サイキョー転生! 〜『異世界の神になる』をガチでやる〜   作:堕落と強欲の権化

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第15話 動き出すファーストカメラ

「……へぇ、ついに」

カーテンが閉め切られた、暗い部屋に光るパソコンの画面。

ネットの掲示板__そのスレッドのひとつを見て、男はほくそ笑む。

 

「……やっと、その段階か。気づくのが遅いな」

デスクには漫画を描く時に使うGペンやインク、原稿などが散乱しており、彼が漫画家であることを物語る。

 

「さて、アニメでも確認して、「外」に戻ろうかね」

何もしていないのにテレビがつき、ついに彼の待っていたアニメが始まる。

 

「異世界の神になる」、通称「異世神」。

 

彼の描いた漫画がアニメ化したものだ。

 

『ついに、我々の作戦が1歩進んだ!』

『やりましたね!』

 

……密室で、数人の男女が何かを話している風景が映された。

 

「……フフフ、この後、たまたま入り込んだユーダイがマシンガンで暴れたんだよねぇ」

彼がそう言った途端、マシンガンの音がテレビから流れる。

 

『ウォー!トリガーハッピー!』

 

『グアアアアアアッ!』

『ヒィーッ!?』

『やめやめやめねぁー!?』

 

バララララ、と密室に弾幕が溢れ、声の主は全員を無力化することに成功する。

そして、にっと笑ったマシンガンの男の笑みの後、オープニングが流れる。

 

「……楽しみだなぁ。この世界でこれから起きる事件が」

_____

 

「あー、疲れたぁー!」

家に帰って一息つき、ベッドにうつ伏せになる。

 

俺、鷹羽 充は、報道の仕事に就いた。

まぁ、新入りの俺は、先輩の撮る姿と映像を編集する姿、そしてアシスタントの仕事を見て、自分の糧とするわけだが。

 

__今朝、オフィス__

 

「よし、じゃあ高校の入学式を撮りに行くよ」

「ハイ」

先輩カメラマンがカメラと三脚を持ち、俺は機材の入れた荷物を持つ。

体力には自信がある。ハハハ、家から学校まで数十分、ほぼ毎日歩いてたもんで。

 

__体育館__

 

「失礼します〜」

「失礼します」

「あぁ、報道の方ですね〜。入学式は3階に上がってください〜」

「分かりました〜」

校長先生かな、スゴい物腰柔けぇ。先輩がつられてら。

 

「じゃあ、俺が撮るからそれを見ててね」

「ッス」

邪魔にならないように後ろへ行き、先輩の撮る姿を目で追う。

くっ、生徒たちが気になるッ!(つい先日まで学生だった男)

ダメダメ、先輩の動きを見ないと。

 

……いやシュールだな?

_____

 

1時間ほど経っただろうか。途中で先輩が来て手招きをする。どうやら帰るらしい。もう素材が集まったみたいだ。

 

……早くない?あ、あとはもう撮る必要ないのね。了解。

 

まぁそんなこんなで、先輩が編集する姿を見て、昼飯は先輩が奢ってくれるということで、焼肉屋でクッパと別府冷麺を食べた。

 

え?肉は焼かないのかって?そんな時間あるわけねぇだろ。8時間勤務で休憩1時間ぞ。

_____

 

「じゃあ、午後はこの公園で撮る練習をしようか」

「はいッス」

会社近くの「仏樹利公園(ぶっきりこうえん)」で、カメラを回す練習をする事に。

 

「フィックスで数秒ずつ撮っていくよ」

「はい。あ、カメラまぁまぁ重いっすね」

「色んな精密部品が入ってるからね」

なんの、これしき……!

両手で持ち手に手を掛け、ベルトを肩にかけて担ぐ。

 

「……あ、いけた」

「よし、じゃあ俺をアシスタントだと思って、三脚を置いて欲しい場所に指さして」

「はい」

どこから撮ったらええ感じに見えるだろぉーか?

 

「あ、ここにお願いします」

「はいよ」

シャコって音を立てながら、先輩が三脚を伸ばしてくれる。

 

「よし……!」

RECボタンを押して公園の風景を映す。

それを何度か繰り返し、俺はもう撮れるものが無い、と先輩に伝えた。

 

「もうない?」

「はい」

「分かった。じゃあもどって編集しようか」

_____

 

「ここは?」

「東屋です。休めるところがあると伝えたくて撮りました」

「うん。じゃあこれは?」

それは、東屋をさっきとは別角度から撮ったもの。

 

「東屋です。別角度からも必要と思い……」

「でもさ、ちょっと画角似てるよね」

「あっ」

そう、ほぼ画角が同じなのだ。まぁつまり。

 

「要らないよね」

「ッスね」

「うん。まぁ最初はみんなそうよ」

先輩優しいっ!好きっ!(おい)

 

「これは?」

「これは__」

 

「これは?」

「この部分を__」

 

 

 

「……うん、40秒ほどになったね」

「くぁー!足りない……!」

「まぁ、新人はみんなこんなもんよ。これからまだ時間あるからさ、ゆっくり練習しよう」

「ッス!」

やはりいい先輩だ。

_____

 

……というのが今日の出来事だ。

 

この会社はいい人ばかりだ。

悲しい点と言えば、俺と歳近い人がいないことだ。悲しいね。

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