風紀委員モブの昼休み   作:ふゆうさぎ

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テンポ悪くてなかなかお話進まないけど今週中にミサイル飛ばすからみんな我慢してくれ…
あと今回は昼休み関係ないです()


正実

 私は今、トリニティに向かってる。

 これは移動中の電車で書いているのだけれど、隣にいる例の彼女が寝ている隙にできるだけ書くことにするわ。

 

 今日の朝会で連絡が回るでしょうけど、私は今日一日トリニティに行くことになったわ。

 詳しい理由はまだわからないけど、トリニティからの緊急打診があったから。

 その打診内容は「エデン条約当日の護衛配置の変更についての依頼」とのこと。

 今日までやってきた訓練が最悪水の泡と化してしまうからできるだけ抗議するつもりだけれど、護衛配置の変更なんて滅多なことが起きなければ発生しないはず。

 ゲヘナ側が問題を起こして、ということでなければトリニティ側で何かが起きたと考えるのが妥当でしょうね。

 ともかく、一日席を外すからよろしく頼むわ。

 

 それともう一件。

 今日トリニティに出向くにあたって、例の彼女を連れていくことにしたわ。

 というのも、もし彼女がトリニティ側に付いている裏切り者だったとしたら、トリニティに行き重役と遭遇した時点で何かのアクションをするはずだと思ったから。

 未だに彼女が裏切り者なのかどうかの疑念を抱いているけれど、エデン条約は既に目前。

 そろそろこの感情と事実にケリを付けたくて、彼女を一方的に連れ出したの。

 

 彼女が今まで接触してきた生徒リストに新たに加えられたのは、万魔殿のサツキ、正実の生徒、そして不良のヘルメット団のラブ。

 ラブに関しては手を振りながら別れて行ったのをアコ達が目撃しただけだから、今までみたいに何かを企んで接触したかは不明。

 場所がブラックマーケットだっただけに疑う要素はいくらでもあるのだけれど、逢瀬を果たしていた場所が有名な唐揚げ屋だったことを考慮すると、本当にご飯を食べに行っていただけなのも否定できない。

 今のところ「誰かと接触して情報を集める」以外の行動の一切を行っていないのを見ると、可能性として浮上するのはエデン条約当日のテロ行為。

 それか、彼女なりに情報を集めて前日あたりに懸念点を共有するとか……一年生の分際でと言われるのが関の山だろう。

 

 私の頭も条約目前で疲れ切っているからか、この程度の予想しか思い浮かばないのが悔しい。

 本当だったらエデン条約を見守る立場の先生を頼るべきなのかもしれないけど、それがトリニティとの溝に繋がる可能性が否定できない以上、公にも動くことが出来ない。

 だいたい先生に説明しようにも彼女と先生は面識が一切ないし、説明できたとしても事実しか伝えられないから先生は何も言えなくなるだろう。

 せめて面識さえあれば……そう思ってしまうのは私のわがままだろうか。

 

 そろそろトリニティに到着する。

 どういう会談になるかはわからないけど、とにかく大幅な変更が無いことを祈るばかりだ。

 以上。

 

 

 


 

 

 

「委員長……大丈夫かな」

「心配のしすぎですよイオリ」

「むしろしないのアコちゃんは」

「死ぬほど心配に決まってるじゃないですか何を言ってるんですかイオリは!」

「ちょっと理不尽じゃない?」

「行政官、イオリ。これを」

「ん、どったのチナツ」

「どうやら例の彼女を同行させてるみたいです」

「はぁ!?!? なんで私じゃないんですか!!!」

「声でか」

「おかしいでしょうだって私の方が委員長と一緒にいる時間長いんですよなのになんであんなぽっと出の陰湿で何してるかもわからない何考えてるかもわからない変な奴と一緒に行くだなんて許せない!!!」

「言い過ぎ言い過ぎ」

「とはいえ、委員長の考えていることは理にかなってます」

「ここは委員長に任せてみよう。動くのはその後で……」

「私達も追いかけますよ!」

「アコちゃん、命の母ちゃんと飲んでる?」

 

 

 


 

 

 

「本日はお忙しい中ご足労いただきありがとうございます」

「お迎えご苦労様。早速で悪いのだけれど、ツルギ委員長の元まで案内お願い」

「かしこまりました。どうぞ、こちらへ」

 

 

 案内役の生徒の背中を付いていく。

 トリニティ学園前の駅に着くなり正実の生徒たちに囲まれ、気づけばリムジンで建物の前まで運ばれていた。

 丁重な扱いをされている反面、気を遣われすぎるというのもあまりいい気はしない。

 これだって私のわがままなんだろうけど……ため息くらいなら許されよう。

 と、そんなことを考えていたら廊下でばったり副委員長である羽川ハスミと会った。

 どうやら私のため息が聞こえていたのだろう、足を止めて話しかけてきた。

 

 

「何やらお疲れのようですね」

「……ええそうね。突然の呼び出しかと思ったらあんな内容、誰だってこうなるわ」

「申し訳ありません。私たちも突然のことで困り果てているのです」

「ふぅん。でもアナタたちならすぐ対応できるでしょう?」

「それが……そうもいかず」

「どうして? だってアナタたちの都合でしょう……?」

「すみません、これ以上はこの場では話せません。委員長と……ナギサ様とお話しください」

「……桐藤ナギサもいるの?」

「申し訳ありませんが、後はそちらで。ご案内してあげなさい」

「ハッ!」

 

 

 ハスミは一礼だけしてこの場を去っていった。

 桐藤ナギサまで同席しているとは聞いていないし、それならば今の態度は悪手だったかもしれない。

 そんなことを考えつつ案内役に案内されるがまま目的の場所に辿り着いた。

 応接間……それも幹部級だけが使えるであろう最高級そうな装飾の施された重厚な扉が待ち構えている部屋だ。

 うわ、そんな声が素で出てしまったが、すぐに咳払いで無かったことにして扉を開けた。

 部屋には程よい大きさのテーブルが一つ。向かい合わせて二席ずつあり、計四席。

 扉のある手前側に委員長である剣先ツルギ委員長、それと──

 

 

「……はじめましてね、桐藤ナギサ」

「お待ちしておりました空崎ヒナ風紀委員長。どうぞ、楽にしてください」

「お言葉に甘えて、失礼するわ」

 

 

 奥側……確かここが上座だろうか。普段そんなこと考えて席など座っていない。

 指定された一番奥の席に私が座り、その隣に彼女が座る。

 こんな場所初めてなのだろう、彼女は忙しなく視線を動かして部屋の隅々を見ている。

 ……いや違う。何かを探している? 

 この部屋には私達とツルギ委員長、桐藤ナギサの四人しかいないにも関わらず眼球の動きまでを総動員して部屋を嘗め回すように観察している。

 しかしそれは、相手には丸見えだ。

 

 

「ちょっと。大人しくしなさい」

「あっ、すみません委員長。こういう場所、不慣れで」

「……ならいいわ。でも、相手が相手なんだから」

「りょ、了解です」

 

 

 すぐに大人しくなった彼女を座らせて、ついに会談が始まった……と、思ったが。

 

 

「あの、空崎委員長。彼女は?」

「……風紀委員の書記。記録係とでも思ってちょうだい」

「な、なるほど。よろしくお願いしますね」

「ひゃ、ひゃい! よよっよよよろしくおぉっお願いしますッ!」

 

 

 もう少し落ち着け……そう、言うのも野暮だろう。彼女がどんなに疑わしい存在だとしても一年生。こういう場になれているわけがないから。

 ため息ひとつ吐いて、改めて会談を始めた。

 

 

「それで、例の件だけど……あれは一体どういうこと?」

「簡潔に言う。内部で謀反を起こした奴がいてな」

「……はぁ。やっぱり」

「すまないな。ゲヘナほど素直な人たちばかりじゃないのがトリニティなんだ」

「知ってる。期待はそんなにしてないから」

「……すまないな」

 

 

 つい本音が口を出てしまった。急いで口を押えたがもう意味が無いことを悟って、大人しくため息を吐いた。さっきからため息ばかりだ。それは向こうも同じみたいだけど。

 

 

「はぁ……」

「……はぁ」

 

 

 ツルギ委員長、そして桐藤ナギサまでもが憂鬱そうにため息を連発している。

 隣の彼女だけがその雰囲気に飲まれていないが、しかし妙な表情をしている。まるで「どうすればこの場をまとめられるか」なんて悩むリーダーみたいに眉間に皺を寄せている。

 あなたそんな立場じゃないでしょ……そう言いかけた時。

 

 

「謀反を起こしたのは……ティーパーティーの一人、ですね」

「「「!?」」」

 

 

 彼女の口から出てきたのは根拠も無いであろう無礼極まりない単語。

 あまりの衝撃にヘイローが飛んでいきそうになったが、なんとかヘイローを捕まえてすぐに彼女の口を塞ぐ。

 

 

「な、なんてことを! ごめんなさい、彼女まだ一年生だからこういう場の作法をわかってなくて──」

「……いえ、あってます」

「……え?」

「すみません。切り出せなかったんです。謀反を起こしたのは聖園ミカ。パテル分派のトップです」

「な、なんてことを」

 

 

 内部事情にしたってトップ同士の諍いが原因だったことに、怒りがあっという間に呆れに変わる。

 従来のトリニティ生が大のゲヘナ嫌いなのは十分に知っていた。だからこそ、ティーパーティーの全員が生徒たちを納得させたうえでこのエデン条約を行うのだと思っていたのだが……私の推測は的の中心どころか、的にすら当たっていなかったようだ。

 しかし、気になったのはそこだけではない。

 どうして彼女がそれを知っていたのか。

 

 

「……どうして知っていたの?」

 

 

 今まで彼女が情報収集の為に動いていたのは知っている。しかし、この情報は本当につい最近の出来事らしいし、彼女がこれまでの間に知る手立てはないはず。

 であれば、彼女はどうやってその情報を手に入れたのか。

 

 

「知りませんでした。でも、なんとなくと言いますか……雰囲気? ですかね」

「どういうこと? ちゃんと言いなさい」

「えと……偉い人が言うに躊躇うってことは、よほど身近な人でないとそうはならないはずです。正実の副委員長かもって最初は思いましたが、先ほど普通にいらっしゃったので。となると、同席しているナギサ様に近しい人物だと思いました」

「……そこまで推察できる方でしたか。ただの書記ではなさそうですね、空崎さん」

「ウチの風紀委員でもトップクラスに仕事ができる後輩よ」

 

 

 まさかこの場のたった数秒に満たない空気でそこまでの推理ができるとは思わなかった。

 しかし、本当に一年生なのかとやはり疑いたくなる。彼女を気にし始めたばかりの頃、彼女は先生と同じくらい大人びていると評した。

 しかし最近、その大人びた雰囲気は鳴りを潜めていた。気のせいだったかもと思いもしたが、やはり年相応とは思えない。

 頭が切れるでは説明できないほどの聡明さ……年の功と言った方がしっくりくるそれに思わず感嘆してしまった。

 

 

「ともかく。ティーパーティーの一人が謀反を起こして、それで何が起きたの? ただ彼女を拘束するだけではダメなの?」

「それが……とある組織と共謀を謀っていたようで」

「とある組織?」

 

 

 私の返事にどう答えるべきか、ツルギ委員長と目配せをする桐藤ナギサ。

 しかしツルギ委員長は首を横に振った。まるで「素直に言うべきだ」と言わんばかりの表情。

 桐藤ナギサはツルギ委員長の言う通りにすべきだと思ったのだろう。小さく咳ばらいを挟んで、その名を呟いた。

 どこもかしこも後悔だらけ、そんな感情の乗ったことばは、聞いたことも無い名前だった。

 

 

「……アリウス分校。古くにトリニティ総合学園から弾圧された、一つの分派です」




毎日投稿してるから中途半端でもゆるして…
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