エスメープクド王国。それはかつての故郷で、死地でもあった。
俺が産まれたのはエスメープクド王国だ。
どうやら地域は都会に属する地域のようで、多分、
使用人……いや、奴隷が1人いるようだ。
《
この人生での俺の名前は、ザメク。
家名も修飾名もないことから平民の家だろうが、家族仲は良さそうだ。
伯爵家より生活レベルは下だろうが、まあ許容範囲だ。
俺の肉体は……8歳だ。
俺が俺としての自我を取り戻したのがおよそ3年前。
おおよそ5歳じゃないとどうやら意識があっても体は動かない。
その間はずっと、勝手に動いていた。
暇で暇で仕方がなかったが、TIPSのお陰で退屈はしなかった。
10年もこいつと話してよーく理解した。
まあ、死に様はご丁寧に見せてくれたが……たまったもんじゃないな、あれ。
スプラッター映画もドン引きの出血量だ。
身体が違うからか、痛みは無いけれど、息をする度に最初は痛かった。
魔法の才覚のおかげで魔法を学べる。いや、ようやく意味が分かったというか。
伯爵家時代に
この世界では魔法というのは禁忌ではなく、広く用いられる訳では無いが、特化した1分野では無双状態にあるらしい。
例えば土木工事のひとつ、道路。
道路を
単なる道路建設者だけでなく、資材の採掘者、運搬者、測量技師、監督官など、関連する全ての労働力を含めた数字はまさに青天井。
道路の建材は現地調達のために可能な限り土を用い、舗装材として石畳、および土を焼き上げた
さらに道路を作るには
まず地質の関係上、平均的には5メートルほど掘り下げる必要があり、魔法がないのならこの時点で工期は伸びまくる。
さらに、壁を水平方向に叩いて圧縮し、そこに枠板を設置して、枠板で囲った内部に土や石などと言ったものを流し込む。
枠板は当然ながら木材。皮を剥ぎ、丸太を切り出し、乾燥させるまで5年はかかるのだ。
そして枠板を何層にもミルフィーユのように層状にしてようやく強固な道路の元ができる。
ここまでに必要とする労働者……いや、公役を課せられた市民や戦争で獲得した奴隷は5000人を超える。
5000人で済むのはかなり楽観した数字だが……この王国には労働基準法なんてものは存在しないので問題ない。
また、労働者の食料消費は深刻な問題のため1日1食はザラだ。
さらに道路整備は多くの場合、公共事業ではなく国民に課せられた義務。
公役として奴隷や市民に負担を強いるのだ。
エスメープクド王国は封建君主制である。
非情なまでに悲しいが、俺は首都の自由市民。
つまり第4身分なわけで、徴税人やら何やらが襲いかかる。
本当に何が悲しくて金を取られなければ行けないのか。
奴隷は第6身分でかなりの下だ。
こいつが生きてるのは俺の両親に買われたからだろう。
そうでなければ過労死か餓死だけだからだ。
第1身分は王族、第2身分は貴族、第3身分は騎士、第4身分は市民、第5身分は農民、(自作農)(小作農)第6身分は奴隷だ。
第1身分たる君主・国王は国家(領土)の主権者であり、神の代理人として統治権を持っており、
最高の権威を持ち、さらに土地の最終的な所有者であり、徴税権を持つ。
第2身分の大領主(高位聖職者含む)は国王直属の封建領主であり、広大な領地を保有し、家臣団を持つ。さらに領内の支配権(不輸不入権)を持ち、君主や国王からの勝手な徴税を拒否でき、軍事・司法権を領地内でのみ発動できる。
第3身分は騎士・下級貴族や大領主の家臣であり、土地(封土)を与えられ、領主への軍役(騎士としての奉仕)を果たす。
また、領主としての限定的な支配権、免税特権を持つ。
さらに信任されれば、当主代理を務めることが可能な身分である。
第4身分の上層市民(ブルジョワ)は自由な身分であり、都市で商業や手工業を営む富裕な層である。 経済力、都市の自治権は第5身分と比べて圧倒的である。借金が可能になるのはここからだ。
そして第5身分、農民(自由農民) は比較的自由な身分。土地を所有するか、借地して耕作する。 結婚・移住の自由。土地からの収益は自己所有。
農奴(非自由農民) は非自由な身分であり土地に縛られ、領主または自由農民の支配下で働く。 土地からの追放の禁止。生活保護(最低限)。
そして第6身分、奴隷(戦場奴隷含む)は完全に非自由な身分であり、一切の権利がない。
エスメープクド王国において身分とはこういうものだ。
第4身分は比較的素晴らしい。奴隷としての生では転生ポイントもろくに稼げない。
これは……勝ったか?
あの暗殺者の女は俺が伯爵家だから狙ってきたんだろうし、目的は政治的排除なはず。
直ちにパラダイム家はどうなったのか調べたいがここは首都。不審な行動をして家族に怪しまれては信用の終わり、ここは忍耐だ。
ザメク様は良いお人だ。奴隷の私めを気にかけてくれるなんて優しい。
私めは、感激しております───────
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