サイキョー転生! 〜『異世界の神になる』をガチでやる〜 作:堕落と強欲の権化
「……へぇ、ついに」
カーテンが閉め切られた、暗い部屋に光るパソコンの画面。
ネットの掲示板__そのスレッドのひとつを見て、男はほくそ笑む。
「……やっと、その段階か。気づくのが遅いな」
デスクには漫画を描く時に使うGペンやインク、原稿などが散乱しており、彼が漫画家であることを物語る。
「さて、アニメでも確認して、「外」に戻ろうかね」
何もしていないのにテレビがつき、ついに彼の待っていたアニメが始まる。
「異世界の神になる」、通称「異世神」。
彼の描いた漫画がアニメ化したものだ。
『ついに、我々の作戦が1歩進んだ!』
『やりましたね!』
……密室で、数人の男女が何かを話している風景が映された。
「……フフフ、この後、たまたま入り込んだユーダイがマシンガンで暴れたんだよねぇ」
彼がそう言った途端、マシンガンの音がテレビから流れる。
『ウォー!トリガーハッピー!』
『グアアアアアアッ!』
『ヒィーッ!?』
『やめやめやめねぁー!?』
バララララ、と密室に弾幕が溢れ、声の主は全員を無力化することに成功する。
そして、にっと笑ったマシンガンの男の笑みの後、オープニングが流れる。
「……楽しみだなぁ。この世界でこれから起きる事件が」
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「あー、疲れたぁー!」
家に帰って一息つき、ベッドにうつ伏せになる。
俺、鷹羽 充は、報道の仕事に就いた。
まぁ、新入りの俺は、先輩の撮る姿と映像を編集する姿、そしてアシスタントの仕事を見て、自分の糧とするわけだが。
__今朝、オフィス__
「よし、じゃあ高校の入学式を撮りに行くよ」
「ハイ」
先輩カメラマンがカメラと三脚を持ち、俺は機材の入れた荷物を持つ。
体力には自信がある。ハハハ、家から学校まで数十分、ほぼ毎日歩いてたもんで。
__体育館__
「失礼します〜」
「失礼します」
「あぁ、報道の方ですね〜。入学式は3階に上がってください〜」
「分かりました〜」
校長先生かな、スゴい物腰柔けぇ。先輩がつられてら。
「じゃあ、俺が撮るからそれを見ててね」
「ッス」
邪魔にならないように後ろへ行き、先輩の撮る姿を目で追う。
くっ、生徒たちが気になるッ!(つい先日まで学生だった男)
ダメダメ、先輩の動きを見ないと。
……いやシュールだな?
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1時間ほど経っただろうか。途中で先輩が来て手招きをする。どうやら帰るらしい。もう素材が集まったみたいだ。
……早くない?あ、あとはもう撮る必要ないのね。了解。
まぁそんなこんなで、先輩が編集する姿を見て、昼飯は先輩が奢ってくれるということで、焼肉屋でクッパと別府冷麺を食べた。
え?肉は焼かないのかって?そんな時間あるわけねぇだろ。8時間勤務で休憩1時間ぞ。
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「じゃあ、午後はこの公園で撮る練習をしようか」
「はいッス」
会社近くの「仏樹利公園(ぶっきりこうえん)」で、カメラを回す練習をする事に。
「フィックスで数秒ずつ撮っていくよ」
「はい。あ、カメラまぁまぁ重いっすね」
「色んな精密部品が入ってるからね」
なんの、これしき……!
両手で持ち手に手を掛け、ベルトを肩にかけて担ぐ。
「……あ、いけた」
「よし、じゃあ俺をアシスタントだと思って、三脚を置いて欲しい場所に指さして」
「はい」
どこから撮ったらええ感じに見えるだろぉーか?
「あ、ここにお願いします」
「はいよ」
シャコって音を立てながら、先輩が三脚を伸ばしてくれる。
「よし……!」
RECボタンを押して公園の風景を映す。
それを何度か繰り返し、俺はもう撮れるものが無い、と先輩に伝えた。
「もうない?」
「はい」
「分かった。じゃあもどって編集しようか」
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「ここは?」
「東屋です。休めるところがあると伝えたくて撮りました」
「うん。じゃあこれは?」
それは、東屋をさっきとは別角度から撮ったもの。
「東屋です。別角度からも必要と思い……」
「でもさ、ちょっと画角似てるよね」
「あっ」
そう、ほぼ画角が同じなのだ。まぁつまり。
「要らないよね」
「ッスね」
「うん。まぁ最初はみんなそうよ」
先輩優しいっ!好きっ!(おい)
「これは?」
「これは__」
「これは?」
「この部分を__」
「……うん、40秒ほどになったね」
「くぁー!足りない……!」
「まぁ、新人はみんなこんなもんよ。これからまだ時間あるからさ、ゆっくり練習しよう」
「ッス!」
やはりいい先輩だ。
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……というのが今日の出来事だ。
この会社はいい人ばかりだ。
悲しい点と言えば、俺と歳近い人がいないことだ。悲しいね。