空に憧れた。だから翼が生えた。 作:匿名
初投稿って便利な言葉ですね。
□〈厳冬山脈〉・麓 【
今日も今日とて、ガチャのじか…………ゴホンッ。
レベル上げの時間です!
ここ数日、ガチャの回りが悪いんだよねー。
Dより上が出ないんですよ。遠隔ですか?
それはさておき、【疾風槍士】のレベルがカンストしたので、【魔術師】に就いてみた。魔法を試した感触は悪くない。火力こそ低いけど将来性ありって感じ。
一旦は【ジェム】で見た《クリムゾン・スフィア》という奥義を持つ上級職の【紅蓮術師】を目標にしてる。
【紅蓮術師】は火力という面で見たら、他の属性より上らしいからね。目指す価値はあると思う。
というわけで、ここ最近は【魔術師】のレベル上げとガチャ。それに【怪獣姫 レヴィアタン】の遊び相手をすることがルーティンになってきている。
ん? なんか変なのが混じってるって?
それはそう。どうしたものかねー。
あの日以来、街の内外関わらず見つかると突っかかってくるようになったんだよね、彼女。
ベヘモットも諦めたのか、彼女の腕に抱かれた状態で、何も言わなくなったんだ。
いつもレヴィさんを返り討ちにした後、さようならってしてる。
なんでレヴィさん呼びなのかというと、呼び捨てにしたらキレたんだよね。だから、さん付け。
それはそれとして、今日はドライフの北東に位置する〈厳冬山脈〉の麓まで来ています。何でも、山から強い生物が降ってきたのか、麓に生息していたモンスターたちが生息域を皇国側に広げて、襲撃が頻出しているらしい。
何故ここに来たのかと言うと依頼を受けたからですね。翼をもっている僕は、結構目立ちます。多種多様な〈エンブリオ〉を持つ〈マスター〉ですが、その中でも明確に空を飛べると認識されているって感じです。
そして現時点で飛行しながら音速機動できる唯一の人間なんだとか。ギルドの受付でそんなこと言われたよ。
そういうわけで調査をしてほしいという指名依頼を受けたのが話の流れ。報酬も美味しかったし、利が大きかったからね。
だから、ここには僕一人しかいないと思っていたんだけど先客がいたみたいなんだ。
…………彼女らだけどね。
『GYAOOOOOO!!!!!』
『GURUAAAAA!!!!!』
大怪獣バトル勃発!
こんな見出しで、映画に出せるぐらいには迫力満点の戦闘が繰り広げられていますね。
5メテ──いや、8メテルぐらいにはなってるな。進化したのかな? そんな大きさのレヴィさんと同じくらいの巨体のモンスター。
まさしく、竜vs怪獣って感じ。
…………レヴィさん押されてますけど。
えーと、多分こいつが原因のモンスターだよな。
見るからに凶暴そうな風体だし、何より竜が多く住まうという〈厳冬山脈〉から来たのなら、こいつの見た目も納得がいく。この山脈は強大な竜種が縄張りにしているはずでしたから。そして、怪獣相手に暴れる竜の頭上には、しっかりと名が表示されていた。
【闇竜王 ドラグダーク】
ほう! 竜王ですか。聞いたことがありますよ。〈UBM〉というモンスターです。
〈UBM〉
ユニーク・ボス・モンスターの略で、同じ個体が存在しない唯一無二のボスモンスターたちの総称だったはず。
倒せば、MVP特典として同じく唯一無二の非常に強力なアイテムや装備が手に入るらしい。
僕も初めて見ました。
竜王はドラゴンが〈UBM〉となった際に与えられる銘でしたね。必ずしもドラゴン=竜王ではないらしいですけど。
なるほど、確かに、これほどの相手であれば麓の生物たちもしっぽ巻いて逃げ出しますね。
看破系に対する抵抗が無いので、相手のステータスやスキルを存分に閲覧する事が出来ますが、普通に強いです。
結構ヤバげなスキルがちらほら見える。ステータスにしても、僕でもAGI以外は何倍以上も差が開いてる。戦ったら死一択ですわ。
だけれど、言うほど理不尽ではない?
差があるとは言え、AGIでは僕のほうが上だ。まだ弱い個体なのかな。
だとしても撤退するべきではある。そうしたほうが賢明。僕が受けた依頼はあくまで『調査』ですから。こんな〈UBM〉が山からやって来たと報告するだけでも、十分な成果だと思えます。
でも、それはそれとして彼女らが必死に戦ってるのを尻目に背中向いて逃げるというのも抵抗がある。
どうしようかと悩んでいると、ベヘモットが上空にいる僕へと視線を向けてきました。
僕に気づいたみたいですね。
それから、何かジェスチャーをしているようです。
待って下さいね、小さくて分かりにくいんだよねー。
…………はい……ほうほう……なるほど。
全くわからん。
というわけで、降ります。
「やっほー、大丈夫そう?」
『無理。さっき言ったやつ、お願い』
彼女の隣に降りて、早々に言われた一言。
さっき言ったやつ? はて、何だろうか。
…………あぁ! ジェスチャーしてたあれね。
「ごめん、君が何を言いたかったのか全然伝わってないんだ。だから、降りてきたんだけど」
『■uck』
こらっ、そんな汚い言葉教えた覚えはありません。
『…………あの竜王倒したいから、手貸して』
「別にいいけど、何か理由でも? 僕はギルドの依頼で調査に来たよ」
『…………友人に対処をお願いされた。ここら辺が荒れるのは、後々響いてくるからって』
なるほどね。ギルドとはまた別口か。
それなら競合とかはなさそうかな?
それにしても、その友人。身分高そうだけど、後で紹介してもらえないかな?
「あれは〈UBM〉という分類のモンスターなのは知ってる?」
『yup』
「倒したとき、もっとも戦闘に貢献した一人に強力な武具が与えられるのは?」
『yup』
ふむ、知っているんだね。なら話が早い。
「まぁ、何が言いたいのかというと、特典武具貰っちゃうけど構わないよねってこと」
『…………bet』
ベット…………あぁ、ポーカーとかの、その賭けに乗った! みたいなやつだっけ?
今回の場合は、私も受けて立つみたいな感じかな。
それにしても、ちょっとスラング多くないかい?
君、ネットの住人かい?
「おーけーおーけー。それじゃ、討伐しますか」
パーティ登録を済ませ、一度現状を確認する。
レヴィさんと【闇竜王 ドラグダーク】が、地形を変えながら戦っていますね。
…………いや、地形を変えているのは主にレヴィさんですね。【闇竜王】のほうは、闇属性攻撃を多用していて、生物以外にダメージを与えていない。
あ、でも大きな身体で尻尾や腕をブンブン振り回しているので一緒ですね。
強さ的には、レヴィさんが亜竜より一歩抜き出た程度、やっぱり進化してそうですね。
【闇竜王】の方は…………純竜級の下位ぐらいですか。
【闇竜王】は闇属性の力を纏うように、自らの身体を覆っている。
レヴィさんは近接戦しか出来ないので、攻撃するごとにダメージを負いながら戦っている状態だ。彼女が倒れるまで時間の問題だろうね。
となってくると、ヒット&アウェイ戦法を取らざるを得ないな。確認のため、ベヘモットのジョブを聞いてみると【拳士】だった。
AGI型ではあるけど、彼女の体力だと数秒で死んでしまうな。
死んだらタンク役のレヴィさんが消えてしまうから、一旦待機させとこ。
ついでに、自分の状態も確認しておくか。
ついさっきジョブクリスタルを使ってメインジョブに変更した【疾風槍士】。
【槍士】【投槍士】【魔術師】がサブジョブとしてある。
【魔術師】以外はカンストしている、合計Lv.200と少し。
そして〈エンブリオ〉。
既に第三形態に進化している。スキルの倍率が上がったこと以外は特に変化はない。
《飛翔》Lv.3:
飛行時、30分間AGIを4倍にする。
※発動時HP.MP.SPの最大値が常時10%削られる。
※クールタイム10分
アクティブスキル
僕のジョブによるAGIは1300。
ここに〈エンブリオ〉のステータス補正が乗り2600。
そして最後にスキルによって跳ね上がり大体1万。
これが僕の最大速度。
体感、音速と同じぐらいかな。
この速度で敵に突っ込めばENDが低くて反動ダメージを普通に食らってしまう程度には、飛行AGI特化に育ってきている僕の【ジズ】さん。
まぁ、STRとAGIに特化している槍士系統のジョブの中でも、AGIに重きを置く上級職【疾風槍士】に就いてるので仕方ない。
だから、奥義以外で敵に突っ込んでいけば、逆にこっちの体力が持たない。
特に今回は、近づくだけでHPを削ってくる相手なのでなおさら。
現状の確認も済んだので、行動を開始してみよう。
…………最悪の場合は、秘蔵のアイテムで何とかするよ。
地についていた脚が、翼を羽ばたかせることで浮いていく。
と同時に、飛行状態に移行したことで僕のAGIは4倍となった。
一瞬、視界に映る全ての出来事がゆっくりと流れていく。
巨大な二体の戦いすらも、スローモーションもかくやと言わんばかりに遅くなる。
思考加速。AGIに応じた思考速度の上昇。
自身は等速で変わらず動けるのに、周りのすべてがゆっくりと動いているように感じる。
止まっても仕方ないので、飛行を再開する。
空を裂き、流れるように【闇竜王】の前に辿り着くと同時に減速し、反動を受けない範囲で速度で槍士系統スキル《突撃槍》を放つ。
『GYA!? GAAAAAAAAAA!!!』
ダメージは低いとはいえしっかりと与えられた。
相手からしたら、横からいきなり蜂に刺されたみたいなものだろうか。
…………想像してみたら、結構痛かったわ。
それに闇纏いの中に入った影響で、僕のHPが減り始めるのも確認できた。
AGIによる思考加速の影響か減少速度は比較的ゆるやか。すぐに離脱することで、滞在時間を減らし、ほとんど削れてない。
【闇竜王】から離れた僕は、そのままベヘモットの所まで戻る。
「はい、ただいま」
『…………いけそう?』
さっきまでのスラングとは違い、普通に聞いてきた。
「このまま何もなかったら倒せるとは思う」
『何かある?』
「まぁ、十中八九あるでしょうね。仮にも【竜王】ですから。それとレヴィさんの体力次第ですね。彼女が討伐まで耐えきれれば問題ないですけど、ちょっと難しそうです」
急な痛みに動揺を隠せず、苛立ちのままに暴れる【闇竜王】をレヴィさんは果敢に殴り続けるがあまり有効打にはなっていない。
その間にも生身の拳で纏いを殴ることで、通常の亜竜より高いHPを誇る彼女が徐々に削られていく。
『じゃあ勝てない?』
「いえ全然。普通に勝てます」
『えっ?』
勝つだけなら簡単です。むしろ、彼女の方が得意かもしれません。
それに先日ゲットしたばかりのアイテムをありますし。
「やってみます?」
『……何をすればいい』
「では…………食べられましょうか」
『…………?』
闇の纏いって体内は有効範囲外っぽいんだよね。
22:00に後半を投稿します。
【レヴィアタン】の成長具合ってどんなものですかね?
負けまくった影響で、上級に進化するまで結構時間有したらしい。
あ、評価感想ありがとうございます〜。
22:00に後半戦をあげます。