一昨日の時点で半分書いてあったから仕上げただけで、こういう書き方はこのお話で終わり。
はい、到着しました「メーテル次郎」。
ここが外れにある格安中華店かぁ、テンション上がるなぁ~。
外観は明らかに廃屋をDIYで修理しました感が溢れてるけど重要なのは中身よ中身。
ちょっとギトついているドアノブを捻り中に入ると、学食よりも圧の強い油の臭い、流石中華店といった所だ。
換気扇動いてる?
「っしゃーせぇ!」
メーテルって名前なのに全然メーテルっぽくないじゃん。めっちゃ元気系中華店じゃねぇかもっとお淑やかにしろ。
ともかく、お店の中は……中もボロボロだ。伊達に格安を謳ってない。もう少し気を遣った内装にしないと人来ないんじゃないかしら。便利屋みたいなのが来るからいい? そう……。
入口で立ち止まり割と広いお店の中を見渡すと、窓際の席で手を振るムツキちゃん。可愛いねムツキチャン……
どうやら私以外のメンツは全員集まっているようで、5人目の席だけが空席になっている。
誘われるがまま席に着き、まずはひと謝り。
「遅れてしまってすみません」
「構わないわ。食事は先に頂いてるけれど」
ほんまごめんなさいハルナに邪魔さえされなければすぐに来れたんですけどね許さんぞ黒舘ハルナァ!
時計は既に長針が15分を指していて、まぁまぁの遅刻だ。
便利屋のみんなは既に届いた料理を頬張っている。
「食べながらで構いませんよ。店員さん、私チャーハンのニンニク抜きで」
「……ニンニク抜きのチャーハンって美味しいの?」
そこまで美味しくないでしょうねぇ……でもカヨコさんや、淑女たるもの常に口臭は気にするべきなのですわよ?
殿方の前でなくともしっかりケアをするのが淑女の嗜みでしてよ。
君たち先生に臭いって思われたくないでしょ。先生はそんなこと言わない? さいですか……
「問題ありませんカヨコさん。この後も仕事があるので、あまり匂いを持ち帰りたくないだけなので」
「わ、私のラーメン、一口いりますか……?」
「ありがとうハルカさん。後で頂くよ」
「くふふ~。みんな優しくしてるけど、みーんな彼女の奢りなの忘れてない?」
ムツキちゃんの言う通り、今日は彼女たちの食事代は全て私の奢りなのだ。
というのも以前、彼女たち便利屋にとある依頼をしていた。
今日はその依頼を完遂したと報告があったから成果を確認しに来たということ。
全部私の都合だというのに便利屋の皆に会えるとかどんな神イベントなんでしょう……前世の私に感謝しなければ。
前世の私よ、殉職してくれてありがとう!
話途中でもうチャーハンが届く。ニンニク抜きだから簡単に作れたのかな?
便利屋の皆は途中から食べる私のペースに合わせて食事スピードを調整してくれた。優しすぎんだろ結婚しようぜアルちゃん。
便利屋の皆をお母さんのように面倒を見るアルちゃん、その話を腰を折るように私はスプーンを置いた。
「本題、そろそろよろしいですか?」
「あらごめんなさい。ええ、いいわよ」
「では、以前頼んでいた資料は」
「こっちにあるよ」
「ありがとうございますカヨコさん。拝見させてもらいます」
私の隣に座るカヨコさんが資料を渡してくれた。改めて見なくてもカヨコさんの顔良すぎんだろ……なんだこのイケメンほんとにおっぱい付いてんのか?
先生だけはカヨコさんを好き勝手出来るってマジですか? それ薄い本の話? そう……
受け取った資料に目を通す。
依頼していた内容は簡単。
今のトリニティが目立った行動をしていないかということ。
エデン条約の反対派等が妨害勢力として台頭していないかということ。
そして、先生の動向。
言葉だけを並べると簡単な依頼だけど、私がそこに「トリニティに潜入して調べてきてほしい」という条件を付けたせいで難易度は爆上りだったろう。
しかし彼女たちは立派にやり遂げてくれた、流石アウトロー集団便利屋と言わざるを得ない。
実のところを言うと、変装する彼女たちを見たかったのだが流石に叶わなかった。
年末のドレスイベでスーツムツキちゃんとかスーツハルカとかマジイケメン過ぎたじゃん!
あれ実物で見たら昇天する自信がある。ハルカの足が長すぎてホントにもう無理、おっぱいの付いたイケメンじゃ説明のつかないレベルでカッコいいんだよハルカ……最高だよハルカ。
しゅき。
「なるほど。今先生はトリニティに泊まり込みの仕事を請け負っているのですか」
「らしいわ。なんでも、補習が必要な生徒につきっきりで勉強をするのだとか」
「あぁ……もうそこか」
ほむほむ……今先生は補習授業部に付きっきりでお仕事している最中か。
つまるところ、ブルアカのプレイヤー目線的に言えば、エデン条約編はそれなりに順調に進んでいるということだな。
まだトリニティ生がゲヘナ地区に無断進入したという件がどこからも上がってきていないということは、ナギちゃんによる理不尽なテストはまだ行われていないのが推察できる。
というと、おそらく先生がミカちゃんと接触した辺り……だったような気がする。
微妙に曖昧なんだよねこのあたりの記憶。
「それ、どういう意味?」
「いえ、こちらのことです。期間は……」
「多分エデン条約が終わるまで。トリニティの首脳陣、ティータイム」
「ティーパーティーだよアルちゃん」
「……こほん。ティーパーティーの意図はわからないけど、先生の動きを拘束しようとしてるように見えるわ」
「ま、社長の憶測だけどね」
たったこれだけの情報だけで答えを当ててくるあたり、やはり彼女たちは優秀だ。
コメディ集団として扱われることが非常に多い便利屋だけど、やるときはキッチリやれる能力を持ち合わせている。
こうして見て初めてわかったが、エデン条約当日に出てくるアリウス組以外の妨害勢力がゼロなのは非常に芳しい。
当日までに現れる可能性は否定できないけど、少なからず今はゼロだ。
特にゲヘナからそれが出てくることはまずないだろう、だって皆政治に関心無いし。
「なるほど……今のところ、エデン条約を妨害しようとしている勢力は見られないですね」
「案外すんなりいくんじゃない? その後は知らないけど」
「トリニティだしね~!」
トリニティに対しての印象が終わってて草ですわね。
まぁ彼女たちは生まれながらにゲヘナに嫌悪感を抱いてる連中とか言われる始末だし、ゲヘナ側からそう思われるのは仕方のない事なんだと思うけど例外はちゃんといるよ?
私が個人で持ってるパイプの一つにも、もちろんトリニティはある。
相手は仲正イチカちゃん。糸目強キャラだね。好きだよイチカ……結婚しよう。無理っすねーって? ホント? 私死んじゃう。
「内部で謀反を働く可能性のある人たちを先生の監視下に置く……多分、そんな所じゃない?」
カヨコちゃん頭良い~!!! しゅき。
その通りで、この補習授業部を立ち上げた張本人であるナギサちゃんはそれを思っている。
先生のことも信じられない、全てに対して疑心暗鬼になっている今の彼女はできる限り不安要素を無くそうと、この計画を画策したんだ。
ちょっと可哀そうだよね、この後のことも考えると。
あはは! 楽しかったですよぉ! ナギサ様との友情ごっこ! ってなる未来しか見えないから。
「自分もそう思います。ゲヘナ生はそこまでトリニティに関心持ってる人いませんし。となると、反旗を持ちたがるのは……」
「トリニティ自身……やっぱ、アナタ頭切れるね」
「カヨコさん程では無いですよ。では、報酬を」
お昼休みももういい時間。そろそろ戻らないと間に合わなくなる。
ポーチの中から分厚い封筒を取り出す。これ私のポケットマネーですの。
便利屋全員の目がマネーのマークに変わる。きっと大金を目にするのは久しいのだろう。
「いつもの額です。またお世話になるかもしれませんので、その時は」
「任せて頂戴。便利屋68はお金さえ貰えばどんな依頼もこなすんだから」
「頼りにしてます。ハードボイルドな社長さん」
「ッ!!!」
こう言うとアルちゃんものすっごく笑顔になるのよ。
こう……ペカーって感じの。目をキラキラにさせながらその笑顔向けられると眩しすぎて目がくらむ。
本当にアウトローって言葉が好きなのがよく伝わるけど、彼女の本質にそれは全くない。
善良すぎるんだよアルちゃん……多分一人きりになったらアウトローになるんだろうね。
そんな結末、絶対に迎えさせないけどね。
「では、私はこれで。書類はいつも通り焼却してください」
「了解。気を付けて」
「皆さんもお気をつけて。特に……委員長には」
なんだかんだで風紀委員から目を付けられている彼女たち。
こんな辺鄙な場所にヒナちゃんや他の風紀委員が来ることは無いだろうけど、とにかく注意してほしい一心。
彼女たちが捕まってしまうと情報収集に支障が生じるから。
……というのは建前で、風紀委員に掴まると結構ボコボコにされてしまうから出来る限りケガしてほしくないんだよね、美食研と違って。
なかなか分かってもらえないけど便利屋の皆は良い子なんだ……ラーメン屋爆破する子が良い子か……良い子じゃないかも。
全員分のお会計を済ませてお店の外へ。
メーテルっぽくないお店を出て真っ直ぐバス停へと向かう。
便利屋のイケメンと可愛い顔を見たおかげで午後の仕事も頑張れそうだ……生きる糧をくれてありがとう便利屋68。
アナタたちの存在のおかげで今日も健康に生きれます。
「さて……午後の仕事も頑張るぞい」
この言葉がいにしえの言葉扱いされてるの知ったときは軽く絶望したよね。
「……なんでヒナちゃん帰ってくるの遅かったんだろ?」
思ったより真面目回になっちゃったわ。
普段書くのが真面目系だからふざけるのも難しいね。