桜の姫がターフを駆けた軌跡   作:夜刀神 闇

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ランキング載ってた!ありがとう!!!

「桜の姫がターフを駆けた軌跡」を書き始めて早2ヶ月、まさかこんなに多くの方々に見て頂けるなんて思ってませんでした。
そろそろ2025年が終わりますが、今年はいかがお過ごしでしたか?
来年も皆様が健やかに過ごせるように祈っております!
本当にありがとうございました!来年もヒメちゃんの活躍を見守ってあげてくださいね!良いお年を!


第25話 決意

放牧から戻ってきたサクラノヒメは、見違えるほど元気を取り戻していた。

体重も前ほどに戻り、毛艶も良い。

 

「よし、完全に立ち直ったな」

 

水野調教師が、満足そうに頷いた。

厩舎の事務所には、ヒメの主戦騎手である武司と田中厩務員、そして今回は馬主の桜井オーナーが集まっていた。

 

「さて……」

 

水野調教師が、資料を広げた。

 

「サクラノヒメの次走について、話し合いたい」

 

一同が、真剣な表情で資料を見る。

 

「結論から言うと……3月27日、ドバイシーマクラシックを目標にしたい」

「ドバイ……!」

 

武司が、目を見開いた。

 

「海外遠征ですか」

「ああ」

 

水野調教師が頷いた。

 

「ジャパンカップで負けて、ヒメは学んだはずだ。自分が本気で走っても勝てない相手がいるってことを」

 

田中さんが、少し心配そうに言った。

 

「でも、いきなり海外は……」

「いや、今がチャンスなんだ」

 

水野調教師が、資料を指差した。

 

「ドバイシーマクラシック。芝2410mのレース。ヒメの適性にも合う」

「距離は問題なさそうですね」

 

武司が頷いた。

 

「皐月賞、ダービー、菊花賞と走ってきたヒメなら、2400mは十分戦える距離ですね」

「それに……」

 

水野調教師が、続けた。

 

「オーナーも、ドバイ遠征は前向きにお考えとのことだ」

 

桜井オーナーが、静かに口を開いた。

 

「ええ。サクラノヒメには、世界を見せてやりたい」

 

その声は、穏やかだった。

 

「夢でもあったんです。自分の馬を、世界の舞台で走らせること」

「……」

「ヒメなら、それができる。そう信じています」

 

田中が、少し考えてから言った。

 

「……わかりました。でも、準備は万全にしないと」

「もちろんだ」

 

水野調教師が頷いた。

 

「ドバイシーマクラシックは3月27日。それまでに、一度叩きのレースを入れる」

「叩き、ですか」

「ああ。2月中旬の京都記念を考えている」

 

武司が、カレンダーを見た。

 

「京都記念……2月13日ですね」

「そうだ。芝2200m。ちょうどいい距離だ」

 

水野調教師が、説明を続けた。

 

「京都記念で調整して、3月のドバイへ。このローテーションで行く。3月に入ってから、ドバイへ出発する」

 

田中が、メモを取りながら聞いていた。

 

「ドバイシーマクラシックって、どんなレースなんですか?」

「ドバイワールドカップデーに行われる、GI戦のひとつだ」

 

水野調教師が、資料を見せた。

 

「メイダン競馬場で開催される。芝2410m」

「賞金は……」

 

武司が、資料を見て驚いた。

 

「600万ドル!?日本円で……6億円以上!?」

「ああ。世界最高峰のレースのひとつだ」

 

桜井オーナーが、静かに言った。

 

「もちろん、賞金のためだけじゃない。ヒメの実力を、世界に示したいんです」

 

田中が、真剣な表情で聞いた。

 

「相手は……どんな馬が来るんですか?」

「ヨーロッパの強豪が集まる。イギリス、フランス、アイルランド……」

 

水野調教師が、続けた。

 

「日本からも、何頭か出走するだろうな」

「なるほど……」

 

武司が、考え込んだ。

 

「でも、ヒメなら勝てる」

 

その声は、自信に満ちていた。

 

「コントレイルに負けたけど、2馬身差。しかも大逃げという無謀な走りで」

「そうだな」 

 

水野調教師が頷いた。

 

「普通に戦えば、もっと接戦になっていたかもしれない」

「ヒメは、まだまだ強くなれる」

 

武司が、力強く言った。

 

「ドバイで、それを証明します」

 

田中が、少し不安そうに言った。

 

「でも……環境の変化とか、大丈夫ですかね?」

「それは心配だな」

 

水野調教師が認めた。

 

「飛行機での移動、気候の変化、時差……色々とストレスがかかる」

「ヒメは、気性的には問題ないと思いますが……」

 

武司が言った。

 

「でも、初めての海外遠征ですからね」

「だからこそ、京都記念で調整するんだ」

 

水野調教師が説明した。

 

「京都記念で、レース勘を取り戻す。そして、ドバイへ」

 

そして桜井オーナーが、静かに言った。

 

「ところで田中さん、英語は話せますか?」

I can't speak English

「…………通訳をつけます」

 

桜井オーナーは、苦笑いをした。

 

「では、これで決まりですね」

 

水野調教師が、資料をまとめた。

 

「京都記念、そしてドバイシーマクラシック。この2戦で、ヒメを世界に示す」

 

武司が、立ち上がった。

 

「必ず、勝ってきます」

 

その目は、強い決意に満ちていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

田中さんが、飼葉を持って馬房に入ってきた。

 

「おはよう、ヒメ」

 

私は、田中さんを見て嬉しそうに鼻を鳴らした。

 

「ブルルッ(おはよう、田中さん)」

「元気だな、よしよし」

 

田中さんが、私の首を撫でてくれる。

 

「なあ、ヒメ。次のレース、決まったぞ」

「ヒヒッ(え、もう決まったん?有馬は間に合わんやろ?)」

 

私は、耳を立てた。

 

「2月に京都記念。そして……3月に、ドバイシーマクラシックだ」

「(ドバイ……って、マジか!?)」

 

え、がち?

 

「海外のレースだよ。ドバイっていう国でやるんだ」

「ブルルッ!!?(いや知ってるけど!レース名も知ってるけど!)」

 

私は、驚いた。

 

「(え、日本じゃないんか!?)」

 

てっきり、次は春の天皇賞だと思っていた。

淀で行われるGIレース。3200mの長距離戦。

 

「(…………タイトルホルダーと、また走れると思ってたのに)」

 

菊花賞で、自分的にギリギリで勝った相手。

次こそは、もっと差をつけて勝ちたかった。

 

「(再戦、楽しみにしてたのになぁ……)」

 

少し、残念だった。

 

「どうした、ヒメ?」

 

田中さんが、私の反応を見て首を傾げた。

 

「元気ないな。海外、嫌か?」

「ブルッ(ううん、嫌じゃない)」

 

私は、目を伏せる。

 

「(ただ……)」

 

タイトルホルダーのことを考えていた。

あの牡馬。私と同じ父を持つ、ステイヤー。

真面目で、強くて。

 

「(また走りたかったな)」

 

でも……

 

「(海外、か)」

 

世界の舞台。

前世では、画面越しに見るだけだった場所。

 

「(それも……面白いかも)」

 

少しずつ、気持ちが前向きになってきた。

 

「おっ、良い表情(かお)するようになったな!」

 

田中さんが、嬉しそうに言った。

 

「そうそう、それでいい。ヒメなら、世界でも勝てるさ」

「ブルルッ(ありがとう、田中さん)」

 

私は、田中さんの手に鼻を擦り寄せた。

 

「俺も一緒に行くからな、ドバイ」

「ヒヒン!(田中さんも!?)」

 

私は、嬉しくなった。

驚いてるけど、担当厩務員なんだから当たり前かぁ。

ところで田中さんは英語喋れるんだろうか?

 

……………まあ、でも。

 

「(じゃあ、大丈夫だ)」

 

田中さんが、みんながいてくれるなら。

 

「(どこへでも行ける)」

 

そう思えた。

 

「よし、じゃあ頑張ろうな。まずは京都記念だ」

「ブルルッ(うん!)」

 

私は、力強く鼻を鳴らした。

そして、心の中で思った。

 

「(タイホ君……ごめんね)」

 

春のレースでは、会えないと思う。

 

「(でも、いつかまた走ろう)」

 

必ずまた、世界を見てきた私が。

 

「(その時は……もっと強くなってる)」

 

同じくらい強くなった、あなたに。

 

「(絶対に、勝つから)」

 

そう、心に誓った。




みんな年越しソバは食べましたか?
私?私はボッチで年越しカップ油そば食ってるよ。。。

凱旋門賞 前哨戦としてどこ行くか

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