魔法が強い。
いや本当に強い。
眼前に広がるのは、首都メイプルの幹線道路網。幹線道路網と言っても、そこに現代社会の車はなく、大勢の人間が行き来していた。
この地平線まで伸びる道のりは、王国の中枢と辺境を繋ぐ生命線であると同時に、この王国の尽きることのない富そのものだった。
太陽が頭上を焼く乾いた大地に、まだ真新しい石畳と、
すでに摩耗し、罅割れた古い石畳とが、まるで歴戦の傷跡のように混在して横たわっている。
建設現場は、石切り場から運び込まれた巨大な石材の山と、それらを加工する破砕音、そして土埃が常に舞い上がる、血と汗と涙が混じり合う混沌の様相を呈していた。
そして俺が今からやるのは、これの手伝い。
耳の長い
彼は支配の足枷を付けているが好意的な視線を監督に向けている。
いわゆる奴隷婚という物だろうか?
エルフの帝国は軍事的にも非常に強いのだが、村落程度なら人間でも落とせる。
彼もそのタイプだろう。
我がエスメープクド王国においてエルフと言うのは長年の戦争の敵であるが、つい最近、休戦に調印したらしい。
まあそれでもエルフ住民と人間住民の間に軋轢があり、近頃は急激に治安が悪化しているらしい。
さもありなん。まあ、我の民の怨敵とまで国王に宣言されてる状態からどうやって回復したのかよく分からんが、とにかく平和の時代が訪れたのだ。
エルフは昔からゲリラ戦に非常に優れていて、ここ20年は王国の軍に志願した若者が死ぬのは当たり前だった。
だが
国民のヘイトをエルフという1つの種族に集中させ、治安維持をしていた時代から変わりつつあるのだ。
治安悪化は仕方ないと言って良いだろう。
「監督〜っ!来ましたよ!」
にっこりとした笑顔を見せながら手を振る顔馴染みのエルフの少年。
彼は珍しいことに、耳が切られていない。この王国においてエルフの奴隷と言ったら耳を豚に食わせて無くすのが一世を風靡したブームであったので珍しい。
それにエルフの男は、とても珍しいのだ。普通は同じエルフに死なないギリギリで搾り取られて国から出ない。
エルフは強烈な女社会で、こちらと異なり男尊女卑社会ではないようだ。
どうも聞いた話によるとエルフの街の路地裏は無法地帯で、男が入ると誘拐されてそのまま……といった所もある様なのだ。
地球のころのエルフのイメージとは全く違う、極めて世俗的な種族だが判別法がある。
それが耳の長さだ。昔の研究者によると、味は人間の耳の味と全く違い、軟骨が多めでコリコリとした舌触りになっているらしい。
まあエルフの耳は再生しないから珍味なのだが……食感で類似している物がないから、エルフの味と言うしかないようだ。
さて、閑話休題。工事を手伝う理由……それは金だ!
このエスメープクド王国において道路工事は数世紀に渡って続いており、終わる兆しが見えない。
幹線道路網は放射状に直線の道をまず伸ばし、その横に道路を横断するように作るという物だ。
台形の住宅地ができるから、中心地となるこの首都にはとても大きな時計塔があり荘厳だ。
だが、人があるなら当然、仕事が必要だ。
そしてここは首都……そう、道路の改修だ!
石畳は何年も使っていると、雨や人々の通行で摩耗していってしまう。
そうすると転倒事故が多発するようになるのだ。
まあ、事故を未然に防ぐためであり、財を見せつける、王国の古くからある手法だ。
これだけの労働者を動員できるというのは、
ここで魔法の力よ。
俺が使える魔法は少ないが、
「君が魔法使い?随分とあんた若いねぇ!今日も頼りにしてるから頑張ってきな!」
監督は朗らかに言った。
自由市民と言っても両親は
子供は労働力の源、働かせるのがこの国の常識とはいえ、この立場になった時はさすがに反乱を起こしてやろうと思った。
だが辞めにした。反逆罪でとっ捕まったら公開処刑だし。
労役からの脱走は罪だし、これは中々の重罪。
現金の5%を没収されるのだ、5%だぞ5%。死ぬわ。
クソみたいな法案だ。お陰で稼いでも稼いでも両親が労役を拒否するせいで合計10%も消し飛ぶのだ。
ふざけるんじゃないよ。
しかも稼いだ金は家庭のものだから俺は何を言おうが講義は不可能、なんてひどい悪法だ。
子供のうちは権利と義務が親に帰属?先進的な法案だと思ったけどやべえわコレ。
あーマジで最悪だ。炭鉱で働く方が良かったけど絶対に嫌だった。
反対しておいてよかったわ。
魔法があるお陰で、石畳を浮かせる、それだけでお金が貯まっていく!
素晴らしい!素晴らしい!
でも親が働かねえ!働かねえ!
クソ、マジで最悪だ。
監督にケツでも差し出……いや、どう見てもアイツの恋人だしな、俺がNTRをする側になってしまう。
というかなくなって欲しい。うちの国は不倫で生まれた子供の割合が16%くらいあるらしいし、とんでもねえ最悪な国だぜ。
夫婦破局の原因の第3位がNTR、第2位が兵役、第1位が貴族に娶られるで実質的にNTRが3分の2だ。なんてこったい!国民性でド変態の集合体だ!
そんなことをぼやきつつ、エルフ君と一緒に働いて1日が終わった。
いや本当に優しすぎて泣きそう。天使かな?
というか本当に時計塔の鐘がうるさ過ぎるんだが?
夕方の住宅地で出していい音量じゃねえだろ、鋳潰して武具に変えてほしい。
まあ伝統と格式があるしそんなことは無いんだなあ……
「金足んねえぞ!もっと稼いでこい!」
あークソ。こいつらマジで最悪だわ。
最初の頃は優しいと思ってたけどこいつらガチクズだわ。
はーあぁ、な〜んでこうなっちまったんだろうな……
うう……疲れた、まだ石畳がある……?なんて事だ……
監督は逃げようもんなら鞭打つのが装備品で見え見えだし、労働が辛すぎる……エルフの国に帰りたい……
救ってくださった旦那様は近頃、私めではなくエルフの店に通うようになってしまいましたし……
文章の1話辺りの量について(調整)
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10000文字ほしい←現在の基準
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3500以上ならいいよ
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5000文字くらいほしい
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6000以上ならいいよ