桜の姫がターフを駆けた軌跡   作:夜刀神 闇

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馬運車から景色は見えるんでしょうか?(今更聞けない)

北海道への輸送って……と前回同様、何回も調べましたが分からないことだらけで。
海の様子は本来見えないでしょうが、見える設定でいってます、すみません(汗)

ネットの様子書くの好き。でもムズい……

ネットの様子ってあった方がいいんでしょうか?


第7話 札幌2歳ステークス

 

 

9月4日、午前8時。

 

 

 

馬運車は、青森港に到着していた。

 

 

「よし、積み込むぞ」

 

 

係員の声が響く。

 

 

 

目の前には、巨大なフェリー。

 

船体が、朝日に照らされている。

 

 

馬運車が、ゆっくりとフェリーの中へ入っていく。

 

 

鉄板の音。

 

エンジンの音。

 

潮の匂い。

 

 

私は、馬運車の窓から外を見つめた。

 

 

フェリー、か。

 

 

人間だった頃、何回か乗ったことがある。

 

 

田舎のおばあちゃんの家に行くために。

 

 

まさかまた、今度は馬として乗ることになるなんて。

 

 

「お姫様、大丈夫か?」

 

 

田中さんが、馬運車の外から声をかけてくれた。

 

 

「船、初めてだもんな。怖くないか?」

 

 

私は、首を軽く振った。

 

 

大丈夫。

 

怖くない。

 

 

むしろ、ちょっと楽しみ。

 

 

「……そっか。じゃあ、行ってくるからな」

 

 

田中さんが、客室へ向かって行った。

 

 

その後ろ姿が……

 

 

なんとなく、元気がない気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……フェリーが動き出した。

 

 

 

ゴゴゴゴという低い振動。

 

 

船体が、ゆっくりと揺れ始める。

 

 

窓の外を見ると、港が遠ざかっていく。

 

陸地が、少しずつ小さくなる。

 

 

 

そして……

 

 

 

一面の、海。

 

 

 

青く、広く、どこまでも続く海。

 

 

人間だった頃も綺麗だと思ったけど、今はもっと……

 

 

視界が広いから、もっと壮大に見える。

 

 

波が、キラキラと輝いている。

 

カモメが、空を飛んでいる。

 

 

綺麗だな。

 

 

馬運車の中は、意外と快適だった。

 

空調が効いていて、涼しい。

 

水も飲めるし、乾草も置いてある。

 

 

隣には、別の馬運車。

 

他の競走馬も、一緒に運ばれているらしい。

 

 

きっと、ソダシも……

 

 

この船のどこかに、いるのかな?

 

 

船は、ゆっくりと揺れていた。

 

 

最初は気にならなかったけど、時間が経つにつれて……

 

 

少しずつ、揺れが大きくなってきた気がする。

 

 

波が、高くなってきたのかな。

 

 

体が、左右に揺れる。

 

 

でも、不快じゃない。

 

 

むしろ、心地いい。

 

 

子守唄みたいな、リズム。

 

 

私は、目を閉じた。

 

 

少し、眠ろう。

 

 

札幌に着いたら、また調教がある。

 

レースまで、体力を温存しないと。

 

 

波の音が、子守唄になる。

 

 

ゆらゆら、ゆらゆら……

 

 

私の意識は、微睡みの中に消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「着いたぞー!」

 

 

声で、目が覚めた。

 

 

どれくらい寝ていたんだろう。

 

 

伸びをし、首を上げて窓の外を見ると……

 

 

陸地が、見えた。

 

 

ついに、北海道に着いたんだ。

 

 

フェリーが、港にゆっくりと近づいていく。

 

 

エンジンの音が変わる。

 

係員たちの声が、あちこちから聞こえる。

 

 

「よし、降ろすぞ!」

 

 

馬運車が、再び動き出した。

 

 

フェリーの中から、外へ。

 

 

鉄板の音が響く。

 

 

そして……

 

 

外に出た瞬間、空気が変わった。匂いが、違う。

 

 

潮の匂いは同じだけど……

 

 

もっと、爽やか。

 

もっと、澄んでいる。

 

 

風も、冷たい。

 

懐かしい、匂い。

 

 

ああ、北海道なんだ。

 

 

「ヒメー!」

 

 

田中さんの声が聞こえた。

 

 

馬運車の扉が開いて、田中さんが顔を出す。

 

 

その瞬間……

 

 

私は、驚いた。

 

 

田中さんの顔が……その……なんというか。

 

 

やつれてる。

 

 

顔色が悪くて、目の下にクマができてて。

 

なんというか、すごく疲れてる感じ。

 

 

「ヒメぇ……無事か……?」

 

 

声も、弱々しい。

 

 

え、なになになにどうしたのよ田中さん?

 

 

「ふぅ……やっと着いた……」

 

 

田中さんが、馬運車に寄りかかる。

 

 

その様子を見て、佐藤さんが苦笑しながら近づいてきた。

 

「船酔いひどかったもんなw」

 

「うぅ……もう二度とフェリー乗りたくない……」

 

 

……船酔い。

 

 

ああ、そうか。

 

田中さん、船酔いしてたんだ。

 

 

確かに、割と船が揺れてたもんな。

 

私は平気だったけど、人間にはキツかったのかも。

 

 

「大丈夫か?」

 

 

佐藤さんが心配そうに聞く。

 

「大丈夫……です。もう陸だし……」

 

 

田中さんが、ふらふらしながら私の顔を覗き込んだ。

 

「ヒメは、平気だったか……?」

 

 

私は、軽く嘶いて田中さんの手に顔を寄せた。

 

私は大丈夫。

 

でも、田中さんこそ大丈夫?

 

 

「ははっ……馬に心配されてんのな、俺」

 

 

田中さんが、弱々しく笑った。

 

 

「馬のほうが強いとか……なっさけねぇな」

 

 

佐藤さんが、田中さんの肩を叩く。

 

 

「まぁ、着いたんだからいいだろ。ちょっと休めよ」

 

「はい……」

 

 

田中さんが、馬運車の影で座り込んだ。

 

 

その姿が、なんだか可愛かった。

 

 

人間って、意外と弱いんだな。

 

 

私は馬になって、体がむしろ丈夫になった。

 

でも、田中さんたちは……

 

 

こうやって、体調が悪くなることもある。

 

 

人間の頃の自分を、思い出した。

 

 

私も、人間だった頃にバスでめちゃくちゃ気持ち悪くなった思い出がある。

 

 

だから、田中さんの辛さが……

 

 

少しだけ、分かる気がした。

 

 

 

 

 

港から、札幌競馬場までは約4時間ほどと聞いている。

 

 

馬運車が、北海道の道を走る。

 

 

窓の外には……

 

 

広大な景色。

 

 

山、空。そして山。山、山、山。自然ばかり。

 

 

どこまでも続く、緑と青。

 

 

関東とは、全然違う。

 

 

もっと広くて、もっと開放的で。

 

 

ああ、これが北海道なんだ。

 

 

人間だった頃、一度来てみたいと思ってた場所。

 

今世で、私が生まれた場所。

 

 

まさか、もう一度馬として来ることになるなんて。

 

 

田中さんは、別の車で先に競馬場に向かったらしい。

 

佐藤さんが、「ちょっと休ませてやらないとな」と笑っていた。

 

 

馬運車の中で、私は景色を楽しんでいた。

 

 

緑が、たくさん。

 

 

もう少し遠くに行くと、競走馬の最大の生産地がある。

 

 

私もそこで育ったんだよな。すっかり忘れてた。

 

 

 

しばらくすると……

 

 

大きな建物が見えてきた。

 

 

札幌競馬場。

 

 

スタンドが、空に向かってそびえている。

 

 

ああ、着いた。

 

 

ここで、走るんだ。

 

 

胸が、ドキドキしてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

馬運車が、厩舎エリアに入った。

 

 

たくさんの馬運車が並んでいる。

 

他の競走馬たちも、続々と到着しているらしい。

 

 

「ヒメ、降りるぞ」

 

 

佐藤さんが、馬運車の扉を開けてくれた。

 

 

久しぶりの、地面。

 

 

蹄が、しっかりと土を踏む。

 

 

ああ、やっと着いた。

 

 

周りを見回す。

 

 

厩舎エリアは、広くて整然としている。

 

いくつもの馬房が並んでいて、馬たちの気配がする。

 

 

そして……

 

 

遠くに、白い影が見えた。

 

 

一瞬、心臓が跳ねた。

 

 

あれ、もしかして……

 

 

ソダシ?

 

 

白い馬体。

 

厩務員に連れられて、厩舎に入っていく。

 

 

距離があるから、はっきりと見えるわけじゃないけども。

 

 

でも……

 

 

あの白さは、間違いない。

 

 

ソダシだ。

 

 

私は、その姿を目で追った。

 

向こうは、こちらに気づいているだろうか。

 

 

白い馬が、厩舎の中に消えていった。

 

 

「ヒメ、何見てんだ?」

 

 

佐藤さんが、首を傾げる。

 

 

私は、視線を戻した。

 

何でもない。

 

ただ……

 

 

 

……ただ、ライバルを、見ただけ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私が馬房に収容されて、しばらくしてから……

 

 

田中さんが、やってきた。

 

 

「ヒメ!」

 

 

その声は、フェリーから降りた時よりずっと元気だった。

 

顔色も、だいぶ良くなってる。

 

 

「悪い悪い、情けないとこ見せちまったな」

 

 

田中さんが、照れくさそうに笑う。

 

 

「ちょっと休んだら、だいぶ楽になったから」

 

 

良かった。

 

私は、田中さんの手に顔を寄せた。

 

もう大丈夫?

 

 

「ああ、もう大丈夫だ」

 

 

田中さんが、私の首を撫でてくれる。

 

 

「お前に心配かけちまったな」

 

 

そんなことない。

 

むしろ、人間って大変なんだなって思った。

 

 

「でもな、ヒメ」

 

 

田中さんが、真剣な顔になる。

 

 

「お前のためなら、何度でもあのフェリーに乗るぞ。また船酔いするかもだけど、耐えてみせるさ」

 

 

その言葉が、嬉しかった。

 

田中さんは、私のために……

 

あんなに辛い思いをしても、ここまで来てくれたんだ。

 

 

「明日が本番だ」

 

 

田中さんが、遠くを見つめる。

 

 

「お前の力、見せてやれよ」

 

「牡馬にも、ソダシにも……」

 

「負けんなよ?」

 

 

私は、力強く鼻を鳴らした。

 

 

うん。

 

 

負けない。

 

田中さんが、こんなに頑張ってくれてるんだから。

 

水野調教師が、信じてくれてるんだから。

 

たけしが、乗ってくれるんだから。

 

 

私も……

 

 

 

全力で、走る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜。

 

 

 

札幌の厩舎は、静かだった。

 

窓から見える空には、星がたくさん。

 

関東よりも、ずっと星が綺麗に見える。

 

空気が、澄んでるからかな。

 

 

私は、馬房の中で横たわりながら、窓の外を見つめていた。

 

 

いよいよ、明日……

 

 

札幌2歳S。

 

 

牡馬(おとこ)たちとの戦い。

 

ソダシとの白毛対決。

 

 

そして……

 

 

いち白毛として、何を証明できるか。

 

 

 

少し、緊張してる。

 

 

でも、怖くはない。

 

 

むしろ……

 

 

楽しみ。これは、武者震いだ。

 

 

どんな馬たちと走れるのか。

 

どんな景色が見られるのか。

 

 

全力で走った先に、何があるのか。

 

 

遠くから、馬の鳴き声が聞こえた。

 

 

他の出走馬たちも、眠れないでいるのかな。

 

 

明日への期待と、緊張と。

 

 

みんな、同じ気持ちなのかな。

 

 

私は、目を閉じた。

 

 

明日に備えて、ちゃんと眠らないと。

 

 

でも……

 

 

胸の高鳴りが、なかなか収まらなかった。

 

 

札幌の夜は、静かに更けていく。

 

 

明日……

 

 

白毛の2頭が、激突する。

 

 

その時が、刻一刻と近づいていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2020年9月5日。

 

札幌2歳S、当日。

 

 

 

朝5時。

 

厩舎エリアが、動き出す。

 

 

 

「おはよう、ヒメ」

 

 

 

田中さんが、いつもより早く馬房にやってきた。

 

顔色は、もう完全に戻っている。

 

 

「今日が本番だぞ。調子はどうだ?」

 

 

私は、元気よく鼻を鳴らした。

 

 

完璧。

 

体も軽いし、気持ちも高ぶってる。

 

 

 

準備は、できてる。

 

 

 

 

 

 

 

 

WINS汐留にて

 

午前10時。

 

 

JR新橋駅近くのWINSに、競馬ファンたちが集まり始めていた。

 

GIでもないのに、この盛り上がり。

 

2歳GIIIで、こんなに人が集まるのかと驚く人もいた。

 

 

 

「おう、今日は札幌2歳Sだな」

 

 

スーツ姿のサラリーマンが、タバコを吸いながら新聞を広げる。

 

 

「白毛が2頭出るって聞いたぞ」

 

「マジで?珍しいな」

 

「サクラノヒメとソダシだって」

 

「へぇ、どっちが強いんだ?」

 

 

隣のおじさんが、スマホで出馬表を見ている。

 

「サクラノヒメは9番、ソダシは13番か」

 

「追い切りタイムはサクラノヒメのほうが速いな」

 

「でもソダシは須会厩舎だろ?仕上げは間違いないと思うが」

 

「難しいな……」

 

 

WINSの大画面には、その日のレース映像、札幌2歳Sの現在の人気や出馬表などが表示されていた。

 

 

「とりあえず、白毛2頭の馬連買っとくか」

 

「浪漫だな、それ」

 

 

 

 

WINS難波にて

 

同じ頃、大阪・難波。

 

 

WINS梅田は、すでに多くの競馬ファンで賑わっていた。

 

 

「見てみぃや今日白毛対決やで、やばない?」

 

 

おじさんが、モニターを指差す。

 

 

「サクラノヒメとソダシ、どっちも白毛の牝馬やな」

 

「へぇ、綺麗やなぁ」

 

「わしの若い頃は白毛なんてほぼおらんかったで」

 

「時代変わったなぁ」

 

 

若い女性客が、スマホで写真を撮っている。

 

 

「インスタ映えしそう!」

 

「白い馬って、ほんま綺麗やね!」

 

「どっち買う?」

 

「うーん、サクラノヒメのほうが名前可愛いし、こっちにする!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、ネットでは

 

 

 

Twitterにて

 

@keiba_fan_123

札幌2歳S、白毛対決楽しみすぎる!

サクラノヒメvsソダシ

どっちも応援してる!

#札幌2歳S #白毛対決

 

@uma_love_45

今日の札幌、絶対見る

白毛二頭並んで走る姿、絶対綺麗だわ

写真撮りまくる予定

#サクラノヒメ #ソダシ

 

@keiba_yosou

札幌2歳S予想

◎サクラノヒメ(追い切り最速)

○ソダシ(須会厩舎の仕上げ)

▲ユーバーレーベン(新馬戦サクラノヒメの2着)

白毛二頭に期待

#札幌2歳S

 

@sapporo_fan

現地なう

パドックまだだけどもう人めっちゃ多い

白毛見たい人で溢れてる

#札幌競馬場

 

 

 

 

 

 

 

 

2ちゃんねる競馬板

 

【白毛対決】札幌2歳S 実況スレ Part.1

 

1 名無しさん@実況厳禁

立てた

白毛姉妹の激突、いよいよやぁ〜

 

2 名無しさん@実況厳禁

>>1

 

3 名無しさん@実況厳禁

ワクワクしてきた

 

4 名無しさん@実況厳禁

サクラノヒメに全ツッパした

 

5 名無しさん@実況厳禁

>>4

漢すぎて草。

 

6 名無しさん@実況厳禁

俺はソダシ本命やな

須会厩舎を信じる

 

7 名無しさん@実況厳禁

ユーバーレーベンも強いぞ。新馬戦で競ってたから

 

8 名無しさん@実況厳禁

牡馬も侮れない

バスラットレオン

 

9 名無しさん@実況厳禁

混戦模様だな

 

10 名無しさん@実況厳禁

とりあえず白毛2頭の馬連買った

 

11 名無しさん@実況厳禁

>>10

浪漫

 

12 名無しさん@実況厳禁

ツヤッツヤの馬体はよ見せてくれ!

 

 

 

 

 

 

 

 

YouTube競馬チャンネル配信

 

【生配信】札幌2歳S 白毛対決を見守る会

 

視聴者数:15,234人

 

 

 

配信者「はい、皆さんこんにちは!今日は札幌2歳S、白毛対決ですよー!」

 

 

 

コメント欄:

 

- wktk

- 白毛二頭とか胸熱

- サクラノヒメ推し

- ソダシ応援してます

- どっちも頑張れ!

- パドック楽しみ

- 現地組羨ましい

 

 

 

配信者「追い切りタイム見る限り、サクラノヒメが最速なんですよね」

 

 

 

コメント欄:

 

- 11秒6は速い

- でもソダシも11秒8だし

- 僅差だな

- 本番でどうなるか

- 牝馬つよくね?

 

 

 

配信者「さて、もうすぐパドックですよー!白毛二頭、どんな感じか見てみましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午後14時50分。

 

 

 

パドックに、出走馬たちが入場し始めた。

 

 

スタンドは、既に満員。

 

パドックの周りも、人で埋め尽くされている。

 

まるでこれが、GIであるのかと錯覚してしまうほどに。

 

 

 

「1番、ピンクカメハメハ」

 

「2番、ヴェローチェオロ」

 

「3番、ジオルティ」

 

 

そして……

 

 

「9番、サクラノヒメ」

 

 

私が、パドックに入った瞬間。

 

 

「おおおおっ!」

 

 

どよめきが、起きた。

 

 

「白い!」

 

「綺麗!」

 

「すごい、真っ白だ!」

 

 

スタンドから、たくさんの視線が注がれる。

 

 

スマートフォンを構える人、双眼鏡を覗く人、手を振る人。

 

 

私は、背筋を伸ばして歩いた。

 

 

たてがみが、風に揺れる。

 

白い毛並みが、陽の光を反射する。

 

 

田中さんが、誇らしげに私を引いてくれている。

 

「堂々としてるな、正にお姫様だ」

 

 

うん。

 

 

だって、ここは私の舞台なんだから。当たり前でしょ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

各地の反応(パドック中)

 

WINS汐留

 

「おお、白毛出てきた!」

 

「綺麗だなぁ……」

 

「写真撮っとこ」

 

 

 

WINS難波

 

「うわ、ほんまに真っ白や!」

 

「めっちゃ綺麗やん!」

 

「これは応援したなるわ」

 

 

 

ネット配信

 

コメント欄:

 

- きたああああ

- キタコレキタコレキタコレキタコレ

- 白い!!!

- 綺麗すぎる

- これは推せる

- サクラノヒメ可愛い

- 歩き方も綺麗

 

 

 

Twitterにて

 

@keiba_fan_123

サクラノヒメ、パドック入場

めっちゃ綺麗……写真じゃ伝わらない

現地の人羨ましすぎる

#札幌2歳S

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして……

 

 

「13番、ソダシ」

 

 

もう一頭の白毛が、パドックに入ってきた。

 

 

「うおおおおっ!!」

 

 

さらに大きな歓声。

 

 

2頭の白毛。

 

 

ソダシも、真っ白だ。

 

私とは少し違う……私よりも、小柄な感じ。

 

見た目と反した力強い歩き方。

 

 

パドックに、白毛が2頭。

 

 

その光景が……

 

 

異様なほど、美しかった。

 

 

「すごい……」

 

「白毛が2頭も……」

 

「こんなの初めて見た……」

 

 

スタンドが、どよめいている。

 

私は、ソダシを見た。

 

ソダシも、こちらを見た。

 

 

目が、合った。

 

 

 

 

一瞬の、静寂。

 

 

 

 

ソダシが、小さく首を振った。こちらに顔をぐいっと向けて。

 

 

私も、首を振り返した。

 

言葉は聞こえなかった。

 

でも、何となく。

 

 

「よろしく」

 

 

そう言ってる気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

各地の反応

 

 

WINS汐留

 

「ふたりとも白い!」

 

「すげぇ光景だな……」

 

「こんなの、歴史に残るぞ」

 

 

 

WINS難波

 

「うわぁ……鳥肌立ったわ」

 

「白毛って、こんな綺麗なんや……」

 

「写真撮っとこ」

 

 

 

 

 

ネット配信

 

コメント欄:

 

- やばい

- 鳥肌

- 綺麗すぎる

- 二頭とも美しい

- これは泣ける

- 歴史的瞬間

- スクショした

- 保存した

 

 

 

Twitter

 

トレンド入り:

#札幌2歳S

#白毛対決

#サクラノヒメ

#ソダシ

 

 

 

@keiba_photo

【速報】白毛二頭、パドックで揃い踏み

歴史的瞬間を目撃しました

(写真添付)

#札幌2歳S #白毛対決

RT:15,234 いいね:48,562

 

 

 

 

@uma_love_45

泣いてる

こんな綺麗な光景、初めて見た

ありがとう、サクラノヒメ

ありがとう、ソダシ

#札幌2歳S

 

 

 

@keiba_veteran

競馬歴30年だが、白毛二頭が重賞で揃うのは初めて見た

感動している

これが競馬の素晴らしさだ

#札幌2歳S

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パドックを後にして……

 

 

 

本馬場へ。

 

 

ゲートをくぐった瞬間、視界が開ける。

 

 

札幌競馬場の、芝コース。

 

 

広い。

 

緑が、眩しい。

 

 

そして……

 

 

「うおおおおおっ!!」

 

 

スタンドからの、大歓声。

 

 

人、人、人。

 

 

何千人もの人たちが、スタンドを埋め尽くしている。

 

 

手を振る人、双眼鏡を構える人、声援を送る人。

 

 

「ヒメちゃーん!!」

 

「ソダシー!!」

 

「白毛頑張れー!!」

 

 

その声が、耳に届く。

 

 

胸が、熱くなった。

 

 

こんなにたくさんの人が……

 

 

私たちを、見てくれてるんだ。

 

 

新馬戦の時と、空気が違いすぎる。

 

 

鞍上のたけしが、話しかけてくれた。

 

 

「すごい歓声だな、ヒメ」

 

 

その声が、少し震えている。

 

たけしも、緊張してるんだ。

 

 

でも……

 

 

「ヒメなら、やれる。お前を信じてる」

 

 

その言葉が、力強かった。

 

 

私は、小さく鼻を鳴らした。

 

 

うん。

 

信じて。

 

一緒に、走ろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

各地の反応

 

WINS汐留

 

 

「おお、入場してきたあ!」

 

「白毛、並んでる!」

 

「綺麗だなぁ……」

 

 

 

WINS難波

 

「いよいよやな!」

 

「ドキドキしてきた!」

 

「頑張れ白毛!」

 

 

 

 

 

ネット配信

 

コメント欄:

 

- きたあああ

- 本馬場入場

- 白毛2頭並んでる

- ふつくしい……

- これは泣ける

- 頑張れ!!

- 全力応援

 

 

 

 

 

 

Twitter

 

@sapporo_fan

本馬場入場

スタンドの歓声やばい

みんな白毛に注目してる

これは歴史に残るレースになる

#札幌2歳S

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……軽く芝を駆ける。

 

蹄が、芝を掴む感触。

 

今までとは違った、芝。駆ける度に蹄が深く沈む。

 

 

……でも。

気持ちいい。

 

体が、軽い。

 

調子は、完璧。

 

横を見ると、ソダシも返し馬をしている。

 

あちらも、調子が良さそうだ。

 

 

正直言って、強敵。

 

でも……

 

 

負けない。

 

 

 

 

その時、サクラノヒメの目に闘志が宿った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いよいよ、ゲート入りの時。

 

14頭の馬たちが、輪乗りをしている。

 

みんな、緊張している。

 

耳を動かし、尻尾を振り、落ち着かない様子の馬。

 

冷静に、静かに歩いている馬。

 

 

 

私は…………落ち着いていた。

 

ゲートは、怖くない。

 

これは、走るための、スタート地点。

 

 

「9番サクラノヒメ、ゲート入れます!」

 

 

係員が、私の手綱を引いてゲートに導いてくれる。

 

私は、迷わずゲートの中へ。

 

ガシャン、と扉が閉まる。

 

前を見る。

 

1800mの、戦い。新馬戦と、同じ距離。

 

 

……でも。

 

牡馬たち。

 

ソダシ。

 

ユーバーレーベン。

 

みんな、強い。

 

でも……

 

私も、負けてない。

 

たけしが、私の首を軽く叩いた。

 

 

「行くぞ、ヒメ!」

 

 

全頭、ゲートイン完了。

 

静寂。

 

 

 

 

 

……心臓が、ドクンと激しく打つ。

 

 

 

さあ……

 

 

 

来い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

各地の様子

 

WINS汐留

 

 

「ゲート入った!」

 

「いよいよだ!」

 

「頼むぞ、サクラノヒメ!」

 

 

 

WINS難波

 

 

「緊張してきた!」

 

「白毛頑張れ!」

 

「ソダシも頑張れ!」

 

 

 

ネット配信

 

視聴者数:25,847人

 

コメント欄:

 

- ゲートイン

- 緊張する

- ドキドキ

- 来るぞ

- 頑張れ!!!

- 白毛!!こい!!!

- サクラノヒメ!

- ソダシ!

 

 

 

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全国のタイムラインが、一斉に動く。

 

 

 

- ゲート入った

- 緊張

- ドキドキ

- 頑張れ

- 来い

- いけ

 

 

 

 

 

そして……

 

 

 

 

 

 

 

ガシャァアン!!!

 

 

 

 

ゲートが、開いた。




感想、評価、お気に入り登録ありがとうございます!!!
励みになりますm(*_ _)m
ご指摘ご意見ありがとうございます!!!まだまだ拙いですが見てやってくれると作者が凄く喜びます!!!

凱旋門賞 前哨戦としてどこ行くか

  • ヴェルメイユ賞※牝限
  • フォワ賞
  • ニエル賞
  • ギヨームドルナノ賞
  • プランスドランジュ賞
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