女神「輪廻転生しろ」 ワイ「はい……」   作:まっすァき

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くだんない結末

国という1つの大きな家族、その偉大な兄にして独立の父はこう言った。

 

「私はいつもあなたを見ている。」

 

「苦難、絶望、困難……そして不平等。それらは、未だこの国に存在している。」

 

「だが、私の新しい政策を達成することが出来ればまた1歩すばらしい新世界に近づく事になるだろう。」

 

「今日から、土地の個人売買に関する規制の法律が適応される。」

「要項は、2週間前から配布した新聞と布告紙にて確認されたし。」

 

大きな銅像から、スピーカーで指導者の声が響く。

 

唾をのんで、静かに広場で待つ民衆。

 

「また、550万以上の経済的損失は基金より補填金を70%送付し、年間給与330万以下の方には、特別な資金をお送りします。」

 

 

ついに入った規制。

一部の市民は嫌な顔をしているが、大多数の市民は頷いて賛同している。

 

△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

「なあ、あれ聞いたか?」

 

「ああ……あれは最悪だな。」

 

「俺の買った土地の投機的価値が急落しちまったよ」

 

「ははは、俺も俺も」

 

「「……」」

 

2人は少しの沈黙の後、お互いの顔を見て死人のような顔になっていることに気づき、同時に笑った。

 

「なあ、どんくらい消し飛んだ?」

 

「へへ……へへへへっ」

 

すると、片方の男がニヤニヤと笑う。

 

「実は俺の買った土地は国から高額で買ってもらってよ〜!丸儲けだぜ!」

 

するとその声を聴いて、もう片方の男は乾いた笑いをする。

 

「9000万の70%だなんて……大損失だよ」

「国営銀行は今頃、回復してるだろうな」

 

2週間前に出された布告。それにより投資家たちは土地を売ったり、引き上げたりした。銀行が一時的に麻痺したこともあり、この事件は記憶に新しい。

 

その動きを無視し、ヤマを張ったのがこの男である。

 

結果は大損失。だから絶望的表情で空を眺めているのである。

 

「俺はいいビジネスを思いついたんだ。協力してくれないか?」

 

まさに救済の、しかし細い蜘蛛の糸。

 

「土地を買い上げまくって国に売るんだ。そうしたら巨万の富だぜ?」

 

 

△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽

 

 

「オラオラオラオラオラオラオラ!平らになれやあ!」

 

次々に魔法を発動させていく何千人ものエルフたち。

彼女らは、土木魔法を扱う魔法技能者である。

 

では彼女らは一体、魔法を何十回も用いて何をしているのか。それはもちろん……

 

「山を削り取るぞ!いけいけいけいけいけ!」

 

そう、山の破壊である。正確に言えばトンネルの作成と、直通の道路の作成であるのだが、その前段階として山の表面を平らにするのだ。

彼女らが削る山の尾根には要塞があり、それはもう破壊済だった。

 

指導者が作成した、『榴弾砲』や『焼夷弾』という武器が勝利の鍵だった。

 

また、尾根に築かれた長城、その城砦の中には『特別な秘密兵器』とやらが投入された結果、室内の敵は全員が死んだ。

 

よって残りの敵は散発的なゲリラ兵だけとなるのだが、それも山を駆け下りたメイプルの軍が蹴散らしている。

地下トンネル網も完全に制圧し、残るは地上ゲリラ兵のみとなった。

 

相手の士気は低く、投降も多いのに対して我がメイプルの軍は強大であり決して負けることは無い。

 

突然、工事現場にガラガラと落石する音が響き、さらに周辺の地面が大きく陥没し、地下に飲み込まれていく。

 

その大穴の正体はもちろん、かつての潜伏場所である。

 

「地下トンネル網に当たりました!」

 

メイプル軍は『特別な兵器』を用いたことにより地下トンネル網の兵士を全く相手せずに勝った。

 

まず大量の水を出口から流し込み、周辺の出口を潰す。

そして秘密兵器を用いて、中の兵士たちを確実に殲滅した。

 

大量の水は気体と反応し、塩酸となったがそのお陰で兵士たちは100%殲滅されたのだ。

 

「よっしゃ全力で逃げろ〜!偏風魔法でどっか流せ流せ!」

 

エルフたちは全員が工事現場から逃げ出した。これは毎日繰り返されている。

遅遅として工場が進まないのはこれが原因だった。

400Kmの長城は複数重なる部分もあり、地上の長城は大体が解体済みか、崩壊して瓦礫になっている。

 

だがしかし地下トンネル網だけは、壊せなかった。

 

地下には次亜塩素酸と塩酸が大量に水に溶け、塩素溜まりが地下に形成された。

 

だから下手に穴を開けようものなら即死する気体が漏れるのだ。

 

また、土壌汚染もあった。

要塞内部に大量の致死的な毒草が栽培されており、触れただけで即死する草が生えていたために、枯れさせる作用のある酸性の土壌に書き換えた。

 

そもそも地下トンネル網というのは継続的な補給と潜伏を可能とするゲリラ兵の温床であり、内部の兵士を大量に抱えているのだ。

だからこそコストがほとんど無く、地下トンネル網を殲滅できる手段があるならやるのだ。

 

「偏風魔法、なんとも懐かしいなあ……」

 

マスクを付けたエルフの作業者たちはそんなことを言いながら、偏風魔法を無詠唱で発動させていく。

無詠唱は何百回と使い続ければ自然と到達する通過点にすぎないが、ちょっとした自慢くらいにはなる。

 

偏風魔法と言えばファウス統一国を由来とする魔法である。

古代では、戦場にて狼煙を風向きに関係なく垂直に立てるための魔法だが近年は変わった。

 

冷たい霧を流して意図的に大飢饉を起こしたり、海のある南方に伝わった時では帆船を風に関係なく動かした。

 

活用範囲の広さから、あらゆる所で用いられるのだ。

それ故に、このメイプル宗教国でも用いられるようになった。

 

『特別な兵器』を扱うためには空間縮小を用いて、内外を隔絶している膜を弾くだけで良いのだが、それでは使った方も死ぬ。

よって、偏風魔法を用い要塞内部に向けて風向きを操り、安全に敵だけを排除するように魔法を効率的に使ったのだ。

 

「とりあえず全員逃げ終わったな!?じゃあ起爆するぞ!」

 

1人や2人、いなくても問題ない。

大まかな人数がいれば実行可能。

 

瞬間、大爆発が発生する。

これぞ、発破魔法の破壊力の現れであり。なおかつ

現代魔法の中でも最新であり

最強である魔法と言われる理由。

 

 

全員で一斉に起爆すれば大規模な爆発がどんな環境であろうと起こせるのだ。

 

爆発で解決させる策であるが結果は……

 

「おいなんか黄色い雲が山を下ってきてるぞ!ヤバーい!」

 

全員がそれを見た。

それは黄色い雲であり、独特の匂いを持っている。

それは確実に、影響下の生命体を死に至らしめる力を持っていた。

 

「仕方ない、空間縮小でどうにかするしかない!」

「おい、空間縮小を使えるやつは私以外にいるか!?」

 

全員が、不安になり涙目になっている。彼女らは防毒マスクを付けてはいるがその効果を信頼してはいなかった。

プラスチック越しの視界というものに慣れていないからだ。

プラスチックとは指導者が最近、発明した革命的な素材であるがこのような場所にも用いられている。

 

そして、指導者は『このマスクを付けている場合と付けていない場合の安全性は実証済み』だと言った。

 

このマスクは缶のようなフィルターがついていて、顔を完全に覆う。

蒸れるという理由で外す者も多かったが、しかしそういった者は元々求められていない。

 

 

「あの雲を、魔法で封じ込める。」

 

くぐもった声がフィルター越しに響いた。

 

「私は1人でもやるぞ!誰か空間魔法を使える奴はいないのか!?」

 

空間魔法。それはおよそ300年ほど前の発明でありエルフの魔法だった。

やがて近年になって留学制度が出来てからは広く他種族に知れ渡ったツァウスト帝国を起源とする魔法であり、裏から生活を支える魔法。

 

だがこの場に求められていたのは土木魔法が使える魔法技能者であり、空間魔法を扱うことのできる魔法技能者は求められていなかったのもあってか、あるいは安全を危惧したのか賛同したのは10人ほどだった。

 

「この山の地下はトンネルだらけのネストが形成されてる!だから完全に抜くことはできないぞ!」

 

そんな時、ある1人のエルフが叫ぶ。

フィルターをあまり使わないように、息をあまり激しく吸わないようにしながら声を上げた。

 

「ああ、知っている。だから空間魔法を使えるやつだけで行く。」

「お前たち!元気でな!」

 

 

11人のエルフは山に向かって駆け上がっていく。

それはもちろん黄色い雲に直接ぶつかる事であり、恐ろしかった。

だけども、走ることを辞めず、フィルターが減るのを確認せずにひたすらに走った。

最悪、漏れている部分を直接自分こと縮小して閉じ込める。

魔法を発動した自分、もしくは外部から作用しない限り空間魔法は解けることはないからだ。

 

「そいや!」

気合いの掛け声と同時に黄色い濃霧は球状になり閉じ込められ、それ以外の汚染された空気がその空間のあった場所に押し寄せる。

内部空間を拡大している訳では無いため、この空間縮小はコスパが良いのが1番の魅力である。継続的使用に適した魔法であるのだ。

 

 

 

無詠唱で空間縮小を行うエルフを見た、同じエルフが尋ねる。

恐る恐るだが、僅かな緊張感が走った。

 

「あんたは……もしや帝国からの投降兵士か?」

「そうじゃないとそんな大きな空間魔法、使えないはず……」

 

「ああ。補給兵をしていたんだ。これでも結構、有名だと思うんだが……『ハーメイ要塞の奇跡』って知ってるか?あれ実は俺なんだよ」

 

「帝国が末期だと思って逃げてきたけど……はは、ここで俺は最大限抑えてるから先に登ってくれ。」

 

さらに周辺の空間を閉じ込めながら1600m地点で、そのエルフはリタイヤした。いやリタイヤという表現は適切ではない。殿になり、汚染された空気を閉じ込めていた。

 

残りのエルフたちは山をさらに登った。1900m、2400m……

 

人数は同じことを繰り返し、5人まで減った。

3000mの山だが、地下トンネルの高低差は約2300mほどだ。

 

トンネルの中にガスが充満し内部は水で崩れかけ、実際に落盤している箇所もある。

 

だがそんな危険極まりない場所から漏れる気体は、空気よりも思いのだ。だからこそ雲を形成しながら山を駆け下りていて、それを必死に食い止めている。

 

△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△▽△

 

「あー、事故発生?」

「ガスが漏れてるのか……やばい!」

 

あなたは昼下がりにスクリーンに流れる地図から、赤い点が出ていることを発見した。これは何らかの損害が発生したことを示す点であり、なおかつ警告の点であった。

 

あなたはスクリーンから事故発生を読み取り、事故の解決方法を考えた。

 

「というか誰だこれやったの……発破魔法をトンネル近くで使ったやつがいるなあ……」

 

あなたはため息をつきながらどう処理するか考えた。

やはり発端は『勝手な暴走』とかにするか。『指示系統の混乱』だと悪い印象を加えるし。

 

「航空機作成もまだなのに……タイミングがつくづく悪いな」

 

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