プロセカ世界にログインできたけど、デイリーミッションが人間関係。 作:七瀬ぴの
(……拍手が、まだ聞こえる)
まぶしい光。舞台の残響。
陽菜はステージの真ん中に立っていた。
類のピアノが、遠くでまだ響いている。
「ねぇ、陽菜」
類が笑って、
そっと手を伸ばす。
「また、会えるよ」
その瞬間――視界が、白く弾けた。
「……はっ!!」
陽菜はベッドの上で跳ね起きた。
「うそ……今の……夢?」
部屋は見慣れた現実。
ゲーミングPCの電源ランプが、ぽつんと光っている。
「え、えーと……プロセカ、してたよね私……」
デバイスの画面を覗くと、
アプリの中には――
『新規イベント:「ワンダーランズ×ショウタイム」出演おめでとう!』
の文字。
「…………え?」
そこには、
自分の名前がプレイヤー名じゃなく“出演者”として表示されていた。
「ちょっ、え!? なんで私の名前!?」
マウスを連打しても、
類のアイコンが一瞬だけピコッと点滅して――
『また会えるよ。』
という吹き出しが出た。
「うわあああああああ!?!?!?」
陽菜「ちょ、ちょっと待って!? 私これ……恋愛シミュレーションゲームやってたん!?」
陽菜「でも歌ってたし!ステージもあったし!!ピアノも!!」
陽菜「夢?バグ?もしかしてワンダショの世界行っちゃった!?」
……ピロン。
デバイスに、通知が一つ届いた。
『新しいフレンドがあなたを追加しました。』
「は?誰?」
開くと――ユーザー名は、
“神代 類”。
陽菜「うそ……でしょ……?」
そのとき、机の上のスマホが震えた。
メッセージアプリに、新着通知。
『おはよう、陽菜。ちゃんと笑えたね。』
陽菜「………………」
陽菜「――はああああああ!?!?!?!?!?」
カーテンが開いて、朝の光が差し込む。
手のひらには、
まだ“紙吹雪”のかけらが一枚、残っていた。
陽菜「これ……、夢じゃない……の?」
「……ふぅ~、風、きもちい」
昼休みのチャイムが鳴って、陽菜は神山高校の屋上にいた。
クラスにも少しずつ慣れてきたけど、まだ“転校生”って呼ばれることに緊張してる。
でも、屋上だけは――自由。
誰もいないし、風が通るし、
何より、プロセカ世界に来たときのあの“青空”と同じ匂いがする。
陽菜「(……ほんとに、夢だったのかな)」
あのステージ。
類の笑顔。
「また会えるよ」って、言葉。
頬が少し熱くなる。
「……にやけてるよ」
陽菜「へっ!?」
振り返ると――そこには、瑞希が立っていた。
制服の袖をまくって、風に髪を揺らして。
柔らかい微笑み。けど、目の奥はどこか冷静。
瑞希「転校生ちゃん、でしょ? あちこちで噂になってるよ。
“新しい神山の風”だって」
陽菜「いやいやいや、風とかじゃなくて! ただの一般女子高生だから!」
瑞希「……ふふ、そういうとこ、面白いね」
陽菜「えぇ!? 面白い!? どこが!?」
瑞希「顔。表情がころころ変わるの。……見てて飽きない」
陽菜「(え、褒められた……のかな?)」
瑞希は柵に背を預けて、空を見上げた。
瑞希「……ねえ、君。プロセカって、好き?」
陽菜「えっ……!?」
(ぷぷぷぷぷぷプロセカぁぁぁ!?!?瑞希がぁぁぁ?)
瑞希「最近、君がクラスで音楽の話するときの顔。
なんか、すっごく楽しそうだったから」
陽菜「……うん。めっちゃ、好き。てか人生レベルで好き」
瑞希「そっか」
瑞希がふっと笑って、ポケットから取り出したスマホを見せる。
画面には、“プロセカ”のアプリ。
陽菜「えっ!? 瑞希もやってるの!?」
(ままままままマジっすか??あなた出演者側ですよねぇ?)
瑞希「もちろん。……君、ワンダショ推しでしょ?」
(ん?えぇっとこのプロセカもしかしてニーゴない感じ?もしかしてまふゆちゃんや奏ちゃんや絵名ちゃんには会えない?)
陽菜「な、なんで分かったの!?!?」
瑞希「だって、君が楽しそうに話してるとき、
“類くんの新曲が~”って、つい口走ってたし」
陽菜「あっっっっ!!(言ってた!恥ずかしい!!)」
瑞希「ふふっ……可愛い」
陽菜「かっ、かわ……!?!?!?」
瑞希「ねえ。
もしよかったらさ、放課後いっしょにプロセカやらない? 屋上で」
(は?ニーゴニーゴニーゴニーゴニーゴニーゴニーゴニーゴニーゴニーゴニーゴニーゴどうなってん?)
陽菜「……いいの?」
瑞希「うん。君となら、面白いこと起きそうだし」
瑞希の笑顔は、
風といっしょに陽菜の心をくすぐった。
(……瑞希ちゃんも、きっと“あの世界”に近いんだ)
その日の放課後――
陽菜のスマホに、また一件の通知が届いた。
『フレンド申請が届いています:宵崎奏』
陽菜「……っ!? これ……まさか……!!」
「……ふふっ、ねえ陽菜。
本当にプロセカやる気?」
瑞希が柵の向こう、夕陽に照らされながらスマホを構える。
陽菜「も、もちろん! 私の指が火を吹く日が来た!」
瑞希「それ、たぶん火傷するだけだよ」
陽菜「ぐぬぬ……!」
放課後の屋上。風が少し冷たくて、空がオレンジに染まる。
ふたりはフェンスのそばで並んで、スマホを握っていた。
瑞希「じゃあ……みんライ、いこっか」
陽菜「お、おっけー!」
瑞希「ルーム名は『転校生ちゃん、初ライブ』で」
陽菜「ちょっ、ネーミングセンス!?」
瑞希「可愛いでしょ?」
陽菜「やめてぇぇぇ!!!」
瑞希「(笑)……あ、始まるよ」
画面が切り替わって、曲が流れ始める。
陽菜「わっ!この曲、ショウタイム・ルーラーじゃん!!」
瑞希「……でしょ? 君、好きかなって思って」
陽菜「(……そういうとこ、ずるい)」
画面にノーツが流れ出す。
陽菜は指を必死に動かすけど――
「あ、あっ!? 指が!すべる!助けて瑞希ー!!」
瑞希「助けるもなにも(笑)……ほら、そこタップタップ」
(いやいやそんなこと言ってよそ見しながらできてんのすごすぎん?)
陽菜「ムリムリムリムリィ!!」
瑞希「うわっ、コンボ切れた」
陽菜「ひぃぃぃぃぃぃぃ!!」
結果発表。
陽菜:GOOD 143 / MISS 38
瑞希:ALL PERFECT
陽菜「天と地の差ッ!!」
瑞希「ふふ。まあ、初ライブにしては健闘したんじゃない?」
陽菜「慰め方の角度ッ!!」
瑞希は笑いながら、陽菜の方を向く。
「でもさ。君、ほんとに楽しそうだったよ」
陽菜「え?」
瑞希「プレイ中。
全然上手くいってないのに、顔はずっと笑ってた」
陽菜「……あー、それはもう癖みたいなもんかも」
瑞希「癖?」
陽菜「うん。
“音ゲーって楽しく叩いたら勝ち”って、私の推しが言ってた」
瑞希「……もしかして、その“推し”って」
陽菜「神代類!!」
主(類はそんなこと言いません。メタすぎます)
瑞希「やっぱり(笑)」
陽菜「だって!音ゲーで失敗しても、楽しい方がいいでしょ!」
瑞希「……うん。
その言葉、ちょっといいかも」
陽菜「へ?」
瑞希「君といると、
なんか“自分を責めなくてもいい気”がしてくるんだ」
陽菜「え、な、なにその破壊力あるセリフ!?!?」
瑞希「ふふっ……ほら、顔真っ赤」
陽菜「ち、違っ、これは日焼けだから!!!」
瑞希「夕陽のせいにするの、上手だね」
屋上に笑い声が響いた。
その笑いが風に乗って、
陽菜の心の奥に、あたたかい何かを残していった。
その夜――
陽菜のスマホには、新しい通知が届いていた。
『神代 類:君の笑顔、また見たいな』
陽菜「……っ!? い、いや待って、なんで今!?!?!?」
フェンスに突っ伏したまま、
陽菜の心拍数は完全に“BPM250”を超えた。
陽菜「(……心臓、止まるかと思った)」
机の上で震えるスマホ。
画面には、はっきりと表示されている。
着信:神代 類
陽菜「え、え、え、え、ど、どうすれば!? 出る!? 出ちゃう!?!?」
瑞希「出なきゃ後悔すると思うよ?」
陽菜「で、でも声聞いた瞬間に心臓溶けるもん!!」
奏「……大丈夫。たぶん、死にはしない」
陽菜「“たぶん”ってなに!?」
瑞希が笑って頷く。
陽菜は覚悟を決めて、通話ボタンを押した。
――ピッ。
「やぁ、陽菜」
その一言だけで、呼吸が止まった。
陽菜「っっ……か、神代……る、類……!?!?」
類「ふふっ。そんなに驚かないで。
まるで幽霊でも見たみたいだ」
陽菜「そ、そんな軽いテンションで言われても!!」
類「“軽いテンション”は褒め言葉だよね?」
陽菜「いや違う違う違う!!」
胸が高鳴る。
電話越しなのに、声が近い。
類「君の反応、やっぱり面白いね。
現実の中でこんなに鮮やかに感情が動く人、なかなかいない」
陽菜「……い、いじってるでしょ?」
類「観察してるだけだよ。
僕は興味のあるものを“知りたい”だけだから」
陽菜「(知りたい……って言われた……!?)」
類「それに――君がこの世界に来た理由、少しだけ分かった気がする」
陽菜「え?」
類「“願い”だよ。
何かを願ったとき、人の心は境界を超えることがある。
きっと、君は誰かの“音”を追いかけてここに来たんだ」
陽菜「……音を、追いかけて?」
類「そう。
ステージで感じた“夢”を、まだ終わらせたくなかったんじゃない?」
陽菜「……っ」
類の声が、少しだけ優しくなった。
類「でも、君の世界がどんな形でも――僕はまた君と“遊びたい”」
陽菜「遊びたい……?」
類「そう。“ワンダー”は、君の中にもあるからね」
一瞬の静寂。
通話の向こうで、風の音がした。
類「じゃあ、また次のステージで会おう」
――ピッ。
通話が切れた。
陽菜「……………………」
瑞希「……顔、真っ赤だよ」
陽菜「う、うるさいっ!!!」
瑞希「心臓、まだ動いてる?」
陽菜「ギリッ……ギリ動いてる……!!」
瑞希「ほんと、君ってすごいね。
通話一本で恋に落ちるスピードが秒速だもん」
陽菜「違うの!! これは推しとしての尊敬!! そんでちょっと恋!!」
瑞希「それ恋じゃん」
陽菜「やめてぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
屋上の風が、また吹いた。
陽菜の頬に残る熱は、まだ少しも冷めないままだった。
翌朝。
教室に入ると、なんか――空気が変だった。
陽菜「(……あれ? みんな、ざわついてる)」
ざわざわ。ざわざわ。
前の席の子たちが、ひそひそ話してる。
「なんかさ、音楽室のピアノが、夜中に鳴ってたらしいよ」
「え、誰もいないのに?」
「そうそう……“勝手に”演奏してたんだって」
陽菜「(……ま、まさか類!?)」
主(そこは幽霊だろ...。)
頭の中を推しの顔がよぎる。
いやでも、現実に来るわけないし……と否定しかけた、そのとき。
瑞希「おはよ、陽菜」
陽菜「み、瑞希ぃーっ!」
瑞希「わ、びっくりした(笑)どうしたの?」
陽菜「ピアノが夜中に鳴ったって噂聞いて!これ、事件じゃない!?」
瑞希「ふふ……陽菜、ほんとにそういうの好きだね」
陽菜「え、ちょっと!? 瑞希!? スルーしないで!?」
そんなやりとりをしていると、
廊下の向こう――音楽室の方から、かすかな旋律が聞こえてきた。
陽菜「(え……今の、ピアノの音……?)」
瑞希も顔を上げる。
「……聞こえたよね」
陽菜「う、うん」
二人でそっと廊下を進む。
教室のざわめきが遠のき、音だけが近づいてくる。
音楽室の扉の前。
瑞希が小さく息を吸い、ノブを回す。
ギィ――。
ピアノの前に座っていたのは、
白いイヤホンを垂らした、静かな女の子だった。
宵崎奏。
奏は、こちらを一瞥したあと、また指を鍵盤に戻した。
柔らかいけど、どこか哀しい旋律。
陽菜「(……この人の音、なんか……世界が止まる)」
奏「……ごめんなさい。うるさかった?」
瑞希「えぇっ奏ぇ?」
奏「み、瑞希!?」
二人「どうしてここに?」
二人は向かい合う。
(奇跡の対面。アツい。てか奏ちゃん直射日光は?なんで神高に?早く曲のデモ作んないとじゃん?)
瑞希「ってかなんで奏...。直射日光大丈夫なの?」
(それな。)
奏「えぇっと...。それは...。なんか気づいてたらここにいた。」
瑞希「何それ?怪奇現象じゃん」
(正論)
陽菜「で、でもえぇっと奏ちゃん...。とってもきれいな音だったよぉ~。」
奏「えっと...。ありがとう。でもその...」
(??)
瑞希「陽菜、なんで泣いてんの?」
陽菜「エ?」
瑞希ちゃん(2推し)に言われてびっくりした。
だって私の目からは涙がぽろぽろとこぼれていたのだもん。
まさか...!推しに会えた喜びで...!
ふと、ピアノの上のスマホが目に入る。
画面には“プロセカ”のロゴ。
陽菜(えっ、まさか奏さんも……!?)
奏「……あなた、神高の転校生?」
陽菜「あ、は、はいっ!」
奏「昨日の屋上で、瑞希と一緒にいたよね」
陽菜「み、見られてた!?」
瑞希「ふふ、人気者だね」
陽菜「ちょ、瑞希!?!」
奏「ふふ……賑やか」
奏の口元に、ほんの少し笑みが浮かぶ。
その瞬間、音楽室の中の空気が少しだけ柔らかくなった。
そして――
奏のスマホが、ひとりでに光った。
『神代 類:奏、今どこにいる?』
陽菜「っっ!?!?!」
瑞希「……また、始まったね」
奏「……そうみたい」
陽菜「(“また”? え、どういうこと!?)」
ふたりの会話の意味が掴めないまま、
陽菜のスマホも、同時に震えた。
『神代 類:陽菜、君もいるんだね』
陽菜「ひゃあああああああ!?!?!?!?」
瑞希「……ほんと、面白い世界だね」
ワンダショのストーリーは主人公の人柄上多いんですが他に多めに書いてほしいっていうユニットってありますか?
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ビビバス
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ニーゴ