風紀委員モブの昼休み   作:ふゆうさぎ

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ようやくエンジンかかりました。
アリウスオンリーのおかげだったり、3Dライブのおかげだったりする。
3DのDJサオリは最高でしたね。死ぬかと思いました。



アリウスへ

 へぇい、モブ子改めおまわりさんです。

 

 皆さま、お元気にしてたでしょうか? 

 私はシャーレ警察が設立されてからという物、何故か先生のお手伝いばかりしています。

 

 あのクソ教師め……自分は生徒とイチャイチャして仕事はみんな私に押し付けてきやがる。

 だがな先生、それがアンタの命取りってわけだ。

 全部適当に処理してリンちゃんに押し付けておいた! おまえももう おしまいだッ! 

 え? それはリンちゃんが可哀そうだって? 大丈夫、もう賄賂は渡してあるから。

 何を渡したかって? 先生の人権。

 

 

「ということでやってきました、アリウス!」

 

 

 久しぶりに訪れたアリウスの地。サオリちゃんたちの生まれ故郷ですわね。相変わらずじめじめで暗いのなんの。

 正直怖いってばよ。私ホラー苦手なんだって。

 

 さて、私が今日ここに来た理由を説明しよう。

 

 エデン条約の後。事件に関与したサオリちゃんを中心としたアリウス生たちは、紆余曲折あったものの、無事にトリニティに編入することが出来ました。

 しかし、編入できたのはアリウス生の中でもほんの一握りだけ。その他大勢は、まだここ、アリウスに残り続けている。

 

 ここに来た理由は、アリウスの現状を調査するため。

 

 どれくらいの人数がアリウスに留まり続けているか。留まっている生徒たちがどんな生活を送っているか。

 それと、可能であれば本人たちと接触して聞いて欲しいと、リンちゃんに言われた。

「アリウスに残っている彼女たちが、今後どうしたいか」を。

 

 まぁた難しいお話ですね。リンちゃんもリンちゃんで、私に無理難題を押し付ける。

 子供っていつもそうですよね……! 大人のことなんだと思ってるんですか!? 

 それはさておき、ちゃんとお仕事はしますよ? 

 だって私は良い大人ですから! おい聞いてるか先生、オメーのことだよ。

 

 

「あの時は気にする暇も無かったけど……」

 

 

 周囲を見渡す。建物は半壊か全壊のものばかり。街灯は光ることなく折れ曲がってて、道も辛うじて道としての役割を果たしている。

 どこもかしこも銃創ばかり。薬莢も転がったまま。目を凝らして見れば、血痕だってある。

 事情はある程度知っているとはいえ、冷静に見渡してみれば思う物がある。

 

 

「やっぱ荒れてるなぁ」

 

 

 ブラックマーケットとはまた違う。あまりにも荒れ果てている。遠くに見えるアリウスの校舎すらも半壊状態。

 長きにわたった内戦の跡が、各所どころか、そこら中に生々しく残っている。

 道端に花ひとつ咲いていない。ここが現実にある場所と言われても、実感がわかないのが正直な感想。

 ここで人が住んでいるなど、思えないし、思いたくない。

 

 この件には経緯があった。

 エデン条約が終わった直後の話。ティーパーティの派閥のうちの二つ、パテル分派とサンクトゥス分派の臨時代表からの連絡があった。

「私たちがアリウスの面倒を見る」と。

 当然それはトリニティを通じて連邦生徒会の方にも伝わっていたわけなのだが、杜撰なのはここから。

 

 一定期間が経過し、連邦生徒会が進捗を聞くも、彼女たちからは何も返答も無かった。

 パテル派とサンクトゥス派。その両派が指揮を執っているはずなのに返事が無い。では代わりにフィリウス派の人間に連絡を……となったのだが、それを両派が頑なに拒否。

 何かがおかしいと疑問視したリンちゃんが調査を敢行した結果、トリニティ外に広まっているような噂が現実のものとして、アリウスの地に広がっていたことが判明した。

 

 んで実際に来てみて、その結果がコレ。

 正直想像はついていたよね。

 せめて偽造文書とか口裏合わせるくらいはできるようになろうぜ? ならないで欲しいけど。

 

 

「生徒は……やっぱここにはいないね」

 

 

 ポケットから飴玉を一つ。口の中に放り込んでコロコロと転がす。甘味で脳を活性化させながら、生き残ってる建屋を一つずつ確認する。

 しかし、どこにも生徒の影はどこにもない。

 残っている子たちはどこで、どうやって生活しているのだろう。

 見ることも叶わない私には、想像することもできない。

 

 とりあえず校舎の方へと向かおうと歩き出した時、ふと何かが聞こた。

 泣き声。すすり泣く声が、私の来た道から聞こえてきた。

 

 

「うっ……ぅぇ……ひぅっ……」

 

 

 振り向くと、そこにいたのは白っぽい髪の小さな女の子。

 銃をぎゅっと抱きしめて、俯きながらポテポテと歩いているその姿は、明らかに失意して心が弱っている様相。

 目の前にいる私にすら気づくことなく、ゆっくり校舎の方へ向かっている。

 この状況、どうすべきか。そう悩んでいるうちに、彼女が顔をあげた。

 

 目があった。

 

 

「……」

「……」

 

 

 お互いに無言の時間が過ぎる。

 泣くことすらも忘れてしまったのか、彼女はただポカンと私を見つめている。

 いつまでもこのままというワケにもいかない。私は小さな女の子に視線を合わせるために屈んで、声を掛けた。

 いつも通りの笑顔を作って。

 

 

「こんにちは! 君はここの子かな?」

「……ぅ」

「う?」

 

 

 声を掛けたのが悪手だったのか。それとも、逃げなかったことが迂闊だったのか。

 もう少し警戒しながらことに当たるべきだったと、今更ながらに後悔したよ。

 

 

「うわぁぁぁぁぁんっ!!!!」

 

 

 


 

 

 

 泣き声を聞いて駆けつけてみれば、そこには話し込んでいる二人の人がいた。

 急いで来たのだが、鳴き声は既に収まっていた。どうやら、片方が宥めたような様子。

 少し離れた所、建物の影から二人を観察する。

 

 

(……一人は立木マイアさんですね。もう一人は……)

 

 

 声が聞こえない。マイアさんがもう一人をどう呼んでいるか聞こえればすぐにわかるのですが。

 恰好からして普通の人でないことはわかる。あんな隅から隅まで真っ青な人は、アリウスにはいない。

 青色がイメージカラーの人はいましたが……まぁ、流石にあんな奇抜なほど真っ青な服は着ないでしょう。

 つまるところ、あの女の人は外の世界から来た部外者ということ。

 正直、同じ青色から連想してしまった錠前サオリが帰って来るよりかはマシだ。

 

 

(一体誰でしょうか……真っ青な服に防刃ベスト。シールドに……武器は棒だけ!?)

 

 

 ここはアリウスだというのに、なんだその軽装備はと驚愕してしまう。部外者を嫌う節のある者たちがいるこの場所で、銃という武器を持たないのはあまりに無防備。というか自殺行為だ。

 死にに来たのかと言いたくなる衝動のせいだろう、殺していた息を一瞬だけ放ってしまう。

 しまったと身を潜める。

 しかし──

 

 

「……そこに誰かいる?」

 

 

 女の人が声をかけてきた。今の一瞬で気づいたということは、手練れであることの証明。

 下手に隠れるよりも、直接対面して正体を探る方が合理的だと、私は建物の影から出た。二人の視線が私を突き刺す。

 校舎へと続く通路の上。

 私と対峙するのは、立木マイアさんと、真っ青な女性。

 

 

「こんにちは! 君もアリウスの子かな?」

「……立木マイアさん。よく戻って来てくれました」

「……あれ、無視された???」

「せ、先輩!」

「こっちにも無視された!?」

 

 

 ひぃんと妙な声を上げて泣き顔をする大の大人。

 喜怒哀楽がコロコロと入れ替わる百面相なこの女性を前に、マイアさんが真っ赤に腫らした目を緩めた。

 

 

「えへへ……なんだか、安心、しました。私、帰って、これたんですね……」

 

 

 泣き腫らした目に再び涙をためて、口角まで緩めた矢先だ。

 先ほどの失意による涙とは違う。心底の安堵から来る涙をこぼして、マイアさんが膝から崩れた。

 

 

「マイアちゃん!」

 

 

 女性の動きは速かった。

 迅速と言えるほど、私より速く倒れるマイアさんを抱きかかえた。

 マイアさんの背中に回した手。リズムを刻むようにポンポンと背中を叩くそれが、マイアさんの肩の揺れを収めるのにそう時間はいらなった。

 大人が子供をあやす際の、最もオーソドックスな手法。

 アリウスでも、パニックに陥った下級生をあやすのに上級生が使っていた。私だって経験がある。

 しかし、彼女の手際は私たちのそれを遥かに超えている。それは、こういう事態に慣れているということ。

 気付けば、マイアさんは寝息を立てていた。

 

 

「あら、マイアちゃん寝ちゃった」

 

 

 柔和な笑顔を浮かべ続ける女性。彼女は私に視線を向けることなく、淡々とマイアさんを背負う準備を進める。

 手に持っていた盾や棒を、あろうことか収納した。向けているわけではないが、銃を持っている私を目の前にして、だ。

 両手を開けた状態にしてから、よいしょと掛け声一つでマイアさんの躯体を荷物ごと全部背負い立ち上がる。

 動く準備を済ませてから、ようやく私を見た。

 

 私より一回りくらい大きな背丈。少し見上げるようにして合った視線。

 

 

「改めてこんにちは。アリウスの子であってるかな?」

「……貴女は」

「私? 私はね──」

 

 

 ずっと保ってきたであろう優しい表情。それを一転させて見せるは、まん丸ながらも凛とした瞳。

 マイアさんを背負ったまま、小さく口角を上げて言った。

 

 

「私はおまわりさん。君たちに会いに来たんだよ」

 

 

 会いに来た。その言葉には、嫌な意味で聞き覚えがあった。

 頻繁にアリウスに侵入してくるトリニティ生。どこの派閥かはわからないけど、私たちに友好的に接しようとしてくる連中。

「トリニティに来ないか」。そう勧誘してくる彼女らも同じような言葉を使うと、会ったことのある子は言っていた。

 だから、同じだと思った。アイツらと一緒だと。

 だから、私は……

 

 

「帰ってください」

 

 

 銃を、向けた。

 

 

「…話し合う余地は?」

「ありません。マイアさんを渡していただければ、後は何もしません。見なかったことにします」

「困った…それだとここに来た意味がないなっちゃう…」

 

 

彼女は唸るように唇を尖らせて逡巡。しばらくして、薄く開いた片目で私に問うた。

 

 

「どうしたらお話させてもらえるかな?」

 

 

あくまでコミュニケーションを取ろうとしてくる。何が目的なのか。

わからないけど、外から今のアリウスに入ってくる時点で碌でもないことは確か。であれば、それを駆逐するのが私の役目。

 

あの子たちの巣を守るのが、私の役目。

 

銃のセーフティを解除して、トリガーに指をかける。

私の殺気を感じ取ったのか、おまわりさんと名乗った女性は嫌々と言った顔で収納した盾を再度取り出し、展開。防御態勢に入った。

 

 

「…アリウス流で決めましょう」

 

 

この時の私は知る由もなかった。

 

彼女が私にとって…あの子たちにとって…アリウスにとって。

 

あんなにも、大切な人になるなんて。





正直言うとエタってしまおうかと思ってました。
最近はお絵描きメインだし、もう小説はいいかなって…でも、お絵描きしてる間もずっとずっと頭の片隅にこの作品がいました。

けじめをつけに来ました。
奇しくも、サオリ達がアリウスに向かったのと同じような感じがしますね。

久しぶりにかかったエンジン…全然うまく書けないし、前ほどのノリも出せないですが、お付き合いください。
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