【黄昏の館】訓練場
まだ遠くの空から漸く日が昇り始めた程の時間、2つの人影が剣を交えていた
「うんうん、調子も戻ったみたいね」
「うん、ありがとうお爺ちゃん」
アイズはそう言うと落ちてきた葉に切れ込みが走り細切れになる
「……………………凄い」
アイズの背後から声が聞こえそちらを見るとレフィーヤが木の陰から見ていた
「レフィーヤ…………」
「凄かったですアイズさん!!ボスカ様!!正直殆ど何も見えませんでした…………」
「ありがとう」
「そう言えばアイズさんはボスカ様から剣を教えて頂いてるんですよね?」
「うん」
「じゃあボスカ様はどなたから剣術を?やっぱりハイエルフの方からですか?」
「んにゃ、これは儂の我流…………とも違うけど3つの流派を混ぜて新しく作ったものだよ」
レフィーヤの質問にボスカはそう言うと2人は尊敬の眼差しを向ける
「レフィーヤ…………本を取りに行くのにどれだけ時間を掛けている」
「リヴェリア様!!」
そんなレフィーヤの背後からリヴェリアが現れる。どうやらレフィーヤはリヴェリアによる授業の途中だったらしい
「しかし私も気になるな。兄上、その剣術に名前は有るのですか?」
「勿論あるとも、そう言えばその話をした事なかったね。極東にある剣術【影流】を元に新たに生み出した剣術、その名も【新陰流】。それが儂の流派の名前さ」
「しんかげりゅう……………………」
「カッコいい名前ですね!!」
「フフフそうでしょ?チミ達もその名に負けない様に頑張りなさい」
ボスカはそう言うと朝の訓練にやってきた他の団員とベルに稽古を付け始めた
朝食後
「あ!!ボスカいた〜!!お〜い!!」
そんなティオナの元気な声が聞こえそちらを見ると大きくの幹部陣が立っていた
「おや、皆揃ってどうしたの?」
「あのねあのね!!これから皆でダンジョン行こうって話してたんだ!!だからボスカも一緒に行こうよ!!」
「ふむ、楽しそうだね。行ってみようか」
そうしてそれぞれの準備を整えようと動き出す
「ふむ、儂もそろそろ武器の手入れをお願いしようかな」
ボスカは【ゴブニュ・ファミリア】に立ち寄ると普段使っている刀をゴブニュに渡す
「相変わらずこんな刀で良く深層に潜れるもんだ、しかも一見殆ど劣化が無い様に見える…………が」
「……………………」
ゴブニュはそう言って小さな槌を取り出し刀の根元を叩くとポッキリ折れる
「まぁ、寿命って奴だな。どんな物にも存在する。お前がどれだけ手入れをしようと直せない物もある。コイツはお前が【静寂】を討った時から使ってる物だろう?それがここまで持ったんだ、大往生だろう。お前もそれが分かってるから今日ここに来たんだろう?」
「そうかもね」
「新しい武器はどうする?この際不壊属性でも付けてみるか?」
「いやいや、儂にそれは無用の長物じゃよ」
「お前の腕にあった刀となると…………これが良いのではないか?」
そう言ってゴブニュが選んだのは白い鞘に収められたニ刀
「ほぉ、脇差まで一緒とは気前が良いね」
「だがその分値段が張る。5000万ヴァリスって所だ」
「うん、良いよそれで」
ボスカはそう言うとこの世界最初の愛刀を弔い新たな刀を差し皆が待つ広場へ向かった