風紀委員モブの昼休み   作:ふゆうさぎ

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久しぶりに物語前半の書き方したよ。
どんな書き方してたか自分の書いたのを見直しに行ったわ…
ちなみに物語はあんま進まない


Re.ブラックマーケット

 逃げ場所を求めて三日くらい。

 私はアリウススクワッドの皆と一緒にカタコンベ内を日夜問わず歩き続けていた。

 舗装されていない剝き出しの岩の上を歩くのはかなり堪える。骨折から治ったばかりの脚は既にパンパン。

 や、休みてぇ~。

 

 

「ちょっと……みんな、休もうよ……」

「……ねぇリーダー。さっきからアイツうるさいんだけど」

「へ、へ。私も疲れてきました……脚がプルプルですぅ」

「ミサキ、ヒヨリ、我慢しろ。おい、お前は少しは黙れ」

 

 

 サオリちゃんに睨まれる。我々の業界ではご褒美な事ご存じない? ああそっか、アリウスにはそういう文化無いもんね。

 知らない方が幸せな世界ってあるからそのまま純粋なままでいてくれサオリちゃん。

 

 

「ひとつ聞いてもいいかなサオリちゃん」

「次はなんだ」

「私達さ、あの戦いから三日くらい逃げ続けてるじゃん? 私は捕虜だけどさ」

「……そうだが」

「なんでご飯がずっとカロリーバーだけなの?」

 

 

 私以外の全員がピタッと足を止めた。まずい、多分地雷だったなコレ。

 私だけ歩き続けるわけにもいかないから足を止めると、隣まで来たサオリちゃんが私の胸倉をつかんで来た。

 これだけずっと歩いてるのに元気いっぱいじゃん……これが若さか。

 

 

「貴様ッ……私たちにはもう居場所なんて無い! マトモな食事をとる場所も、時間も無いんだ!」

 

 

 サオリちゃんのフラストレーションは既に限界に達している。私がベアおばの欲している人間じゃなかったら多分殺してると思う。

 アリウスのエデン条約乗っ取り作戦は、先生を倒せば確実に成功する物だった。

 しかし先生が死に至ることは無く、それどころかダメージ一つも与えることが出来ずに作戦は失敗に終わった。

 その元凶は何か。そうです、私なんですよ。

 だってあのタイミングで先生に死なれたら100%ハッピーエンドに向かうことは無いし、やむを得なかったんだサオリちゃん。

 

 

「アリウスの追手が来てない今なら地上に上がっても大丈夫なんじゃないの?」

「馬鹿かお前は。地上にはゲヘナとトリニティが血眼になって私たちを探しているだろう。そんな中地上に出てたら……」

「まぁ捕まるよね。普通なら」

「……何が言いたい」

「連絡手段があれば、ちょっとだけ地上の空気は吸えるよって話」

 

 

 私の言葉に真っ先に食いついてきたのはヒヨリちゃん。流石だよヒヨリちゃん、卑しか女杯で正当な意味で優勝する女は伊達じゃないね。

 

 

「じゃ、じゃあ地上に出れれば美味しいご飯が食べれるってことですか!?」

「それはわからない。せめて私のスマホとお財布があれば……」

「あります!!! カバンの奥にちゃんとしまってあります!!!」

「……先言って?」

 

 

 そう言えば私、エデン条約直前にトリニティの駅で攫われて以降一度も家にもゲヘナにも帰ってないな。

 スマホの充電は間違いなく無いだろうけど、学生証さえあればなんとかなる。

 ヒヨリちゃんはその場で勢いよくカバンを下ろすと、某青色タヌキみたいに中身をポイポイし始めた。

 

 

「ヒヨリ、何故そんなに無駄な物が入っているんだ」

「え、えへへ。このファッション誌、ゴミ箱に捨てられてたので拾って来たんです。それも三冊も!」

「……まぁいい。あまり重量を増やしすぎるな」

「は、はい! ……サオリ姉さんって優しいですよね、えへへ」

 

 

 私に向かってにんまりするヒヨリちゃん。知ってるかい? その優しさは君だけに向けられているんだよ。どちらかと言うと甘やかされている方だけど。羨ましいなクソ。

 と、そんなことを思っているとヒヨリちゃんがカバンの中から私のスマホとお財布を発掘してくれた。

 当然、スマホの電源はつかない。

 

 

「それで、お前は何ができるんだ」

「せめてスマホの電源さえ確保できれば……多分外へ出られる」

「私たちの顔はもう割れてる。素顔で外に出れば捕まるよ」

「わかってますミサキさん。だから、連絡したいんだ」

「誰に?」

「それはねアツコちゃん。お友達に、だよ」

 

 

 頼りになるお友達が私にはたくさんいるんですよアツコちゃん。

 主に表社会に出てきちゃいけないタイプとか、牢屋に入って更生した方がいいタイプとか、真っ当に学業に励んだ方が良いクソ真面目タイプとか、普通の不良とか。

 まともな友達おらんのか私は。

 

 

「とにかく、電源確保が必須。そうすれば皆で外に出れるはず」

「……どうするリーダー?」

「わ、私は外に出たいです! あ、あとできれば美味しいご飯も食べたいですぅ……」

「……姫はどうしたい」

 

 

 全員の視線がアツコちゃんに向く。仮面の無いアツコちゃんは可愛いね。ちょっと考える仕草だけでも様になってめっちゃかわいい。

 この「うーんどうしよっかなぁ」って無邪気にお菓子を選ぶ子供みたいな……最高に可愛いんだが? 個人的にアリスク組じゃ可愛さランキング一位はアツコちゃんだよ。クール部門一位はミサキちゃん、お姉ちゃん部門ではサオリちゃんが一位。

 ヒヨリちゃん? お前は比喩ナシ卑しか女部門堂々一位だろうが! 

 

 

「私も外に行きたいな」

「……わかった。お前、計画はあるのか?」

「無いよ? これからみんなで立てよう、電源確保作戦!」

「お前は捕虜のはずなんだがな……まぁいい、計画を練るぞ」

 

 

 全員で小さなランプを囲うように座り、電源確保作戦を立てることにした。

 

 

 


 

 

 

「例の彼女は見つかりましたか、アコ行政官」

「チナツ……いえ、全然。委員長はしばらく療養だから私達だけで頑張らないといけないのに」

「無理は禁物だよアコちゃん。どうせあいつ、神出鬼没だから」

「……ですね。気長に待つとしますか」

 

「行政官、報告です! あの一年生らしき人物の目撃情報が上がりました!」

 

「……ね? 言ったでしょアコちゃん」

「早すぎます! でも構いません、どこで目撃されましたか!?」

「ブラックマーケットの郊外です! ですが、一つ不思議な点がありまして……」

「なんですか!?」

「え、エデン条約の時に顕れた幽霊、いるじゃないですか」

「確かユスティナ聖徒会とか言いましたね。それが何か?」

「あれと同じ格好をしているんです。街中を……その、際どいハイレグで歩き回ってまして」

「変態すぎるので人違いかもしれませんね。引き続き、巡回をお願いします」

 

 

 


 

 

 

「それで? そんなことで私たちに手を貸してほしいってコト?」

「そうなの! ごめんねラブちゃん……」

 

 

 あの後何とかして電源を確保した私達。

 近代的な建物が近くにある場所からカタコンベを脱出し、電源を盗んでスマホの充電をしたのだ。風紀委員あるまじき姿や。今の格好もそうなんだけどさ。

 起動できたらすぐにラブちゃんに連絡して、今に至る。すぐに駆け付けてくれるラブちゃんマジラブリーラブちゃんやで。

 

 

「別にヘルメット貸すのはいいわよ。予備用もいっぱいあるから……でもさ、そいつらと一緒なのはなんで?」

「いやぁ、これには浅くて広い理由がありまして」

「あんたが動く理由なんていつも浅いでしょうが。どうせ今回もロクでもないこと考えてるんでしょ」

「えへへ、バレた?」

「何年一緒に過ごしてると思って……」

 

 

 そう、何を隠そう、私はラブちゃんの幼馴染なんですね。小さい頃にたまたま会ってからなんだかんだ腐れ縁で繋がっております。

 は? 誰がラブちゃんとの縁が腐ってるって? 運命で決まってる真っ赤な糸なんだが? もう真赤な誓いここで歌い上げちゃうんだが? 

 それにしてもラブちゃんはやっぱ察しが良いというか、聡明だよね。もうキヴォトス全土で顔が割れてるアリスク組と会っても、私が一緒にいるから何か理由があるって察してくれる。

 これってもう以心伝心じゃんね!? 

 

 

「まぁいいわ。好きに使ってちょうだい」

「ありがとうラブちゃん! しゅき!」

「ちょっと気持ち悪いわ。あと、その服痴女にしか見えないわ」

「ラブちゃん!?」

 

 

 変態と一緒にいたくないからじゃあねと手を振られ、私はラブちゃんに盛大にフラれてしまった。恋愛経験の無さがこんなところで響いてくるとは……関係ない? そう……

 ともかく、ヘルメットを五つ手に入れた私達。これで外で行動するためのピースは全て揃った。

 

 

「私はこのままで行くよ。皆はヘルメット被ってね」

「何故お前は被らない?」

「注目されれば皆に視線がいかないからだよ。必要な犠牲ってやつだね」

「……何故お前が犠牲になる?」

「サオリちゃん、人の厚意に詮索は無粋だよ?」

「……わかった」

 

 

 そうそう、子供は素直に大人の言う事を聞けばいいんだよ……悪い大人のセリフじゃんね? まぁ悪い意味じゃなくて私に任せろ的な意味合いなわけでして……言い訳にしか聞こえない? ごめんて。

 

 

「それで、外へ出て何をする?」

「どうせ長居もできないんでしょ。なら、散歩程度でいいでしょ」

「わ、私は美味しい物を……」

「私はお花を見に行きたいな」

 

 

 ヒヨリちゃんの図太さには本当に舌を巻く。太いとかの次元じゃないって。

 しかしサオリちゃんとミサキちゃんは特に行きたいところも無いらしい……でもね二人とも。

 原作の記憶を持っている私がァ!!! 君たちの趣味を知らないわけがないでしょうがァ!!! 

 

 

「じゃあ、とりあえずご飯買おっか」

「美味しいご飯ですか……?」

「ヒヨリちゃん、ハンバーガーって知ってる?」

「き、聞いたことはあります! ジャンクみたいな味がするって……ゴミみたいな味ってことですか?」

「それを言うなら『ジャンキーな味』だよ! 味がとんでもなく濃厚で栄養の欠片も考えられてない、ステータスを味に全振りした食べ物なんだよ!」

「そ、そんな食べ物が世の中にあるんですね! 行きましょうリーダー!」

 

 

 涎を垂らしそうになりながらサオリちゃんの方に振り向くヒヨリちゃん。多分今までの中で一番元気な姿だ。

 そんなヒヨリちゃんを見てか、サオリちゃんはため息を一つ吐きながら私に言った。

 

 

「外での行動は全てお前に任せる。ただし、逃げるなよ?」

「私が逃げると思う?」

「……いや、お前からそういう空気は感じられない」

「そりゃ逃げる気はないからね」

 

 

 皆を先導するために隊列の先頭に立つ。

 そして、振り向く。

 

 

「皆をハッピーエンドに届けるまで、逃げる気はないからね! さ、行こう! ブラックマーケットに!」




アリスク組と交流を深めるフェーズ。
あと2,3話くらいで4章に突入するよ。
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