風紀委員モブの昼休み   作:ふゆうさぎ

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いざ、最終回!
(オラトリオ編を書き始めたので「エデン条約編の最終回」です)


サオリ

 私は花束を片手に、人気の無い展望公園へと訪れた。

 この場所からの眺めはとても良く、ここからトリニティ自治区の全てが見えると言っても過言ではないかもしれない。

 日は徐々に暮れ始め、街には明かりが点き始める。

 夜景に変わっていく目の前の景色に、一人でこんな場所にいる私は自分が浮いていることを自覚した。

 

 エデン条約襲撃の事前調査で、ここには一度来たことがあった。臨時拠点として使えそうだと思ったが、その役目が回ってくることは無かった。

 場所も市街地からかなり遠く、学園からは車でも一時間かかるほど。そのせいか、人気は一切ない。

 だけど、今の私にとっては都合がいい。

 

 

「……迷惑をかけてしまったな」

 

 

 街に明かりが灯るのと反対に、学園内の明かりは次々と消えていく。ティーパーティーのテラスも。

 きっと学業や部活、委員会の仕事を終えて、帰るのだろう。それとも、放課後だから遊びに行くのだろうか? いずれにせよ、私には触れられない場所。

 そんな場所に、姫は行ってしまった。私の手の届かない場所へ。

 

 今日の私には大切な用事があった。先生との面談だ。

 姫と一緒に面談を受ける予定だったのだが、私は逃げてしまった。

 せっかく正実の仕事を早退させてもらったのに。久しぶりに姫と会えると舞い上がっていたというのに。

 どうしてこんな場所にいるんだろうと、無意味に街を眺める。

 強い風に吹かれる。握っている花束から、どんどん花びらが落ちていく。

 これではもう、渡せない。

 少し遅くなったが、姫の門出を祝うために買った花束。赤いスイートピー。店員に聞いたところ、花言葉は「門出」だそうだ。

 今の姫にはピッタリだと思ったんだ。

 

 

「……虚しいな」

 

 

 私は花束を投げた。風にあおられ、不規則な動きをしながら雑木林の中へと落ちていく。

 私に残されたのは、アリウスの頃から使っている銃だけ。

 まるで少し前に戻った気分だ。

 

 私はどうして逃げてしまったのか。答えはわかっている。

 わかっているのに、もやがそれを隠す。感情を言葉にできない。胸が痛いほどのこの感情が、喉が詰まらせる。

 苦しい、悲しい、虚しい……負の感情が、目頭を熱くさせる。

 いけないと、袖で拭う。小さく、そして小刻みに息を吐き、自分を落ち着かせる。

 

 

「っぁあ……ぅっ、っく、ぅ」

 

 

 ──できるわけがなかった。

 荒れる感情の波。せき止められない。どれだけ塞いでも零れる嗚咽。

 抑えようとすればするほど、胸がどんどん痛くなる。

 誰も見ていないなら、いっそのこと……そう思った瞬間。

 

 

「不審者発見。これより、職務質問を開始します」

 

 

 背後から聞きなれた声。堅い言葉だというのに、柔らかい声色。

 袖で顔を拭って振り向くと、そこにはおまわりさんがいた。

 少し離れた場所に白バイが止まっている。その音にすら気づかない程、私は荒れていたのだろう。

 相変わらずの笑顔を浮かべ、手をヒラヒラさせるおまわりさん。

 私は彼女から目を逸らしてしまった。

 どうしても、その笑顔を見るのが辛かったから。

 

 

「やほ。先週ぶりかな?」

「……そうだったか」

「元気してた? この前は仕事が忙しいって言ってたし」

「……まぁ、な」

「そっかそっか」

 

 

 軽口を叩きながら彼女は私の横に立った。視線をこちらに向けることも無く、私と二人で街の景色を眺める。

 街には車の光が流れ始めた。辺りは、もう真っ暗だ。

 

 無言のまま流れる時間。ふと、小さなくしゃみを出してしまった。

 標高が高いからか、さっきから風が強い。少し寒いと思っていると、隣から腕が伸びてきた。その手には缶コーヒー。

 彼女の方を見れば、変わらず街を見ている。顔をこちらに向けもせずに渡してきたそれを、小さく感謝を言って受け取った。

 温かい。

 

 

「……どうして、ここが?」

 

 

 ふと、私の方から口を切った。

 スマホなどは全て部屋に置いてきた。今の私は連絡手段を一つも持っていない。追跡できるはずがないのに、何故ここがわかったのか。

 その疑問に対して、彼女の口から出てきたのは意外な人物の名前。

 

 

「アズサちゃんに教えてもらったんだ。街中で見つからないなら、多分ここだって」

「アズサに? 面識があったのか?」

「うん。この前パトロール中に遇ってね。少しお話したことがあったんだ」

「そうか……元気にしてたか?」

「友達と遊びに行ってた。元気そうにしてたよ」

「……そう、か」

 

 

 彼女の言葉に、再び気分が沈んだ。喜ばしいことのはずなのに、感情は真逆を向いている。

 気付いている。わかっている。頭の中にあるのはそんな言葉ばかり。

 割り切らないといけないって、それが常識なんだって……だけど、それができないでいる。

 だから、私はこんな場所にいるんだ。

 

 缶のプルタブを引いて、コーヒーを喉に流し込む。味なんかわからない。

 ただ、温かい。

 冷えていた芯に熱がこもる。体が温かくなって……目頭が、再び熱を持ってしまった。

 

 

「あっ、ぁ……いや、これは……ちがっ」

 

 

 拭う。零れる。拭う。零れる。

 何度繰り返しても溢れるそれを抑えられない。温かさが、私の心を壊す。

 情けない顔を見せまいと、彼女に背を向けて離れようとした。だけど、彼女の手がそれを許さない。

 不意に頭に置かれた手。小さく撫でてくれるそれを、振り払うことなんかできなかった。

 

 

「サオリちゃん」

「なん、っだ……」

「寂しい?」

「……っぅ、うう゛ぅ゛!」

 

 

 心のもやが晴れる。どこかで隠したがっていたその本心が、露わになる。

 そんなことを思ってはいけない。そんな感情は情けない。そんな「スクワッドのリーダー」としての矜持が、今崩れた。

 スクワッドはもう解散している。それなのに、私の心は「スクワッドのリーダー」から動けずにいる。

 長年背負ってきた責任に依存して、手放せずにいたんだ。

 

 あの時先生に言われた「その責任はサオリが背負うべきものではない」という言葉。

 今になればわかる。だけど、私はその責任を手放すことが出来なかったんだ。

 

 生きる意味が、その責任にあったから。

 そこにしがみつくしか、生きていていい理由を見つけ出せなかったから。

 

 

「ミサキちゃんも、ヒヨリちゃんも、アツコちゃんも。皆元気にしてたよ」

 

 

 ずっと聞きたかったはずの言葉なのに、今は聞きたくない。

 耳を塞ぎたくても顔を拭うのに必死で、腕があと何本もなければ解決できない。

 だけど、私の腕は二本だけ。

 今の自分のことすらも自分の腕で解決できないのに、全てのことを抱え込むことなんてできやしないんだ。

 

 

「サオリちゃん……ううん、サオリ」

 

 

 改めて呼ばれて、振り返る。

 両腕を広げた彼女が、あの優しい瞳が、私の目を射抜いた。

 

 

「おいで」

 

 

 柔和な優しい笑顔。

 私が……私たちが受けられなかった優しさが、目の前にあった。

 みんなの面倒を一人で見てきて、叱って、褒めて、庇って、耐えて……誰にも甘えずに、自分を律してここまで来た。

 全てはみんなの為だって、自分を捨ててきた。ただひたすらに責任を背負って、ここまで来た。

 不必要な責任に依存して、自分で心を苦しめて、こんな場所まで来てしまった。

 もう、限界だ。

 

 空崎ヒナに、責任から逃げないって言ったのに。

 剣先ツルギにも、逃げないって言ったのに。

 逃げてしまった。

 

 私が弱い人間だって、ようやく自覚できた気がした。

 どんな痛みにだって耐えてこれたから、全てに耐えられるって思っていた。私は、そんな強い人間じゃなかった。

 だから、一人が耐えれなかったんだ。

 

 

「すま、ないっ……」

「いいんだよサオリ。頑張ったね」

 

 

 彼女の両腕に抱かれる。ずっと求めていた温もり。

 やっと、感じることができた。

 

 私は、寂しかったんだ。

 

 

 


 

 

 

「リーダーは見つかった!?」

「こ、こっちにはいませんでした! 姫ちゃんの方は?」

「こっちもいない。どうしようミサキ、どこにもいないよ……」

「せめて心当たりだけでもあれば……でも、わからない」

「私も、わかりません……」

「……サッちゃん、どこに行っちゃったの?」

 

「……? 何、この音?」

「車の音……じゃ、なさそうですねぇ? なんでしょうか……?」

「あれは……戦車?」

 

 

 


 

 

 

「……すまない」

「気にしないでサオリちゃん」

「だが服が……鼻水だらけに」

「洗えばいいよ。気にしない気にしない」

「そ、そうか……」

 

 

 しばらくの時間が経った。

 あの後、どうやら私は泣き疲れてしまったみたいで、彼女の腕の中で寝てしまったらしい。

 目が覚めた時には町から車の光が減っていて、既に深夜へと突入しているのがわかる。

 

 

「……ありがとう」

 

 

 一通りの感情を吐き出せたせいか、簡単に言葉が出てきた。

 あれだけ詰まった感覚に陥っていたというのに。自分がいかに不安定になっていたかがよくわかる。

 

 明かりが消えていく街を眺めながら、冷え切った残りのコーヒーを飲み干す。

 苦すぎるそれにすらも、今は安心感を覚える。

 ここ最近は生きている心地がしなかった。ようやく感じられた「味」に、確かに心が軽くなったのを感じた。

 今なら言える気がすると、柵に身体を預けながら語る。

 

 

「……寂しかったんだ、私は。姫、ミサキ、ヒヨリ……みんなが私から離れていってる気がした」

 

 

 空を見上げる。よく見える星たちに、手を伸ばした。

 当然、届かない。

 

 

「届かない場所に行ってしまった。それがたまらなく、嫌だったんだ」

 

 

 ベアトリーチェと戦った後。私たちは聴聞会に出席して、各々が違う場所へと送られた。だけど、会う事に制限は無かった。

 だからこそ思っていたんだ。場所は違えど、またすぐに集まれるって。私たちは決して、離れ離れにならないって。

 現実は、そうもいかなかった。

 

 

「新しい環境と人間関係。何が優先されるべきかなんてわかっている。私だって、正実の人たちにはお世話になっているし、良い関係を築きたいと思っている」

 

 

 きっとみんな同じことを思っているはず。なら、会えなくなるのは道理。だけど、私は納得できなかった。

 子供じみたその感情に散々言い訳を貼り付けて、本心を見えなくさせていた。

 

 みんなに会いたい。

 みんなで集まりたい。

 みんなとお話したい。

 みんなでどこかへ出かけたい。

 

 そんな想いを押し殺して、振り回されて、瓦解して、その結果逃げ出して……何をしているんだと、笑えてくる。

 ただ言えばいいだけ。そんな簡単なことを、どうしてできなかったんだと。

 でも、言えなかった理由もちゃんとわかる。

 

 

「みんな、自分の道に進もうとしている。私のわがままで、行かないでくれなんて言う事は、できない」

「……サオリちゃんは、それでいいの?」

「いい……なんて、最初から思えていればこんなことにはなっていないさ」

 

 

 再び視線を町へ移す。今もどこかで、三人は過ごしている。

 私の預かり知らない場所で、楽しく過ごしているに違いない。それを私が邪魔するわけにはいかない。

 私がどれだけ納得できなくても、どれだけ一緒に過ごしたいと思っていても。

 今が、大事な時期だから。

 

 

「姫、ミサキ、ヒヨリ……長く過ごしてきたからな。確かな絆を、あの子たちに対して持っているのは間違いない」

 

 

 彼女に向き直り、顔を見る。

 先生の言葉の意味が、今ようやく分かった気がした。

 

 

「だけど、責任を負うのは、自分の人生そのもの」

 

 

 私からみんなが離れていったんじゃない。みんなが、自分で自分の責任を取れるようになっていったんだ。

 寂しく感じたのは、みんなの分の責任が、私の中からなくなったから。

 守るべき対象から、肩を並べる仲間に、変わったから。

 ならば、私が言うべきは引きとめる言葉じゃない。

 

 

「私たちはそれぞれのステージへ進むんだ……それが、きっと今なんだ」

 

 

 そう、私も。

 いつまでもみんなの保護者面しているわけにもいかない。私も変わらなくちゃいけない。

 私も、次のステージへ行かなくてはいけない。

 

 

「……サオリちゃんも、成長したね」

「わっ、な、なんだ……?」

「んー? いい子だなぁって」

「……あまり撫でないでくれ……甘えたくなってしまう」

 

 

 頭を撫でられる。まだこの感覚になれていないからだろうか、無性に甘えたくなってしまう。

 だが何度も甘えるわけにはいかない。甘えん坊だと思われてしまうからな。

 

 街を見下ろす。

 私も、そろそろ帰らなくてはならない。

 取るべき責任を、取りに行かなくてはならない。

 

 

「良かった。サオリちゃんの本心が聞けて」

「……こんなこと言えるのは貴女だけだ」

「あら嬉しい! 私でよければ、いつでも相談に乗るからね!」

「……頼りになるおまわりさんだ」

 

 

 満面の笑みを見せる彼女に、いつもの調子に戻ったと思った。

 この笑顔がチャームポイントな彼女だが、あの時見た後姿……ベアトリーチェを目の前にして、誰よりも前へ出て戦っていたあの姿。

 カッコよくて、頼りになって、優しくて……大きな大きな背中だった。

 私の、憧れだ。

 

 

「……さて、そろそろ帰るとしよう。あまり遅く帰ると、誰に何を言われるかわからないからな」

「おまわりさん的にもそれが良いと思う。だけど、ちょっとだけ待ってね?」

「どうした?」

「そろそろ……ほら、来たよ」

 

 

 展望公園の入り口。小さな光が、大きな音と共に現れた。

 大きなエンジン音とキュルキュルという履帯がアスファルトを走る音。

 現れたのは、一台の戦車。クルセイダーだ。

 私たちの前まで来て、止まった。

 

 

「……やっと見つけたよ、サッちゃん」

「ひ、姫!?」

 

 

 キューポラから顔を出したのは、姫。次々と降りてくる、ヒヨリとミサキ。

 そして、アズサ。

 

 

「みんな、どうして……」

「どうして? わからない? ぶたれたいの?」

「ま、待ってくれミサキ……」

「みんな心配してたんだよ、サオリのことを」

 

 

 一人キューポラから上半身だけ出して話すアズサ。その言葉にみんなを見れば、感情は各々で違うものの、瞳の奥に見えたのは不安だった。

 私のせいで、みんなを不安にさせてしまったのか。

 

 

「どこに行ったのかと思ったら、こんな場所で……」

「サオリ姉さん……おまわりさんに補導されたんですね」

「悪い大人につかまらなくてよかったね、サッちゃん」

 

 

 ミサキと姫は怒り半分だが、ヒヨリに至っては面白がっているようにも聞こえる。

 言い訳もできないなと、すぐにみんなに頭を下げた。

 

 

「すまなかった。勝手にいなくなって」

「次やったら引っ叩くから」

「みんなでやろうね」

「え、えへへ……リンチですね」

「待ってくれ。頼む、待ってくれ」

 

 

 さりげないリンチ宣告に焦って何度も頭を下げると、どうやら気を直してくれたのか、二人が大きなため息を吐いた。

 姫が前に出てきて、私の両手を握る。

 何かを確かめるように、掌を、指を、何度も触れる。

 何をしているんだと聞こうとする前に、姫が口を開いた。

 出てきたのは、震えている声だった。

 

 

「もう、帰ってこないかもって……思った」

「……」

「どこかに行っちゃったって……さみしくて……」

「……すまない」

 

 

 姫を思い切り抱きしめる。私がしてしまったこと、その重さを。

 逃げ出したことで、どれだけ不安にさせてしまったのかを。

 責任の重さを、初めて感じた。

 

 

「……どこにもいかないで」

「あぁ、私はここにいる。ずっと、見守っている」

「うん……」

 

 

 肩を震わせる姫を抱きしめて、背中を優しく叩く。

 子供の時にやったのと同じ。落ち着かせるために、何度も。

 

 みんな、それぞれ次のステージへと進むんだと思っていた。きっとそれは間違いじゃない。

 だけどまだ、私がリーダーでいる必要はあるようだ。

 

 ふと気づいた。

 みんなにとっての私は、私にとっての彼女と同じだって。

 みんなにとって、私は甘えることができる存在なんだって。

 

 

「ミサキ、ヒヨリ」

「なに、リーダー」

「サオリ姉さん……?」

「……おいで」

 

 

 腕を広げる。

 ヒヨリはすぐに駆け出して抱き着いてきた。

 ミサキは少し躊躇ったものの、少しずつ近づいてきて、頭を寄せた。

 皆を、抱きしめる。

 

 

「アズサも」

「……いいの?」

「お前も家族だ。来るといい」

 

 

 私の言葉に、アズサは戦車から飛び出して、走って飛び込んできた。

 勢いよくアツコの間に割って入ってきて、私の胴を思い切り抱きしめてきた。

 アリウススクワッドの、本当の全員集合。

 懐かしさすら感じる、みんなの匂い。寒い日に、こうやって抱き合ったのを思い出す。

 みんなに寒い思いをさせまいと、必死に抱きしめたあの時を。

 みんなを守ろうと、必死に抱きしめたあの時を。

 

 

「……なぁ、おまわりさん」

「なぁに、サオリちゃん?」

「私の夢……今、決まったよ」

 

 

 みんなをギュッと抱き寄せる。あの時よりも大きくなった体で。腕で。

 でも、みんなもあの時より大きくなっている。私の腕からはみ出した分は、自分で責任を取ってもらうとしよう。

 この腕の中にある分だけでも……やっぱり、私はみんなを守りたい。

 みんなを守り続けたいから、私は守る力が欲しい。

 ならば、目指すべき場所は一つ。

 

 

「私は……私も、警察官になりたい」

 

 

 私の言葉に、おまわりさんが笑った。あのとびきりの笑顔で。

 手が使えない私は、指で口角をあげることができない。でも、いつまでも指を使うわけにはいかないだろう。

 だから、浮かべよう。

 私も、とびきりの笑顔を。

 

 

「……どうして変顔してるの、サッちゃん?」

「えへへ、変な顔です……」

「不器用過ぎない?」

「サオリらしい」

「……努力は、必要みたいだな」

 

 

 ……道のりは遠いかもしれないな。

 

 

 この夢は、先が見えないほど遠いかもしれない。この先には、とてつもなく高い壁が待っているかもしれない。

 だけど、乗り越えて見せよう。

 みんなを守るためにも。

 

 全力で笑って見せよう。

 みんながハッピーエンドを掴めるようになるためにも。

 だって──

 

 

「最後に笑ってたやつが、ハッピーエンドを掴めるんだからな」

 

 

 私のハッピーエンドは、みんながハッピーエンドを掴むことなのだから。




これにて完結です!
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!

あとがきは長くなりそうなので、今夜あたりに活動報告に投げようと思います。

感謝イラストも描いたりしたので、よかったら見ていってください。
それでは皆さん、またいつか会いましょう!

【挿絵表示】



オラトリオ編、始動しました。
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