多分今夜もう一話投稿する。
吾輩はモブであります。
突然ですが、私みたいなモブでもたまーに最高に嬉しいことがあります。
たとえば……今この瞬間とか。
私の隣にはヒナちゃんがいます。
私は今、ヒナちゃんと二人きりで任務をこなしているのです!
常時風に吹かれて流れてくるヒナちゃんフレグランスをクンカクンカしながらお仕事ができるとかもう奴隷でもいいやと思ってしまう最高の状況……ディ・モールト(非常に)良いッ!!!
ただし、相手が美食研じゃなければなぁ。
「お疲れ様」
「委員長も、お疲れ様です」
ボコボコにして簀巻きにした美食研を目の前に、私とヒナちゃんは一息ついていた。
最近エデン条約を前にしているのか膨大な仕事をこなしているヒナちゃんの目の下は真っ黒。
でも美食研をボコボコにしたおかげか、少し硬くなっていたお顔が柔らかくなっている。
きっと美食研がサンドバッグ代わりになってくれたおかげだろう。
事の顛末はこう。
私が一人で街をパトロールしていた時、目の間でお店を爆破した美食研が現れた。
お昼休み終了のお知らせが来たかと思ったが、支援要請をした矢先に飛んできてくれたのがヒナちゃん。
二人で力を合わせて美食研を一方的にボコボコにして今に至る。
やっぱヒナちゃんってつえーんですの。
「相方があなたで助かったわ」
私も助かりましたほんと。
ヒナちゃんフレグランスによるヒナニウム接種が無かったら私はきっと美食研を倒すのにお昼休みを消費してしまっていたから。
ありがとうヒナチャン……
「いえ。私もヒナ委員長が来てくれて心強かったです。一人で遭遇した時は……もう肝が冷えました」
「ウソばっか。あなた、美食研くらい一人で制圧できるじゃない」
「まさか。どこのデマですかそれ?」
「本当よ。だって、今見たんだから」
ニコっと私に笑顔を向けてくれるヒナちゃん……可愛すぎんだろ。
目の下にどす黒い隈を張り付けながらもその笑顔に曇り無し、どうやったらこんな可愛い生物が生まれるというのだ。
ミレニアムは今すぐ余計な研究の一切をやめてヒナちゃんの出自および遺伝子構造の全てを解明すべきだと思う。
こんなことを言ってるけどヒナちゃんレベルで可愛い子は他にいて欲しくない。ヒナちゃんにはオンリーワンダーになって欲しい。
少なくとも10年は世界可愛い選手権で一位に輝いていてほしい。
「ねぇ。あなたってお昼何してるの?」
「……えっ」
「いつもすぐ部屋出て行っちゃうじゃない。何してるのかなって」
涼しい顔をしながらド変態なことを永遠と頭の中で描いていたところ、ヒナちゃんから質問が飛んできた。
想定外の場所からの攻撃に、私の頭は一時停止し、その後スパコン並みの処理速度でヒナちゃんへの回答を導き出そうと脳みそが動き出した。
……え、ちょっと待って今私ヒナちゃんに私生活のこと聞かれてるの?
聞き間違いじゃないよね? だって今「お昼休み何してるの?」って聞いてきたしホント? ありえないわ!
ヒナちゃんほどの天使が私のような道端に転がっている乾燥してカピカピになって誰からも見られることなく朽ち果ていく犬のフンみたいな私の私生活を聞いてきた!?
お昼なにしてるのかって基本的にご飯食べてその後用事が無ければお散歩したりお昼寝したりしかしてないし……でもそれをそのまま言うときっとヒナちゃんは絶望的に「こいつコミュ力無いわね」って見下した目で見てくるに違いない。
我々の業界ではご褒美です本当にありがとうございました。
わわわ私はどう答えれば……せや!
「ご飯食べてます」
「……そう」
どうやら私の脳みそはダチョウレベルだったんだ……私これからモブ子じゃなくてダチョ子って名乗ります。ダチョ子ですよろしくお願いします。
現実ではやっちまったと蒼い顔して、脳内では頭を抱えて転げまわりながら突然ダチョウの真似を始めているが、現実世界での時計がふと目に入った。
短針と長針の両方が丁度12を指している、つまりお昼休みだ。
私にはこのお昼休み中に重要な用事が控えている。
こんなテロリスト共に構っている時間は無い……無いのだが、ハルナに助けてもらわなければいけないことがある。
「えっと……ヒナ委員長」
「……わかったわ。後は任せて」
「ありがとうございます! でも、その前に」
マジでありがてぇてぇヒナちゃん……私一生ヒナちゃんの奴隷で良いわ。
あ、もちろん毎日ヒナニウムを摂取させてくれることが絶対条件だけど。
ハルナをショットガンの先端でつつくと、黒目がギョロンと戻ってハルナが意識を取り戻した。
もうちょっと可愛げのある復活して、怖い。
「……お久しぶりですね」
お久しぶりですね実に2週間ぶりでしょうかこの前はよくもヒナちゃんのお気に入りのお店爆破しやがったな絶対に許さんぞ貴様。
「はい。教えて欲しいことが」
「いいでしょう。この私に答えられることなら」
「それじゃ……ちょっと耳貸してください」
「ええと、動けないんですけど」
何可愛い子ぶってんだ君自分でその縄くらい引きちぎれるでしょ。
仕方ない……私は屈んでハルナの耳に口を近づけた。
「お店を探してるんです。人と会う約束をしてるんですけど、暗号で場所を渡されて」
「なるほど。どういう暗号でしょう?」
「えっと……『会いたくば銀河の列車の美女を追いかけよ』と。そんなお店あります?」
「……誰が書いたんですのソレ?」
「陸八魔アルさん」
「また何かに影響されたのですね……えぇ、知ってますよ」
どこか呆れた様子でため息を吐くハルナ。
こいつ顔だけはやたら良いんだよ。なんでため息だけでそんな様になるんだよ羨ましいなコイツ。
「お店の名前は『メーテル次郎』。飲食街の離れにある格安中華店ですわ」
「メーテル……あぁ、そういう」
「暗号についてですがナンセンスとお伝えください」
「絶対に言わないよ?」
この人たまに人の心ないこと言うから怖い。ごめんいつも無かったわ。
自分の美学に反するからって人のお店爆破するのは普通に考えて倫理もクソも無い行為だったね。
「助かりました、ありがとうございます」
「ご満足ですか? でしたら、この縄を……」
「ヒナ委員長。お願いします」
「任せて。お昼、ゆっくり休んで頂戴ね」
「ありがとうございます! では、私はここで」
「ちょっと! 薄情すぎませんか!?」
泣きの演技を見せるハルナを他所に足早にその場から離れる。お昼休みは一時間しか無いのだ、テロリストなんかに時間を取られてたまるもんですか。
マップアプリでお店を調べて、すぐ近くのバスを探す。あった、もう数分しかない。
急いでバス停へ向かうとサラリーマンの流儀をしてるロボットの皆さんが待機していたが、乗れない程では無いだろう。
到着したバスに乗り込んでいざ出発! と、その瞬間。
「の、乗ります!」
ぶかぶかのコートを来た小柄な人が滑り込みで乗り込んで来た。
随分可愛い声してるね君……暑くないその恰好?
アンケ用意したんで結果次第で書き方変えます。
物語進まないのは書く側としてもマンネリの原因になるけど皆が好きなら描くべ。