神秘卓についての諸々   作:柳瀬塔矢

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この話はどこまでもネタバレの塊です。これの執筆中に製作中であるキャンペーンシナリオ【LoW】のEP.2【人皆滅種】(じんかいめっしゅ)の裏話です。何故このシナリオが生まれたのか、そこに至るまでの話です


LoW関連
或る男が堕ちるまでの裏話


 

世界には魔窟(ダンジョン)と呼ばれる迷宮がある。そこを攻略するのは冒険者と呼ばれ敬遠されてきた。正確には子供の憧れではあるが大人からは敬遠されている。それもそうだろう。高々まだ二十年*1とかだからだ。四十代以上の奴らはダンジョンなどまだ馴染めてないだろう。俺、【賀会 修弥】は冒険者である。正確にはそう偽装してるのだが。なにせ現状数少ない【真実】を知る側だからだ。大体そういう奴は国が忖度する。

 

さて、そんな俺には恋人がいる。今はダンジョンアタック中だから会えないし連絡も取れないがそろそろ結婚も視野に入れていいだろう、というくらいの仲である。冒険者はそのアングラな部分と帰ってこれない可能性のせいで余り外部の恋人を作る人は少ない。*2確か【先達】も外部の恋人だったかな?でもやっぱ本業の奴らはそもそも出逢いがないからなぁ・・・俺は運が良かった。あまりLUCKを信じることはない*3が乱数と考えれば充分に納得出来る。

 

今俺が来ているダンジョンは神域級ダンジョン。南極の山脈に確認されている通称【魔窟:終焉】(ラストダンジョン)。現れるのは古今東西ありとあらゆる人型のみ。過去の人物とかも現れる。攻略難易度は世界でもNo.1と言っていいだろう。大英帝国(図書館)深淵神域(ルルイエ)よりも明確に上だろうな。横に並ぶとしたら噂程度にしか聞いたことのない*4高天願とかヴァルハラだろうな。ただアレらはダンジョンとしては異質だからランク付けされてない*5からな・・・神秘を供給する為の最後のコンテンツたるアレらとコレのような()()()()()は最後の役割が違う。まぁどうやら()()()()()()()()()()()らしいのだとは最近思ってるのだが・・・おっと、少し横道に逸れたな。

 

今居るのはダンジョン最奥。俺が勝手に呼んでる名前だと【龍穴】。ここから龍が通り湧くから勝手に呼んでる。かつて【バハムート】や【アポカリプス】を名乗るドラゴンをこの穴から出て来たのを確認している。アイツらは一度は倒したしそれによって魔術も真理に到達できたが・・・

 

「さぁ、何が来る?」

 

現れたのは黒い靄。不定形のソレは徐々に形を俺へと変化させていく

 

「───これが、今代の吾への挑戦者か」

 

「おいおい、ドラゴンが人の形ば取るたぁ何の冗談だぁ?」*6

 

「───なる、ほど。理解した。ならば吾が与えるは呪縛だけとしよう。なるほど、【恒星】と【災禍】が認めたのも納得出来る。いや、単一というより群だな」

 

「何言っちょる?知らん事が話すんじゃあねぇよ」

 

「───哀れ。さぁ、帰宅するといい。吾は少しばかり早く目覚めてしまったようだ。幾ら(カウンター)が今回はランダムに湧くと言ってもまだエインスが自覚していないならば吾は待つのみよ」

 

「───おい。それって・・・つまり・・・いや、いやいや、ソレは、ソレだけは有り得ないだろう?だってダンジョンは20・・・だぞ?」

 

「貴様は気付いているだろう?貴様が呼んでいるドラゴンはダンジョンに湧くだけでその魂はダンジョンとは無関係だと」

 

「──────」

 

放心した。信じられなかったからだ。エインス・・・8か。恒星と災禍は知ってる。俺が倒した相手だ。確か・・・5(フィフス)7(セブンス)だったな。それで奴はナインス以降って事か。にしても俺が・・・いや、群って言ってたってことは【人類】がドラゴンって事か?そもそもドラゴンってなんだ?ダンジョンの奥から現れる事、世界を滅ぼそうとする事以外よく分かってないのは確かだからな・・・そして争わなくて済むなら有り難い。俺は冒険者の中では穏健派だからな。それに・・・いや、もしこれを封じ込めたらその時は奴が暴れ出すだろうな。止めれるのは【先達】か俺か・・・手を貸してくれるかは知らんが()()()*7もだな。なら正しく広める必要があるな。とりあえず帰ろう。それから考えよう。

 

 

 

まず聞こえたのは悲鳴である。声の主はすぐに分かった。彼の恋人【星海 小夜】である。その直後、彼は扉を蹴破り部屋に入る。その時目撃したのは見知らぬ男が星海小夜を強姦している現場である。部屋は荒らされており、幾つかの物品が消えている為強盗でもあるのだと理解する。ここまで0.1秒。直後には強盗は頭と胴体が分たれていた。感情が理性を上回った。殺さねばならぬと思った。別に人殺しに忌避感がある訳ではない。そんなのダンジョン内では良くある事だから。*8コレまでと変わらなく殺した。次に彼は星海小夜の様子を見た。彼女は泣きながら「ごめんね、ごめんね・・・」と繰り返し覚束無い足取りで窓へと向かい飛び降りた。あまりに突然の出来事に放心*9してしまった。その結果星海小夜は即死した。窓から飛び降りての自殺だがこれは強盗による殺人であると言っても構わないだろう。

 

次に聞こえたのは偶々近くにいた人達の悲鳴である。当然である。一般人にとって人死には悲鳴をあげて当然だからだ。これは彼も理解している。その事には何の感情も湧かない。しかし、それに隠れたように別の声が聞こえる

 

「ひゃっはっはっ!死んだ、死にやがった!まさか死ぬとはなぁ!久しぶりのイイ女だと思ったのによぉ!」

 

この時、彼の中から理性が消えた。次の瞬間には声の主を殺していた。*10その顔を彼は知っていた。悪評が絶えないクランのリーダー格の男だった。確か最大派閥のトップだったか?クランリーダーとは折り合いが付かないから関係性が最悪だと小木曽───国と彼を繋ぐ役割の警官である───が教えてくれたことがあった。

 

彼にとって最悪なのは殺した瞬間を見られた事だ。当然の事だが、彼ら一般人にとって人殺しは悪である。ならば当然のように彼を非難するだろう。*11普段なら笑って受け流せただろう。しかし今は最愛の恋人を喪い、ましてやそれが高々一人の人間による快楽の為だったと知ってしまったこの瞬間だけは普段通りの対応など求めるだけ酷だろう。*12当然だが、全員殺した。死体は星海小夜の物と強姦魔及び計画犯の三人を除いて全て消し去った。天気は雨。顔を伝うその液体が一体どっちなのか・・・それは誰にも分からない事である。

 

「はっはっはっ・・・なんで!なんでだよ!?なんで!俺を・・・!それなら・・・!」

 

 

「ァァァァァァァァァ!!!!!」

 

 

最愛の恋人は死んだ。復讐は済ませた。しかしこれじゃあ終われない。まだだ。人類へ復讐しなければ。ダンジョンなんかあるからこんな治安が悪くなったんだ。その元凶がドラゴンならドラゴンとして俺が人類を滅ぼす。

 

警察はすぐにきた。星海小夜の火葬を任せ、その武力による権力で今回の一件を握り潰した。彼女の遺族へは翌日に謝罪をした。自分がそばにいなかったから。ダンジョンに向かってしまったのが原因だと。遺族からは一つだけ聞かれた

 

「これからあなたはどうするつもりなのか」

 

と。それに対して俺はこう答えた

 

「復讐して・・・その全てを巻き込んで、罪を清算させて、殺して、俺も死にます。俺の生きる理由は小夜にあった。ならば小夜が死んだ今、俺が生きる理由は復讐者(アベンジャー)になる事以外にはない。それじゃあ、さようなら」

 

2021年12月26日、人類史史上最凶の人物による史上最大規模の無理心中が始まる。

 

 

*1
これら2020の話です

*2
そもそも男女問わず冒険者は余り恋人を作れない。やっぱり粗雑な人、と思われる事もだが「粗相をしたら殺されるのでは?」という懸念が付き纏うからだ。

*3
争いに運などは無い。正確には運もあるがそれに左右されるような奴は弱いからだ。

*4
【先達】が挑んだダンジョンの最奥が高天願だった、と聞いたことがある。尚それを知ってるのは国に忖度されるような人達の中でも一握りである。こいつを除くと知ってるのは1人いるかどうかである。

*5
そも深淵に行ける人が少ないから表向きは深層級の魔窟(ダンジョン)となっている。公式発表されてる神域ダンジョンが三つだけ、という話である

*6
その場の勢いで喋るため知ってる方言が混ざる

*7
尚そいつは人類がドラゴンである事はとっくに理解してた。その上でどう人類が動くのかを見てた。

*8
現金にして7桁とか8桁クラスのアイテムを巡って殺し合うのは日常茶飯事なのが冒険者だしね。なおこいつとか【先達】とかの専業とかを子供扱い出来る人達は端金扱いなので殺し合いにならない。

*9
SAN値チェック-5、アイデア自動成功。発狂内容:3Rの行動禁止

*10
頭掴んで首掴んで頭引き抜いた。その程度で死ぬから人は脆い。尚同じことをこいつがされても死なない

*11
その中には飛び降りた彼女と彼が恋人で有り婚姻まで秒読みであったことを知ってた人もいた。それでも彼を非難するのだから勿論彼は応えてしまったのだろう

*12
彼はヒトデナシである。やっぱり彼はクズである。そもそも人の形は過去に捨てている。それでも恋人と一緒に居たいから人の形を取り続けていた。その程度には彼は人間である。ヒトデナシでも、クズでも、泣くことはあるのだ。




なお【アイツ】ことソイツですが、今回の件を唆した張本人です。彼はエインスの覚醒にピースが足りて無い事を自覚していました。しかし自身がそのラストピースになる事は避けていました。何故なら彼はノインを目指していたからです。なので目を付けたのが今回の被害者かつEP.2のラスボスたる修弥です。彼は冒険者にしては珍しく恋人が居ました。そして恋人が精神的な支柱になってる事を見抜いたアイツは燻っていた計画犯(名称未設定)を唆しました。結果修弥はエインスとして覚醒した為アイツは自室で大爆笑です。しかしアイツは別の目的があります。それについては語る時が来るといいですね
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