紅魔族の異世界生活   作:味八木

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オーガとの遭遇

 

 

―ジュラの大森林―

 

はみはみがリムルの建設する町に滞在することになってから数日後にリムルと、はみはみは2人で行動していた。

 

「所でリムル、少し良いですか?」

「なんだ?」

「実はですね。シズが持っていた仮面なのですが、修復する事って出来ます?」

 

はみはみがこんな事を言うのには理由がある。はみはみはクロノアから、仮面を作ってくれる人が暴風竜ヴェルドラの封印が解けたらブルムンド王国に行けば会えると言われたからだ。ブルムンド王国に行ったらシズが一足先にジュラの大森林内部に向かっており、追いかけた結果がリムルの作る魔物の街だ。魔物の街等という前代未聞の行いをするリムルならば、仮面を作ってくれる人に相違ないと考えたからだ。

 

「仮面か?修復は勿論作成も可能だぞ。仮面は既に『解析鑑定』してあるからな」

「本当ですか!?是非とも私に仮面を1つ下さい!」

「おぅ…まあ、良いけど…」

 

そう言ってリムルは擬似的な口から仮面を作り出した。そして、それをはみはみに手渡した。

 

「ありがとう御座います!これで長年の願いが叶いました!」

「そんなに仮面が欲しかったのか?」

「勿論です!このご時世に仮面を着けてカッコいい衣装に身を包み、カッコいい台詞を言う!これに紅魔族の琴線が響かない筈がありません!ずっと頭に付けてます!」

「え?頭に付けるのか?被らないのか?」

「はい。言うなれば、これはリスペクトです。ですので、私が仮面を被る事はありませんね」

 

リムルはこれ以上話について行けず、フーンと相槌を打つだけだった。その後、別れてリムルは一番豪華なテントでシズさんの分身姿を作って弄ったりして研究を重ねていた。尚、これは上位精霊︰炎の巨人(イフリート)が持つスキル、『分身体』の効果である。

 

その後、リグルドに食事を取ることを伝えると街は宴会を執り行う事がその場で即断即決された。リムルは、リグルの元に向かった。リグルとは、リグルドの息子でリグルと呼ばれる警備兼狩猟チームのリーダーだ。

 

リグルと、牙狼族(がろうぞく)から進化した嵐牙狼族(テンペストウルフ)のランガ。リムルの悪友ポジションのゴブタと他数名と共にリムルは道中をすすんだ。勿論、はみはみも一緒である。彼等は、宴の為に牛鹿(うじか)を狩猟するのだ。リムルも封印の洞窟に用があり、途中まで同行する。

 

途中で別れたリムルは、はみはみと一緒に封印の洞窟でスキルの研究をする事になった。リムルは、シズの残したユニークスキル『変質者(ウツロウモノ)』によって色んなスキルを統合させていた。はみはみも丁度いい機会だからと己のスキルと向き合って見ることにした。

 

正直に言って、はみはみのユニークスキル『厨二病(イタイタシイモノ)』は評価が二分する所だ。このスキルは謂わば、解析系のスキルに該当するのだが、『解析鑑定』や『空間操作』等使えるスキルもある。しかし、何故使え無いスキルなのか。それは偏に紅魔族と言う種族に起因する。

 

紅魔族は、日本人の転生者が作り出した人造人間だ。その事を当の本人達は全く知らないのだが、魔法適性を大幅に上げ、魔王軍との戦いを有利に進める為の兵器だ。しかし、転生者が別の兵器を作った結果国が滅亡、紅魔族の起源は古文書に記されるのみとなった。ともかく、彼等は魔法を超得意とする種族なのだ。

 

そんな紅魔族の中でも、はみはみは転生者であり破格の魔力量を誇る。それこそ、爆裂魔法を放っても倒れない程度には多い。(歩くので一苦労だが)そんなはみはみが進化して聖人になった結果、魔力量も大幅に増加しており、爆裂魔法なら3発は撃てる。(実際は4発撃てるがそうすると魔力が枯渇する)そこに卓越した魔力操作にエルメシア・エル・リュ・サリオンの母であるシルビア・エル・リュから教わった剣術があれば大抵の敵は倒せる。

 

故に、『解析鑑定』と言ったスキルは重宝するが『精神操作』と言ったスキルは使い所が少ない物だったからだ。だが、はみはみはそんな使い道の少ない『精神操作』を利用した魔法(或いは剣術)と『精神操作』の複合技である技術(アーツ)を編み出そうとしていた。名付けるなら、『精魔侵入』だろうか?

 

これは、はみはみが使う魔法に『精神操作』を組み込む事で、はみはみの魔法を受けるとユニークスキル『厨二病(イタイタシイモノ)』の効果の1つである『精神操作』を受ける事になる。これは、体外から受けるものではなく、内部から受けるので、抵抗(レジスト)が難しい。

 

これを破れるのは同格のユニークスキルか、ユニークスキルを極限まで鍛えた者のみだろう。そんな技なのだ。

 

はみはみは、この構成は既に考えついて居たものの、あまり使い道が思い付かず後回しにしていたのだ。そんな事を考えていると、黒い炎が周りに広がった。見てみると、リムルが小学生姿のシズの姿をとってスキルの研究をしている所だった。

 

はみはみは、リムルに相談した。

 

「リムル、スキルを技術(アーツ)と組み合わせるにはどうすれば良いですかね?」

 

リムルにあまり期待せずに聞いてみると、リムルは案の定ポカンとした顔だった。しかし、数十秒後には分かった様な顔をして言った。

 

技術(アーツ)に魔力弾があるだろう?魔力弾は自身の妖気(オーラ)で魔力を包み込んで発射するんだ。その要領で魔法の周りに、はみはみの魔法の権能を纏わせれば良いんじゃないか?」

「なるほど!やってみます!」

 

その数十秒後、習得はあっさり成功した。魔力弾は技術(アーツ)の中でも簡単な部類なので手掛かりさえ掴めば習得は、はみはみにとって簡単な事だった。

 

「おお〜!凄いな!」

「ありがとう御座います。私からもお礼に魔法をお見せしましょう!」

 

そう言った時だった。リムルの顔が険しくなった。そして、はみはみに何も言わずに洞窟の外へと向かって走り出したのだ。

 

「どうしたんですか!」

「ランガからの『思念伝達』があった。緊急を要するみたいだ!」

 

そう言われては、仕方が無い。魔法伝授の事は置いてランガの元へと向かう事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

ランガの元へと向かうと、そこには数人の人鬼族(ホブゴブリン)嵐牙狼族(テンペストウルフ)が昏睡状態にあった。

 

意識を保っているのは、ゴブタ、リグル、ランガの3名のみだ。対するのは、6名の大鬼族(オーガ)だ。

 

白髭と白髪をした老いた大鬼族(オーガ)がゴブタの腹を刀で斬った。しかし、反りだったのか命に別状は無い。

 

「リムル様、はみはみさん!助けて下さい!死んじゃうっすよ!」

「そんだけ言えるなら回復薬は必要無いよな」

「悪かったッスよ!助けて下さい!」

 

ゴブタが懇願すると、リムルは回復薬を使用した。そんな中、リグルは、モーニングスターを操る紫髪のスレンダーな大鬼族(オーガ)と対峙していたが、腕力が人鬼族(ホブゴブリン)大鬼族(オーガ)では違い過ぎる。リグルはボロボロだった。リグルはリムルを見ると撤退、リムルの元に戻って回復薬を受け取った。

 

唯一、対等に戦えていたのはランガだけだった。ランガは、青髪の細身の大鬼族(オーガ)と黒髪の大柄の大鬼族(オーガ)だ。青髪の大鬼族(オーガ)は小刀を、黒髪の大鬼族(オーガ)は木製ハンマーを武器に応戦するが、ランガの素早さについて行けずにいた。

 

ランガが空中から着地し、そのまま大鬼族(オーガ)に接近しようとする。しかし、突如として青白い炎の壁がランガの前に出現した。

 

リムルやランガは知らないが、はみはみはこの魔法を知っている。習得こそしていないが、この魔法は妖術:幻炎の防壁(フレイムウォール)だ。この妖術の使い手は、赤髪の大男の後ろにいる桃色髪の大鬼族(オーガ)だ。この大鬼族(オーガ)は幻覚魔法:昏睡の香り(コンフュージョン)によって多くの人鬼族(ホブゴブリン)嵐牙狼族(テンペストウルフ)を眠らせたのだ。はみはみは、このピンク髪の大鬼族(オーガ)と老人の大鬼族(オーガ)が一番厄介だと感じていた。

 

そんな事を考えていると、桃色髪の大鬼族(オーガ)が小声で赤髪の大鬼族(オーガ)言った。しかし、はみはみには聞き取れていた。

 

「お兄様、あの仮面は…」

「ああ…」

 

頷くと赤髪の大鬼族(オーガ)は大声で言う。

 

「貴様ら…あの魔人共の仲間か!」

「失礼な!私は人間です!」

「嘘を吐け!人間が何故魔物と一緒に行動している!それこそが魔人の証拠だ!」

「それはですね…「黙れ!」っ…」

 

はみはみの反論を封じる赤髪の大鬼族(オーガ)、彼は続ける。

 

「貴様らもあの薄汚い豚共の仲間か!」

「あんな生物と一緒にしないでください!考えたくもない!」

 

はみはみの頭の中にはケモミミやケモ尻尾を付けた女オークの姿だ。あんな奴らと同列に扱われたくない。勿論、この世界のオークが違うのは百も承知だが…精神的に来るものがある。

 

「死んでいった同胞の命、その首で贖ってもらう」

 

はみはみが薄ら寒いのを考えている間に赤髪の大鬼族(オーガ)が刀をこちらに向けてきた。

 

リムル、はみはみ、ランガは打ち合わせをする。

 

「リムル、どうします?」

「どうやら勘違いしてるみたいだからな、一度話を付けてみるよ。ランガ、お前はあの桃色を相手しろ。決して殺すなよ」

「…大丈夫ですか?それだと、はみはみ殿とリムル様が残りを相手する事に…」

「大丈夫だ。負ける気がしない」

「同じく」

「流石は我が主!」

 

そう言ってランガは桃色髪の大鬼族(オーガ)へと向かう。

 

「2人で挑むか…舐められたものよ」

 

そう赤髪の大鬼族(オーガ)が呟いて、赤髪の大鬼族(オーガ)はリムルやはみはみに向けて刀を振り下ろした。しかし、リムルと、はみはみは、躱して次の行動に動いていた。

 

素早い動きで黒髪の大鬼族(オーガ)の下に行くと、ユニークスキル『捕食者(クラウモノ)』の擬態を応用して部分的に取り込んだ魔物のスキルを使用できるようにしたので、手からエビルムカデのコモンスキル『麻痺吐息』で眠らせた。そこに、紫髪の大鬼族(オーガ)がモーニングスターを振り下ろすが躱される。その隙にブラックスパイダーの『粘糸』、『鋼糸』をユニークスキル変質者(ウツロウモノ)を利用して作った『粘鋼糸』で拘束した。

 

リムルが一段落して、はみはみの方を見てみると青髪の大鬼族(オーガ)は、はみはみの魔法『カースドストライク・バインド』で、電気を縄の様に流されて気絶している。

 

「とうする?まだやるか?」

「…」

 

リムルの問いに赤髪の大鬼族(オーガ)は何も答えない。しかし彼等の一手は既に打たれていた。

 

「リムル!危ない!」

 

はみはみの注意を聞くと、リムルは直に回避に移った。しかし、遅れたのか右腕が斬り落とされていた。犯人はいつの間にか後ろに回った白髪の大鬼族(オーガ)の姿だった。

 

「ぬぅ…儂も耄碌したものよ。頭を刎ねたとおもったのだが…」

「リムル!」

「リムル様!」

 

そう言う白髪の大鬼族(オーガ)だが、リムルの斬り落とされた腕を見てはみはみ、リグルがリムルを呼ぶ。

 

「どうやら蛮勇だった様だ。我らを2人で相手取ろうとしたその慢心が貴様らの敗因だ!」

 

赤髪の大鬼族(オーガ)はリムルと、はみはみを見る。しかし、リムルとはみはみは動じない。

 

はみはみからすれば、大鬼族(オーガ)達など勝負にもならない、リムルからしても取るに足りない存在だからだ。リムルは、斬り落とされた腕をユニークスキル『捕食者(クラウモノ)で吸収して『自己再生』で元通りになった。リムルが魔物だと知っている、はみはみからすれば、然して驚く様な問題では無い。しかし、大鬼族(オーガ)達からすれば驚愕する事だった。

 

リムルは駄目押しにユニークスキル『変質者(ウツロウモノ)で統合した『黒雷』を岩に向かって放った。岩は余りの熱量に一部が融解している。

 

大鬼族(オーガ)達は最早敵わないと知り、仮面を付けたリムルと、『ライト・オブ・セイバー』で牽制するはみはみに一矢報いる為に特攻をしようとした。しかし、桃色髪の大鬼族(オーガ)はリーダー格の赤髪の大鬼族(オーガ)を説得した。曰く

 

『これ程の力を持つ魔人ならオーク共と共に自分達の里を滅ぼすはずが無い。1人だけでも皆殺しに出来る』

 

と言うことだった。言ってる事は物騒だが兎も角誤解は解けたようだ。

 

「結局、お前は何者なんだ?」

「俺?俺は唯のスライムだよ。スライムのリムル」

「我が名は、はみはみ!紅魔族随一の闇と契約せしリムルの盟友たる者!」

 

大鬼族(オーガ)もリムルも沈黙した。もう何百年と生きてるのでこう言った反応は慣れている。少し悲しい…

 

その後、リムルは大鬼族(オーガ)達を村に招待したのだった。

 





〜コラム〜

はみはみのアーツ

はみはみは、紅魔族だから頭良いでしょ?だからそんな初歩的な内容思いつくでしょ?と思われるかも知れませんが、彼女の周りは強い人ばかりだったので魔力弾と言う余り強者同士では使わないアーツの存在を頭から抜けていた感じです。

この子は少しおっちょこちょいな所があります。

明けましておめでとう!

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