PokéDun LEGENDS 風来のイーブイ 作:ゲーマーN
――シュテン山道初級 8F 鍾乳洞の底*1
不思議のダンジョンには、大きく分けて二つのタイプが存在する。一つは、階層全体の構造が一定のパターンから選ばれるシャッフルダンジョン。もう一つは、完全ランダムに部屋と通路が生成されるランダムダンジョンだ。見分け方の目安としては、四角い部屋と長い通路で構成されるのがランダムダンジョンで、無尽蔵の滝のような言葉では説明し難い――複雑な地形の場合は、シャッフルダンジョンである可能性が非常に高い。
勿論、例外も存在するが――この第八階層。天井から石筍が無数に垂れ下がる鍾乳洞の底は、何の捻りもなく、第三・第四階層同様、典型的なランダムダンジョンと見て間違いないだろう。
「⋯⋯ここに来て、いきなりパターンが変わったね。今までは二階層ごとに別の地形になっていたけど⋯⋯」
『今回は一階層で変化か。生息するポケモン自体は変わらねぇみてぇだけどな』
見上げれば、逆さまになって岩壁に張り付く巨大なカニ型のポケモンが。飛び出した目玉を回転させたガケガニは、自分の存在が気付かれていると察したらしく、ならばと自慢のハサミで”メタルクロー”を放ってくる。
――が、甘い。それは前の階層でも経験済みだ。ワンパターンにもほどがある。躍りかかってきたガケガニへ、シャワーズに進化したコッパが弱点タイプの”みずのはどう”を撃ち放つ。
「もおおおおおッ!?」
名前も容姿も蟹に似ているが、ガケガニはいわタイプ。むしろ水を苦手としており、みずタイプの技は効果抜群だ。岩を削り取る水の流れがガケガニの体力を一撃で削り取る。瀕死状態となったガケガニは沢蟹のように小さくなり、壁の隙間へ横歩きで逃げていく。
「よし。それじゃこの階の探索を始めよう」
『応っ!』
「チル!」
早速、一行は探索を開始する。上ってきた坂を除くと、この部屋からは三方向へ通路が伸びている。適当に左を選び、
「――あっ、キラキラ床!」
『運が戻ってきたな! 掘れば、レアなアイテムが手に入るかもしれないぜ?』
「まあ⋯⋯野生のポケモンが隠れてる可能性もあるけどね」
キラキラと輝く不思議な床。一応ワナに分類されるものの、この床の下には貴重なアイテムが埋まっており、
メタモンの件も記憶に新しいので、一度くらいなら不意打ちを受けても問題ないコッパに、キラキラ床を掘ってもらう。
『うん? ⋯⋯って、おいおい、コイツは!』
「オボンの実!?」
オボンの実――オレンの実の倍、数値にして200のHPを回復する薬効を持つ。オレンの実より大きいが、元々は同じ種類から分かれたらしい。辛味はなく、まろやかで整った味わい。どんな人でも食べやすく、使い所を選ばない万能な木の実。
しかし、この木の実には、もっと特筆すべき点がある。HP満タンのポケモンが食べると、最大HPが永続的に上昇する――つまり、オボンの実にはステータス増強の効力があるのだ。
「……ひとまず、今は袋の中に入れておこう。できれば温存したいけど、いざという時には回復アイテムとして使うかもしれないし」
一度、ちらりとコズエの方を見てから、オボンの実を巾着袋にしまい込む。本当は今すぐコズエに食べさせたいところだが、手持ちのオレンの実は1個しかない。最悪の場合、回復のために使うことを考えれば、余計な期待は持たせないほうがいい。因みに、コッパが食べるという選択肢は最初から除外されている。何しろ、過去に入手した分のオボンの実は全てコッパのHP上げに使っているので⋯⋯。
『――じゃ、この調子でガンガン行こうぜ? また運がどっか行っちまう前にな』
幸運の女神には前髪しかない――とは、何処の国の言葉だったか。幸運には前髪しかなく、通り過ぎてしまえば後ろ髪がないため掴むことができない。チャンスは訪れたその時に掴まなければならない、という意味の古い言葉だ。
風来人には「旅の神クロンの追い風を!」という言葉の方が馴染み深いかもしれない。追い風が吹いているのならば、その風を乗りこなすのが風来人の在るべき姿だろう。
「ニド……!」
「ニドォッ!」
ほぼ同時――されど、確かに二つ。次の部屋へ入ろうとした刹那、通路の入口、その左右に潜んでいた影が襲いかかってきた。ローリング。部屋へ転がり込むように左右からの不意打ちを回避したハルトは、転がった勢いを殺さず身を起こし、立ち上がりながら襲撃者たちを捉える。
『ニドリーナにニドリーノ……とうとう進化したポケモンが出やがったか!』
ニドリーナはニドラン♀の、ニドリーノはニドラン♂の進化形。どちらも体格が進化前の倍近くに成長している。♂についてはまだ見かけてないが、このシュテン山の何処かには生息しているのだろうと、ハルトは当たりを付ける。
「二人とも、ニドリーナに”スピードスター”!!」
コズエにも伝わるようニドリーナを指差しながら指示を出す。同時攻撃によって密度を高められた”スピードスター”は、格上のポケモンにも通用する域にまで威力を高めていた。一匹に集中させれば、その分、威力はさらに増す。
とはいえ、そこは進化形のポケモン。少なくないダメージを負ったはずだが、なおも踏み止まっている。そして、
「ニドオォッ!!」
背中の棘を逆立て、ダイヤモンドよりも硬い角を構えるニドリーノ。胸中に渦巻く怒りと闘争心に駆られ”とっしん”してきた。狙いは――自分たちと同じように地上を歩み、見るからに大きく、それでいて強力そうな”スピードスター”を放ってきたコッパ。
「”あなをほる”!」
地面に潜り、上を通るニドリーノの腹部を突き上げる。どくタイプにじめんタイプの技は効果抜群だ。ニドラン系列のポケモンの特性といえば”どくのトゲ”が有名だが、棘があるのは頭部から背中にかけて。直接攻撃してきた相手をどく状態にする特性も腹部には対応しておらず、ニドリーノは成す術もなく打ち上げられる。
立て続けに”にどげり”を打ち込まれたニドリーノは、ニドリーナを巻き込んでもんどり打って倒れ込み――コズエの”スピードスター”で二匹まとめて残り体力を刈り取られた。
『いっちょあがりぃ!』
「チルチルッ!」
勝ち鬨を上げるコッパとコズエ。ハルトもうんうんと頷いている。勝利の余韻に浸るのもそこそこに、深呼吸ひとつで気持ちを切り替えた。戦闘は終わっても、探索はまだこれからだ。
内容を語るほどではないが、ゴルバット、リーシャン、コジョフー、ウデッポウと次々に戦闘をこなしていく。珍しいと言えば、ドラゴンタイプのオンバットとも遭遇したか。ドラゴンタイプはフェアリータイプの技が弱点なので、コズエの”チャームボイス”二発で瀕死状態になったが。
「ピーピーリカバー……うん、やっぱり流れが来てるね」
そして、そのオンバットが落としたのがピーピーリカバー。ポケモンが技を出すためのパワーの源であるPP――正式名称はパワーポイント――を回復する効力を持つ液体状の飲み薬だ。これ一瓶で、どんな技でも1つの技のPPを全回復させることができる。手札が多いコッパは置いておくとして、何度も”スピードスター”を使ったコズエにピーピーリカバーを飲んでもらう。
残りの部屋には目ぼしいものがなかったため、探索の途中で見つけた階段を登っていく。感覚的にも、あと何層か進めばシュテン山の頂――山の民のもとへ辿り着くはずだ。
ハルトの手持ち
・コッパ (イーブイ) Lv27
・コズエ (チルット) Lv14 → 15
・メタモン Lv20
持ち物
・しゅんそくのタネ
・ばくれつのタネ
・オレンの実
・オボンの実
・分身の巻物
・土
・木
・ほぞんの壺[5]:A
・ほぞんの壺[5]:B
・ほぞんの壺[6]:A
・モンスターボール×48
ほぞんの壺[5]:A
・リンゴの芯
・モモンの実
・モモンの実
・クラボの実
・ちゃぼんぐり×16
ほぞんの壺[5]:B
・空き
・空き
・空き
・空き
・空き
ほぞんの壺[6]:A
・大きなリンゴ
・しゅんそくのタネ
・ワープのタネ
・バクスイの巻物
・バクスイの巻物
・たまいし×9
シュテン山道初級8F 鍾乳洞の底
・ニドリーナ
・ニドリーノ
・ゴルバット
・メタモン
・ノコッチ
・ニューラ
・タツベイ
・フワンテ
・リーシャン
・コジョフー
・コマタナ
・ウデッポウ
・オンバット
・ガケガニ