女神「輪廻転生しろ」 ワイ「はい……」   作:まっすァき

24 / 76
4回目の現世+6

船は無事に港に着いた。

どうやら、エスメープクド王国…いや、メイプル執政国にはツァウスト帝国側の港を使わないと入国できないらしい。

 

ツァウスト帝国の港はどうにもイヤな雰囲気がある。

なんと形容したらよいのか。

 

日々の希望を持てないでいるような表情をして働く者ばかり。パノプリヌンの労働者とは大違いだ。

 

それに、港だというのに船がやけに少ない。

漁船団が連なって、それから桟橋にちらほらと釣り人らしきエルフらが見える。

 

まあここはこういうところなのかな。

 

僕はこの国についてあまりわからない。

宗主国、ということになっているのか。

 

それにしたって種族人口比はどうなっているんだ?

道歩く人がどれもこれもエルフだらけで外出しているヒューマンがいない。

 

TIPS:区について

 

ツァウスト帝国内においてヒューマンは特定の区画でのみ居住を許可されます。また、メイプル執政国に多数のヒューマンを集め、結果的にツァウスト帝国内部におけるヒューマンの人口比率が極端に低下しました。

 

それに基づき、現在ではエルフの人口比が極端に上昇。

 

世界種族人口統計データによると、エルフの約13%がこの国に存在します。

 

単一種族によって興された国としては構成人数が極端です。

 

さらに、エルフの優越思想を含む情報は規制されず、ヒューマンの優越思想などを含む情報は校閲され、(パブリック)にならない状態が

長年続いています。

 

エルフに対して平等に天国であり、他種族にとっては地獄のような国でしょう。

獣人種族(ライカンスロープ)に対する差別思想は特にありません。

むしろあなたの場合は、耳が長い方なので同胞として見られるでしょう。

 

ターコイズブルー(見慣れた色)の画面が視界の端に見える。

ふーん、なるほど。

 

それにしたってだいぶひどい国だな。

 

現代社会じゃこんなの有り得ない。

まるで都市(ダイアスパー)の外みたいだ。それに人々のみなりも何か奇妙だ。

 

赤色の腕章を付けていないエルフがいない。

それに道行く人々も、白色やら何やらで、腕章がある。

 

身分の可視化?いや、特権階級であることを示すシンボルみたいなものだろうか。

都市(ダイアスパー)だとそんなのは無かったんだけどなあ。

 

というか、港町に来たはいいものの、ここにあるはずのものが無い。

倉庫街、工場街…歓楽街に、宿泊施設とかが普通はあるはずだ。それなのに存在しない。汚れを病的に嫌うような白色の建物ばかりだ。

 

 

「よお、(あん)ちゃん。」

「よかったら俺と取引しようぜ?今なら安くしとくよ?」

 

 

黄色い帽子を被った、外見年齢にして25ほどの耳の長いエルフの女。皺くちゃになっていて、手足の袖口の部分はかなりブカブカに作られて余裕のある作りになっているが、

そいつが着ているコートの裏側、裏ポケットの中には、不自然な膨らみがあった。

 

こいつは麻薬密売組織の受け子か何かなのか、何も言わないで歩いていると、しつこく取引を迫ってきた。

 

「じゃぁ今日1日、最初だけ無料でいいからさ、とにかくこっちに来なよ」

 

腕を組んできた。

正直に言ってめちゃくちゃめんどくさいけれど、僕はそいつに着いていくことにした。

 

まあどうせ何も決めてなかった旅路だし。

それにいざとなったらこいつら全員焼き尽くすから問題ない。

 

こいつらは僕にとってただの(ゴミ)だ。まだ何もしていないから、僕が攻撃していないだけの触れば砕ける、ひとえに風の前の塵に等しい。

 

この街に歓楽街が無いのがおかしいとは思っていたけれど…まあ、麻薬が公認されてるのかどうか知らないがこんなに白昼堂々、明らかに密売人の言動をしているこいつを連行する、警察組織らしきやつらもいなかった。

 

エルフの女に大通りから外れた小道に連れていかれて、見たのは…

 

クラブハウスだった。

 

よく分からない大音量の音楽を流し、人々が踊っている。

 

踊る(ダンスする)人々は一糸乱れぬとは決して言えないがそれでも統率が取れていて、まるで精巧にできた機械がプロモーションをしているような雰囲気だ。

 

「お兄さん、歩きからからしてバ・レ・バ・レ。リズムからして、動きたい(実はダンサー)ってことが分かるよ。」

 

マジ(ガチの本気)になってダンス(踊る)

 

 

なんということだ、こいつ密売人じゃなくて…

 

エルフの女は、横揺れでステージ上に乱入した。

そして…コートの中から取り出したのは…

 

もちろん麻薬の粉でも電子端末などではなく……

 

マラカス!!!!!

 

こいつはただの良い奴だった。

 

マラカスのシャカシャカ音がクラブハウス内に響き渡る。

クラブハウス内部は主役の登場と言わんばかりに、足を踏み鳴らして口笛でリズムを刻んでいた。

 

く、あまりに自然な誘導でついステージの中央に立ってしまった。こうなれば本気を出す(自作のダンスを披露する)しかあるまいな。

 

ライカンスロープ。それは類まれなる身体能力を有する種族。

そう、類まれなる、という言葉が着くほどの身体能力を有するのだ。

 

ダンスを披露してフロアをさらにぶち上げるしかない!

 

刮目せよ、我が踊り!(DanceDanceRevolution)

 

フロアは熱狂した。

その後、3時間半はクラブハウス内でダンスし続けた。

 

いやはや、何か急にとんでもないトンチキ空間にほおりこまれたと思ったら意外と楽しかった。

ツァウスト帝国ってこんな一面あったんだなあ。

 

 

あなたは少し疲れた。疲れたといっても、休めばすぐ回復するくらいの軽度なものであるが。

 

初日のツァウスト帝国、港町。

 

あなたはどうも、この先に待ち受けるどんな物事も解決できるような高揚感と充足感を得ていた。

 




マラカススーパーダンス

その踊りにはフロアをぶち上げる効果がある。
その音には高揚感を与える効果がある。

限られた、真のハジケリストにのみ可能なエルフに伝わりしマラカスの極意を知るものにのみ行える。

文章の1話辺りの量について(調整)

  • 10000文字ほしい←現在の基準
  • 3500以上ならいいよ
  • 5000文字くらいほしい
  • 6000以上ならいいよ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。