女神「輪廻転生しろ」 ワイ「はい……」   作:まっすァき

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2回目の現世+3

あなたは馬車から降り、目的の場所へとたどりついた。

そこは美しくも不可思議な所であった。

 

「ここは植物倉と言って、とても多様な植物があるんだ」

 

あなたは兄と共にとても広い植物倉を進んで行った。

 

ふんだんに太陽光が取り入れられるように天井はガラス張りになっていて、恐ろしいほどの費用がかかっていると推測したあなたは震えた。2×8Mほどの大きな1枚のガラスがあるのだ。

それが多数並べられ、天井に使われるなんて費用は莫大だろう。

 

「あっちが暗室、あっちが温室、そしてここが観賞用の部屋」

 

兄は簡潔に述べた。

 

草は美しい。花を咲かせていないものもあるが、計算され尽くした設計だ。

 

あなたは植物が入っているケースの中に『水銀温度計』を発見した。

 

 

水銀温度計か、ずいぶん正確な温度計を使うなあ……

それにしてもこれの名前は何だろう?

 

あなたは兄に尋ねた。

 

するとあなたは、予想だにしなかったその植物の名前に思わず笑った。

 

「スーパーデスポイズン草さ」

 

スーパーデスポイズン草。ずいふんと人が死んでそうな物騒極まる名前の植物があったものだ。

 

「毒があるの?」

 

「ああ、このスーパーデスポイズン草はかつてツァウスト帝国の西部平原に分布していて、現在は西部平原から駆除されたんだ。その理由は毒だ。大正解だよ。」

 

あなたは兄から説明を受けた。

どうやらガラス張りの植物槽なのは、触ると皮膚から毒が吸収されて死ぬかららしい。

 

「かつて、この草を大規模に駆除したツァウスト帝国にいた人間たちはこの毒のせいで、上限は推定不能で下限が30万人。それだけの人数が駆除作業の途中で死んだんだ。」

 

「28年間の西部開拓で継続的に被害を出し続けたけど、エルフたちは死んでいなかったから軽視されていて、途中で異常事態に気がついたエルフも毒性により死んだから止まらず人間たちは死に続けた……というわけさ。」

 

「『西部開拓で最大の敵は植物だった』という格言はそれを物語る。」

 

あなたは目の前の草がとても恐ろしくなった。

大量の葉っぱ、そして20cmほどの高さ……その全てが生命体を殺す悪魔の仕掛けだ。

 

「スーパーデスポイズン草は、転倒草のように広く分布していて完全駆除が極めて困難なんだ。」

 

あなたは新しく出た植物の名前に好奇心が止まらなくなった。これほどまでの壊滅的な被害を出したのだからさぞ致死的な草なのだろう。

 

「転倒草って何?」

 

「あー、確かこの奥だったはず。ここは西部平原の中でも危険な、草の海に生息する植物たちのゾーンだからね。」

 

あなたは兄に手を掴まれて、転倒草のところまで言った。

 

長い、長い通路。大量にあるガラスケース、そしてその数に応じて必ず入っている植物たち。

 

ふと、ひときわ目を引く植物があり、兄の手を引いてあなたは植物について尋ねた。

 

 

それは手のひらほどの大きさしか無かったが、壺のような見た目だった。

 

「ねえ、これは何?」

 

「あー……切り傷とかがある所に、この植物の汁を付けると痛くなるんだ。」

「毒じゃないけど、危ないやつだね。」

「自白草とも言うけれど、普通の所では生えてないよ。」

 

兄に質問を重ねたあなたは、植物について詳しくなった。

 

「これが転倒草?」

 

転倒草の見た目は、とにかく大きかった。2Mほどあり、背丈を確実に超えている。

今にも折れそうなほど茎は細く長く、先端は黄色い。

 

だがかなりの密度で密集し、中心が見えなくなるほどの群生だ。

 

「そう。そして、この植物のいちばんの特徴なんだけど植えると周りのほかの植物は育たなくなるんだ。」

 

「育たなくなる?」

 

「理由は今、研究されているけど……地下茎で育つ特性のせいか、それで根っこをブロックする、というのが定説だよ」

 

刺々しい葉が生え、ノコギリのような印象をあなたに与えるその草は、転倒草という名称で本当に良いのか怪しく感じた。

 

「それに、上から見るとこの草の葉っぱは効率よく日光を浴びるために角度が様々になっているんだ。」

 

へぇー、そんなのあるんだ。

いつか西部平原に行ってみたいなあ……

 

 

あなたは新視点を得たような気分になった。

 

というか危ない植物が多すぎるんしないかな……?

 

あなたは未だ、エスメープクド王国から出たことはない。

隣国の帝国、ツァウスト帝国の西部など遠すぎて言ったことがないのだ。

そもそも王都に近い領地なので王国の末端にさえ行くことは難しい。

 

だがあなたはツァウスト帝国に渡航してみたくなった。

 

 

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