PokéDun LEGENDS 風来のイーブイ   作:ゲーマーN

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9F コズエは セカイイチを食べた

「セカイイチにオレンの実、ほぞんの壺まで⋯⋯これは、予想以上の充実っぷりですね」*1

 

『おいおい、上位モンスターボールのクラフト素材まで置いてんのかよ』

 

 店内に足を踏み入れたハルトたちは、さっそく売り場に並べられた品々を物色していく。その中には、より性能の高いモンスターボールをクラフトするための素材も含まれていた。

 

 モンスターボール  100ギタン

 ちゃぼんぐり     40ギタン

 たまいし       60ギタン

 くろいろたまいし   80ギタン

 そらいろたまいし  100ギタン

 鉄の欠片      200ギタン

 セカイイチ     300ギタン

 オレンの実     250ギタン

 モモンの実     200ギタン

 識別の巻物     500ギタン

 健康の巻物    1000ギタン

 ほぞんの壺[5] 1500ギタン

 

 通常のモンスターボール以外をクラフトするには、ボールの種類ごとに対応した特殊素材が求められる。油断しているポケモンに当てると高い捕獲性能を発揮するヘビーボールにはくろいろたまいし、素早いポケモンや空高く飛ぶポケモンに有効なフェザーボールにはそらいろたまいし。さらに、各種ボールの上位版を作成する際は、鉄の欠片が追加素材として必要になる。

 

「今の手持ちは大体1800ギタンかぁ⋯⋯ほぞんの壺は買うとして、残りの300ギタンはどう使おうかなぁ⋯⋯」

 

 まず、少しでも多くのアイテムを持ち運べるようにするため、ほぞんの壺を購入するまでは既に確定事項だ。となると、残りの資金が問題になってくる。クラフト素材を買えば上位のモンスターボールを製造できるものの、せいぜい数個程度。焼け石に水であるし、そもそも捕まえたポケモンを預けられる場所の当てもない以上、下手に新しいポケモンを捕まえるわけにもいかない。

 一方、回復系の消耗品に関しては今の所持品がそこそこ充実しているため、わざわざ店で買い足す必要も薄い。二つの巻物に関しては――単純にお金が足りない。

 

「チルゥ⋯⋯」

 

「コズエ⋯⋯?」

 

 ふと見れば、コズエが竹ザルの上に置かれた特大リンゴ――セカイイチを物欲しそうに眺めていた。その反応でピンと来る。一つで満腹、お腹いっぱいになるほどのサイズもそうだが、名は体を表すというように、味も世界一なのがこのセカイイチというリンゴだ。何の偶然か、値段はぴったり300ギタン。さっきのバトルに勝ったご褒美にちょうどいいかもしれない。

 

「ほぞんの壺1個と、セカイイチを1つください」

 

「承りました! では、お支払いは1800ギタンになります」

 

「はい、1800ギタン」

 

「⋯⋯確かに。お買い上げ、ありがとうございます!」

 

 お金を支払い、代わりに受け取った壺の中へ、すぐには使わない道具や素材、複数個あるアイテムを限界まで詰め込む。壺の容量は5。これで巾着袋の枠にもかなりの余裕が生まれた。当分の間は持ち歩けるアイテム数の上限に悩まされることもないだろう。

 ささっと手際よく作業を済ませたハルトは、荷物の整理が終わるとすぐに店を出て、手元に残していたセカイイチを、例によって三度笠の上で羽を休めるコズエへと差し出した。

 

「ほら、コズエ。よく頑張ったね。これはバトルに勝ったご褒美だよ」

 

「チルゥ~♪」

 

 途端、コズエの瞳が宝石のようにキラリと輝く。両翼で大事そうに抱え込み、小さなくちばしで夢中になって啄んでいく。頭の上から聞こえるシャク、シャクという小気味よい音に、ついついハルトも笑みをこぼしてしまう。

 

「さてと⋯⋯せっかくだし、次の階層へ向かう前にもう少しだけこの辺りを見て回ろうか」

 

『そういうことなら、オイラはあっちの吊り橋が気になるんだけどよ』

 

 山頂への道とは反対側、店を正面に見て左の方向には、離れ小山の直上に設けられた六角形の展望台へ渡るための吊り橋が架けられている。吊り橋の下は底の見えない崖で、落ちればひとたまりもない。エーフィに進化できるコッパなら問題ないかもしれないが――万が一を考えて、ハルトはコッパに釘を刺しておくことにした。

 

「コッパ、橋から落ちないように気を付けてね」

 

『分かってるって』

 

 板と板の隙間から足を踏み外さないよう細心の注意を払いつつ、なるべく下を見ないようにして歩を進めていく。ほんの数秒のはずなのに、やたらと長く感じる恐怖の空中散歩。風が足元を吹き抜けるたびに緊張が強まり、やっとの思いで8枚の板を渡り切った先に待っていたのは――

 

「これは⋯⋯」

 

『おお、こりゃすげぇ景色だな!』

 

 絶景――それ以外の表現が見つからない見事な眺望だった。切り立った崖の上に建てられたこの展望台からは、木々などの遮蔽物を一切挟まない大パノラマが一望できる。水平線の彼方へ伸びる紺碧の海と、山の麓に寄り添うように連なる緑の大地。空は晴天で雲一つなく、そのおかげで雄大な自然が織り成す最高の藝術を存分に楽しめた。

 

『あっ! あそこに城の予定地も見えるぜ!』

 

「ホントだ。今は更地だけど、これから僕たちが城を建てるんだよね⋯⋯」

 

『⋯⋯ったくよぉ。オイラたちだけで城を作れだなんて、無茶ぶりもいいところだよな』

 

「まあね。⋯⋯とはいえ、一度引き受けた以上は、最後までやり遂げるだけだよ」

 

 少し視点を動かせば、城の建設予定地も確認できた。上から見るとよく分かる広い敷地には今は何もないが、やがてはあの場所に堂々たる城を建築しなければならない。無茶ぶりだとコッパが毒づくのも、頷けるというものだろう。

 ――それでも、自分たちは村の人々と城作りを約束したのだ。ここでぼやいていたところで、現実は何も変わらない。ただ愚直に成すべきことを成すしかないと改めて決意を固める。

 

「チルゥ……♪」

 

 そんなハルトたちの心情など知る由もなく、のんびりセカイイチを堪能していたコズエは、リンゴの芯を三前趾足――前方に二本、後方に一本の指なので二前趾足とでも言うべきか――の両脚で掴み、目の前まで下りてきた。

 

「お粗末さま。⋯⋯じゃあ、気持ちを切り替えて進もうか。まだまだ先は長いだろうしね」

 

『おうよ!』

 

「チルルッ!」

 

 コズエからセカイイチの芯を受け取り、残念ながら捨てるしかないそれを、とりあえず手持ちの巾着袋へしまっておく。踵を返し、来た時よりもいくらか速いペースで吊り橋を渡り終えると、店の前を通って今度は山頂への道をどんどん進んでいく。

 奥には、またもや吊り橋――しかも、先ほどのものより細く長いもので、風に煽られて頼りなさげに揺れている。

 

「ここを渡れば次の階層⋯⋯今度はどんなところなんだろう」

*1
【推奨BGM:コトブキムラ】Pokémon LEGENDS アルセウスより




ハルトの手持ち
・コッパ  (イーブイ)  Lv26
・コズエ  (チルット)  Lv12

持ち物
・リンゴの芯
・しゅんそくのタネ
・オレンの実
・分身の巻物
・土
・木
・ほぞんの壺[5]:A
・ほぞんの壺[6]:A
・モンスターボール×49

ほぞんの壺[5]:A
・オレンの実
・モモンの実
・モモンの実
・クラボの実
・ちゃぼんぐり×6

ほぞんの壺[6]:A
・大きなリンゴ
・しゅんそくのタネ
・ワープのタネ
・バクスイの巻物
・バクスイの巻物
・たまいし×9
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