たった小さな違和感
(だが、それで十二分!)
この
それを認識してからは、追いかけっこを始めるだけである。
ただ、その見つけた小さな航跡から、その移動先というのが……
(あっちは、味方の艦隊……まさか……)
艦隊から離れる様に誘い出していたつもりが、その実、誘い出されていたのは自分たちだったのかと今更になって気づく。
「まずい!味方の方にいきやがった!急ぎ
「敵機はどこに……?」
「その敵に向かう!索敵怠るなよ?」
「りょ、了解」
素早くスロットルレバー付近に付随する操作パネルのボタン類を操作しつつ、飛び去った方向へとおおまかに機首をむける。
「歯ぁしっかり食いしばって耐えろよ?いくぞっ!」
「は、はいっ!」
それに合わせて主機が一気に出力を上げ、機体を振動させては急加速を行う。
計器類からは
追いかけっこというものは、そもそもが相手より速いモノが有利なのが道理である。
速さでいうならば、推進機を集中させて全開にした戦闘機以上の速度をもつ存在があるだろうか?
(いや、ない!)
急激な重力加速を身体に受けながらも、複座に座る相棒へと声をかける。
「どうだ!とらえたか?!」
「……」
返答が返ってこないが為に、キャノピー枠に取り付けてある後方確認用の小さなミラーに視線をむければ、そこに映るのは複座に座っている相棒のヘルメットが大きく上を向いて……
いや、ゆっくりだが計器の方へ向きなおしていた。
「おい!無事か?!」
「な、なんとか……意識飛びかけましたが……中尉の言った方向にモビルスーツらしき熱源を感知……してます……」
声が弱々しくもあったが、状況報告がなされ
「その数1……いえ、小さいのが2つ増えて3つに!」
「来るぞっ!」
「うづぁぁ」
相手をとらえた返答を耳にしたのも束の間、直感が嫌な反応を返してくる。
急遽、全開速度からの急減速と急速回避運動をとるも、避けきれずに翼への被弾した振動が身体に響くが、それでも無理やりにでも進路を修正しては突き進む。
あの線条の数をみれば、下手に止まってしまえばハチの巣になるのは明らかだからだ。
それならば、多少被弾したとしても、
その算段が功を奏したのか、先程の増えたという内容と、視線にわずかに感じた物体から、この攻撃のカラクリが見えてきた。
「ぐっ……たぶんだが、ビーム兵装を切り離して遠隔操作攻撃ができる奴だ」
「そ、そんな事が……」
「ドローン兵器みたいなもんだ……ろっ!!こなくそっ!牽制で撃ち返せ!!」
「は、はいっ……」
だが、この重戦闘機のアドバンテージがあるとするならば、それは速度と……
「コンテナのマイクロミサイル準備!主砲も敵機に合わせ続けておけ!!」
「ミサイルの……ターゲットは?」
「必要ない!通りすがりにばら撒くだけだ!!」
「了解……準備…完了!」
「いくぞ!」
幾重にも迫ってくる光る線の中を、再び全開できり抜ける。
そして、敵の懐に飛び込むタイミングは、相手の冷却時間と思われる空白の時間に合わせる形で──
(いまっ!!)
相手の攻撃が止む瞬間と同時に、ふたたび急加速を行う。
今度は肉眼でしっかりと一つ目の巨人が見え……
「ばら撒け!!」
「はいっ」
全開の速度でばら撒くマイクロミサイル群だが、設定も何もしていないためにこのままでは爆発する事はない、だが……
「主砲、撃て!!」
「撃ちます!」
追尾状態で旋回しては戦闘機の後方へと向いている砲塔が、通りすぎた時に主砲をぶちかます。
こんな芸当が出来るは、この機体の主砲が旋回砲塔という存在だ。
その存在に気付き、この様な芸当を思いついた。
これならば、メガ粒子砲が避けられたとしても……
「ミサイルに着弾!誘爆してます!」
直撃しなくても、近距離でミサイル群の誘爆をもらえば、モビルスーツとてタダではすむわけがない。
ただ、多数の爆発の影響の残りによって、状況が詳しく分からない、わからないが……
視線を横に向けた時、並走している物体に気付く。
「なっ?!腕っ?」
それは、こちらが移動しているにもかかわらず、機体の側面に合わせる様に動いているモビルスーツの腕。
その腕に付随しているその指先は、不気味にコチラをしっかりと追尾しているのをヘルメット越しにしっかりととらえ、その反対側にも同様な物体が……
そして、その追尾している指先が光だし……
(近すぎる!避けれなっ!!)
それはスローモーションの世界だった──
心臓の鼓動が、その耳に聞こえるぐらいのまるで時がとまった世界に取り残されているような。
その世界において、この先の予測が"絶対的な予定"ともいえる内容として見えてしまうぐらいの……
──だが、その予定が来る事はなかった。
一つの腕は、どこからかともなく飛んできたモノに衝突されてははるか彼方へと連れ去られた。
そして、残された腕が持つその指先から放たれたビーム光は、辺り一面に拡散する様に飛び散り、弱まってはいるものの、そのスパークからコクピットに被弾することを回避させようとひねらせた機体へと縦横無尽と降りそそぐ。
それが引き金となったのか、再び動き出した世界にもどった感覚は、体を自然にうごかしててはその場を離脱する動作をしていた。
その際にも、状況を確認をと計器類に視線を一巡させれば、警報があがっていたそれらは、致命傷となる威力ではないものの、機体にダメージを与えるには十分ではあった。
だが、撃破に至る威力は無いものでもあった。
「おい、生きてるか!」
「い、生きてます!中尉、なにがおきたんですか?!」
「わからん!わからんが、わかったことは助かったってことだ」
いまは戦闘中、気を抜くわけにもいかない為に、すぐさまその場を離脱する格好とする。
そして、その時に機体から警告が表示されているの気付く。
「メガ粒子砲一門損傷、使えません!残った一門もあと1発が限度かと!」
「機体の方も無理させ過ぎたのと、さっきの被弾であちこちから計器アラートが出やがる」
「コンテナハッチも動作不能!今使えるのは……機首ミサイルと後部ミサイルと、のこったメガ粒子砲一門だけです!」
満身創痍とはまさにこの事とでもいうぐらいの警告表示のオンパレード。
この状態だと、機体からもいやな煙が発しているようにも見えてしまう。
そして、こちらと相対するミサイル群の中から現れる一つ目の巨人はというと、見てわかる箇所といえば片腕を失っている状態であり、あちらも同じだと思われた。