武神…………万年無双を求める   作:寝心地

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第30話

59階層手前の階段

 

そこで【ロキ・ファミリア】の幹部陣は軽く話し合っていた

 

「フィン、これは…………」

 

「ああ、ギルドの情報によれば59階層からは氷河の領域、第一級冒険を凍えさせる程の極寒の大地、なのにその冷気が全くと言っていい程伝わって来ない」

 

「ふむ、異常事態と言うことか?」

 

「その可能性は高いね、ボスカ、君はどう思う?」

 

フィンの問いかけにボスカは階段を見つめたまま返答する

 

「ふむ……………………感じるね、長光ちゃんと同じ気迫を…………」

 

長光と同等、その言葉を聞いた3幹部は今まで以上の強敵の予感を強く感じた

 


 

以前、【黄昏の館】でロキがボスカに尋ねた事があった

 

『なぁなぁ、ボスカが時々言う長光ってどんな奴なん?』

 

それは完全にロキが暇潰しに尋ねた質問だったが幹部陣もその内容に興味を持ち同じテーブルに付いた

 

『フフフ、長光ちゃんは力士でね、すっごく大きかったよ、力も強くて【力の現人神】なんて呼ばれてたね〜』

 

『力士?力士って何?』

 

『確か極東に居る職業の者達だな、武器等は持たず己の体のみでぶつかり合い相手を土俵と言う円の外に押し出すか足の裏以外の体を地面に触れさせたら勝ちと言うルールだった筈だ』

 

『さっすがリヴェリアママ、詳しいな。ついでに極東での賭け事の一面もあるらしいで』

 

『うんうん、長光ちゃんは本当に強くてねぇ〜一撃で儂と長光ちゃん2人が入れる位の檻を吹き飛ばす威力を持ったぶちかましをして来たよ、まぁ避けたけど』

 

その言葉にフィンとリヴェリア以外の幹部は【それくらいなら自分にも出来る】と考え何か違和感を覚えた所でフィンが尋ねた

 

『因みにその長光と言う人物はどの神の恩恵を貰っていたんだい?』

 

『ん?長光ちゃんはそんな物持ってなかったよ』

 

『『『ッ!?』』』

 


 

59階層

 

階段を降りても寒さは一向に迫らず寧ろ気温はどんどん上がっており周りは密林の様になっていた

 

「……………………前進」

 

フィンの号令に従い前に進むと佇むモンスターがいた

 

「…………あれは、ちょっといかんね」

 

ボスカの視線の先には新種のモンスターが自身の魔石をモンスターに差し出す様子があった

 

「不味い!!強化種か!!」

 

同時にモンスターから悲鳴の様な叫び声が聞こえその体に女の上半身が生える

 

『アリア…………アリアアリアアリアキャハハハハハハハ』

 

「あれは……………………精霊」

 

「精霊!?あんな薄気味悪いのがか!?」

 

『アリア…………アリアアリアアイタカッタアイタカッタ!!アナタモ一緒二成リマショウ?』

 

精霊はまるで子供のように笑い片言の言葉で思いを伝える

 

『アナタヲ食ベサセテ』

 

「ッ!!総員戦闘用意!!」

 

フィンの号令と共にそれぞれが動き出し精霊も攻撃を始める

 

『火ヨ来タレ』

 

「「「「「なっ!?」」」」」

 

「詠唱!?モンスターが!?」

 

「リヴェリア!!結界を張れ!!砲撃!!詠唱を止めろ!!」

 

しかしモンスターの詠唱は止まらず結界を張るリヴェリアも不穏な何かの気配が止まずにいた

 

「リヴェリアちゃん、皆を守ってあげなさい」

 

ボスカは刀を抜きゆっくりと精霊へ歩みを進める

 

「ボスカ戻れ!!もう止められない!!」

 

「人ならね」

 

芋虫のモンスターと精霊の触手を足場にトントンと天をかける天狗の様に精霊に近付いた

 

『ファイアーストー!?』

 

詠唱が完成する直前、ボスカの刃が精霊に振り下ろされた

 

その瞳は太陽の如く輝き揺れていたと言う

 

ダンジョン59階層に完全なる神が降臨した

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