。案内するよ」

 

そう言ってリムルは、はみはみを後ろにシズが寝ているテントに案内した。そこには、目を開けていたシズの姿があった。

 

「シズさん!目覚めたのか?」

「シズ!どうしたんだい?見た所、炎の巨人(イフリート)との同一化が解けているようだが?」

「…すまない。炎の巨人(イフリート)は俺が喰らった」

 

それは、驚く物であった。リムルはシズの主人格を乗っ取った炎の巨人(イフリート)を捕食した事。その影響で、シズの命が長くないこと。

 

「スライムさん。私、貴方にお願いがあるの」

 

そう言って語ってくれた内容は、はみはみにも関係のある物だった。シズは、リムルに捕食される事でリムルの記憶にある日本の景色の中で眠りたいとの事だった。これを聞いていた、はみはみは涙を堪えた。そう、はみはみは聖人である。故に、完全な精神生命体ではないが限りなくそれに近しい存在なのだ。勇者の卵が孵化すれば、完全な精神生命体になる事が出来るだろう。ともかく、寿命と言う存在から解き放たれた一人なのだ。はみはみは、シズとの別れも来るものだと思っていたが、炎の巨人(イフリート)との同一化のお陰で、それは先の事だと思っていた所にこれである。それに加えて、この世界には居ないが、自分より年下の、めぐみんやゆんゆんを見送る側になってしまった。それが、悲しくて堪らないのだ。

 

シズは、リムルに自分の身の上を聞かせた。魔王レオン・クロムウェルに召喚されたこと。はみはみに助けられた事。様々だった。結果として、リムルはシズの願いを聞き入れ、シズを捕食した。これにより、リムルはシズの容姿を手に入れたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

シズを捕食して直ぐの所を、シズの着替えを持ってきていたリグルドと、お見舞いに来ていたカバル、ギド、エレンに見つかってしまった。

 

「リムル様…そのお姿は…」

「「「えぇー!これがリムル(さん)の旦那!」」」

 

まあ、無理もないだろう。スライムの姿からいきなり小学生位の女の子…と言うのには語弊があるが、ともかく人間の姿をとったのだ。リムルは、カバル達にシズさんの現状と自分が何故シズさんの姿をしているのかを話た。はみはみ自身、自身の感情と折り合いがつかないが、それはカバル達も同じ。皆がシズ―リムル―に頭を下げてお礼をした。エレン等はリムルに抱きついてしまう程だ。しかし、そんなシリアスな雰囲気も彼等は少しも持たなかった。リムルの「装備がボロボロだな」の一言で霧散してしまった。

 

それから、カバル達は有名なドワーフ三兄弟とカイジンが手掛けた甲殻トカゲ(アーマーサウルス)から作られた『スケイルメイル』魔法使いのローブに牙狼の毛皮を使用した盗賊装備。それらを手にした重戦士のカバル。魔法使いのエレン。盗賊のギドはその装備と高名なドワーフ三兄弟とカイジンがいることに驚いていた。そして、何よりカバル一行が驚いたのはリムルの隣にいるはみはみの姿だった。

 

「あれ?アンタを何処かで…」

「何言ってるんです!カバルの旦那!この方は『紅魔の勇者』様ですぜ!」

「ええっ!」

「嘘っー!」

 

それを聞いて首を傾げたのはリムルだ。

 

「『紅魔の勇者』ってなんだ?」

「紅魔の勇者様は、暴風竜ヴェルドラが封印される前から活動されている勇者様ですぜ。現在まで活動されている唯一の勇者様ですぜ」

「そうなのか?はみはみ?」

「その通りです。そして、シズは私の妹弟子です」

 

リムルは驚いた。シズが妹弟子と言うことははみはみと同じ師匠を持つと言う事だ。

 

「はみはみの師匠って誰なんだ?」

「その話は…おいおいしましょう」

 

はみはみはその場を濁した。リムルも無闇に他人の過去に干渉する気もなかった。カバル一行はリムルから完全回復薬(フルポーション)をお土産としてブルムンド王国に帰っていった。しかし、はみはみはリムルの元に残ることにした。シズは居なくなってしまったが、リムルの擬態として残っている。彼女は、シズの心残りを何故姉弟子である自分ではなく、リムルに託したのかを探るためにリムルの元に滞在する事にした。また、はみはみ自身もリムルの魔物の街を作ると言う異常事態が気になっていたので、リムルを観察する名目でも留まることにした。(単に、リムルの元にいれば面白そうというのもある)

 

これにて、世界唯一の紅魔族にして勇者がリムルの住む街に滞在する運びとなった。




やっと原作合流しました。

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