4回目の現世
音が聞こえる。
様々な音だ。弦楽器のように豊かで、打楽器のように重く、金管楽器のように大きな音だ。
奇妙なコンサートだ。電子音声でもない、本当に演奏している音。空間反響の粒が違う。
ふと、目を閉じていたことにあなたは気づく。素晴らしい演奏の前には、聴覚や触覚以外の感覚を閉じてしまう。
いきなり音が止まったことによって、あなたは驚いた。
目を開けたあなたの前には……奇妙なものがあった。
旧式の音楽機のように、針と溝の刻まれた輪によって演奏している。いや、もはや演奏は止まってしまった。
針が折れたのだ。
いつの間にか座っていた椅子から立ち上がり、それを確認した。
カラカラ、といった、金属には似合わない音を立てて、針は床に落ちた。木の板の隙間に挟まって、もはや回収は不可能だった。
ふと、異変に気がついた。慣れ親しんだ肌ではなく、毛があった。これはもしや、と思い、あなたは鏡になるものを探した。
鏡はすべて叩き割られていたが、床に転がった破片のひとつを手に取り、見た。
そこに映っていたのは。頭の上に大きな耳、毛の生えた手足。完全に、
試しにそこら辺のものに魔法を唱えてみた。
鏡の破片は200gもしないが、200gどころか1gほどの重さにしか感じない!
魔力総量の増加がこれ程までに良いとは思いもしなかった。
これが早くにあれば、何もかも解決出来たかもしれない、
だけども、時は決して巻き戻りはしない。
だから、とりあえず行動してみることにした。
古めかしい木製の扉。扉というより戸であったが、とにかく開いた。覗き窓が着いていないが故、外を見るには扉を開けるしかない。
風が吹いていた。どこか爽やかで、嗅いだことの無い、究極的な自然の香り。
香料や、人工自然などではなく草木が生い茂っていた。
どうやらここは……大草原のど真ん中だったみたいだ。
さてはて。
体感温度が70℃くらいあるぞ!
目の前には焼け落ちた小屋があった。
パチパチと焔が弾けて、赤赤と光を放ち、真昼時に太陽よりも眩しかった。
うん、魔法を前と同じ感覚で使ってはダメだな。
草原は、小屋の隣にあった1本の木以外に何も無かったが……
それも、もう無くなった。大炎上して、見事に小屋に向かって倒れた。
うーん、これは……詰み?
TIPS 失火 家などに火を意図せず付ける
あー、まあやっぱりそうなるよな。
うーん、というか身体能力強化って本当に強い。
火災の津波のようになって迫る炎の壁が来ても、めちゃくちゃ早く逃げれる。というかこの草原はもう終わりやな。
霧を出す魔法を使ってるけど火が強すぎてまったく意味が無い。
ドラゴンブレスって着いてるからさあ、強火なんだろうなと思ったけど……まさかこんなに大きいとは思わなんだ!
あなたは走った。放火した家から広がった炎が後方から迫る。
前方には草のない荒野。
あなたは安心して、荒野に向かってさらに速度を上げた。
と、その瞬間。
わあああぁぁぁぁ!
足元不注意!あなたはつまづき、崖から落ちた。
そう、荒野ははるか下にあった。大草原は気づけば斜めになっており、そこから……落下した。
「はっ、?」
「空だと!空から落ちている!?」
「123……4、5 6!7!8!9!!」
「やばいやばいやばい!自由落下で9秒以上も落ちたら死ぬ!やばい!やばいやばい!」
「12……14……16……いや高すぎる!どんな高さから落ちてんだよ!」
そう言って、大の字になった姿勢を崩して空中で身を翻した。
何百mも上に存在したのは、浮遊する島。
そう、所謂、浮遊島と言われる物であった。
周りには雲ひとつなく、澄み渡る空が広がる……そして下には荒野!少なくとも草は無さそうな色合いの!
あー、終わったわこれ。
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