風紀委員モブの昼休み   作:ふゆうさぎ

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たのむモブ子…そろそろ昼メシを食べてくれ!
タイトルの意味が無い!


対談

 両手に花、という言葉があるでしょう? 

 あれは可愛い女の子を両腕に抱えて札束で敷き詰められたお風呂で「勝ちまくり! モテまくり!」って書いてある例の広告みたいな男の人が使える特別な言葉だと思っていました。

 でも考えてみてください。今の私が両手だけで済むと思いますか? 思いませんよね? そう、思わないんです。

 

 

「……で、こちらの生徒はこの廃墟を利用して監視塔の役割をしてもらいたいです」

「わかったわ。私は変わらず先生の護衛でいいのね?」

「ああ。こちらからも人員は出すが、私は周辺監視を担当する」

「了解したわ。先生は任せて頂戴」

「頼んだぞ、空崎ヒナ」

 

 

 見てくださいよこの光景。ヒナちゃん、ナギサちゃん、ツルギちゃんの三人が地図と睨めっこしているこの様子を。

 もうここがエデンなんでしょうね。私もうエデン条約なんてどうでもいいです、だって目の前に本当のエデンを見つけたから。

 

 この個室で私を含めて四人だけ、私以外の全員がトップレベルのネームドキャラ。さっきから良い匂いでたまらんですの。

 そもそもヒナちゃんはずっとおひさまの匂いがしてることからヒナちゃんの体臭そのものがおひさまの匂いだってこの前ようやく理解したところなのに突然こんな密室にぶち込まれたかと思ったら血まみれが通常のツルギちゃんとロイヤルナギサちゃんの二人までいるっていうもう意味わかんない状況なのに鼻孔をくすぐるのはとにかくいい匂いなのそれにいろんな香水の匂いが混ざったキツイ匂いとかじゃなくて全部がナチュラルな香りで返り血ばかりのツルギちゃんからそんな匂いするわけがないと思ったのに石鹸の匂いとかでとても清潔さだってあるしナギサちゃんに至ってはもう何の匂いかわからないけどとにかくロイヤルな匂いがするの鼻がとにかく幸せでたまらんのです。

 

 

「ねえ、ちゃんと書いてる?」

 

 

 あととにかく皆顔が良いんだよね見てよヒナちゃんの横顔なんてもう何度も見たから見慣れてると思ったけど改めて見ると年相応じゃない幼い顔をしてるわけじゃなくて顔のパーツ一つ一つは凛としてて一見その輪郭と合わないかと思ったら絶妙なバランスの上に成り立つことで最高に可愛いお顔になってるんです次にツルギちゃんの顔を見て欲しいんだけどツルギちゃんの顔のパーツはメッチャ尖ってるような印象を持つ人が多いと思うんだけど実はそんなこと無くて普通の顔をしてる時は目頭はとても鋭いけど目尻は緩やかな弧を描いて弛んでて実は若干のタレ目だったりするんですねお口とかも例の顔をしてない時はちっちゃなお口でかわいいけど輪郭がものすごくちゃんとしてるから大人びた印象を受ける美しいお顔なのそれで最後はナギサちゃんなんだけどもう言わずもがなのロイヤルフェイスでしてナギサちゃんこそタレ目で優しいイメージがあると思うんだけど実はツルギちゃんとは逆の若干の釣り目になってて口角を上げるだけで何か企んでるようなお顔を作れたりするんですでもそれはツルギちゃんよりも若干ふっくらした輪郭が和らげてくれるおかげでおロイヤルフェイスが完成されてるんですわけなんですね。

 

 

(スゥーッ)

 

 

 それに見てくださいよ彼女たちのおててを皆綺麗じゃないですかでもただ綺麗なだけじゃないんですよほら見てヒナちゃんの手は体格相応でふっくらしてるんだけどあの大きな銃を振り回すだけの膂力を発生させる手にはちゃんとマメの痕がいくつもあって手の甲から見るとふっくら可愛いおててで掌を見ると歴戦の戦士なんですよそれはツルギちゃんにも通じるところがあってて手のひらなんかは同じマメの痕がある戦士の手なんだけど甲をみると大人の女性を思わせるスリムな指でちょっとだけ伸ばしてる爪はキチンと整えてある上にギラギラしすぎない丁度いいツヤを放つ黒いマニキュアが塗られているのが他の子と違う大人ポイントで大変良いんだよそれでナギサちゃんは掌も甲も両方に傷一つない温室育ちを思わせる綺麗な手なんだけどただ綺麗なだけじゃなくてとにかく美しく整えてあって毛穴一つすら見当たらないおててはまるで人形を彷彿させるほどなの正直この中で一番すべすべそうでホントにお触りが許されるなら頬ずりしたいくらいなんですやっぱネームドって格が違うんスねぇ。

 

 

「ねぇ。ちゃんと書いてるのかって聞いてるのだけれど」

「も、勿論です!」

「……書いてるならいいわ。どこか上の空だったから」

「す、すみません」

 

 

 しまった、つい限界オタクを突破した天元突破オタクになってしまっていたようだ。

 ツルギちゃんは気にしてないけどナギサちゃんの目が細くなった。何も余計なことは考えてませんよナギサちゃん。

 真面目アピールの為にも何か発言した方がいいだろう。ちょっと手を挙げてみるのだ。

 

 

「あの……アリウスについて聞きたいんですけど」

「どうぞ。私も詳しくないので答えられることは限られますが」

「大丈夫です。聞きたいのは、アリウスの目印です」

「目印……ですか?」

「はい、要は校章です。エデン条約を妨害するのが目的なら今もどこかで潜伏しているはずです」

「なるほど……彼女らは髑髏のマークを校章として使用しています。それが描かれた腕章を、この前の襲撃時には全員着けていました」

「なるほど、髑髏ですね。こちら風紀委員の方で共有してもよろしいですか?」

「はい。お願いします」

 

 

 メモ帳に髑髏マークの腕章と書き綴り、実はこんな情報は役に立たないのだがとペンを転がした。

 

 襲撃タイミングはわかっている。どういう攻撃を最初に仕掛けて、アリウスがどういう展開で襲撃してくるのかもわかっている。

 ここまでわかっているのに問題は、これを回避することが出来ないということ。

 巡航ミサイルを撃ち落とす算段は今からじゃ立てることが出来ないし、仮に迎撃する武器を用意できるのだとしても「巡航ミサイルを使って攻撃してくるんですよォ~」なんて言う事は立場的にできない……というか、スパイしてるわけじゃないから普通に疑われる。

 つまり、巡航ミサイルによる攻撃は受ける以外の選択肢は取れない。

 重要なのは、その後のケアだ。

 

 

「先生の護衛は、委員長と正実の生徒複数人……」

「ああ。風紀委員長がいれば問題ないと判断した。古聖堂はトリニティ、ホームグラウンドで動き回るなら私たちの方が最適だ」

「しかし古聖堂は規模が大きいです。しかしあまり散開しすぎるのも考え物かと……」

「アリウスからの襲撃があったとして、どの場所でも即時対応できる布陣だ。会場全てから敵が生えてくるなら問題だろうが、そうはならない」

「……ですね。私の考えすぎでした」

「いや、疑問を口にするのは仕事が出来る者の特徴だ。胸を張れ」

 

 

 ツルギちゃんマジいい女すぎやんけ。なんやこの頼れる女上司感、ヒナちゃんの次に上司にしたい人ナンバーワンだよ。ワーストワンはアコちゃん。キレすぎだからね。

 

 ツルギちゃんたちが計画している護衛布陣は完璧。どこからの襲撃にも対応できる最高の陣形だ。

 相手が普通のテロリストとかなら完封することができるだろうね。

 でも相手は巡航ミサイルを使ってくるし、なんならエデン条約をも乗っ取ってきてミメシスを大量に召喚してくる。

 普通が通じる相手じゃないことを伝えられず、ただミサイルが飛んでくる未来を待つことしかできないのは私がモブでありたいことを願ったから。

 自業自得……でも、それ以上の歴史改変はハッピーエンドから遠ざかってしまう可能性もある。

 あまねく奇跡の始発点……目指すべきは、そこなのだ。

 

 

「話は纏まりましたね」

「ああ。これだけの防衛線を組めば余程の敵は圧倒できる」

「そうね。良い対談になってよかったわ」

「ありがとうございますヒナさん。書記さんも」

「いいいいっいいえ! こちこちらこそそお」

「何時間一緒にいると思ってるの? いい加減慣れなさい」

 

 

 ひょえ……そりゃ無理な話だよヒナちゃん。だってロイヤルなナギサちゃんから感謝されるなんて人生であと何回あるか……何回も無いよ普通だから私ひょえってるんだってば! 

 と、そんな具合にヒスっていると厳かなチャイムが鳴り響く。

 こんなところまでロイヤルなんだトリニティって。やっぱブルジョアじゃんね。

 

 

「お昼になってしまいましたね」

「ナギサ。委員会の用事があるから先に行くぞ」

「お疲れ様ですツルギさん。ところで……お二方は、この後ご用時は?」

 

 

 猫背のまま去っていくツルギちゃんを追いかけたい気持ちを抑えて、突然振られたナギサちゃんの言葉に返事をする。

 このパターンで言われるのはおそらく食事のお誘いだろう。しかし私にはいきたい場所があるのだ。

 

 

「ないわ」

「あります」

「えっ」

 

 

 ごめんねヒナちゃん……私、行かないといけない場所があるんです。これだけは絶対に外せないの。

 ゲヘナ生という立場上、トリニティには滅多に入ることが出来ない。一般市民であれば普通に入ることが許されているような場所だとしても、ゲヘナ生は入ることが出来ないなんてざらにある。

 そんな場所に合法的に入ることができるのであれば、行きたい場所は一つだけ! 

 

 

「そうでしたか。ちなみに、どちらへ?」

「シスターフッドへ行きます」

「……はい?」

 

 

 マリーちゃんに会いに行くんだよ! あたしゃ絶対に会いに行くぞ!! ここでヒナちゃんがダメって言ってきたとしても私は全てを振り切ってマリーちゃんに会いに行くんだ!!! 

 どうしてこんなにマリーちゃんに執着するかって? そりゃ画面越しでも本物の天使みたいな笑顔を振りまく卑しん坊が現実にいたとしたらどんな人物になっているかが見たいからに決まってるでしょ。

 私はどんなマリーちゃんだとしても受け入れてみせる……というのは建前兼本音で、本音はマリーちゃんのド級ナマモノ薄い本が横行するブルアカ世界のマリーちゃんは一体どんなマリーちゃんなのか……気になって仕方が無いのだ。

 

 

「し、シスターフッドへ、ですか……?」

「はい。会うべき方がいるのです」

「そっそそうですか……」

「はい」

「……は、はい」

 

 

 力強く頷く。ヒナちゃんは「そんなに行きたい場所があったなら先に言いなさい」と咎めてくるが、この対談がいつ終わるか分からなかったんだから仕方ないじゃないか。

 ともかく、教会がいつ閉まるかわからない以上動くのは早ければ早いほどいい。善は急げだ。

 

 

「今日はありがとう、ナギサ」

「い、いえ。こちらこそ、あっありがとうございました」

「……どうしたの? 顔色が悪いわ」

「な、何でもないです!」

 

 

 ナギサちゃんは急いで立ち上がるとスカートの裾をつまんで一礼する。これがロイヤルお辞儀……初めて見た。

 

 

「私はこれで失礼します。帰りの足はこちらで用意させていただきますので、いつでもご連絡ください」

「ありがとう。それじゃ、行くわ──」

「行きますよ委員長! いざシスターフッドへ!」

「ちょっと、待ちなさい!」

 

 

 ヒナちゃんの腕を掴んで廊下を走り出す。盗んだヒナちゃんで走り出すのだ。

 待っていてよマリーちゃん! ヒナちゃんの次に愛しのマリーちゃん!!! 

 

 

 


 

 

 

「……私です。ええ、そうです。あの二人です。特に書記の方を」

 

「今シスターフッドへ向かったようです。まさか私の前で堂々と……彼女、侮れませんね」

 

「そうです。絶対に見逃さないようにしてください……何を企んでいるのか、絶対に!」




マリーに会いたいだけんだ!
マリー可愛いよね体操服マリーは手に入りませんでしたが(憤怒)

次回久しぶりに昼休み回です。
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