今回は宝塚記念へ向けての大詰めでございます。
視点を変えて書くのってむずいけど面白いから頑張れちゃう!
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【次走情報】タイトルホルダーは宝塚記念へ。サクラノヒメは宝塚記念から始動、ユーバーレーベンも始動プラン明らかに。3歳馬イクイノックスは春2戦目へ
2022年5月2日 12:30配信 netkeiba編集部
天皇賞・春(G1)翌日の2日、各陣営から主要馬の次走プランが相次いで発表された。
■ タイトルホルダー(牡4・栗岡厩舎)→ 宝塚記念(G1・6月26日・阪神)から始動
・天皇賞・春を7馬身差で圧勝した直後、栗岡透調教師が次走を明言。「状態を見ながらだが、宝塚記念に向かう予定」とコメント
・天皇賞(春)→宝塚記念の連勝はディープインパクト以来16年ぶりの偉業となる
・鞍上は引き続き横川和央騎手が騎乗予定
■ サクラノヒメ(牝4・水野厩舎)→ 宝塚記念(G1・6月26日・阪神)から始動
・ドバイシーマクラシック(G1)制覇から帰国後、水野調教師が始動プランを発表。「ヴィクトリアマイルという手もあったが、宝塚記念に決定した」と述べた
・「状態は問題ない。ドバイの疲れも想定より早く抜けた」とのこと
・宝塚記念へ向けた調教も開始するとの見通し
・主戦である横川武司騎手は肋骨骨折により引き続きリハビリ中。
■ ユーバーレーベン(牝4・絹沢厩舎)→ ヴィクトリアマイル(G1・5月15日・東京)
・ドバイシーマクラシック3着の好走を受け、絹沢調教師が「帰国後の状態が非常にいい。ヴィクトリアマイルに向かう」と発表
・「ドバイで自信をつけた。この勢いを国内でも示したい」とコメント
・宝塚記念や海外レースへの参戦については「ヴィクトリアマイルの結果次第」と慎重な姿勢
■ ディープボンド(牡5・大窪厩舎)→ 宝塚記念(G1・6月26日・阪神)
・天皇賞春2着から直行のローテを示唆。大窪調教師は「このまま宝塚に向かう方向で考えている」と述べた
・昨年の宝塚記念でも2着と好走しており、得意舞台への参戦
■ テーオーロイヤル(牡4・岡村厩舎)→ オールカマー(G2・9月25日・東京)
・天皇賞春3着の好走を受け、岡村調教師は「まずオールカマーで状態を確認してからその先のプランを考えたい」と発言
・距離適性の高さを改めて示した一戦として評価
■ イクイノックス(牡3・樹村厩舎)→ 東京優駿・日本ダービー(G1・5月29日・東京)
・皐月賞(G1)2着の実績を引っ提げ、樹村調教師がダービー参戦を明言。「目標はダービー。状態は順調」と自信をのぞかせた
・皐月賞では同厩舎ジオグリフに惜敗も、鞍上は「力は出し切れた。次は違う結果が出せる」とコメント
・「将来性は非常に楽しみな馬」と各方面から高い評価を受けている
■ ジオグリフ(牡3・樹村厩舎)→ 東京優駿・日本ダービー(G1・5月29日・東京)
・皐月賞(G1)を制した勢いそのままにダービー参戦を表明。
・皐月賞馬として断然の人気を集めることが予想される
■ アスクビクターモア(牡3・多村厩舎)→ 東京優駿・日本ダービー(G1・5月29日・東京)
・皐月賞3着から直行。多村調教師は「ダービーに向けて順調。距離延長はむしろプラスに働くと思っている」と前向きなコメント
■ ドウデュース(牡3・智路厩舎)→ 東京優駿・日本ダービー(G1・5月29日・東京)
・弥生賞3着→皐月賞4着から巻き返しを期す。智路調教師は「ダービーが目標だった。本番に向けて仕上げていく」と語った
・竹騎手とのコンビでダービー制覇を目指す
▼ 編集部まとめ
今後の注目ポイントは大きく2つ。
ひとつは5月15日(日)東京・ヴィクトリアマイル。ドバイ好走のユーバーレーベン、ソングラインという豪華すぎる対決が見込まれ、例年以上の盛り上がりが予想される。
もうひとつは6月26日(日)阪神・宝塚記念。天皇賞・春を7馬身差で制したタイトルホルダーと世界を差し切ったサクラノヒメとの「菊花賞の続き」が実現するかどうか。
また、今春のダービーはイクイノックス、ジオグリフ、ドウデュースという顔ぶれで混戦模様。例年以上に濃い春のG1シーズンになりそうだ。
ゲートの中で、息を整えた。
芝の匂いがする。人間たちの声が、遠い。
……ヒメは、いない。
それだけは、最初から知っていた。
サクラノヒメは今日ここにいない。
だから……今日は私だけのレースだ。
そのはずだった。
ゲートが、開いた。
『——ッ!』
18頭が弾けた。
ローザノワールが先手を主張する。
レシステンシア、ソダシが続く。
外からレイパパレが上がってくる。
私は中団に収まった。
ファインルージュが隣。
ソングラインが後ろ。
前が、ひらけている。
……見えてる。全部、見えてる。
3コーナー。
馬群が動き始めた。
前の気配が変わった。
その時……見えた。
白い馬体が、するすると前へ上がっていく。
ソダシだった。
白毛の、あの馬だった。
……その瞬間、胸の奥で何かが疼いた。
白い。白い馬体が、前を行く。
陽の光を受けて、眩しいくらいに白い。
ヒメ。
 ̄ ̄ ̄ああ、なんで。
違う。違う違う違う!
あれはソダシだ。
ヒメじゃない。ヒメはここにいない。
わかってる。
わかってるのに。
なんで今、あの子のことを考えてるんだ。
自分が、憎かった。
どうしても、ついてくる。
白い馬体を見るたびに……どうしても、あの子の背中が浮かんでくる。
新馬戦、札幌2歳S、ジャパンカップ、ドバイ……
違う。今日は関係ない。ヒメはいないんだ。
それでも……目が、ソダシを追っていた。
ストライドを、測っていた。
……ヒメより、小さい。
思ってしまった。
勝手に、比べていた。
ヒメのあの大きなストライドを、体が覚えていた。
隣で走ったあの感覚を……忘れられなかった。
なんで。
なんで今日まで、あの子の影を追ってるんだ、私は。
「4コーナーを回って直線へ!先頭ローザノワール!ソダシが仕掛けたッ!白い馬体が一気に前へ突き進むッ!!」
直線に入った。坂が、来る。あの坂。とっても疲れるあの坂。
ソダシが先頭に立った。
白い背中が、前に行く。
眩しい。
眩しくて……腹が立った。
ヒメじゃない。
あれはヒメじゃない。
ヒメのストライドはもっと大きくて、もっと速くて……
 ̄ ̄違う。
 ̄ ̄違う。
違う違う違う違う違う!!!!!!
今日、ここに……ヒメはいない。
ここは私だけの場所だ。
ああ…もう。
その言葉が、腹の底から湧き上がった瞬間。
何かが……弾けた。
『 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄行くッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
脚が、炸裂した。
今まで溜めていたものが、全部出た。
ドバイで悔しかった夜も。
ひとりで泣いた涙も。
ヒメの背中ばかり見ていた時間も。
全部……今、ここで!!!
「ここでユーバーレーベンッ!!ここでユーバーレーベンがきた!!!凄い脚!凄い脚だッ!!!」
馬群を割った。隙間なんてなかった。隙間を、作った。道を、作った。
体ごとこじ開けた。
ファインルージュの横。ソングラインの前。前が、開けた。
坂を上る。脚が重くなる場所。みんながばてる場所。
……私の脚は、まだある。
まだある。
まだある。
まだあるんだ!!!
「残り200!先頭は未だにソダシ!内からファインルージュも追い込んできた!そして……ユーバーレーベン!ユーバーレーベンも先頭争いに加わるか!!!??」
ソダシの背中が、目の前にあった。
白い背中が、ゴールへ向かっていた。
その白さを見た瞬間、また……一瞬だけ、ヒメの背中が重なった。
……うるさい。
うるさいうるさいうるさい!!!
今日だけは。
今日この100メートルだけは。
ここは私だけの場所だ。
ヒメじゃない。
あなたじゃない。
私が……私だけが、ゴールする。
並んだ。
白と黒が、並んだ。
ソダシがこちらを見た。
……見なかった。
前だけを、見た。
ゴール板だけを、見た。
残り100m。残り50m。
脚が、出た。
信じられないくらい……出た。
「ゴールインッ!!!…………ユーバーレーベンッ!!!ユーバーレーベンがッ!!!差し切ったァァァッ!!!黒き牝馬が!ドバイから帰ってきた青鹿毛の牝馬がッ!!ヴィクトリアマイル制覇ッ!!!これでGI2勝目!!!ゴールドシップ産駒、新女王誕生!!!!!ユーバーレーベンだッ!!!!!!!!!」
脚が、緩んだ。息が、くる。
体の奥から、熱いものが込み上げてくる。
……勝った。
私が。
私だけが。
ここで……勝った。
背中の人が何かを叫んでいた。
声が、震えていた。
割れそうなほどの声の響き。
どこかで私の名前を呼ぶ声がした。
その声が……なぜか、胸の奥まで届いた。
目が、熱い。止まらない。
泣いていた。走りながら、泣いていた。
引き上げる途中で、ソダシが横に来た。
白い馬体で、静かにこちらを見ていた。
悔しそうで……でも、清々しそうだった。
強い馬の目をしていた。
『……強かったわね、ユーバーレーベン』
それだけ言って、ソダシは前を向いた。
私は、すぐには答えられなかった。
『……ありがとう』
やっと、それだけ言えた。
ソダシの白い背中が、遠ざかっていく。
今度は重ならなかった。
ヒメの背中は、浮かんでこなかった。
ただ……ソダシが、ソダシとして、そこにいた。
ふと、空を見上げた。
青くて、高くて、眩しかった。
ヒメ。
聞こえてる?
今日は、私が勝ったよ。
ヒメじゃなくて、私が。
あなたの背中じゃなくて、前だけを見て。
私が、ここで勝ったよ。
次のレース。ヒメがいる場所。みんなが集まる場所。
 ̄ ̄ ̄今度こそ、負けない。
ヒメがいても、私は前だけを見て走ってみせるから。
空が、青く、青く、広がっていた。
宝塚記念前併せ美浦トレセン
朝の空気が、まだ涼しかった。
6月の美浦トレセン。梅雨の晴れ間。
芝の匂いが、濃い。
私は、コースの入り口で体を慣らしていた。宝塚記念まで、あと一週間。タイトルホルダーまで、あと一週間。
水野先生が、何か言っていた。
田中さんが頷いていた。
今日の併せ馬の相手が来るらしかった。
そこへ ̄ ̄聞き覚えのある声がした。
『ヒメ先輩ッ!!!!!!ヒメ先輩ッ!!!!サクラノヒメ先輩ィィィィィッ!!!!!!!!!!!!!!』
……。
うわ、来た。
砂埃を上げながら、鹿毛の牡馬が駆け寄ってきた。
目が、爛々と輝いていた。あの目だった。
ジャパンカップの前に見た、あの目だった。
アスクビクターモアだった。
『サクラノヒメ先輩!!お久しぶりです!!!元気でしたか!!この前のレース勝ったんですよね!!!すごかったです!!!最後方から!!!ぼく、人間が言ってるの聞きました!!!!!!』
『(……久しぶり)』
『あの末脚、耳クルクル回して3回聞きました!!!いや5回かも!!!もしかしたら7回かも!!』
『(数えてないの?)』
『数えるのを忘れるくらい興奮しました!!!!!!』
変わっていなかった。
何一つ、変わっていなかった。この子は本当に変わらない。
……でも、何故だか嫌いになれなかったし、私もつられて思わず口角が上がった気がした。
『(ビクターモア、落ち着いて)』
『落ち着いてますッ!!!』
…………落ち着いていなかった。
ビクターモアの担当の人が「すみません」という顔をしていた。
『あの、ヒメ先輩!!今日の併せ、全力でいきます!!全力で!!先輩の相手として!!ボクも菊花賞?だっけ?に向けて仕上げてるんです!!だからもう全力で!!』
『(うん、お願い)』
『受けて立ちますッ!!!いや、ぼくが受けてもらう側か!!どっちでもいいです全力で!!!』
どっちでもよくないと思うが、まあいい。
ひとしきり騒いでから、ビクターモアがふと後ろを振り返った。
『あ、そうだ。今日、もう
そこで、私は気がついた。
少し離れたところにもう一頭、いた。
黒鹿毛の、牝馬だった。静かに立っていた。こちらを見ていた。
ビクターモアとは全然違う空気をまとっていた。
落ち着いていた。物静かで……でも、目の奥に何か、静かな火があった。
『(……誰?)』
私は、その牝馬を見た。
牝馬も、こちらを見ていた。
少し間があった。
それから……その牝馬は、ごく静かに、こう言った。
『……
……。
…………。
…………………………。
『……す、スターズオンアース!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)』
声に出なくて、本当によかった。
スターズオンアース。2022年牝馬二冠。桜花賞。オークス。
史実通りであればもう既に二冠を制しているはず。
これから先どこまで行く馬か、知っている。
古馬になって、G1でどんな走りをするか、知っている。
この馬がどれだけ強いか……知ってしまっている。
また知ってる馬が来た。
また知ってる馬が来たよ。
私の心はいくつあっても足りない。
いくつあっても足りないんだけど。
なんとか平静を保ちながら、私はスターズオンアースを見た。
黒鹿毛の、すっきりした馬体だった。
筋肉もそこそこに、私と見比べても劣らないしっかりした馬体。静かな目をしていた。落ち着いていた。
……落ち着いているのに、なぜか目が離せなかった。
『……あなたが、サクラノヒメ、ですか』
スターズオンアースが、静かに言った。
『そう、だけど』
『……』
スターズオンアースは、少しだけ視線を逸らした。
それから、また戻した。
『桜花賞の前から……ずっと、見ていました』
『え』
『あなたが皐月賞に出た時。ダービーに出た時。あの時私はまだ2歳で、レースにも出ていなかったけれど……調教に行くあなたの姿を見ていました』
………………。
『牡馬相手に、牝馬が勝っていく。それを見て、私も……』
スターズオンアースは、少し黙った。
『……私も、やれると思いました』
私は、完全に固まっていた。
隣でビクターモアが「分かるぅ!!!」と言っていた。
うるさい。君は黙っててくれ。
うるさいけど、今は何も言えない。
スターズオンアースは、続けた。
『桜花賞もオークスも……あなたみたいに走りたいと思っていました。あなたの走り方を、ずっと参考にしていました』
『……』
『だから……今日、会えて』
また、少し止まった。
耳が、わずかに動いた。
『…………嬉しいです』
静かな声だった。
感情を抑えている、でも本当に嬉しそうな声だった。
私は、しばらく何も言えなかった。
この馬が……私を見て育ったのか。
この馬が……私の走りを参考にしたのか。
この馬が……どれだけ強くなるか、私は知っている。
その馬が……ずっと見ていたと言っている。
心が、いくつあっても足りない。
本当に、足りない。
足りないんだけど!!!
……なんとか、声を出した。
『(……ありがとう)』
精一杯だった。
これが精一杯だった。
スターズオンアースが、小さく頷いた。
そして……その静かな目が、少しだけ変わった。
目の奥の、静かな火が……大きくなった気がした。
『でも……今日の併せは、負けません』
静かな声だった。さっきと同じ、静かな声だった。
でも……全然、違った。ぞくりとした。
この馬は……たったいま、スイッチが入った。
『(うん、そうだね)』
私も、静かに言った。
『(全力で)』
隣でビクターモアが「ボクもいますよ!!!!ボクのことも見てください!!!!!!!!!!」と言っていた。
スタートした。
3頭が、並んで動き出した。ビクターモアが前へ出た。
この子は出たがりだから、まあそうなる。
スターズオンアースが、内側につけた。
静かだった。静かなのに……その動きは、滑らかだった。
無駄がなかった。
こっそり内ラチ方向へ少し寄りながら、でもそれを力で押し返して……真っ直ぐ前を向いていた。
この馬、強い。今すぐわかった。走り出した瞬間に、わかった。
そして、終盤。
ビクターモアが「ここから行きます!!!!!!」という気配を出した。
出した途端に行った。現金なやつだ。
でも……スターズオンアースは動じなかった。静かなまま、ついていく。じっと、溜めている。
直線に入った。
ビクターモアが先頭に立った。速い。この前より圧倒的に速い。
菊花賞に向けて、本当に仕上がっている。
スターズオンアースが動いた。静かに、でも確実に、前へ出てきた。私も、行った。
3頭が、並ぶ。
ビクターモアの脚が、力強い。
スターズオンアースの脚が……静かなのに、速い。
ストライドが大きくなっていく。
父ドゥラメンテの血が、そこにあった。
 ̄ ̄ドゥラメンテ。
ん、あれ?
待って。
この馬の父……ドゥラメンテ。
私の父も……ドゥラメンテ。
……姉妹?
『(い、妹——!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?)』
走りながら、ひとりで仰天した。
走りながら、ひとりで昇天しそうになった。
スターズオンアースが……こちらを見た。
並走しながら、真っ直ぐ私を見た。
その目に、火があった。さっきの、静かな火ではなかった。
燃えていた。
本当に……燃えていた。
『……負けません!!!』
また、言った。
走りながら、言った。声は静かだった。
でも、その目は静かじゃなかった。
私は……笑った気がした。
馬だから、表情には出ないけれど。
でも……笑った気がした。
『(来なよ)』
脚を、出した。本番前の追い切り。出しすぎちゃいけない。でも。……出した。
3頭が、直線を駆け抜けた。
ビクターモアが懸命に粘る。
スターズオンアースが伸びてくる。
私が……前に出る。
そして、終わり。
ビクターモアが「くっそ〜〜〜〜〜ッ!!!!!やっぱりヒメ先輩速い!!!でもボクも成長してる!!!絶対成長してる!!!菊花賞見ててください!!!!!!!!!」と言っていた。
スターズオンアースが、息を整えながら、静かにこちらを見ていた。
悔しそうだった。
はっきりと、悔しそうだった。
でも……その目は、さっきより、もっと燃えていた。
『……次は、もっとやれます』
静かに、言った。
『(知ってる)』
私は、正直に言った。
スターズオンアースが、少し驚いた顔をした。
それから……初めて、少しだけ表情が柔らかくなった。
隣でビクターモアが「ボクのことも褒めてください!!!!!!!!!!」と言っていた。
『(ビクターモア)』
『はいッ!!!!!!!!』
『(菊花賞、頑張って)』
『ありがとうございますッ!!!!!!!!!!!絶対勝ちますッ!!!!!!!!全力で!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
うるさかった。うるさかったけど……嫌いじゃなかったし、嫌いになれなかった。
ビクターモアがこれから辿る結末を考えないようにしながら。
水野さんが、遠くから静かにこちらを見ていた。
田中さんが「よし」と小さく呟いていた。
宝塚記念まで、あと一週間。
タイトルホルダーが、待っている。
レーベンちゃんが、待っている。
……でも今日、また会ってしまった。
強い馬に。
これから先、ずっと強くなっていく馬に。
心が、本当にいくつあっても足りない。
でも……燃えていた。
怖いくらい、燃えていた。
この時代に生まれてよかったと……走り終えた今、少しだけ、思えた。
スターズオンアースが、隣でまた静かに前を向いていた。
その横顔に、父の面影があった。私と……同じ父の。
……妹か。
また、昇天しそうになった。
ビクターモアが「ヒメ先輩、どうかしましたか!?白い顔が更に白くなってますよ!顔色大丈夫ですか!?」と言っていた。
大丈夫じゃなかった。でも、大丈夫と言った。
第63回 宝塚記念(G1)ファン投票 最終結果
1位 サクラノヒメ 287,341票
2位 タイトルホルダー 191,394票
3位 エフフォーリア 188,525票
4位 ユーバーレーベン 129,212票
5位 ソダシ 121,809票
6位 ポタジェ 119,427票
7位 レイパパレ 113,521票
8位 デアリングタクト 102,317票
9位 ディープボンド 89,112票
10位 シャフリヤール 84,665票
引き続き前哨戦の投票お願いします!
海外レース書くんもムズいが頑張ります!
あまりにもぶっちぎりでヒメちゃんが得票してて書いてる自分でも焦った(꒪ω꒪υ)
凱旋門賞 前哨戦としてどこ行くか
-
ヴェルメイユ賞※牝限
-
フォワ賞
-
ニエル賞
-
ギヨームドルナノ賞
-
プランスドランジュ賞