女神「輪廻転生しろ」 ワイ「はい……」   作:まっすァき

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2回目の現世+2

あなたは何事もなく走行した馬車から降り、目的の場所へとたどり着いた。

だが、兄はあなたの手を握ると少し引き寄せてから魔法を発動した。

 

そして、あなたはいつの間にか迷い込んだ。

そこは不思議な空間だった。

 

いかなる魔法か、あなたには推測すらできなかった。

だが、とてつもなく高度な魔法であると言うのは理解できた。

 

「これは、空間拡大だよ」

 

兄の手に引かれ、あなたは進んでいく。

空間拡大?なんだろう、それは。

 

疑問に思ったあなたは兄に尋ねた。

視界の端のスクリーンに文字が踊っていたが、あなたは無視した。

 

このスクリーンは自分にしか見えず、干渉することができない。と、あなたは完全に理解したからだ。

 

有益な情報をくれるけれど、嘘か真かファクトチェックすることはできないからであり、情報源の信頼性というものが欠けていたからだ。

 

「空間拡大というのは……何?」

 

あなたは兄に尋ねたが、帰ってきたのはとても難しい内容だった。

 

「内部空間を外部空間と隔絶し、膜を作る魔法で外部の干渉を無くす」

「そして内部空間の大きさを広げていく。もちろん、逆もできるよ」

「その壁は膜だから触ると破裂しちゃうんだ」

 

何やらとてつもなく高度な魔法であった。空間拡大、ということは空間縮小もあるのだろうか?

 

「逆の魔法は見慣れてるんじゃないかな?」

 

「物を小さくして運ぶ魔法も同じ原理だよ」

「本当は民生用じゃないから民間人にこの魔法は言っちゃダメだよ?」

 

「なぜ?民間にも広めたら貴族とかだけじゃな─

 

兄は人差し指を立て、口元に持っていった。

 

「この空間の外は誰にも音が聞こえないけど、それは言ってはならないよ」

 

沈黙の意味を持つジェスチャー。いや、確かにそうだ。

 

「でも、これがあれば輸送とか─

 

すると、言い終わらせないように兄が少し声を大きくしながら言った。

 

「それは、危ない物も輸送できてしまうからダメなんだ。たとえば、ポピーとかね」

 

ポピー。たしか、隣国のサザンクロス帝国が育ててる植物だったかな?

花らしいけど……なぜそれが危ないんだろう?

 

「この空間は拡大されていて、体積が大きくなる」

「だからこの中は軽く感じるはずだよ」

 

あなたは気がついた。すっかり分からなかったが、歩くと足裏に浮遊感があった。

 

「縮小された空間ならどうなるの?」

 

あなたは兄に尋ねた。

 

「うーん、重く感じるかな?僕はその空間に入ったことはないけれど、身動き出来なくなるとは聞いてるよ」

 

兄の声が、静かに響いた。

 

「この空間縮小魔法を使えば、特別な花の実とか、砂糖や塩を小さな箱に詰め、検問を完全に回避できる。それは、国家の社会秩序と国民の統制を、内側から破壊するための非軍事的な武器なんだ」

 

「だから民間人には言ってはいけないよ。」

 

確かに、それはそうだ。 塩に関税をかけなければ塩産業は潤うだろうが、もちろん輸入されて来た塩も大量に来る。

 

砂糖とかも以ての外だ。

国は最近、穀物を集めているけれどそれは食料と準備のためだし仕方がない。

 

あなたは完全に納得し、拡大された空間の中で兄と秘密の会話をした後に空間から出た。

 

何かが弾けるような音がして、その直後に空気が前方押し寄せた。

なるほど、これが空間拡張のせいか。

 

あなたは完璧に理解した。

今の現象は、発生した空間の余分なスペースに向かって大気圧が作用したからだ、と。

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